新世界楽曲雑技団とは、かつて存在したゲームメーカー「エス・エヌ・ケイ(旧SNK)」のサウンドチームである。社名を冠してSNK新世界楽曲雑技団とも呼ばれる。
概要
1992年にCD「餓狼伝説/ラストリゾート」を発売する際、当時のゲーム音楽のムーブメントにあやかってユニット名をつけることになり、本社が所在した大阪に因み「新世界」を冠して命名された。元から存在したサウンドチームのアーティストとしての名義であり新たに独立したものでは無いが、新世界楽曲雑技団の活動期間としてはここがスタートとなる。
当初はロゴに「NEO SOUND ORCHESTRA」と並記されており、新世界楽曲雑技団と書いて「ネオ・サウンド・オーケストラ」と読ませるはずだったが、浸透しなかったためか漢字表記だけが残った。
その名の通り多くの作曲家が所属する大所帯であり、一つのゲームに複数の作曲家が参加することでバラエティに富んだサウンドを生み出していた。オリジナルサウンドトラックの発売だけではなく、プロの演奏家を迎えたアレンジアルバムの発売やライブイベントへの参加もしており、ゲーム音楽のコンポーザーに留まらず音楽ユニットとしての活動が顕著だった。
但し、彼らはゲーム会社の社員なので、当然ながら音楽活動はゲーム開発の合間を縫って行っていた。上記「餓狼伝説/ラストリゾート」の発売時に納期が逼迫した中で適当につけた曲名がチーム内でウケ、同シリーズを中心に変な曲名が多いことも特徴の一つである。
2001年のエス・エヌ・ケイ倒産に伴って解散。ベストアルバム「新世界楽曲雑技団FINAL」がチームとしての最後の作品となった。
解散後から現在
解散後、多くのメンバーはSNKグループを離れて独立したが、一部はフリーランスとしてエス・エヌ・ケイの流れを汲むSNKプレイモアのゲームに携わり続けた。SNKプレイモアのパチスロ参入後はパチスロ音楽で活躍した出身者もいる。
現在のSNK(旧:SNKプレイモア、新SNK)には新たにSNKサウンドチームが結成され、新世界楽曲雑技団のメンバーだったHORI_HORI a.k.a DUGIA♪、麻中“sha-v”秀樹、ZOEらが中核を担っている。
新世界の名称を復活させるか否かの話がチーム内でされたこともあるが、結論は出ないまま現在に至り、麻中氏個人としては現在の名称が板についているという(ツイート)。
ちなみにサントラのレーベル名は「SNK NEO SOUND RECORDS」と、何の因果か新世界初期のユニット名に似ている。
2019年から、新世界時代のアレンジサントラやイメージアルバムが各音楽配信サイトで順次配信されている。オリジナルサントラはSNKサウンドチームの名義で配信されているため、新世界の名義はアレンジ盤を区別するものにもなっている。
主なメンバー
- 山手安生(TATE-NORIO、たてのりお)
- 1986年頃入社。PAPAYAと共に担当した『SAMURAI SPIRITS』のサウンドは当時高い評価を受けた。
代表曲:自然の宴(SAMURAI SPIRITS)
- 田中敬一(TARKUN、たーくん)
- 1986年頃入社。新世界初期まで在籍。変な曲名シリーズの元凶1号。退社後はアトラス→ノイズファクトリーで『豪血寺一族』を手掛け、「レッツゴー!陰陽師」がブレイクした。
代表曲:ギースにキッス(餓狼伝説)
- 西田和弘(KONNY)
- 1987年頃入社。解散時のディレクター。
代表曲:サイコソルジャー(サイコソルジャー)
- 幡谷正彦(PAPAYA)
- 1988年頃入社。ロックサウンドを得意とし、アレンジサントラにベーシストとして参加することもあった。
代表曲:鮪(SAMURAI SPIRITS)
- 清水敏夫(SHIMIZM、清水ん)
- 1989年頃入社。メインコンポーザーを務めた『餓狼伝説SPECIAL』はSNK格闘ゲームの人気を決定付け、音楽面でも評価が高い。
- 山田泰正(YAMAPY-1)
- 1989年頃入社。変な曲名シリーズの元凶2号。『龍虎の拳』では後に「龍虎音」として名を馳せる爽快感のある効果音を作成した。現在でもSNKの企業ロゴに使われているMVSの起動ジングルの作曲者でもある。現在は有限会社彩音本舗の代表。
代表曲:ART OF FIGHT(龍虎の拳)
- 幡谷希久子(KIDON)
- ネオジオ初期まで在籍。後に唐津保の名義で『カオスブレイカー』の音楽を手掛けた。
- おさかようこ(YOKO)
- 『トップハンター』まで参加を確認。ファミコン時代には『ゴッド・スレイヤー はるか天空のソナタ』を手掛けた。「SYDのテーマ(ASO)」の作曲者「O」氏か。
- 北村芳彦(叙情派北ぴー)
- 「ターくんと北ピー(餓狼伝説SPECIAL)」の北ピー。
代表曲:More Mission(餓狼伝説SPECIAL)
- 冷牟田卓志(HIYA!)
