冨樫仕事しろとは、ファン共通の叫びである。
何をしていないのかというと、仕事である。
ただし、本気でこの言葉を言い続けると、再び悪夢がやってくる可能性があるので要注意。
<悪夢の例>
休載率51.5% [2011年42号現在]
連続掲載回数20回 (2010年5・6合併号~2010年26号)
連続休載記録79回 (2006年12号~2007年44号)
年別休載率記録95.9% (2009年)HUNTER×HUNTER 休載リスト
2010年 【休載率58.3%】
2009年 【休載率95.9%】
2008年 【休載率58.3%】
2007年 【休載率83.3%】
2006年 【休載率91.7%】
2005年 【休載率35.4%】
2004年 【休載率53.1%】
2003年 【休載率20.8%】 ←キメラアント編開始
2002年 【休載率37.5%】
2001年 【休載率33.3%】 ←GI編
2000年 【休載率27.1%】 ←ヨークシン編
1999年 【休載率31.3%】 ←天空闘技場編
1998年 【休載率8.1%】 ←連載開始
※『幽☆遊☆白書』の休載はたった1回きりである。
当たり前だが、冨樫にも駆け出しの頃は存在した。
初連載は打ち切りに遭うが、次作の『幽☆遊☆白書』で一気に人気作品の仲間入りを果たす。
すると当然忙しくなり、連載当初から暗黒武術会が始まるくらいまで、睡眠時間が一週間で半日分しか取れなくなった。(それ以外は仮眠だったらしい)
そしてストレス発散は寝る時間を削って行うという日が続いたようだ。
しかし読み切り31ページ(TWO SHOTS)と巻頭カラーが立て続けに来たあたりで、徹夜をすると心臓に痛みが走りだすようになり、徐々にその間隔が縮まってくるようになったという。
そこで「規則正しい生活はムリにしても寝たい時にきっちり寝て描いたらどのくらいのペースで仕事ができるだろうか」と考えて実行したところ、今度は原稿がみるみる遅れ出して、満足のいく出来のものが描けず葛藤していたらしい。
(『よしリンでポン!』より)
<連載作家の自由時間を単純に計算する公式>
A(24-a)-Ph
A=〆切までの日数(当時の冨樫の場合→原稿にかかる時間は週5日、残り2日はネーム)
a=1日の平均睡眠時間(だいたい5時間)
P=原稿の枚数(19~21P)
h=1枚の原稿を完成させるまでにかかる時間(調子によってかなり違うがだいたい4時間)したがって代入すると
5(24-5)-19×4=19時間ここから食事・風呂・トイレなど生活に必要な時間を引くと3~4時間しか残らない
-『幽☆遊☆白書』ジャンプコミックス5巻から抜粋
今まで3~4回ピンチがありましたね。最大の故障は、91年の1月から半年続いた腰痛。一番ひどい時は机に向かうことができず床に寝た状態で原稿描きました。最近ではキャラ人気投票発表のカラー原稿の回。ブッシュ風邪でめまいと吐き気に悩まされながら、ほとんど自動書記で描いてました。今は体は一見健康ですが、頭は持病の変態病に悩まされています。
-『幽☆遊☆白書』ジャンプコミックス6巻から抜粋
「高熱出してな。連載当時。でも休めないわけよ。……なぜって?時代さね。」
「(幽白完全版7巻について)連載してた時、週に10~20時間くらいしか寝てない時だな。今の5分の1くらいだな、うんうんうんうん。」
「(読み切り「TWO SHOTS」について)中身すべて下描きなしフリーハンドです。ははは時間ねーっての。殺す気かっての。あんま腹立ってアシスタントも呼ばなかったっての。」
-『幽☆遊☆白書』画集の解説から抜粋
「仕事で過労死はやだ。ポックリいくなら遊んでいるときか趣味で原稿描いてるときがいい。カラー原稿こわい。読み切りこわい。」
-冨樫本人の幽白同人誌『よしリンでポン!』から抜粋
そして、ストレスが限界を達しキレた冨樫は、人気絶頂中だった『幽☆遊☆白書』を突然終わらせてしまった。
これが原因で、一部の古参ファンは「冨樫仕事しろ」とあまり強く言えないのである。
「オレ達はもう飽きたんだ お前らはまた別の敵を見つけ戦い続けるがいい」
-『幽☆遊☆白書』ジャンプコミックス17巻/完全版14巻/文庫版11巻・樹の台詞
残念ですが、『幽☆遊☆白書』のキャラクターで出来ることは、商業誌ベースではやりつくしてしまいました。あとは出来上がったキャラクターを壊していくか、読者があきるまで同じことをくり返すかしか残っていませんでした。
