初霜(艦これ) 単語


ニコニコ動画で初霜(艦これ)の動画を見に行く

ハツシモ

3.6千文字の記事
これはリビジョン 1900747 の記事です。
内容が古い・もしくは誤っている可能性があります。
最新版をみる

「これでまた、みんなを守れるわ」

初霜(艦これ)とは、艦隊これくしょん~艦これ~に登場する、日本海軍の駆逐艦「初霜」をモチーフとした艦娘である。

 初春型四番艦、初霜です。皆さん、よろしくお願いします!

 表題のとおり初春型駆逐艦なのだが、あのキャラの濃い「初春」や「子日」の妹だと言われると、かなり違和感を感じるキャラ設定になっている。これは史実の初春型駆逐艦において、ネームシップ「初春」の傾斜異常・復原性能問題発覚で、3番艦「若葉」・4番艦「初霜」が建造中に設計変更を加えられたことを踏まえたものと思われる。

 太平洋戦争初期は東南アジア攻略戦の船団護衛に従事。昭和17年から18年は北方のアリューシャン列島における一連の攻略および撤退戦に参加、キスカ島撤退作戦にも加わっている。大規模艦隊決戦の兵力に入ったのは昭和19年6月のマリアナ沖海戦だったが、ここでも任務はタンカーの護衛。とかく輸送船や低速空母の護衛に縁のある艦だったため、艦これでのセリフもそれに関するものが多くなっている。

 6隻あった初春型のなかで唯一終戦間際まで生き残り、戦艦「大和」の特攻戦からも生還したなかなかの“幸運艦”であったが、その最後は空襲の退避行動中、某・駆逐艦に接触したときは不発だった機雷が「初霜」に廻ってきたところで爆発。艦尾が大破・浸水し、浅瀬に擱坐するというものだった。
 このため、その某・駆逐艦に「運を吸われた」と嘆く声も聞かれたりするとかしないとか。

 初霜、出撃します!

 建造は民間企業で、駆逐艦建造の雄だった浦賀船渠(旧・浦賀造船所/浦賀ドック)。昭和8年(1933年)1月起工、昭和9年(1934年)9月竣工。

 初春型駆逐艦の4番艦として建造中、ネームシップ「初春」が軽船体・重武装によるトップヘビーのため、転舵による少しの傾斜でも容易く横転しかねないという重大な欠陥を露呈。このため建造中の3番艦「若葉」と本艦にはバルジの取り付け、5番艦「有明」と6番艦「夕暮」は最初からバルジ分を加えた船体拡張に設計変更という修正を加えられた(「有明」「夕暮」は竣工後の一時期、初春型とは別艦型として扱われていた)。
 さらに「友鶴事件」や「第四艦隊事件」が起こって補強工事も重なり、これによって防御力は高まったものの、魚雷発射管の本数削減による攻撃力低下・装甲重量増加による速力低下(37ノット→34ノット)となってしまう。このため12隻建造を予定されていた初春型は6隻で打ち切りとなり、白露型へ移行する。

 こうした経緯のためか、海軍における初春型の評価は高いものではなく、「初春」「子日」「若葉」「初霜」の初春型4隻で構成される第二十一駆逐隊は後方へ廻され、所属していた第一水雷戦隊の各艦は真珠湾攻撃へ出撃したが、二十一駆は航続力不足を理由に内地へ留められていた。

 二十一駆の初動は昭和17年1月のダバオ(フィリピン南部)への燃料輸送船団護衛。以後、南方攻略戦の上陸部隊輸送護衛にもっぱら従事する。
 5月、ミッドウェー海戦の支作戦であるアリューシャン列島攻略作戦の艦隊が編成され、アッツ島攻略戦に参加。7月5日、二十一駆は「子日」を潜水艦攻撃によって失う。7月以降、北方部隊は大湊と幌筵島(千島列島のひとつ)を拠点にアリューシャン方面への出撃・兵員物資輸送を頻繁に繰り返すが、同時期に南方ではガダルカナル島をめぐる消耗戦に引きずり込まれており、もともと兵力が薄い北方の戦線維持は、徐々に困難になっていく。

 昭和18年3月、重巡「那智」など主力での護送船団による輸送作戦を行っていた北方部隊は、3月26日未明に米艦隊と遭遇。アッツ島沖海戦となる。この海戦で日本側は損害を恐れて指揮が消極的になり、「初霜」も遠距離から雷撃を行うに留まる。輸送作戦は中止され、艦隊の細萱司令官は更迭された。
 5月末、アッツ島は玉砕。残ったキスカ島からの撤退計画が立てられ、7月末、木村昌福少将の果断な指揮によってキスカ撤退は成功する。「初霜」は2回目の作戦中、濃霧で僚艦「若葉」と衝突。損傷の大きかった「若葉」は撤退し、「初霜」は補給艦の護衛にあたった。
 北方部隊が解隊し、「若葉」修理中で「初春」「初霜」の2隻となった二十一駆は中部太平洋へ転戦。「ろ号作戦」のための航空機を輸送する「飛鷹」「瑞鳳」「雲鷹」ら空母の護衛任務に従事する。

