冨樫仕事しろとは、ファン共通の叫びである。
何をしていないのかというと、仕事である。
ただし、本気でこの言葉を言い続けると、再び悪夢がやってくる可能性があるので要注意。
<悪夢の例>
幽白連載放棄事件 →本記事の項目参照
ゴンさん事件 →「冨樫休め」「冨樫休んだ」
休載率56.5% [2014年52号現在]
連続掲載回数30回 (2011年35・36合併号~2012年16号)
連続休載記録79回 (2006年12号~2007年44号)
年別休載率記録95.9% (2009年)HUNTER×HUNTER 休載リスト
2015年
2014年 【休載率81.3%】
2013年 【休載率95.8%】 ←クラピカ追憶編(読切)
2012年 【休載率70.8%】 ←暗黒大陸編(仮称)
2011年 【休載率66.0%】 ←会長選挙・アルカ編
2010年 【休載率58.3%】
2009年 【休載率95.9%】
2008年 【休載率58.3%】
2007年 【休載率83.3%】
2006年 【休載率91.7%】
2005年 【休載率35.4%】
2004年 【休載率53.1%】
2003年 【休載率20.8%】 ←キメラ=アント編
2002年 【休載率37.5%】
2001年 【休載率33.3%】 ←グリードアイランド編
2000年 【休載率27.1%】 ←ヨークシン編(幻影旅団編)
1999年 【休載率31.3%】 ←天空闘技場編
1998年 【休載率8.1%】 ←連載開始、ハンター試験編
※『幽☆遊☆白書』の休載はたった1回きりである。どうしてこうなった
当たり前だが、冨樫にも駆け出しの頃は存在した。
冨樫が初連載してみた感想がこちら。
ぐわ~~!!遊ばせてくれ~~。週刊連載が、こんなにきついと思わなかった!!
週に4日休めて、お金がたくさんもらえるって聞いてたのにな~~。
でも、素直にうれしい!まさか、こんなことになるとは思わなかったもんな~~。
3年前まで、トーンはのり付けてはるもんだと思ってたもんな~~。これでもう、思い残すことは…
あ、いけね、借金返さなきゃ…ダイエットしなきゃ…寝なきゃ…
-『てんで性悪キューピッド』単行本1巻から抜粋
とにかく多忙で一週間で合計8時間しか寝られなかった事もあっただの、所持金が168円しか無くて自分が載ってる雑誌も買えないだの、借金もあるので金儲けのためではなく生きるために漫画を描いているだのと作中の空きスペースで愚痴ってはいる。が、この頃の作者コメントのハイテンションぶりからは夢を叶えた達成感が伝わってくるようである。
しかし、喜びも束の間、この作品は7ヶ月ほどで打ち切りを食らってしまう。
『ヘタッピマンガ研究所R』のインタビューによれば、これはウ冠の「富」樫さんの作品だとして、現在の冨樫の中では無かったことになっているらしい。
「高熱出してな。連載当時。でも休めないわけよ。……なぜって?時代さね。」
「(幽白完全版7巻について)連載してた時、週に10~20時間くらいしか寝てない時だな。今の5分の1くらいだな、うんうんうんうん。」
「(読み切り「TWO SHOTS」について)中身すべて下描きなしフリーハンドです。ははは時間ねーっての。殺す気かっての。あんま腹立ってアシスタントも呼ばなかったっての。」
-『幽☆遊☆白書』画集の解説から抜粋
>逃亡したコトある?
冨樫「あります。しかも冷静に計画的逃亡を企てました。ちなみに隠れた場所は新宿ワシントンホテルでした。」
武内「そのあと荻くぼのいつものゲーセンで担当に肩をポンとたたかれたんだって(笑)」
-冨樫と武内直子の同人誌『'98社会復帰宣言』から抜粋
初連載は打ち切りに終わったものの、次作の『幽☆遊☆白書』が大ヒット。
単行本は発行部数5000万(2015年までの累計)、アニメは平均視聴率17.6%(全112話)、最高視聴率24.7%を叩き出し、『DRAGONBALL』や『SLAMDUNK』と共にジャンプ黄金期三本柱と呼ばれるほどの人気作品となった。
そして冨樫は幽白連載中の93年~94年、2年連続で高額納税者番付(長者番付)の文化人第2位(総合73位)に名を連ねることになった。
一躍人気作家となった冨樫は更に忙しくなり、連載当初から暗黒武術会編の前くらいまで、週に休みが睡眠のための半日しか取れなくなった。
それ以外はほとんど仮眠であり、ストレス発散は寝る時間を削って行うという日が続いたようだ。
しかし、読み切り31ページ(TWO SHOTS)と巻頭カラーが立て続けに来たあたりで、徹夜をすると心臓に痛みが走りだすようになり、徐々にその間隔が縮まってくるようになったという。
そこで「規則正しい生活はムリにしても、寝たい時にきっちり寝て描いたら、どの位のペースで仕事ができるだろうか」と考えて実行したところ、今度は原稿がみるみる遅れ出して、納得のいく出来のものが描けず葛藤していたらしい。