この本でやったようにキャラを壊す試みはジャンプでは当然ボツになりました。同じことをくり返すに耐え得る体力も気力ももうありません。そこで常々思っていたことを実行しました。「もしジャンプで長期連載ができたら自分の意思で作品を終わらせよう。」アンケートの結果が悪ければ10週で打ち切りというシステムは承知でジャンプにお世話になりました。逆にそれがはげみとなり、「読者の反響」を意識することで色々勉強ができました。
しかし、それを全く考えないで自己満足だけのためにマンガ描きたくなってしまいました。
その結果できる作品がジャンプ読者のメガネにかなうとはどうしても考えられませんので挑戦を放棄します。
今までの文章を要約します。わがままでやめました。すいません。
-冨樫本人の幽白同人誌『よしリンでポン!』から抜粋
(幽白完全版15巻について)連載やめる32週前から1号あがる度にカレンダーに×(バツ)つけてったんだよな。そんな巻です。
-『幽☆遊☆白書』画集の解説から抜粋
(レベルEは)完全にストレス解消したくて始めたのですが、まぁやっぱり制約はあって難しいっす。
-DVD『レベルE』特典冊子・宇宙大図鑑 冨樫のコメントから抜粋
これから10巻20巻とだしていけるようにがんばるつもりです。
だからもう弱音吐きません。逃げません。切れません。と思います。多分。-『HUNTER×HUNTER』1巻から抜粋
そのために、『幽☆遊☆白書』の終盤はこれまでの味方キャラと敵国に別れて戦う魔界三国志編が始まったと思ったら、突然主人公が「トーナメントしようぜ!」と言い出して全部有耶無耶になり、強引に最終回を迎えてしまうという、ある意味伝説のエンディングとなった(ただし、幽助の性格から考えると話の進み方には何の問題もない)。
幽白終了後、冨樫は自らコミケに降臨。同人誌『よしリンでポン!』を無料配布し、幽白の突然の終了についてファンに詫びた。そして冨樫はしばらく表舞台から姿を消し、『消えたマンガ家』という本でも取り上げられた。やがてジャンプに戻ってきた冨樫は『レベルE』の連載を始めるが、週刊連載に懲りたのか、これは月に1回ペースの連載であった。
その後、武内直子の支えもあり、冨樫は『HUNTER×HUNTER』で週刊連載に再挑戦。一説によれば、武内が冨樫に「あなたの漫画が読みたい」と言ったのがハンタ執筆のきっかけになったらしい(ソース不明、確認中)。
しかし近年ではハンタは休載だらけで、もっぱら週刊連載とは言い難い状態になってしまっている。これでは読者から「冨樫仕事しろ」と言われてしまうのも仕方ないことかもしれない。
ちなみに、「19って数は切りが悪くてイライラしてたんだ」という台詞が『HUNTER×HUNTER』3巻で出てくるが、偶然にも『幽☆遊☆白書』は全19巻である。
色々とこだわりがあるようだ。「ネームの真理に最も近い男」という異名を持っているほど。
冨樫の話作りは基本的には漫才。
ネームにする前に紙にキャラ達のセリフの掛け合いを描き出し、その中でキャラ同士がキャラらしさを守った上での最良の一手をボケツッコミのようにバンバンかぶせていき、「論理展開」させていって、最後は主人公がそのずっと上を行く解を打ち出すといった感じ。
『HUNTER×HUNTER』の序盤は特に意識してそういう作り方をしていた。
(レオリオとクラピカが登場する回やドキドキ2択クイズなど)
この「論理展開」とはキャラクターと相談することを指し、例えばキャラが2人いて片方が「俺はこっちに行って戦う」もう一方は「俺はこっち」と別行動する展開にしたいとすると、作中では省略されていてもそういう展開になるまでの経緯をセリフの掛け合いとして紙に書き出してみて、「本当にそんな結論になるのか?」という検証作業を行うようだ。
その過程で「このキャラの性格だとこっち行きたいとは言わないな」となったらその展開はボツにしてしまうらしい。
その理由は、キャラがちゃんと生きていて自分で判断しているように思えないと不安で、全員が死力を尽くしている感じを大事にしたいから。
(『ヘタッピマンガ研究所R』より)
私への質問で「登場人物の誰に似てますか?」というのが来ますが、性格的にはこれから出てくる奴も含めて、悪役全員の悪い所を全て足すと私です。つかまるのが嫌なので実際に行動には出しませんが。
-『幽☆遊☆白書』ジャンプコミックス9巻から抜粋
キャラクターは基本的には想像だが、実在人物のイメージを自分なりに膨らます事もよくやるようだ。(『霊界紳士録』より)
また、冨樫は『ヘタッピマンガ研究所R』にて「キャラの人柄は作者の人柄」「教わってどうにか出来るものではない」という格言を残している。
