女性専用車両 単語


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ジョセイセンヨウシャリョウ

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女性専用車両とは、多発する痴漢被害への対策のため作られた車両である。
また障害者や子どもなどの弱者を優先して保護する役割を果たす目的もある。

概要

女性専用車両は、痴漢の社会問題化や犯罪としての認知の拡大により、2000年頃から導入された。

女性『専用』という名前のため、原則利用者は女性に限られるが、あくまで『男性の任意協力』を求めた上での運用であるため、法的には女性優先車両でしかなく、法的根拠、法的拘束力はない。

また、1900年代前半から女性専用の車両である、『婦人専用車両』『婦人子供専用車両』なども存在していたが、こちらは、利用客の増加、混雑からの女性や子供の保護、車内風紀の保護などを目的としており、現在の女性専用車両とは運用目的が大きく異なっていた。

これらは、いずれもほぼ短期間で廃止されている。

法律と規則

女性専用車両の制度について、国土交通省は、「男性のお客様のご理解とご協力の下に成り立っているものであって、強制的に乗車を禁ずる法的根拠もなく、男性のお客様を排除するためのものではありません」としている。

一部の鉄道事業者についても同様に、女性専用車両はあくまで乗客の任意協力を求める程度であると述べている。

これらは、憲法14条に抵触するのを避けるためである。

憲法14条

すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

また、多くの事業者では、子供、障害者及びその介助者も乗車が可能としているが、単独乗車の可否など事業者ごとにバラバラであり、

更にその事を明示していない事業者も少なくなく、認知度の低さも相まってトラブルが起こる事も少なくない。

性同一障害者に関しての週刊誌のアンケートに対して、返答のあった事業者からは、「自己申告で乗車可能」であるとされている。

利点と欠点

痴漢対策

まず、運用目的である痴漢対策として、一定の効果があったのは間違いない。
女性専用車両は法的拘束力こそないものの、その名称から男性は利用してはいけないという認識が広がっており、例え少数の男性が乗車しても、そこに視線が集中するため、痴漢を行う事はほぼ不可能である。

それにより、以前では繰り返し痴漢被害に遭っても、警察に相談し登校・通勤・帰宅時間をずらす程度の対策しか取れなかったが、女性専用車両に逃げ込み、緊急避難場所として利用するという手段が取れるようになった。

ただし、これらの効果はあくまで女性専用車両を利用する女性に限られ、一般車両に乗る女性には何一つ効果がない。むしろ、「専用車両があるのに一般車両に乗っている女性は痴漢しても構わないはず」と言う歪んだ認識の痴漢常習者も少なからずいるため、一般車両においては被害が悪化する可能性もある。

これらについて、痴漢被害の件数が増えたとも減ったともいわれるが、下記の理由などにより効果の実態を調べるのは困難になっている。

  • 公表件数に冤罪も含まれる場合がある
  • 電車内痴漢のみの件数を公表していない(警視庁等)
  • 潜在的被害者(被害を申告しなかった人)が少なくないため全容が把握しづらい
  • そもそも公表している鉄道事業者の数が少ない。

交通弱者の保護

前項で述べたように、鉄道事業者によって男児や、身体障害者の扱いがマチマチであり認知度も低いことから、乗車した、特に男性障害者に対して、辛辣な言葉を投げかけられる場合もある。また、同様に交通弱者である老人に対する保護の効果は皆無である。

賛否

基本的に、女性からは痴漢対策の点から歓迎する意見が多く、男性からは女性優遇であるとして廃止を求める意見が多い。

一方で、フェミニズムの専門家からは『消極的な対策』であるという意見や、一部の男性からは『痴漢冤罪の回避』の点から歓迎する意見もある。

また、女性専用車両を作るなら男性専用車両の導入や男女を完全に分離をすべきとの意見もある。

女性専用車両を廃止し、より弱者である、子供、身体障害者、高齢者などの保護するための専用車両を設けるべきとの意見もある。

運用上の問題

乗車率の影響は駅の利用率や構造、地域などによって異なるため一概に述べることはできない。
しかし、女性専用車両は比較的空いているとされ、 それが批判の原因にもなっている。
(ただし、女性専用車両が適用される通勤時間帯においては男性客が女性客に比べ圧倒的に多いため、男性専用車両を作った所でそちらが混雑する事に変わりはないと思われる。
  また、完全に男女を分離しようとすれば、何らかの要因で比率がズレた場合にその変動を吸収しきれず、
  余計に空いた車両と混んだ車両の格差を生み出す事になる。)

そもそも、痴漢に対する最大の対策は乗車率を下げる事であり、それが同時に他の弱者の保護にも繋がる。

しかし、それにはそれ相応のコストが掛かる。更に、現在の鉄道を取り巻く環境として、高速道路定額料金化や、航空業界との価格競争により、値上げはほぼ不可能であると言っても過言ではない。

また、人口減などにより収益増も望めず、この対策は鉄道事業者単独で行う事は不可能である。

また、女性専用車両の位置について、車列の中央辺りに置いてしまうと、車両を移動する場合に通り抜けができず、停車中に一旦降りてから乗りなおさなければならない。

逆に、前方または後方に置くと、出入り口からの移動距離が増えるため、利用しない乗客が増えて女性専用車両の意味がなくなってしまう。

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