ロマン・グロージャンとは、スイス・ジュネーヴ生まれのレーシングドライバーであり、オープニングラップの狂人である。
ヨーロッパGPでそれまでルノーのレギュラードライバーであったネルソン・ピケjrに代わり、F1デビューを果たした。当時のフランスでは、「アラン・プロストの後継者」とも呼ばれ、かなりの期待をかけられていた。
しかし、彼はデビュー戦から、早くもそのミサイル振りを発揮していくこととなるのである。
まず、デビュー戦のヨーロッパGPでオープニングラップにフェラーリのルカ・バドエルと接触。同年のイタリアGPでもクラッシュを喫しウイングを損傷。更に続くベルギーGPでもオープニングラップにジェンソン・バトンとクラッシュし、リタイアへと追い込んだ。シーズン途中のデビューながら、実に3回ものクラッシュを起こす暴れっぷりである。
そのまま最終戦アブダビGPまで起用されることとなるが、ルノーは2010年にロバート・クビサとヴィタリー・ペトロフを起用することを決定。F1のシートを失う結果となった。
2010年は無所属だったが、ニック・ハイドフェルドの後継としてピレリタイヤのテストドライバーに就任した。
2011年はロータス・ルノーGPのテストドライバーに就任し、アブダビGPとブラジルGPの2戦でフリー走行に出走した。またこの年、GP2のチャンピオンを獲得している。
2012年は前年のGP2の好成績を受け、ロータスからF1復帰することが発表された。
一度F1を去ったグロージャンに期待をかける人間などほとんどおらず、シーズン前に話題に上ることはほとんどなかった。
しかし彼は諦めていなかった。F1から離れていた2年間で、彼はミサイルとしてかなりの成長を遂げていたのである。
迎えた開幕戦では、予選で周囲を驚かせる3番グリッドを獲得。だがこれは、これから始まる彼の劇場の本の幕開けに過ぎない。
決勝では1週目こそ乗り切ったものの、2週目にウィリアムズのマルドナードと接触、そのままリタイアとなった。
続く第2戦マレーシアでは、オープニングラップにメルセデスAMGのミハエル・シューマッハと接触。再びリタイアを喫することとなる。
第3戦中国で6位に入り、初の入賞を記録。続くバーレーンでは3位に入り、復帰4戦で表彰台を獲得した。誰もがこの時は彼はミサイルを卒業し、普通の速いドライバーになってしまうのかと思っていた。
しかし彼の伝説は、終わりを告げることなどなかったのである。
第5戦スペインでは、再びオープニングラップにザウバーのセルジオ・ペレスと接触。ペレスはマシンを損傷し、そのままリタイアとなった。しかしグロージャンは4位入賞を果たし、ファステストラップも記録した。
第6戦モナコではスタートでミハエル・シューマッハと軽く接触。このことがきっかけでスピンし、彼のマシンは道を塞ぐような形で1コーナーの手前で停止した。このときグロージャンはブレーキを踏んでいなかったため、後退してきたマシンに小林可夢偉が乗り上げてジャンプ。可夢偉はマシンにダメージを負って数週後にリタイアとなった。
第7戦カナダでは混乱もなくオープニングラップを突破し、終盤にタイヤ戦略を成功させてレッドブルのセバスチャン・ベッテル、フェラーリのフェルナンド・アロンソを続けざまにオーバーテイク。そのまま2位でゴールし、F1における最高順位を更新した。
続く第8戦ヨーロッパでは2位走行中にオルタネーターのトラブルが発生し、そのままリタイア。今年グロージャンがリタイアしたレースでクラッシュを起因としないものは、これのみである。
第9戦イギリスでは、またもやオープニングラップにフォース・インディアのポール・ディレスタと接触。ディレスタはこの接触でタイヤをパンクさせてしまい、ピットインを余儀なくされてしまう。そんな中グロージャンは、6位入賞を果たした。
第10戦ドイツではオープニングラップに接触し、フロントウイングを壊してしまう。その後ピットインしてレースを続行したものの、18位ノーポイントに終わる。
第11戦ハンガリーでは予選で素晴らしいアタックを見せ、自己最高の2番グリッドを獲得。決勝でも終盤まで1位のハミルトンを追い上げていたが、タイヤ戦略の違うチームメイトのキミ・ライコネンにかわされ、3位に終わった。
第12戦ベルギーは、ある意味彼のキャリアハイライトと言ってもいいだろう。予選は8番グリッドに終わり、スタートにかけるグロージャン。その意気込みは相当なものだった。
レースはまず師匠パストール・マルドナードがロケットスタート明らかなジャンプスタートをしたことから始まる。グロージャンを後方からスタートを決め、順位を争っていたが、ハミルトンが芝生に追い出されたことで止まれなくなり、2台が接触。グロージャンのマシンはそのまま1コーナーへと突進し、アロンソ、可夢偉、ペレスの3人を撃墜。多重クラッシュとなった。それでも止まらないグロージャンのマシンは、1コーナーのランオフエリアぎりぎりまで進み続けた。クラッシュ時、グロージャンのマシンはアロンソの頭すれすれを通過しており、一歩間違えば死亡事故に発展していたかもしれないほどの重大事故である。
レース後、スチュワードはグロージャンに責任があると見なし、1レースの出場停止処分と50000ユーロの罰金を科した。F1ドライバーに出場停止の処分が下されたのは、実に18年ぶりのことであった。
1戦の出場停止後、復帰したシンガポールGPではトラブルもなく7位入賞。しかしまだ彼は懲りていなかった。
続く第15戦日本GP、スタートで遅れを取ったグロージャンは横に並びかけてきたペレスを気にするあまり、前を走るマーク・ウェバーに追突。この時グロージャンは、なんと追突後もブレーキを踏まずに進み続けるほどの確信犯ぶりである。マーク・ウェバーはその後レースに復帰したが、グロージャンには10秒ストップのペナルティが下された。
F1ではほとんどのレースのオープニングラップで接触事故を起し、他者をリタイアに追いやることから「問題児」「オープニングラップの狂人」「サーキットの通り魔」と称されている。
2012年の日本GP後には、ウェバーから「もう一度出場停止が必要」と言われてしまう。ニコ・ロズベルグからは「またグロージャンだ」と言われ、BBCのコメンテーターを務めるデビッド・クルサードからは「ロマンよ、ロマンよ、何をやっているんだ?1コーナーでのインシデントが多すぎる」と評されている。また、マクラーレンのチーム代表マーティン・ウィットマーシュは日本GPでの出来事を「典型的なグロージャン」と話し、元F1ドライバーのジョニー・ハーバートは「彼がチームに何をもたらしているのか理解できない」とロータスにグロージャンを解雇するよう呼びかけた。
これに対しグロージャンは、「バカげたクラッシュだった」と自分の非を認めている。
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最終更新:2025/12/11(木) 08:00
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