そろそろこの記事を描き上げてしまおう。
液晶が音をたてている。何かつるつるした巨大なものが体をぶつけているかのような音を。
液晶を押し破ったところでわたしを見つけられはしない。
いや、そんな! あの手は何だ! 窓に! 窓に!
―――探索者が遺した手記の末尾より
以下は、去る3月15日、ロードアイランド州プロヴィデンスへの旅行の途において不可解な失踪を遂げた>>1が残したPC上から発見された大百科記事の草稿である。
極度の緊張ないし恐怖の状況下で書かれたと考えられる支離滅裂とした内容であり、非常に不可解な記述を含むが、そのままの形で掲載する。
(以下、>>1の手記より抜粋)
窓に!窓に!とは様式美である。
その元来の出典は、彼のラヴクラフトが冒涜的な神々を描いた幾多の文章のうちの地獄めいた短編「ダゴン」において主人公たる男が最期に残した科白であろう。
その訳の印象深さと、外宇宙的恐怖に直面した人間が辿らざるをえない、形容しがたい運命を象徴する言葉として、同様なる冒涜的な禁断の知識を求める探索者達に広く知られるようになったと考えられる。
外宇宙的恐怖に直面した主人公が遺した手記や手紙、といった類型が一パターンとして形成されるに伴い、ラヴクラフト自身や知己の者たちによって、同様の末路を辿る主人公は多く描かれることとなった。
以下に、類似の言を残すに至った者たちが登場する物語の一部を挙げる。
・闇にさまようもの(ラヴクラフト)
・無人の家で発見された手記(ロバート・ブロック)
・地を穿つ魔(ブライアン・ラムレイ)
今日において彼の言葉は、あの名状しがたくも冒涜的な神話体系の探求を好む者どもにとって、そのような地獄めいた末路を象徴する一種の符丁、あるいはスラングのようなものとなっている。
また、外宇宙的恐怖に直面したと判断した際、予め自称することによりやがて己が辿るであろう末路を示唆する、といった使用法が普及するに至った。
ニコニコ動画内においては、「いあいあM@STER」や「VOCALOIDインスマウス入り」等において多く聞こえようか。
ここに、それらのうち非常に卓越した改変用法を成す一例を挙げておく。
また、同様に何かしらの意味を持つ符丁となっている神話的語句の一部として以下が挙げられる。
・ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるう るるいえ うがふなぐる ふたぐん
・いあ!いあ!
・馬鹿め!○○は死んだわ!
・○○の角を埋めないと~
彼の神話体系とは無関係の事例中においても、自称することにより己の地獄めいた末路を示唆する、といった同様の使用法をされるものは多数存在する。ここではその一部を挙げる。
・死亡フラグ
・かゆうま
・誰か来たようだ
・Nice boat.
外宇宙的存在を知ろうとする者たちにとって、恐らくは、以下のものどもが、理解をする助けとなろう。
それにしても、ミスカトニック大学のウィルマースは、何故わたしの問い合わせに早く答えてくれないのだ?
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最終更新:2025/12/08(月) 11:00
最終更新:2025/12/08(月) 11:00
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