原稿が満足に出来ないストレスを解消する方法は、冨樫にとっては「一人で原稿を上げること」であった。
ストレスのピーク時に何度か一人で描いた原稿は、本人いわく殴り描きの惨々たるものであったが、それでも冨樫は自己満足していたらしい。その時既に「人がどう思おうがどんなに荒れた原稿になろうが一人で描きたいものは描きたいんだ」という気持ちが抑えられなくなっていたという。
(『よしリンでポン!』より)
<連載作家の自由時間を単純に計算する公式>
A(24-a)-Ph
A=〆切までの日数(当時の冨樫の場合→原稿にかかる時間は週5日、残り2日はネーム)
a=1日の平均睡眠時間(だいたい5時間)
P=原稿の枚数(19~21P)
h=1枚の原稿を完成させるまでにかかる時間(調子によってかなり違うがだいたい4時間)したがって代入すると
5(24-5)-19×4=19時間ここから食事・風呂・トイレなど生活に必要な時間を引くと3~4時間しか残らない
-『幽☆遊☆白書』単行本5巻から抜粋
今まで3~4回ピンチがありましたね。
最大の故障は、91年の1月から半年続いた腰痛。
一番ひどい時は机に向かうことができず床に寝た状態で原稿描きました。
最近ではキャラ人気投票発表のカラー原稿の回。ブッシュ風邪でめまいと吐き気に悩まされながら、ほとんど自動書記で描いてました。
-『幽☆遊☆白書』単行本6巻から抜粋
睡眠薬と屋上 どっちにしようかな
-『幽☆遊☆白書』単行本19巻(最終巻)最終ページの挿絵のキャラの台詞
「仕事で過労死はやだ。ポックリいくなら遊んでいるときか趣味で原稿描いてるときがいい。カラー原稿こわい。読み切りこわい。」
-冨樫本人の幽白同人誌『よしリンでポン!』から抜粋
そして、ストレスが限界に達しキレた冨樫は、
人気絶頂中だった『幽☆遊☆白書』を突然終わらせてしまった。
これが原因で、一部の古参ファンは「冨樫仕事しろ」とあまり強く言えないのである。
※¹「もう十分だろう。いい加減忍を休ませてやれ。
『死んでも霊界には行きたくない』忍の遺言だ。お前らの物差しで忍を裁かせはしない。忍の魂は渡さない。これからは二人で静かに時を過ごす。
オレ達はもう飽きたんだ。お前らはまた別の敵を見つけ戦い続けるがいい。」
-『幽☆遊☆白書』単行本17巻/完全版14巻/文庫版11巻・樹の台詞
>原作を終えて第一の感想を。
あー スッキリした。
>連載中一番苦しかった所は?
2回あった。1回目は、暗黒武術大会で幽助と酎が闘った時。
カラー進行のスケジュールで 本 当 に 体調をくずしてた。
2回目は仙水と幽助が闘ってた辺り。原稿に向かうと、ハキ気がする位漫画を書きたくなくなった時期。
この時位に初めてもう“幽遊”はやめようと編集に頼み込んだ。
>お気に入りの話は?
樹がウラ男の中で雄弁をふるう所。
最後の樹の捨てゼリフ※¹には当時の原作者(オレ)の血の叫びが入ってた(笑)>最後に皆気になってると思うんだけど今後の予定は?
誰にも見せられない様な漫画を一人で描いて、嬉びたい。ウケケ。
>じゃあ当分商業ベースの漫画は…
考えてねッス
-冨樫本人の幽白同人誌『よしリンでポン!』から抜粋
こうして『幽☆遊☆白書』終盤は、これまでの味方キャラと敵国に別れて戦う魔界三国志編が始まったと思ったら、
突然主人公が「トーナメントしようぜ!」と言い出して全部有耶無耶になり、強引に最終回を迎えてしまうという、ある意味伝説の幕引きとなった(ただし、幽助の性格から考えると話の進み方には何の問題もない)。
幽白連載終了は94年7月の出来事であったが、直後の夏コミに冨樫本人がまさかの降臨。連載終了の内情を吐露した同人誌『よしリンでポン!』を無料配布し、ファンを驚愕させた。
そして冨樫はしばらく表舞台から姿を消し、『消えたマンガ家』(大泉実成著)という本でも取り上げられた。
(幽白完全版15巻について)連載やめる32週前から1号あがる度にカレンダーに×(バツ)つけてったんだよな。そんな巻です。
-『幽☆遊☆白書』画集の解説から抜粋
残念ですが、『幽☆遊☆白書』のキャラクターで出来ることは、商業誌ベースではやりつくしてしまいました。
あとは出来上がったキャラクターを壊していくか、読者があきるまで同じことをくり返すかしか残っていませんでした。
この本でやったようにキャラを壊す試みはジャンプでは当然ボツになりました。
同じことをくり返すに耐え得る体力も気力ももうありません。
そこで常々思っていたことを実行しました。
「もしジャンプで長期連載ができたら自分の意思で作品を終わらせよう。」
アンケートの結果が悪ければ10週で打ち切りというシステムは承知でジャンプにお世話になりました。
逆にそれがはげみとなり、「読者の反響」を意識することで色々勉強ができました。
しかし、それを全く考えないで自己満足だけのためにマンガ描きたくなってしまいました。
