貸借対照表 単語


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タイシャクタイショウヒョウ

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貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)とは、財務諸表の一つである。 バランスシートBalance sheet、B/S)とも呼ばれる。

ストックを計算する。
 

概要

貸借対照表とは、複式簿記という手法を用い、ある時点での資産と負債と純資産(もしくは純負債)をまとめたものである。

それに対して、損益計算書は、複式簿記という手法を用い、ある期間の中での収益と費用と純利益(もしくは純損失)をまとめたものである。
 

基礎用語

資産

資産とは、財産のことである。銀行以外の存在にとっての銀行預金、不動産、宝石など。売掛債権などの債権(お金を取り立てることのできる権利)も含まれる。

企業が作成する貸借対照表の場合、貸借対照表の左側すべてを使って記述する。このため、左側を資産の部という。

ちなみに、貸借対照表の左側を借方(かりかた)ともいう。債権をまとめる項目なのに「借」の文字が入っており、奇妙なことになっているが、明治以来の伝統としてそのように呼ばれている。
 

負債

負債とは、いわば金食い虫である。お金を支払う義務のことで、借金や、買掛債務(会社の営業で生ずる債務。飲食店が八百屋に支払うべき材料仕入れ金などのこと)、未払金(会社の営業以外で生ずる債務。飲食店が地主に支払うべき家賃などのこと)などである。

企業が作成する貸借対照表の場合、貸借対照表の右側の上部分に記述する。この、右側の上部分を負債の部という。

ちなみに、貸借対照表の右側を貸方(かしかた)という。負債をまとめる項目なのに「貸」の文字が入っており、奇妙なことになっているが、明治以来の伝統としてそのように呼ばれ続けている。
 

純資産

これは資産と負債の差額になる。

企業が作成する貸借対照表の場合、貸借対照表の右側の下部分に記述する。この、右側の下部分を純資産の部という。

資産のほうが大きければ純資産になり、「純資産が+~~円」と記述する。負債のほうが大きければ純負債となり、「純資産が-~~円」と記述する。

貸借対照表の左側に純負債の部を作って、そこに純負債+~~円と記述」ということは、企業が作成する貸借対照表の場合、行われない。

 

簡単な貸借対照表で家計を把握してみよう

※この項目では、見やすくするため、純資産を黄色に、純負債を灰色に塗りました
 

資産超過と債務超過

資産のほうが多い場合
資産 負債
純資産
資産を売り払えば、全ての借金を返すことができ、お釣りが来るパターンです。資産超過とも言います。
負債のほうが多い場合
資産 負債
純負債
資産を売り払っても借金を返せないパターンで、債務超過とも言います。

 

具体例

家を買ったときの貸借対照表の変化を見てみます。

家を買う前
預金 カードローン等
純資産
良い家を買った後
預金
 
家(中古価値が高い)
カードローン等
 
家のローン
純資産
  中古価値の高い家を買った場合はこうなります。「ローンを払い終わるまで、中古価値がローン残高より高い状態を維持し続ける物件」と金融機関が判断すれば、購入する家のみを担保にお金を貸してくれます(ノンリコースローン)。しかし残念ながらこういう物件は少ないです。
悪い家を買った後
預金
 
家(中古価値が低い)
カードローン等
 
家のローン
純負債
  日本の場合だいたいこのパターンになります。新築の家を買うとき不動産屋に「この家に住み始めてから●年経ったら、いくらで買い取るか」を確認してみましょう。驚くほど安くなっているでしょう。その安くなりかたが大きいと純負債となってしまうのです。あくまで時価で考えます。
  同じ値段なら、田舎の家より、大都市の駅前の家の方が、欲しがる人が多いので中古でも高い優良物件です。結果、購入する家以外に要求される担保も少なくてすむし、ローンも通りやすいです。

 

企業や銀行や中央銀行の貸借対照表

企業などの貸借対照表は、次のような形式で書かれます。

 

借方(かりかた) 貸方(かしかた)
資産の部 負債の部
純資産の部

 

企業

企業の作る貸借対照表の書き方は、会社法の所轄官庁である法務省が発した省令である会社計算規則によって定められています。
 

企業の貸借対照表
流動資産
(紙幣・硬貨といった現金、銀行預金、売掛債権
 
固定資産
(建物や土地、工作機械)
流動負債
(買掛債務、銀行からの1年以内の短期借入)
 
