前件否定 単語

ゼンケンヒテイ

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前件否定とは、詭弁の一形態である。当記事では似たような論理である後件肯定についても解説する。

概要

様々な詭弁があるが、必要条件と十分条件のすり替えに帰着できるものが多い。前件否定と後件肯定はそういった必要条件と十分条件のすり替えに帰着できる詭弁の一つである。

この記事を見たのを契機に、うっかり使わないよう普段から意識してみてはどうだろうか?

そもそも前件と後件って何?

PならばQである時、Pのことを前件と呼び、Qのことを後件と呼んでいる。この用語以外で用いられることはほとんど無い。

前件否定

前件否定は以下のような形式をとる。

  1. PならばQである
  2. Pでない
  3. Qでない

2.で前件Pが否定されているので、前件否定と呼ばれる。2.から3.は「PでないならQでない」すなわち1.の「」の関係にある。命題の「対偶」の真偽は一致するものの「逆」「裏」は必ずしも一致しないので、演繹としては正しくない。

  1. Aがホームランを打てばBチームの勝利だ。
  2. Aはホームランを打てなかった。
  3. Bチームは勝てなかった。

Aがホームランを打てなくても、次の打席のCがヒットを打つなどしてBチームが勝つ場合もありえるので、Bチームが勝てないと決めつけるのは早計である。

成立しない例

形式にとらわれていると本質を見失うことがある。「裏」も真である場合には詭弁は成立しない。

  1. 私の19歳の誕生日から1年間生きれば、私は20歳の誕生日を迎える。
  2. 実際には私はまだ19歳の誕生日から1年間生きていない。
  3. 従って私はまだ20歳の誕生日を迎えていない。

上記は論理学の試験答案としては減点対象になるが、「私の19歳の誕生日から1年間生きていないければ、私が20歳の誕生日を迎えていない」も成立しているので、3行目は1行目の前提から導き出されたものではない(ので「従って」という接続詞を用いるのが不適切だ)が誤った内容ではない。

従って、前件否定の詭弁を指摘するときは、「前件否定」というあまり普及していない単語を用いるより、単純に、PでなくてもQである場合が存在することを指摘する方が相手にもわかりやすいし、自身も誤った指摘をする危険が少ないと言える。

後件肯定

後件肯定は以下のような形式をとる。

  1. PならばQである
  2. Qである
  3. Pである

2.で後件Qが肯定されているので、後件肯定と呼ばれる。2.から3.は「QならばPである」すなわち1.の「」の関係にある。

  1. ここでAがホームランを打てばBチームの勝利だ。
  2. Bチームが勝利した。
  3. Aはホームランを打ったのだ。

あとはわかるな

関連項目

  • 詭弁
  • 対偶
  • 議論
  • 論理学

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最終更新:2025/12/14(日) 07:00

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