その結果できる作品がジャンプ読者のメガネにかなうとはどうしても考えられませんので挑戦を放棄します。
今までの文章を要約します。
わがままでやめました。すいません。
-冨樫本人の幽白同人誌『よしリンでポン!』から抜粋
95年9月にジャンプに戻ってきた冨樫は『レベルE』の連載を始めるが、週刊連載に懲りたのか、これは『週刊少年ジャンプ』としては異例の月に一度の連載であった。
アシスタントを使わず一人で描くことに挑戦した意欲作であり、知名度は幽白には及ばないものの、丁寧な描き込みと緻密に練られた玄人好みの話で一定の評価を得た。
(レベルEは)完全にストレス解消したくて始めたのですが、まぁやっぱり制約はあって難しいっす。
-DVD『レベルE』特典冊子・宇宙大図鑑 冨樫のコメントから抜粋
最初の連載からこの頃までは、作品と自分の生活がほぼイコールで同調していたので、読むと古い日記を見返す様なむずがゆい感じになる。
でも他の作品に比べて居心地はそんな悪くない。比較的好き勝手に描けたからだと思う。
比較的、だが。あくまで。そりゃ色々あったけど。
……うーん年齢を重ねて怒りっぽくなった気がする。いや、怒りっぽくというか、我慢できなくなったといった方がいい。とにかく思った事を言わずにいるのが大変難しくなってきている。
何が言いたいかというと、当時の事を思い出して、少しイライラしてきている。
書くといろいろまずいのは理解している。だから、やめる。大人だからですから。
-『レベルE』文庫版上巻あとがきから抜粋
幽白の連載を終えてから冨樫が帰還するまでの1年2ヶ月の間に、『週刊少年ジャンプ』が置かれた状況は一変してしまっていた。
幽白終了に続き『忍空』の連載が中断、そして95年5月に『DRAGONBALL』が終了してしまったことが決定打となり、それまで伸び続けていた『週刊少年ジャンプ』の発行部数が激減、一気に600万部を割ってしまったのである。
異例の月一連載が認められたのは、このことが冨樫と編集部の力関係に何らかの変化をもたらしたからなのかもしれない。
また、『レベルE』連載中の96年には『SLAMDUNK』も終了し、発行部数は下落を続け、97年には『週刊少年マガジン』に発行部数首位の座を奪われてしまう。こうしてジャンプは暗黒期へと突入していった。
そんな時代背景の中、冨樫は『HUNTER×HUNTER』の連載を始めたのだった。
冨樫は武内直子との同人誌『'98社会復帰宣言』で週刊漫画家として復活することを発表。
『HUNTER×HUNTER』で週刊連載に再挑戦した。
同じく漫画家の武内直子と結婚したのもこの頃である。一説によれば、武内が冨樫に「あなたの漫画が読みたい」とお願いしたのがハンタ執筆のきっかけになったらしい(ソース不明、確認中)。
これから10巻20巻とだしていけるようにがんばるつもりです。
だからもう弱音吐きません。逃げません。切れません。と思います。多分。-『HUNTER×HUNTER』単行本1巻から抜粋
『HH』を連載するうえで、 僕の目標のひとつは「できる限り長く連載を続ける」ということなんです。
-黒子のバスケ オフィシャルファンブック CHARACTER BIBLE 藤巻忠俊との対談より
(クラピカ追憶編について)この後(10巻)あたりから色々しんどくなって来たんであんま覚えてないですね。
きっかけは…まあ本格的にしんどくなるとはまだ思ってなかった時なんですぐ原稿にして載せれると思ってたわけですよ。
-『HUNTER×HUNTER』0巻から抜粋

しかし、記事冒頭の『HUNTER×HUNTER』休載率を見ても分かる通り、近年ではハンタは休載だらけで、もっぱら週刊連載とは言い難い状態になってしまっている。
これでは「冨樫仕事しろ」と言われてしまうのも仕方ないことかもしれない。
また、近年においてハンタが連載状態で掲載されると「冨樫ですら仕事してるのに」ということで、俺らが狙い撃ちされることもしばしばあるので気をつけられたし。
なお、冨樫の斜め上な行動はハンタだけに留まらない。近年では、幽白文庫版12巻(最終巻)に冨樫が新しく描き下ろした漫画がファンの間で物議を醸した。
謎のパンダが現れて(ハンタの暗喩?ジン=フリークス?)幽白メインキャラクター達を虐殺するという衝撃的な内容だったためである。
『幽☆遊☆白書』を連載していた頃の自分に対して何か思うところでもあるのだろうか。
ちなみに、「19って数は切りが悪くてイライラしてたんだ」という台詞が『HUNTER×HUNTER』3巻で出てくるが、偶然にも『幽☆遊☆白書』は全19巻である。
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/14(日) 13:00
最終更新:2025/12/14(日) 13:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。