固定負債
(社債、銀行からの1年を超える長期借入)
純資産
(資本金・利益準備金・利益余剰金など)
 「株式を発行する等して調達したお金」は銀行等からの借入金と異なり、原則として将来返済する義務はないので、純資産の部に入ります。
 負債の部の合計額が膨らみ、資産の部の合計額と「株式を発行する等して調達したお金」を足した金額よりも大きくなり、純資産の部がマイナス数値になると、債務超過と呼びます。債務超過の会社は、倒産する可能性が高いとされ、銀行からの融資を受けにくくなります。債務超過が続いた上場企業は、上場廃止となります。
 流動資産は、現金・銀行預金や、「1年以内に銀行預金にする予定がある債権」です。固定資産は「1年以内に銀行預金へ換金する予定がなく、長期にわたって使用する資産」のことです。銀行が企業の資産状況を評価するとき、流動資産の方を重視する傾向があります。流動資産の比率が資産全体の中で高ければ、優良企業と扱われます。

 

市中銀行

市中銀行とは中央銀行(日本銀行)以外の銀行をいいます。

市中銀行の作る貸借対照表の書き方は、銀行法の所轄官庁である財務省が発した省令である銀行法施行規則によって定められています。

市中銀行の貸借対照表の読み方は、全国銀行協会が作成したこの資料でも学習することができます。
 

市中銀行の貸借対照表
国債、紙幣・硬貨といった現金、日銀当座預金
 
企業や家計への貸し出し
銀行預金
純資産
 銀行預金が負債の部に入っていることに注目してください。銀行にとって、預金は、預金者の要求に応じて紙幣や硬貨を支払う義務のある負債なのです。
 国債は資産の部に入ります。国債は政府にとって負債ですが、政府以外の全ての存在にとっての資産なのです。
 日銀当座預金は資産の部に入ります。日銀当座預金というのは、日銀が発行する負債ですが、日銀以外の全ての存在にとっての資産になります。市中銀行は、余った現金を日銀に預けると、その代わりに日銀当座預金を得ます(銀行の貸借対照表では「預け金」と書かれます)。
 市中銀行の資産といえば、企業や家計に対する債権です。企業が工場を作るとき、家計が住宅・自動車を買うときに融資します。利子を付けて返済してもらい、その利子が資産となります。景気が良くなれば企業や家計に貸し出して利子を得ることができますが、景気が悪いときは皆の返済能力が低くなっているので融資がうまく進まず、利子があまり得られなくなります。
 デフレになって、将来への不安から家計や企業が消費を控え借入を行わず、家計が銀行預金、企業が内部留保(預金)を増やすと、それはすなわち銀行にとって受け取る利子という資産が減って負債が増えることを意味します。このためデフレ期は銀行の経営を圧迫します。

 

日本銀行

日本銀行は日本の中央銀行で、紙幣(日本銀行券)を発行する権利、すなわち通貨発行権を握っています。

日銀法第52条や第55条に定められているとおり、日銀は定期的に財務諸表を財務大臣に提出し、承認を受ける必要があります。また、財務大臣の承認を受けたあと、財務諸表を国民に向けて公表しなければなりません。

日銀の貸借対照表は、インターネットで簡単に閲覧できます。この資料の3ページに、2019年9月30日時点の貸借対照表が載っています。
 

日本銀行の貸借対照表
国債
 
市中銀行への貸し出し
 
金塊
紙幣
 
日銀当座預金や政府預金
純資産
 紙幣を正しくいうと日銀券、日本銀行券となります。紙幣は日銀にとって負債となります。
 市中銀行が日銀に紙幣を預けると市中銀行向けに日銀当座預金が発行され、政府が日銀に紙幣を預けると政府向けに政府預金が発行されます。どちらも、日銀にとっての負債です。
 国債は資産の部に入ります。国債は政府にとって負債ですが、政府以外の全ての存在にとっての資産なのです。
 大昔は、紙幣と金塊の交換が義務づけられていた兌換銀行券ばかりだったので、紙幣を日銀にもっていくと金塊をもらうことができました。つまり、金塊の額と同じ額だけしか紙幣を発行できず、通貨発行権が制限されていました。
 現在は、国債の対価として発行する不換銀行券ばかりです。国債は国会の議決があれば政府が無限に発行できるので、通貨発行権が制限されていないことになります。
 近年の日銀は金塊をごくわずかしか保有していません。その代わり、膨大な量の国債を保有しています。債券市場において紙幣を日銀に渡すと、その代償に国債をもらえる可能性があります。

 

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Wikipedia記事

関連項目

  • お金(貨幣)(通貨)
  • 紙幣
  • 兌換銀行券
  • 不換銀行券
  • 国債
  • 日銀当座預金
  • 簿記
  • 会計
  • ストック
  • フロー
  • 財務諸表
    • 損益計算書
    • キャッシュフロー計算書
    • 株主資本等変動計算書
  • 民法
    • 民法(日本)
  • 売掛債権
    • 売掛金
    • 手形
    • 電子記録債権(電子債権)

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