戦闘空母とは (セントウクウボとは) [単語記事]

　戦闘空母とは、初代宇宙戦艦ヤマトや新たなる旅立ちで登場した、ガミラスの大型戦闘空母である。
　ここでは初代と「新たなる旅立ち」、初代のリメイク版の「宇宙戦艦ヤマト2199」における扱いを記述する。なお、リメイクにあたって正確な艦種は「戦闘空母」から「航宙戦闘母艦」に変更されている。

概要(初代)

　正式なクラス名はなく、ただ「戦闘空母」と呼ばれていた。双胴式の船体、戦艦並みの重武装が特徴。
　設定では全幅32m、全長200mとされており、2199のダロルドよりもかなり小型である。離着陸には複列タイヤ多数を用いたランディングギアを使用。アングルドデッキも有するが、重爆撃機以外に搭載機を用いた様子はない。

　七色星団決戦でドメル機動部隊の空母の1隻として登場、ハイデルン自ら操る重爆撃機を発艦。
　その後、重爆撃機のドリルミサイルをヤマトの波動砲に突入させることに成功。他の三段空母からの空襲により、満身創痍となったヤマトに対し攻撃を実施。とどめをささんとする。

　しかし真田さんとアナライザーによりドリルミサイルは逆転、波動砲から離脱し戦闘空母へ直撃。
　本艦は僚艦の三段空母全てを巻き込む大爆発を起こし轟沈、この時にハイデルンも戦死した。余談ではあるが、満身創痍のヤマトにとどめを刺しきれなかったのは、火力が「巡洋艦級」とされた設定によるものと思われる。

　なお、三段空母と本戦闘空母。そして七色星団決戦は、南雲機動部隊の4隻の空母とミッドウェー海戦がモチーフ。
　その中で戦闘空母は、一時期20サンチ砲連装3基を搭載する、航空巡洋艦として設計された空母「蒼龍」が、イメージモデルと言われている。同型艦も存在する模様で「2」「3」などで、同型艦や拡大改良型複数が確認された。

概要(新たなる旅立ち)

　デスラー残存艦隊の旗艦として登場、通称は「デスラー戦闘空母」である。
　実際、細部のデザインはかなり異なっており、加えてガミラス版波動砲とも言えるデスラー砲を、飛行甲板に内蔵している。作中冒頭では、ガミラシウム採掘を行うデザリアム軍艦隊を、奇襲の先陣を切って殲滅している。

　しかしこの戦闘によりガミラス本星は、採掘により岩盤が脆くなっていたこともあり爆発、消失。
　更にはガミラスのふたご星、イスカンダルが軌道を外れ漂流を始めた。加えてデザリアム艦隊の追撃、イスカンダルへの攻撃などから自衛、もしくはスターシアの宮殿を守るのが精一杯なところまで追い詰められる。

　トドメとばかりにメルダース率いる自動惑星ゴルバが出現、ここでついに切り札のデスラー砲を用いる。
　しかしゴルバの強力なシールドにより全く損害を与えられず、「そんな石ころのようなエネルギー弾」と嘲笑される始末であり、最終手段としてゴルバの主砲に船体ごと突入。来援したヤマトに自らごと波動砲で破壊するように要請する。

　そして、戦闘を見かねたスターシアはイスカンダリウム供出を受諾。直後にイスカンダルごと自爆、ゴルバを葬る。

　デスラーにとって最も苦しい時代を共にした旗艦といえ、最後はそれぞれの甲板上で、古代に別れを告げる。
　後の「3」では一転してガルマン民族解放の先陣を切っており、こういった活躍も含め、ガミラスからガルマンガミラス復興に至る象徴のような戦闘空母であった。

概要(2199)

　「ゲルバデス」級とクラス名が、艦名も「ダロルド」と明確化されている。ドメル指揮下の機動部隊に配属された。
　正確なサイズは不明であるが、静岡模型ホビーショーで展示された模型が39cmであること。2199シリーズの模型は1/1000で統一されていることから、全長390mとかなりの大型艦ではないかと推察される。

　地上の根拠地に降りる際は、ダブルタイヤ複列のランディングギアを用いる等、原作の意匠を色濃く継承。
　戦闘空母としての試作一号艦であり、長らくドック入りしていたところを、急遽増援としてドメル艦隊に配属された。「艦は古く、兵は幼い」という老朽艦は、恐らくこの試作航宙戦闘母艦のことと思われる。

　旧作では「ガミラス重爆撃機」と呼ばれた「空間艦上重爆撃機DBG88　ガルント」を搭載。
　本来は民間の特殊削岩弾輸送機であるが、それを無理やり爆装させた機体であり、この点にもガミラスからのドメルへの扱いが伺える。旧作のドリルミサイル相当の特殊削岩弾も、本来は兵器でなかったものの急造品である。

　複数口径の陽電子カノン砲、甲板隠蔽式の陽電子砲などを多数搭載し、火力に関しては相当なものである。
　しかしそれを実際に活用しうる機会に恵まれたかどうかは、銀幕ないしBD/DVDでご確認いただきたい。なお、全くの余談ではあるが、「ダロルド」艦長であるドーラ・バレク大佐のCVは、篠原弘樹と同じ平川大輔氏が務めている。

概要（宇宙戦艦ヤマト2及びゲーム版）

　実は旧作シリーズの地球防衛軍にも、主力戦艦を原型に改造、建造された戦闘空母が存在する。
　初登場はヤマト2の土星沖海戦であり、ヤマトを旗艦とした機動部隊を編成。わずか3隻ながらもヤマト航空隊の綿密な偵察に助けられ、これも初登場のコスモタイガーⅡ雷撃機型を出撃させ、ガトランティス軍に大打撃を与えている。

　デザインは旧軍の伊勢型航空戦艦に近いもので、前半部は主力戦艦で後半部が航空甲板、格納庫になっている。
　ヤマト2では「第1空母」などと奇しくも初代ヤマトのガミラス三段空母と同じ呼称であった。ヤマトと戦闘空母3隻の航空隊は、数量で十倍近いガトランティス機動部隊の奇襲に成功し、航空優勢の獲得に成功している。

　しかし他の防衛艦隊と同様、ガトランティス前衛艦隊殲滅後に現れた彗星本体に飲み込まれ、全艦が撃沈された。

　そしてそれからおよそ20年後のゲームシリーズにおいて、宮武一貴のリメイクで再登場することになる。
　前半部が戦艦、後半部が空母というデザインに変わりはないが、飛行甲板が旧ソ連海軍のキエフ級のように、アングルドデッキ方式となっている。船体規模も大きく、また「ラングレー」「天城」など固有名称も与えられた。

　個々の戦闘空母によってかなり性格が異なるので使い手を選ぶが、間違えなければ絶大な打撃力を発揮する。
　余談ではあるが、宮武一貴氏は戦闘空母が本格的に登場するPS2版の数年前の段階で、他の防衛艦隊や戦艦「しゅんらん」共々、フル手書きで既にデザインを終えている。正式な型式は「主力戦艦改級戦闘空母」。