- 元アイレム→ナスカ。『メタルスラッグ』シリーズのメインコンポーザーで、ナスカがSNKに合併された後は新世界で活動した。現在は有限会社ロボテクスの代表。
代表曲:FINAL ATTACK(メタルスラッグ)
- Brother-Hige
- 『月華の剣士』第1作のメインコンポーザー。
代表曲:Big Shot!(餓狼伝説3)
- 中京子(KYO-CHAN、きょーちゃん)
- 『月華の剣士 〜月に咲く華、散りゆく花〜』のメインコンポーザー。清姫(妖怪)の声の主。
- 麻中秀樹(SHA-V)
- 1995年頃入社。『THE KING OF FIGHTERS』シリーズ絶頂期のメインコンポーザー。ギターサウンドに定評がある。現在はフリーを経てSNKサウンドチーム所属。新SNKでは小文字で「sha-v」と名乗る。
代表曲:ESAKA?(THE KING OF FIGHTERS '96)
- 堀内正人(HORI_HORI、DUGIA♪)
- 後期に所属。解散後はSNKプレイモアに所属し、パチスロ『スカイラブ』などを手掛けた。現在はSNKサウンドチームのボス。
代表曲:W.W.III(THE KING OF FIGHTERS '99)
- 山添浩史(ZOE)
- 後期に所属。解散後はSNKプレイモアに所属し、パチスロ『神たま』などを手掛けた。現在はSNKサウンドチームに所属し、『SAMURAI SPIRITS(2019)』ではサウンドディレクターを務める。
代表曲:KD-0079(THE KING OF FIGHTERS '99)
- 中康洋(Yassun)
- 代表曲:族(龍虎の拳2)
- MARIKO
- 代表曲:ダイエット(龍虎の拳2)
- まりも
- 代表曲:Exceed the Limit(リアルバウト餓狼伝説2)
- 内田亜紀裕(ACKEY)
- 代表曲:ESAKA(THE KING OF FIGHTERS '94)
- PEARL SHIBAKICHI
- 代表曲:ね!(THE KING OF FIGHTERS '94)
- MACKY
- 代表曲:パンドラの箱より(餓狼伝説3)
- みつを
- 『サムライスピリッツ』シリーズへの参加が多い。『餓狼伝説3』で「完全にサムスピの曲」と評された「TAKU-HATSU」もこの人の作。
- USAKO-X
- 代表曲:Psyco Sonic Trip 〜Dance At The Paddy Field〜(THE KING OF FIGHTERS '99)
- 井元啓富(IMO)
- 1996年頃入社。現在はピコスタ株式会社所属。
- 井元ともこ
- 井元啓富とは夫婦。現在はピコスタ株式会社所属。
- 井内舞子
- 新入社員時代に『メタルスラッグ3』に参加(maitaro氏か)。後に音楽集団「I've」やアニメの劇伴などで活躍する。
- Q_JIROU
- 代表曲:ハード海中(メタルスラッグ3)
- 和田由彦(ベロ王)
- 代表曲:日本兵(メタルスラッグ3)
- 芦沢英志(ASSHY)
- 1998年〜1999年頃在籍。『SAMURAI SPIRITS 2 アスラ斬魔伝』などに参加。
- MIWA
- OKAN
- 米谷敏洋(yone)
その他
エス・エヌ・ケイ初の専業作曲家は藤田晴美。1年間在籍した後に1985年にカプコンに移籍し、同社での活動の方が著名だが、後にネオジオ作品である『パルスター』『ブレイジングスター』にも参加している。
ディスコグラフィー
新世界命名以前のエス・エヌ・ケイの音楽ソフトにもメンバーが参加しているため、便宜上含める。
関連動画
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配信
CD
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関連項目
- エス・エヌ・ケイ / SNK
- ゲーム音楽
- ゲーム音楽の作曲家一覧
- コナミ矩形波倶楽部(コナミ)
- ZUNTATA(タイトー)
- Falcom Sound Team jdk(日本ファルコム)
- ゲーマデリック(データイースト)