蒼穹のファフナー RIGHT OF LEFTとは (ソウキュウノファフナーライトオブレフトとは) [単語記事]

「僕達は常に…誰かが勝ち取った平和を、譲ってもらっているんだ。たとえそれが一日限りの平和だったとしても、僕は、その価値に感謝する」

蒼穹のファフナー RIGHT OF LEFTとは、TVアニメ『蒼穹のファフナー』の前日譚となるエピソードである。

2005年12月29日にTV東京他で放送された。平成18年度の第10回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品を受賞した。

RIGHT OF LEFTのニコ生放送決定！

概要

前述のとおり、本作品はTVアニメ『蒼穹のファフナー』の一年前が舞台である。

サブタイトル『RIGHT OF LEFT』には『去りゆく者達(left)の権利(right)』という意味が込められている。

そのタイトル通り、竜宮島を守るために立案されたL計画に参加し、去っていった者達の物語である。

主な登場人物

将陵僚:CV宮野真守
本作の主人公に当たる人物。本来は生真面目な人物なのだが、生来の病のせいで休息を入れながらでないと行動できない。そのため周囲からは一日中ぶらぶらしている怠け者と思われている。ファフナー・ティターンモデルのパイロットとしてL計画に参加した。ファフナーパイロットに必要なシナジェティック・コードの形成値はそれほど高くないものの、同化耐性が高く、L計画の最後まで生き残り、L計画参加者達の記録を竜宮島に託した。
生駒祐未:CV甲斐田裕子
本作のヒロインに当たる人物。L計画立案者である生駒正幸の娘であり、病気で動くことができない父親の世話や家事をするために幼少の頃から自分の時間を費やしてきた。僚とは幼なじみの関係であり、お互い意識し合う間柄だったが、彼と海に出かけた日、家に戻った彼女が目にしたのは庭で倒れ伏した父親の姿だった。自分が僚と海に行かなければ父親は死ななかったと考えてしまい、一時期僚との関係も険悪なものとなる。彼と共にL計画に参加してゆく中で関係は改善されていくのだが…
蔵前果林:CV木村亜希子
本編主人公である真壁一騎達と同世代の少女。皆城家に引き取られており、皆城総士とは義理の姉弟の関係にある。しかし、家族としての関係性は希薄で、彼女自身弟である総士の事を皆城君と呼んでいる。しかし、総士と同じ外の世界の状況を知る者であり、彼の良き理解者でもあった。ファフナーパイロットであり、作中ではファフナー・マークツヴァイに搭乗する。同化耐性はあまり高くなく、たった3回の起動実験で目が赤くなる同化現象の初期症状が現れてしまい、それを隠すために特殊な偏光レンズを用いたメガネを着けている。蒼穹のファフナー本編にも登場したが、第一話であっけなく死亡してしまった。
生駒正幸:CV永井誠
生駒祐未の父親で、元日本自衛軍戦略研究所所属一等技官。日本が新国連の核攻撃の影響を受け、現在では一人で行動することもままならない重度の障害者となってしまっている。島を守るためのL計画を立案し、自らもそれに参加するつもりであったが、計画始動前に死亡した。病床にあっても生きることを強く望んでおり、絶望的なL計画に参加してもあくまで最後まで生存することを考えていた。
皆城総士:CV喜安浩平
本編にも登場した人物で、本作ではノートゥング・モデルのパイロット候補生の一人であった。しかし、一騎に傷つけられた左目が見えるようになってしまうことから、ファフナーとの一体化が果たせずパイロットになることは断念せざるを得なかった。L計画終了後に必ず迎えに行くと僚達に約束するのだが…
日野恵:CV小宮和枝
新人パイロットの教育を担当するAlvisのスタッフであり、L計画に参加したパイロット達の教官を務めた。本編に登場した日野道生の母親であり、日野洋治の妻でもある。本作では生存するが、TVシリーズ第1話で蔵前と共にフェストゥムの攻撃を受けて死亡した。
皆城公蔵:CV中田譲治
Alvis総司令官で、フェストゥムに島が発見されることを回避するために、L計画の発動を承認した。そして島のコア(皆城乙姫)がフェストゥムの同化を受けてしまった自体に備えて島の武器の大半を封印した。しかし、これが自らがTVシリーズ第2話で死亡する原因となってしまった。
船橋幸弘:CV？
僚達と同じくL計画に参加したパイロットの一人。ファフナー操縦中に気絶して助け出されるが、同化現象の末期症状を起こし、僚の目の前で結晶化して砕け散った。
立木惇:CV奈良徹
L計画参加パイロットの一人。僚達の同級生であり、物語冒頭で僚に「卒業するまでに、心残りがないようにしておけ」と忠告した。L計画の最後まで生存したが…
村上剛:CV梯篤司
L計画参加パイロットの一人。次々と同化現象に襲われていなくなっていく仲間たちを見て自暴自棄になり、「どうせみんないなくなる」と壁に書いてしまったことで僚を激怒させた。後の戦闘でファフナー1機を大破させて死亡した。
柴田小百合:CV西野陽子
L計画参加パイロットの一人。最初に同化現象の初期症状を発症した。
鏑木早苗:CV大村香奈子
L計画参加パイロットの一人で大柄でショートカットの少女。2番目に倒れて戦闘不能になった。
柳瀬徹CV:笹田貴之
L計画参加パイロットの一人で小太りの少年。物語中盤で僚達を呼びに甲板にやってきた。3番目に同化現象で倒れた。
プクCV:?
僚の飼い犬で、外に遊びにいけなかった子供の頃の彼に母親が買い与えた。
犬種はブリタニースパニエル。
今では僚の大切な家族で、彼以外の人から与えられた餌は決して口にしない。
幾度と無く視聴者の涙腺を破壊してくれる忠犬。