 一隻でも一人でも、救えるなら私は、それで満足なの

 昭和19年1月、移動中の「瑞鳳」「雲鷹」と二十一駆はサイパン島近海で潜水艦攻撃を受け、「雲鷹」が被雷。「初霜」は「雲鷹」を護ってサイパンへ入港し、次いで応急修理を終えた「雲鷹」を横須賀まで護衛した。
 6月、サイパンに米軍が上陸し、海軍は「あ号作戦」を発動。「初霜」は初めて正面主力艦隊に編成され、「雪風」「響」等とともに第二艦隊のタンカー護衛に当たる。6月19日にマリアナ沖海戦となったが、日本機動部隊は大敗。20日、米機動部隊の反撃に補給部隊も巻き込まれ、タンカー2隻が沈没となる。
 8月、二十一駆は再び「初春」「若葉」「初霜」の3隻が合同し、もと北方部隊の重巡「那智」「足柄」・軽巡「阿武隈」などによる艦隊(第二遊撃部隊)へ編成。初めは第一機動艦隊で空母「瑞鶴」らを護衛する任を与えられたが、10月の台湾沖航空戦の“大戦果”を受けて“敗走する米軍”を追撃すべく、第二遊撃部隊は瀬戸内海を出撃。しかし途中で米軍が健在であることに気づき、奄美大島へ退却する。
 その後台湾へ移った第二遊撃部隊だったが、運用方針をめぐって連合艦隊の指示が二転三転。10月21日、南西方面艦隊の指揮下に入ってレイテ湾へ突入することになるが、二十一駆はこれとは別にマニラへ航空機機材輸送を命じられて出動する。しかし24日、輸送を終えて本隊に合流すべく南下中に米機動部隊の空襲に遭い、「若葉」が撃沈。「初霜」も二番砲塔に命中弾を受けたため、「初春」「初霜」はマニラへ後退。これにより、レイテ沖海戦の本戦に参戦することはできなかった。

 10月31日、「初霜」など駆逐艦6隻・海防艦4隻は、レイテ島への陸軍強行輸送作戦(多号作戦)に参加。ここでまたしても木村昌福少将の指揮によって作戦は成功。その帰路、「初春」「初霜」は3日前に空襲で航行不能となっていた海防艦を救援し、マニラまで曳航する任務を果たす。11月13日、マニラで第五次多号作戦のため待機していた艦隊は米軍の空襲を受け、ここで「初春」が撃沈。二十一駆所属ではなかった「有明」「夕暮」も既に昭和18年10月に撃沈されており、初春型駆逐艦は、ついに「初霜」を残すのみとなってしまった。

 本土へ帰還する戦艦「榛名」を台湾まで護衛、潜水艦攻撃で大破して後退する重巡「妙高」をシンガポールまで護衛した「初霜」は、昭和20年2月、航空戦艦「伊勢」「日向」等6隻による本土帰還強行突破作戦(北号作戦)に参加。空襲・潜水艦の脅威にさらされながらも作戦は成功し、2月20日、呉軍港へ到着。
 3月18日の呉軍港空襲を無傷で切り抜けた「初霜」は、第二艦隊の第二水雷戦隊へ編成。4月6日、第二艦隊は瀬戸内海を出撃し、沖縄へ向かう(戦艦「大和」の特攻)。7日、艦隊は米機動部隊の攻撃を受け、「大和」をはじめ6隻が撃沈。「初霜」は奇跡的に大きな被害を受けず、二水戦の古村司令官など生存者を救助して佐世保へ帰投する。
 駆逐艦「霞」・「朝霜」との寄せ集め編成となっていた第二十一駆逐隊は、両艦が撃沈されたため「初霜」1隻になってしまい、6月16日付で二十一駆は解隊。「初霜」は、同じく「雪風」1隻を残すだけとなった第十七駆逐隊へ異動する。

 「初霜」は「雪風」とともに佐世保から舞鶴へ移動、次いで舞鶴湾の隣の宮津湾へ移る。しかし湾口を米軍の投下機雷に封鎖され、湾外へ出られなくなってしまう。
 7月30日、宮津湾を米軍機が空襲。「初霜」「雪風」は限られた湾内で回避行動を取る(「雪風」にロケット弾命中も不発)。その最中、「初霜」は機雷に接触。機雷は“回数機雷”で、「雪風」が接触したときは不発だったが、「初霜」が触れたところで不運にも爆発したものだった。

 艦尾を大破した「初霜」は沈み始め、獅子崎付近の浅瀬で擱座。南はフィリピン・シンガポールから、北の果てアリューシャンまでを戦い抜いた初春型駆逐艦は、終戦わずか2週間前に実質的戦没となった。昭和20年9月30日付で除籍。戦後、浮揚作業されて解体処分となったが、完了日時は不明である。

 東京墨田区の山田記念病院に、「初霜」の錨が保存・展示されている。病院の設立者・山田正明氏が、「初霜」で軍医をしていた縁により譲り受けたものだという。

 関連項目ですよ

  • 艦隊これくしょん~艦これ~
  • 日本海軍
  • 初春型駆逐艦
    • 初春(艦これ)
    • 子日(艦これ)
    • 若葉(艦これ)
    • 有明
    • 夕暮

おすすめトレンド

ニコニ広告で宣伝された記事

記事と一緒に動画もおすすめ!
☆くろさや☆[単語]

提供: 奥沢美咲

もっと見る

急上昇ワード改

最終更新:2025/12/11(木) 08:00

ほめられた記事

最終更新:2025/12/11(木) 07:00

ウォッチリストに追加しました!

すでにウォッチリストに
入っています。

OK

追加に失敗しました。

OK

追加にはログインが必要です。

           

ほめた!

すでにほめています。

すでにほめています。

ほめるを取消しました。

OK

ほめるに失敗しました。

OK

ほめるの取消しに失敗しました。

OK

ほめるにはログインが必要です。

タグ編集にはログインが必要です。

タグ編集には利用規約の同意が必要です。

TOP