風の又三郎 単語


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風の又三郎とは、宮沢賢治の短編小説である。

概要

宮沢賢治の死の翌年(1934年)に発表された短編小説。「どっどど どどうど どどうど どどう」という書き出しが有名。

とある小さな小学校に、風の強い日に不思議な少年が転校してくるところから始まる。北海道から来たというその転校生は高田三郎という赤髪の少年で、子供たちに風の神の子「風の又三郎」ではないかと疑われつつも受け入れられ、又三郎とあだ名された。その又三郎と子供たちが巻き起こす様々な事件の末に、わずか二週間足らずで又三郎は去っていく。

由来など

もともと宮沢賢治自身が大正年中に書いていたいくつかの作品をもとにして、昭和6~8年(1931~1933年)頃に書き上げたもの。風の精が活躍するSF風冒険譚「風野又三郎」をベースとして、主人公を現実の少年に変更し、村の少年たちを描いた複数の物語が取り込んで、風の又三郎が成立した。

宮沢賢治による原題は「風野又三郎」のままであり、宮沢賢治が「風の又三郎」と題した証拠はない。また、自筆の表紙があったとされているが失われており、詳細は不明となっている。

とはいえ、文中では「風の又三郎」に表記が統一されており、また「風野又三郎」とは内容が異なることから、初版以降「風の又三郎」として今日に至る。

小ネタ

  • 岩手県や新潟県など東北・北陸地方の日本海側で、風の神様を「風の三郎様」と呼んで祀る風習がある。「風の又三郎」とはこの「風の三郎様」が元ネタではないかと言われている。
  • 又三郎が転校してきたのが9月1日の夏休み明け、去っていったとわかるのが9月12日月曜日(前日の日曜に転校していったと告げられる)。9月12日が月曜日となるのは、1898年・1904年・1910年・1921年・1927年・1932年・1938年・1949年・・・となる。
  • 村の者は岩手県の方言を使っている。物語中に出てくる「上の野原」は岩手県の北上山地と推測され、そのあたりではモリブデンの鉱脈がある。物語中でも、又三郎が転校してきた理由にモリブデンの採掘に関して父親に連れてこられたという描写がある。
  • 映画やアニメ化も何度かなされている。また、原案とした漫画化や舞台化、インスピレーションを受けての戯曲化や楽曲などもあり、多くのクリエイターに影響を与えた。

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関連項目

  • 宮沢賢治
  • 小説

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