日本ユニセフ協会とは、日本の特殊財団法人である。国連UNICEFの日本支部ではない。
日本ユニセフ協会は、現在36の国と地域に設置されているユニセフ国内委員会の一つである。国連直属の機関である国際連合児童基金(以下、国連UNICEF)との協定に基づき、日本国内で国連UNICEFの民間部門における公式窓口の役割を付託されている。
昭和24年(1949)に財団法人日本国際連合協会が国連UNICEFからの要請に基づき支援物資の提供元へ礼状を書く作業を始めたのが日本ユニセフ協会の起源である。
現在は、募金活動や街頭キャンペーンなどを通じて日本や発展途上国の人権擁護やその啓発活動を行っている。
日本ユニセフ協会は、日本国内において国連UNICEFのための募金・寄付を宣伝する唯一の国内委員会として国連に認可された日本の団体である。前述の通り、国連直属の機関である国連UNICEFの日本支部ではなく、協力関係にある別々の団体である。これは日本ユニセフ協会に限らず、各国のユニセフ国内委員会で同様である。
各国のユニセフ国内委員会は国連UNICEFにとっては援助資金の3分の1を支える重要な資金源となっている。日本のユニセフ国内委員会である日本ユニセフ協会は、2003年度には世界で初めて年間拠出額1億ドルを突破して国連UNICEF本部より表彰式されており、2014年度においても25%まで認められている活動費を18.5%に抑えて138億円を拠出するなど、各国のユニセフ国内委員会の中でもトップレベルの拠出額を誇っている。
各国のユニセフ国内委員会の活動に必要な経費は、各国のユニセフ国内委員会が集めた寄付金の中から捻出されているが、これは国連UNICEFが寄付金の75%以上を国連UNICEFに寄付すると約束すれば、"UNICEF"の名を冠する国内唯一の団体創設を各国に認めている[1]ためである。
募金を広く集めるためには相応の費用がかかり、それらの活動を行うのは当然人間であり、彼らも霞を食いながら生きていけるわけではない。そのため寄付した金額の数%は募金を集めるための費用として消費されることになり、「募金は100%全ての額が支援される側に届くわけではない」という前提がある。日本ユニセフ協会についても、日本赤十字社のように「副業」していないため、全額寄付できる能力はない。[2]
日本ユニセフ協会の財務支出と国連UNICEFの財務収支は、日本ユニセフ協会の公式HPにて公表されている。
日本ユニセフ協会が国連UNICEFの日本支部ではないので、日本ユニセフ協会大使として活動しているアグネス・チャン氏や日野原重明氏も国連UNICEF本部が任命した大使ではない。
UNICEF本部の Ambassadors & Advocates のページ(英語)にアグネス・チャン氏の名前が明記されているため、彼女も国連UNICEF本部が任命した大使だと説明する論者がいるが、誤りである。各国のユニセフ国内委員会では「国内委員会大使」を任命しており、日本ユニセフ協会でもアグネス・チャン氏と日野原重明氏[3]の2名を日本ユニセフ協会大使として任命している。国連UNICEF本部は各国のユニセフ協会が任命した大使を「国内委員会大使」として認定しているため、公式HPに名前が記載されているだけである。国連のユニセフが任命している国際的な大使は、「国際UNICEF親善大使」と呼称され、現在日本人では黒柳徹子氏唯一人[4]である。ちなみに、advocates/ambassador とも活動内容にはあまり差異がない。
なお余談だが、アグネス氏と同じく香港出身の俳優ジャッキー・チェン氏や韓国人スケート選手のキム・ヨナ氏、イギリス人のベッカム氏なども「国際UNICEF親善大使」である。[5]
国連UNICEF本部の支部としてUNICEF東京事務所がある。ただしこの組織は、日本及び韓国政府・国連UNICEF本部間のパイプ役として機能する[6]公的機関のみの窓口であり、民間の国連UNICEF窓口は日本ユニセフ協会に一任している。UNICEF東京事務所の公式HPには「募金は、UNICEF東京事務所ではなく、日本ユニセフ協会で受け付けております」との注意書きがある。
疑惑が多いボランティア団体と指摘する人から、
「日本ユ偽フ」「日本ピンハネ協会」などの文言で揶揄・罵倒されることがある。
彼らが日本ユニセフ協会を指弾する理由に
「日本ユニセフに寄付しても連中の取り分をチョロまかされて(=ピンハネして)、全額が困っている人たちに届く訳じゃない。でも真の国連大使・黒柳徹子氏に渡せば全額を届けてもらえる!だから日本ユニセフは儲けを考えた悪徳企業だ!『ユ偽フ』め!!!」
東京の一等地に豪華なビルを建てるのはおかしい。ボランティア団体であるなら、もっと身を切り、貧相に活動すべきである。
などとボランティア団体としての正当性を問う論旨がある。
また、
アグネス氏は莫大な資産を持っており、自分の財産を寄付するべきである。また中国共産党の工作員であり、歴史認識問題では反日である。また中国国内の人権侵害には、まったく言及しない。このような人物が関係する団体に募金すべきでない。
などとアグネス氏の人物像を批判し、中国共産党との癒着があると陰謀論を唱える者がいる。
ただし上記のような批判内容[7]について明確な根拠は明示されていない。中国共産党とアグネス氏の関係についても明確な根拠は示されていない。これを誹謗中傷であると捉える向きもあり、2010年には批判ホームページを運営していた名古屋市在住の男性が、日本ユニセフ協会より提訴され、損害賠償及び誹謗中傷内容削除の命令を受けた。
2009年2月、日本ユニセフ協会は公式サイト上で「アグネス・チャン氏をソマリアに派遣し、内戦で犠牲となっている子供たちの支援活動を行う」と発表。これについてアグネス氏も、「遺書を書きました」等と自分が参加する企画がいかに危険であるかをアピールしていた、とされる。
しかしその後、日本ユニセフがアグネス氏を派遣したのは、ソマリア南部のモガディシオをはじめとする内戦激戦地ではなく、北部の安全な地域「ソマリランド共和国」[8]のみだとが判明した。ソマリア南部の内戦地帯には派遣していないことが発覚した。
このため、「”遺書を書いた”などとあからさまに危険性を吹聴しておきながら安全な地域しか訪問させないのは欺瞞ではないか」「”内戦の被害に遭っている子どもたちを救う”と言っておきながら、内戦と関係の無い安全な地域だけを訪問させたところで何の効果もないのではないか」など、様々な議論を呼んだ。
この件について、大きな話題となったため、問題視した週刊新潮が2010年3月に日本ユニセフ協会に事実関係を取材。(アグネス氏本人にも取材を行ったが、日本ユニセフに問い合わせて欲しいとの回答しか返ってこなかったという。)
この時の日本ユニセフ協会からの回答は以下のものだ、とされる。
「貴誌で本件をお取りあげになられた場合、記述の<事実誤認に基づく誹謗中傷>がネット上などで行われている現状も鑑み、その反響次第では、本信ならびに〇〇様(新潮記者のこと)のご質問の文面を当方ホームページなどで公開させていただく所存です。予めご了承ください」
日本ユニセフ協会からの上記回答文について、週刊新潮は2010年3月25日号の記事内で、「これって、脅し?」と回答した。また批判者からは「人権擁護を目指す団体がメディアを脅迫するとはいかがなものか」「疑問だらけの自称人権団体がついに開き直った」などと様々な批判が巻き起こった。
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最終更新:2025/12/12(金) 10:00
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