ペイルライダー（MS）とは (ペイルライダーとは) [単語記事]

ペイルライダーとは、機動戦士ガンダムサイドストーリーズに登場するモビルスーツである。

機体名称は『ヨハネの黙示録』における死を司る「第四の騎士」に由来する。

概要

連邦軍スレイヴ・レイスやジオン軍マルコシアス隊の前に現れた謎のモビルスーツ。意図は不明ながら、ジオンに留まらず友軍である筈のスレイヴ・レイスをも攻撃対象と見なし、圧倒的な力を以て殲滅しようとした。

サイドストーリーズに収録された三つのミッシングリンクの物語で深く関わっており、連邦編ではスレイヴ・レイスがペイルライダーの謎を明かし、ジオン編ではマルコシアス隊に焦点を当て、本機に関わる者の顛末を描いている。
クリア後にミッシングリンク終章が解放され、そこでペイルライダーに纏わるストーリーが完結を迎える。

機体設定

PALE RIDER ペイルライダー
型番	RX-80PR
頭頂高	18.0m
重量	43.7t／56.8t
搭乗者	クロエ・クローチェ
装甲	ルナ・チタニウム合金
特殊	HADESシステム
武装	90mmマシンガンハイパー・ビーム・ライフルビーム・サーベルバルカン砲×2 ビームガン×2 ロケットランチャー 180mmキャノンジャイアント・ガトリングシールド

ペイルライダーは、一年戦争時にオーガスタ研で極秘裏に研究及び開発が進められる。

MSの量産化が一段落した連邦は、戦争終結後を見据え、次なる構想を織り込んだ次世代機の開発計画を推進した。
本機もそこに含まれる機体としてコストを度外視にした当時最新鋭の技術が盛り込まれているため、テストベッド的扱いや開発思想にも「G-4計画」と共通する部分が見られる。

同オーガスタ製のガンダム5号機及び4号機の「ハイパー・ビーム・ライフル」や5号機専用の特殊重兵装「ジャイント・ガトリング」をオプションとして備えている点も同じ。

ベースになった機体はGMスナイパーⅡ。形状もベース機を踏襲しているため、若干女性的な細身のフォルム。GM系に珍しく試作機を示すRXナンバーが与えられた。

頭部はバイザーにガンダム系の口元を合わせた「ガンナーガンダム」のような機体。ガンナーガンダム同様にゴーグルカメラ（バイザー）の奥にガンダム系のツインアイも隠されている。

HADES

本機は一時的に反応性能を最大限に引き出せる「HADES（ハデス）システム」を搭載している。

蒼を基調とした色を加味しなくてもやはりあのEXAMシステム関係にしか見えないということで、発売前からファンの間で関連性が疑われていた。そしてブルーに関わった技術士官アルフ・カムラの証言で、ブルーに積まれたEXAMをベースにしていることが判明した。いわく上からの圧力（恐らくグレイヴの指示）でデータを持っていかれたらしい。

オーガスタ研に譲渡された際、オーガスタスタッフはHADESのために非人道的な研究を始めた。ペイルライダーの搭乗者にはハデスの反応性に追従するため人工的な身体強化を施し、無理矢理な神経伝達の向上を促している。
さらに機体を操るためだけの生体ベースとしては不用な“思考”を鈍らせる投薬を行った。人権を尊重せず追い討ちをかけるような強化に被験体が耐えられるはずもなく、徐々に記憶障害に苛まれ、生き永らえない体になった。

なおこれも悲劇を生み続ける序章に過ぎず、シリーズのファンならば大方察しがつくであろう後の「強化人間」技術へ昇華していくのである。それまでのミッシングリンク的な要素を埋めるものとなった。

