そろそろこの記事を描き上げてしまおう。
液晶が音をたてている。何かつるつるした巨大なものが体をぶつけているかのような音を。
しかし液晶を押し破ったところでわたしを見つけられはしない。―――探索者が遺した手記の末尾より
以下に記述する文章は、去る3月15日、ロードアイランド州プロヴィデンスへの旅行の途において不可解極まる失踪を遂げた編集者、>>1が残したPC内から発見された大百科記事の草稿である。
極度の緊張ないし恐怖の状況下で書かれたと考えられる支離滅裂とした内容であり、非常に不可解な記述を含むが、そのままの形で掲載する。
(以下、>>1の手記より抜粋)
窓に!窓に! とは、様式美である。
元来の出典は、かのハワード・フィリップス・ラヴクラフトが冒涜的な神々を描いた幾多の文章のうちの地獄めいた短編『ダゴン』において、主人公が最期に残した科白
である。
その訳の印象深さと、宇宙的恐怖に直面した人間が辿らざるをえない、名状し難い運命を象徴する言葉として、同様なる冒涜的な禁断の知識を求める探索者達に広く知られるようになったと考えられる。
日本語訳では「窓に!窓に!(怪物がいる)」という風に解釈する向きもあるが、海外では「扉を破って怪物が入って来た→窓から投身自殺する」という解釈がなされている。
とは言え結局はどちらにでも取れる為、シチュエーションを限定せず、好きな方の解釈で恐怖に想いを馳せるのがいいのかも知れない。
参照:「とても大きな勘違いをしていた」ホラーでよくある『窓に!窓に!』というセリフは日本と海外では全く違う意味だったらしい
参考までに、海外にて製作され、Steamで無料配布されているゲーム「Dagon: by H. P. Lovecraft
」のラストでは投身自殺エンドが採用されている。
「宇宙的恐怖に直面した主人公達が遺した手記や手紙」といった類型(ファウンド・フッテージ)が一パターンとして形成されるに伴い、ラヴクラフト自身や知己の者たちによって、同様の末路を辿る主人公は多く描かれることとなった。
以下に、類似の言を残すに至った者たちが登場する物語の一部を挙げる。
これとは別に、ひねりを効かせた形で「リアルタイムで恐怖に直面する」場面を盛り上げる小道具として、電話や録音機器といった近代的な装置が挙げられる。
1920年代の電話には「共同電話」という機能があった。電話交換手によって個人と個人が繋がる通話とは別に、特定の地域の電話加入者が利用出来る、いわばグループチャットである。
ラヴクラフトは「ダンウィッチの怪」や「閉ざされた部屋」にて、怪物に襲われる一家の様子を共同電話越しに展開し、際立った恐怖表現に成功している。
一方で「明らかに命に関わる状況下なのに、ペンを手放さずに書き続けるっておかしくね?」という冷静なツッコミも想定されるが、あくまでもこれは様式美である。その手のツッコミは野暮の誹りを受けかねないので程々に。
また、こうした語り手は神話生物による恐怖体験が原因で、既にSAN値直葬状態で逃げるという思考すら不可能になっているゆえ致し方無しと弁護する人もいる(例えば漫画家の岩永亮太郎氏は自作の漫画「パンプキン・シザーズ」で登場人物に語らせている)
今日においてかの言葉は、あの名状しがたくも冒涜的な神話体系の探求を好む夢想家達にとって、そのような地獄めいた末路を象徴する一種の符丁、あるいはスラングのようなものとなっている。
また、外宇宙的恐怖に直面したと判断した際、予め自称することによりやがて己が辿るであろう末路を示唆する、といった使用法が普及するに至った。
当初、ニコニコ動画内においては「いあいあM@STER」や「VOCALOIDインスマウス入り」等のタグが付けられた動画において用いられた。ここに、それら初期に用いられた例として、非常に卓越した改変用法を成す一例を挙げておく。
後、幾星霜の果て星辰が合一に近づくにつれ、名状しがたき機械音声での冒涜的作品群が想像しがたき増殖を遂げることとなったが、このことはアイデアロールに成功してしまい、彼の神話体系の認知に至ってしまう者らを生み出すに至った。故にこの語が用いられる機会はなお増え続けている。
また、神話を享受するものらに共有されうる、符丁となっている句の一部として以下が挙げられる。
彼の神話体系とは無関係の事例中においても、自称することにより己の地獄めいた末路を示唆する、といった同様の使用法をされるものは多数存在する。ここではその一部を挙げる。
外宇宙的存在を知ろうとする者たちにとって、恐らくは以下のものどもが、理解をする助けとなろう。
掲示板
148 ななしのよっしん
2023/02/03(金) 17:05:22 ID: L4625YJ0fD
「この世には死んだ方がマシな恐怖がある。だから俺は飛び降り自殺してすべてを忘れて楽になってやるぜ!どうせ死ぬけどせっかくだし自殺する前にどうして俺が死を選ぶのか書いておくか!」っていうめちゃくちゃわかりやすい前フリから始まる話で、
「男は普通に窓から飛び降り自殺して死よりも恐ろしい恐怖から逃れることに成功しました。めでたしめでたし」だと何もオチてないので
飛び降り自殺失敗END=飛び降り自殺しようとしたら窓から手が見えて、結局「死より恐ろしい恐怖」から逃れられなかった、って方が怪談としてキレイだと思う
149 ななしのよっしん
2025/11/04(火) 23:31:49 ID: 6t1aFFADod
「窓に! 窓に!」の前に「いや、そんな! あの手は何だ!」があるから、破られそうな音がするドアでなく書き手の予想外である窓から手が見えた/入ってきたように読み取れるんだと思う。
で>>87に原文あったから機械翻訳したら
「終わりが近づいている。ドアに音が聞こえてくる。そこには、どこか大きな滑りやすい体がそれに逆らっている。私を見つけられないだろう。神様、その手!窓だ!窓だ!」
となったので、ドアから手が入ってきたので窓から身を投げようとする描写、と海外ではうけとられていることも納得できた。
英語弱いから“God, that hand! ”を「いや、そんな! あの手は何だ!」と訳すのが誤訳かどうかわからない
あと「ダゴンが巨大」という描写が作中にあるのも、ドアじゃなく窓から来たって考えに影響を与えてるような気がする
150 ななしのよっしん
2025/11/28(金) 14:57:45 ID: /7AG5/v8ir
クトゥルフに限らんけどよくよく考えると「書いとる場合かーっ!」てなっちゃうやつな
テープとかに残してた最期の音声とかなら何も違和感ないんだけど
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最終更新:2025/12/05(金) 22:00
最終更新:2025/12/05(金) 21:00
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