「カラートーンは多分もう死ぬまで使わない。面倒だから。」
「エアブラシ自体がオレの性格に合わなかった。もう使うことはないだろう。」
「コピックってやっぱありがたいよね。」
「彩色の所要時間10分。けどやる気になるまで10時間。」
「マーカーでさえ塗りむらを作ってしまう作者の技術不足たるや、他の追随をみじんも許しはしない。」
「おそらく何色もパレットに出すことすら面倒だったのでは…。」
「適当なものが手元になく、結局つるっつるのケント紙に彩色してる。画材屋くらい探せ。」
「色に反抗してた、あの頃。色?色って何だよ!?的な。」
「とにかく色は嫌い。いいのかこんな事ここで言って。」
-『幽☆遊☆白書』画集の解説から抜粋
このように、カラーに関してはかなりの面倒くさがり苦手意識がある様子。
上のコメントは時間がなかった幽白のものなので、さすがに時間的に余裕のある『HUNTER×HUNTER』はもう少し丁寧に描いていると思われる。多分……。
画材は基本的には幽白の頃と変化しておらず、製図用インクとカブラペンを使っているが、『HUNTER×HUNTER』になって色に少しだけmacを使うようになった。(『霊界紳士録』より)
一方で嫁の武内直子はカラーの美しさに定評がある。「これがまたキレイで上手い」と冨樫も認めており、ハンタのカラー原稿を手伝ってもらったこともあるようだ。(『HUNTER×HUNTER』1巻より)
ハンタのカラーがやたら綺麗な時は、もしかしたら……。
私は画力で人をひきつけたいという絵が好きな人なら誰でも少しはもっていそうな野心を極力おさえてもらっていました。新人時代、萩原一至さんの原稿を当時の担当から見せてもらったからです。正直言って、絵では絶対かなわないと思いました。しかし「できれば全部一人で描きたい。」という理想は捨てられませんでした。
『幽☆遊☆白書』の連載中、何回か一人で原稿を上げたことがあります。全てストレスがピークに達している時です。
理解してもらえるかわかりませんが、原稿が満足にできないことによって生じるストレスを解消する方法が「一人で原稿を上げること」なんです。
その結果その週の原稿は惨々たるものでした。背景も人物もなぐり描きです。読み切りのツーショット。鴉VS蔵馬。幽助VS仙水。幽助と雷禅が対面する回はほとんど一人で描きました。後半の2話は、あるハガキの批判の通り、落ちる寸前の半日で19枚上げたものです。プロ失格かもしれませんがそれでも自己満足してました。
すでにその時「人がどう思おうがどんなに荒れた原稿になろうが一人で描きたいもんは描きたいんだ」という気持ちを抑える理由が失くなっていたのです。
-冨樫本人の幽白同人誌『よしリンでポン!』から抜粋
私の頭の中には、田所さんと今井さん(どちらも仮名)という二人の人物がいる。田所さんは絵を描くのが専門で今井さんは企画や話を考える。田所さんは自尊心が強く根性なし。今井さんは軽薄で節操がない。
-『レベルE』ジャンプコミックス3巻から抜粋
「かけ出しの頃担当さんにヘタって言われたのが悔しくってねー。それプラス昔はネームの絵に原稿の絵が全然及ばない事が多くてそれもまた悔しくて、それをバネに作画の時直しまくったのが今思えば練習になってたかな。ホラ、ネームの時のテンションが一番高いもんでしょ?イキオイがあるってゆーか」
-『ヘタッピマンガ研究所R』 冨樫のインタビューより抜粋
(幽白後半からその傾向が見られたが)『HUNTER×HUNTER』はたまに下書きのような荒れた作画のままジャンプに載ることがある。
これはネット上では下書き掲載・ネーム掲載などと呼ばれ、厳しく批判されることもある。
そのため、単行本収録にあたって加筆修正をする羽目になってしまってたりする。(→冨樫は二度描くの記事参照)
冨樫いわく「ジャンプと併せてお楽しみいただければ幸いです。」だそうだ。(『HUNTER×HUNTER』25巻より)
一応、最近はジャンプ掲載時も作画が一定の水準を保っており、最新巻である28巻、29巻は殆ど修正されていない。
でもゴンさんの両方左足は修正するべきだったんじゃ
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/14(日) 15:00
最終更新:2025/12/14(日) 15:00
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