顛末

一年戦争の最後を飾るア・バオア・クー攻防戦。戦場においてヴィンセント・グライスナーを隊長とし、名実共にエース部隊と呼ばれるまでに成長した「マルコシアス隊」の前に姿を現す。
戦闘に入りマルコシアス隊の決死の連携攻撃でペイルライダーを活動停止に追い込む事に成功するが、同時にマルコシアス隊も壊滅し、最後の戦闘は相討ちに終わる。

無事だったヴィンセントは、行動不能状態のペイルライダーに接触する。しかしヴィンセントが目に映した現実、ペイルライダーに搭乗していたのは、未だ幼さが残る一人の少女であった。

トーリスリッター

TODESRITTER トーリスリッター
型番	AMX-018［HADES］
頭頂高	22.8m
重量	56.8t
搭乗者	クロエ・クローチェ
装甲	ガンダリウム合金チタン・セラミック複合材
特殊	HADESシステム
武装	ハイパー・ナックルバスターハイパー・ビームサーベルビーム・サーベルバルカン砲×2 マシン・キャノン×2 ビーム・ガン×2 インコム×6 トライブレード×6 シールド

ミッシングリンク終章・ペイルライダー編から登場するペイルライダーの改修機。ジオン軍残党が捕獲したペイルライダーは後にネオ・ジオンへ合流し、10年後まで改修が続けられた。

第一世代機のペイルライダーが第一次～第二次ネオ・ジオン戦争時に活躍するのは難しいが、セミ・モノコック構造を見直し、第二世代機以降の技術のムーバブル・フレーム構造を改修に取り入れ、駆動系や武装も別物と言っていい程強化された。
頭部内蔵のHADESシステムはブラックボックス化していた技術であり、ネオ・ジオン側も手を付けていない。

バックパックにサブ・ジェネレーターとバーニアを6基搭載し、稼働時間延長のためにプロペラント・タンクを2基接続。さらに巨大なハイパー・ビーム・サーベルを装備している。

背部スラスターバインダーに有線式兵装のインコムとトライブレードを装備。インコム基部にはトライブレードが装着され、インコムを格闘に応用したり発射後にトライブレードを放つといった風に変則的な使用が可能になった。
シールドはバウ、ライフル（ハイパーナックルバスター）はガ・ゾウムの物を使用。高い性能と高火力な武装群から、既に第三世代機に相当するものと思われる。

機体名はドイツ語で『死の騎士』という意味。死を司る第四の騎士、そのまま「ペイルライダー」のことである。

クロエ・クローチェ

搭乗者は一年戦争時から変わっていない。元は戦争孤児で、一年戦争時にハデスの被検体に選ばれた少女。

当時の階級は少尉だが正規の軍人ではなく、実戦投入の際にトラブルがあると面倒なので上層部の取り計らいで便宜的に階級が与えられたに過ぎない。ハデスの被検体となり、度重なる強化の末、徐々に記憶障害が起き最終的にペイルライダーに搭乗した時の事も忘れていた。そこで記憶喪失後に初めて会ったヴィンセントを慕うようになる。

ヴィンセントはそんな彼女に対し、憐憫と殺意の情こそ入り混じっていたが、10年の長い月日は彼女への情を抱かせていたのも事実であった。葛藤から、戦場で不意に銃口（殺意）を向けられる事もクロエは把握しており、ヴィンセントにならば殺されてもいいと思っている。また自身が長く保たない事も知っており、最期までヴィンセントと戦いたいと願う。

RX-80＆GFX-1

何も関係ないと思うが、RX-80という型式番号が初めて与えられたのはペイルライダーではない事にも触れておかねばならないだろう。

MJ誌1989年11月号に掲載された『F.M.S』（福地モビルスーツステーション）に登場する2機のモビルスーツ。
言ってはなんだが、子供の妄想の類という俺設定でもアレな部類なのであまり気にしてはいけない存在。80年代は小林や藤田をはじめ、ガンダムのメカニックデザインを担当したメカデザイナーが綿密な俺設定のガンダムを発表していたが、本機の場合は機体設定がほぼない。