03式中距離地対空誘導弾とは、陸上自衛隊が装備する地対空ミサイルシステムである。略称としてSAM-4、あるいは「中SAM」とも呼ばれる。
長らく陸上自衛隊の対空ミサイルシステムはMIM-23 ホーク(およびその改良型)が担っていた。これは主な装備開発であるアメリカが意外と自国の対空車両の開発に熱心でない(だけの航空兵力だったのもあるので)ためでもあった。
MIM-104パトリオットはあるものの規模が大きすぎるという欠点もあった。欧州諸国、アメリカではパトリオットをより小型化しようというアイデアのもと、中距離拡大防空システムMEADSの開発を行おうとしていた。これはパトリオットPAC-3の射程距離をより伸ばしつつ、もうすこしコンパクトにしようというのが趣旨で、日本にも共同開発が打診される。
もっとも日本では武器輸出三原則に抵触するためこれに参加できず、かといってMEADSの開発終了後に導入するまでは待っていられないという、最近ありがちな兵器導入のジレンマになる。が、流石に誘導弾(ミサイル)関係ではわりと開発経験を積んでいたため、国産開発を決意。これが03式中距離地対空誘導弾となった。
(無論、導入にあたって財務省に提出したレポートなどでは車載するMAEDSの車両問題…国内法に抵触しているなどなどもっともらしい理由はつけられているが…)
すべてのシステムは車載化されており、高機動車+73式大型トラック+わざわざ新開発した米国のHEMITTと呼ばれる8輪トレーラーそっくりの車両(のちに重装輪回収車のプラットフォームとなる)に分散して配置される。ミサイル本体を格納したキャニスターは垂直発射型タイプで、発射位置を周辺の地形に左右されないメリットがある。
ミサイルそのものも、双操舵飛しょう体制御と呼ばれる前部・後部それぞれにある翼をコントロールすることで高機動化を実現している。これはメーカーとTRDI(技本)がわざわざ特許申請までしているほどの技術である。また電子対抗手段にも強く、パトリオット以上とも言われる。
ミサイルの有効射程は定かになっていないが、もともとの兵器体系を考えるにホーク改良型以上、パトリオット未満考えるのが妥当ではないかという意見もある。ただ、米軍をはじめ戦域防空ミサイルがパトリオットからMAEDSに収斂する中、日本としては早晩、03式中距離地対空誘導弾の射程向上などを目指す必要に生じる可能性もないわけではないだろう。
導入コストはパトリオット一個チームの850億にくらべると半額程度の470億程度とコストについても考えられている。現在、ネットワーク・データリンク対応と共に巡航ミサイル迎撃能力などを追加した改良型の開発が行われているという。
現在、陸上自衛隊ではMIM-23ホーク装備部隊を順次この03式地対空誘導弾装備へと置き換え中である。
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最終更新:2025/12/16(火) 03:00
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