盗まれたウルトラ・アイ 単語


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ヌスマレタウルトラアイ

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「盗まれたウルトラ・アイ」とは、特撮テレビドラマ『ウルトラセブン』の第37話のエピソードである。

第37話「盗まれたウルトラ・アイ」
脚本 市川森一
監督 鈴木俊継
特殊技術 高野宏一
放送日 1968年6月16日
登場怪獣・宇宙人 マゼラン星人 マヤ

ストーリー

未確認飛行物体が落下したとの報告を受けて、調査に赴くウルトラ警備隊。アマギ隊員とフルハシ隊員は、ダンプを運転する不思議な少女とすれ違い、その道の先で血を流しているダンプの元々の運転手、宇宙船の噴射の跡を確認する。

報告を受けたダンは検問を引こうとするが、ダンプに乗った少女はこれを突破。ダンはポインターで追跡を図るが、宇宙船からの妨害で道から転落してしまう。少女は倒れているダンに迫り、ウルトラアイを盗み去ってしまう。

地球を賛辞するナレーションの流れるプラネタリウムにいるダンプの少女・マヤ。醒めた表情でそれを聞きながら小型のレシーバーを操作する。
宇宙ステーションV2では、彼女が母星に向けて発信した怪電波によるメッセージをキャッチしていた。
「マゼラン星へ…マゼラン星へ…第一任務完了しました。迎えの円盤を送ってください」

V2からの報告を受けて、怪電波の発信源の特定を図る地球防衛軍。その4日後、今度はスナック・ノアにて信号をキャッチし、ウルトラ警備隊が出動する。メッセージは「迎はまだか。迎えはまだか」

スナック・ノアで踊り狂う人々。その中に混じってマヤがいた。テレパシーでマヤと会話するダン。
ダン「ウルトラアイを何故盗った?」
マヤ「それが私の任務だから」
ダン「地球を侵略するつもりなのか?」
マヤ「こんな狂った星を?見てごらんなさい、こんな星。侵略する価値があると思って?
ダンが「迎えはまだか。迎えはまだか」というマヤのメッセージを反復すると、マヤは踊るのを止め、その場から立ち去ってしまう。

ダンはリズムボックスが怪電波の発信源となっている事を突き止める。ウルトラ警備隊はそれを回収し、マゼラン星へとメッセージを発信する。マゼラン星からの返信をアマギが読み上げる。
「恒星間弾道弾、既に発射せり。迎えに及ぶ時間無く」

ソガ「恒星間弾道弾というと…隊長、マゼラン星が地球にミサイルを!」
フルハシ「それじゃあ、あの娘が…」
キリヤマ「…恐らく何か特殊な任務を帯びてやって来たんだろう」
アンヌ「迎えには来ないってどういうことなの?」
ダン「……裏切られたんだよ、自分の星に」

ミサイルの着弾予測時間は7時間後の午前0時。恒星間弾道弾は刻一刻と地球に迫り、V2を破壊してしまう。ウルトラ警備隊がウルトラホーク1号・2号で迎撃するが、ミサイルはビクともしない。

一方、ダンは単独行動でマヤの行方を追っていた。再びノアに訪れるが、なんとそこにいた客全員がウルトラ・アイを付けていた。片っ端からウルトラアイを引っぺがそうとするダンだったが、客たちは操られているかのようにダンに襲い掛かり、ダンは気を失ってしまう。

ダンが午後11時を知らせる時計の鐘で目を覚ますと、客たちは皆どこかへと消え去っていた。そこにマヤが現れる。
マヤ「この星の命も、午前0時でお終りです」
ダン「君も死ぬのか?」
マヤ「私は仲間が迎えに来てくれるわ」
ダン「……誰も来ない。君は初めから見捨てられてたんだ」

ダンはそう告げると、マゼラン星からの通信が記されたパンチカードを渡す。
マヤはそれを黙って受け取り、内容を確認するとダンに向き直る。

ダン「この星で生きよう…この星で一緒に……」

マヤは無言のまま、ダンにウルトラアイを返す。ダンはセブンに変身して宇宙へと飛び立つ。
セブンはミサイル内部に侵入し、コントロールシステムを操作、ミサイルの方向を地球から逸らす事に成功する。

ノアに残ったマヤはダンの帰りも待つ事無く、ジュークボックスの「J-7」のボタンを押す。筐体から白いガスが溢れ出し、マヤを包み込んでいく。
同胞から見捨てられ、蔑んでいた異郷に一人取り残されたマヤは、自ら命を絶つ道を選んだのだった。

ダンが午前0時の鐘が鳴っているノアに戻ると、もうマヤの姿は無く、身に着けていたブローチだけが残されていた。
ダン「何故、他の星ででも生きようとしなかったんだ…僕だって同じ宇宙人じゃないか……

「数年後には、我々も月旅行が可能になるかもしれません。しかし、月にも土星にも生物が全くいないという確証は無いのです。我々が月に、その他の惑星に行けるとしたら、或いは不思議な少女と同じ運命が待ち受けているのかもしれません」

ナレーション


ダンはノアを後にし、溢れる人込みとネオンに塗れた夜の街を抜けると、ポインターに乗って走り去っていった。

解説

  • 予算の都合により着ぐるみの宇宙人・怪獣が登場せず、セブンの活躍シーンすら短い本作だが、同じ宇宙人でありながら地球を命懸けで守っているセブンと、地球で生きる事を放棄したマヤとの価値観の対比、昭和元禄と呼ばれた当時の文化・風俗、反戦テーマが描かれた傑作として名高い。
  • 脚本題は「他人の星」であったが、子供向け番組であった事を考慮したプロデューサーの意向によって変更されたという説がある。「今までも何度となく盗まれてただろ」という突っ込みはご容赦願いたい。
  • よく話題に上がる冒頭でアマギがソガを罵倒するシーンだが、決定稿にはこのやり取りは存在しない。また、シナリオではマヤがウルトラアイを返す際に涙を浮かべていたり、ジュークボックスの爆発で爆死するといった描写が存在するが、完成作品では変更されている。
  • マヤ役の吉田ゆり(現・香野百合子)は本作がデビュー作。
  • 本作の大ファンであるという脚本家の長谷川圭一は、『ウルトラマンティガ』において本作のオマージュとなる「青い夜の記憶」というエピソードを手掛けている。

準原稿「標的は踊る」

  • 「他人の星」には「標的は踊る」という準原稿が存在するが、マーヤ(完成作品では上述通りマヤ)のキャラクター性が根本的に異なっており、ほとんど別作品となっている。
    • ダンがマーヤによってウルトラアイを奪われ、彼女の潜伏するスナック・ノアに潜入する話と、地球に迫る巨大ミサイルに苦戦するウルトラ警備隊が交互に描かれるのは共通しているが、マーヤは最初から死を覚悟しており、ダンがウルトラ念力で強引にウルトラアイを取り戻し、任務に失敗したと悟ったマヤが自決するという筋書きになっている。
    • また、ダンのマーヤへの思い入れも一目惚れと言えるまでに突出したニュアンスになっている。

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関連項目

  • 市川森一
  • 青い夜の記憶
  • ウルトラシリーズ
  • ウルトラセブン

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最終更新:2025/12/20(土) 03:00

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