風船爆弾 単語


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風船爆弾とは、日本軍が開発した気球に爆弾を搭載した兵器である。昭和十九年十一月三日より運用を開始。昭和二十年春まで使用された。当時の呼称は気球爆弾。

概要

和紙を蒟蒻から作った糊で固めたつくった気球に、水素ガスを入れ、爆弾を搭載して空に飛ばすものである。高度の維持のため、高度が下がると予めぶら下げられた重りが切れる機構がついていた。一万発を生産し、九千三百個を投入した。制作には女子学生が動員されたが、劣悪な労働環境で働かされたようである。

和紙や蒟蒻と聞いて馬鹿にする人も居るかも知れないが、分子の大きさが小さな水素ガスを気球内部にとどめておくというのは以外に難しいことである。また、当時、航空機の発達によって、欧米ではようやく知られ始めていたジェット気流を応用したという点において、実は先端科学兵器だったりする。更に、ほぼ無誘導の世界初の大陸間兵器で有り、今に到るまで、実戦で使われた兵器で、発射地点から着弾地点までの長さは最長である。

戦果には、不発弾に触れた家族が六人死亡した以外に、小規模の山火事を起こしたこととプルトニウム製造工場に一時的な停電をもたらしたこと以外はない。但し、アメリカ側はこの兵器を驚異とみており、生物兵器の搭載や、工作員を乗せて直接本土に上陸されることを恐れて、この兵器全てを撃墜することを強いられた。さらに、士気の低下を恐れ、厳重な報道管制を敷き日本側に情報が漏れることを阻止したと言った具合に、作った労力に見合うものはあったようである。

ちなみに、アメリカ軍は和紙で作られたことはすぐ分かったらしいが、その接着剤が一体何なのか最後まで分からなかったらしい。日本には珍しく軍事情報が秘匿された例である。

そして変態紳士の国でも…

実はイギリスでも風船爆弾と似たような作戦が実行されていた。
その名は「アウトワード作戦」である。

この作戦はドイツの送電網がショートに弱く、また森林と草原が広がるドイツは放火に弱いという点をつき、「送電線をショートさせる気球」と「山火事を起こさせる気球」の2種類を飛ばしてドイツを空襲するという作戦である。

日本の風船爆弾に比べると、気球の到達高度は5,000m程を予定する・作りも幾分シンプルなど、話だけ聞けば「まあ英国面なら仕方がない」と思ってしまいそうな代物である。
が、よく考えてほしい。
風船爆弾は広大な太平洋を横断してアメリカ本土を空襲するものであるが、アウトワード作戦は文字通りの「対岸」であるドイツを攻撃するものだ。
距離は段違いで短い。日本の風船爆弾よりも単純なものでも間に合う。
何よりその割り切りにより、非常に低コストで気球を製作できる。
実に合理的な考えである。
金をかけずに嫌がらせをして相手を疲弊させるのも戦術の一つだ。
紳士的な発想ではなく「合理性」に基づいた割り切りといったほうが近い。

…と思ったけど。

こんなものをさんざん飛ばしたら、今度は逆にドイツを空襲しに行くする自軍(や、連合軍)の爆撃機の邪魔になってしまうという問題点もあったとか。
英国はいつだって英国だ。

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関連項目

  • 第二次世界大戦
  • 太平洋戦争/大東亜戦争
  • 大陸間兵器
  • 軍事関連項目一覧
  • 珍兵器
  • 爆弾

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