L計画とは何か(ややネタバレなので一部ドラッグ)

蒼穹のファフナー本編開始の1年前。人類軍とフェストゥム、その両方の追跡を逃れなければならなかった竜宮島は、未だにフェストゥム来襲に対する準備がまだ完全ではなかった。そこで生駒正幸が立案した危機回避プログラムがL計画である。それは竜宮島の一部であるALVIS左翼部L区画を切り離し、フェストゥムに偽の竜宮島として認識させ、本島を彼らの追跡から逃れさせるというものである。将陵僚をはじめとする8名のパイロットと、指揮・整備・医療などの担当スタッフ32名の計40名。そしてファフナー・ティターンモデル4機が投入された。

フェストゥムの読心能力によって計画が破綻することを防ぐため、計画に使用された竜宮島左翼部L区画（通称Lボート）の進路決定は自動操縦で行われ、弾薬等の補充タイミング及びその総量、内容など計画の全容は参加者の誰一人として知らされていない。本計画において戦力の要となったファフナー・ティターンモデルについては、大百科のファフナーについてのページで解説されているためそちらをご覧頂きたい。L計画は結果的に悲劇的な結末を迎えることとなったが、この計画によって竜宮島本島に対するフェストゥムの攻撃には半年近い猶予が生まれ、更には実践を経験したパイロット達がもたらした様々なデータは、一騎達の世代を生き延びさせる上で大きな役割を果たしたことは疑いようのない事実である。彼らの戦いは、決して無駄な戦いではなかったのである。

劇場版でのL計画

劇場版蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTHにて、元人類軍所属のイアン・カンプによってL計画について言及された。彼らが提案した第2次L計画と言えるものは、敵フェストゥムの本拠地となっている移動島にL計画で使用されたものと同型の船で接近し、人員を可能な限り退去させた上でフェンリルを使用するというものだった。これについては敵に囲まれた状況で脱出が可能なはずはなく、特攻自爆戦術以外の何物でもない。参加者をあくまで生存させることを目的としていたL計画とは根本的に異なるものである。