JRA顕彰馬とは、中央競馬の発展に多大な貢献のあった馬の功績を讃え、顕彰していくものである。
1984年にJRA30周年記念事業の一環として制定された。
制定当初は有識者による顕彰馬選考委員会の審議によって選出されていたが、現在では、毎年6月に行われている記者投票で総投票者の4分の3以上の得票を得る必要がある。
投票者は、10年以上競馬報道に携わっているマスコミ・競馬関係者によって行わる。具体的な投票条件は下記のいずれかに該当する者になる。
1人辺りの投票数は2014年までは2頭まで(ただ、2014年はJRA60周年記念による特例で1人4頭までとなっていたので実質2013年まで)、2015年からは4頭まで連記できる(「該当馬なし」とすることも可能)。
投票の対象となる馬は、3月31日を起算日とし競走馬登録抹消後1年以上経過し、20年以内の馬である。したがって、現役の競走馬、競走馬登録抹消後1年未満の馬及び21年以上の馬は投票の対象外である。 2003年まではこの基準がなく、テイエムオペラオーの落選に対する抗議をきっかけに制定された。2004年から制定されたルールだが、この年はJRA50周年記念による特例で抹消後21年以上の馬も1人2頭投票できたので、実質的には2005年からである。
選定基準は中央競馬の競走馬登録を受けていた馬で下記のいずれかに該当する馬とする。
ただし、中央競馬所属経験の無い外国調教馬、地方競馬所属馬、中央競馬に出走歴の無い馬は対象外とされる。
東京競馬場の敷地内にあるJRA競馬博物館では、顕彰馬の肖像画、ブロンズ像、関係資料などが展示されている。また、近年では選定された年に競走馬の記念競走が施行される。
| 馬名 | 性別 | 生年 | 選出年 | 主な勝ち鞍 | 通称・二つ名 |
|---|---|---|---|---|---|
| クモハタ | 牡 | 1936年 | 1984年 | 東京優駿 | 栗毛の貴公子 |
| セントライト | 牡 | 1938年 | 1984年 | クラシック三冠 | 黒鹿毛の勇者 |
| クリフジ | 牝 | 1940年 | 1984年 | 東京優駿、優駿牝馬、菊花賞 | 最強の牝馬 |
| トキツカゼ | 牝 | 1944年 | 1984年 | 皐月賞、優駿牝馬 | 名牝 |
| トサミドリ | 牡 | 1946年 | 1984年 | 皐月賞、菊花賞 | 希代の名馬 |
| トキノミノル | 牡 | 1948年 | 1984年 | 朝日杯3歳S、皐月賞、東京優駿 | 幻の馬 |
| メイヂヒカリ | 牡 | 1952年 | 1990年 | 朝日杯3歳S、菊花賞、天皇賞(春)、有馬記念 | 黄金の脚 |
| ハクチカラ | 牡 | 1953年 | 1984年 | 東京優駿、天皇賞(秋)、有馬記念、ワシントンB・H | 栗毛の国際派 |
| セイユウ | 牡 | 1954年 | 1985年 | セントライト記念、七夕賞、福島記念 | アラブの怪物 |
| コダマ | 牡 | 1957年 | 1990年 | 皐月賞、東京優駿、宝塚記念 | トキノミノルの再来、夢の超特急、カミソリの切れ味 |
| シンザン | 牡 | 1961年 | 1984年 | クラシック三冠、宝塚記念、有馬記念、天皇賞(秋) | 神馬、五冠馬、最強の戦士、ナタの切れ味 |
| スピードシンボリ | 牡 | 1963年 | 1990年 | 天皇賞(春)、有馬記念2回、宝塚記念 | 老雄、時代の先駆者 |
| タケシバオー | 牡 | 1965年 | 2004年 | 朝日杯3歳S、天皇賞(春)、スプリンターズS(英国フェア開催記念) | 元祖「怪物」 |
| グランドマーチス | 牡 | 1969年 | 1985年 | 中山大障害4回 | 飛越の天才 |
| ハイセイコー | 牡 | 1970年 | 1984年 | 皐月賞、宝塚記念 | 初代「アイドルホース」、国民のアイドル |
| トウショウボーイ | 牡 | 1973年 | 1984年 | 皐月賞、有馬記念、宝塚記念 | 天馬、お助けボーイ |
| テンポイント | 牡 | 1973年 | 1990年 | 阪神3歳ステークス、天皇賞(春)、有馬記念 | 流星の貴公子 |
| マルゼンスキー | 牡 | 1974年 | 1990年 | 朝日杯3歳ステークス | 夢のスーパー・カー |
| ミスターシービー | 牡 | 1980年 | 1986年 | クラシック三冠、天皇賞(秋) | ミスターサラブレッド、奇跡の豪脚 |
| シンボリルドルフ | 牡 | 1981年 | 1987年 | クラシック三冠、天皇賞(春)、 ジャパンカップ、有馬記念2回 |
皇帝、七冠馬 |
| メジロラモーヌ | 牝 | 1983年 | 1987年 | 牝馬三冠(※当時の3冠目はエリザベス女王杯) | 牝馬三冠、魔性の青鹿毛 |
| オグリキャップ | 牡 | 1985年 | 1991年 | 有馬記念2回、マイルチャンピオンシップ、安田記念 | 芦毛の怪物、2代目「アイドルホース」、スーパー・スター |
| メジロマックイーン | 牡 | 1987年 | 1994年 | 菊花賞、天皇賞(春)2回、宝塚記念 | 最強のステイヤー |
| トウカイテイオー | 牡 | 1988年 | 1995年 | 皐月賞、東京優駿、ジャパンカップ、有馬記念 | 不屈の帝王 |
| ナリタブライアン | 牡 | 1991年 | 1998年 | 朝日杯3歳ステークス、クラシック三冠、有馬記念 | シャドーロールの怪物、シャドーロールの三冠馬 |
| タイキシャトル | 牡 | 1994年 | 1999年 | マイルCS2回、安田記念、 スプリンターズS、ジャック・ル・マロワ賞 |
日本の誇るマイラー |
| エルコンドルパサー | 牡 | 1995年 | 2014年 | ジャパンカップ、サンクルー大賞、NHKマイルカップ | 世界を駆ける怪鳥 |
| テイエムオペラオー | 牡 | 1996年 | 2004年 | 皐月賞、天皇賞(春2回・秋)、宝塚記念、 ジャパンカップ、有馬記念 |
ミレニアムの覇者 |
| ディープインパクト | 牡 | 2002年 | 2008年 | クラシック三冠、天皇賞(春)、宝塚記念、 ジャパンカップ、有馬記念 |
日本近代競馬の結晶 |
| ウオッカ | 牝 | 2004年 | 2011年 | 阪神JF、東京優駿、安田記念2回、 天皇賞(秋)、ジャパンカップ、ヴィクトリアマイル |
平成のダービー牝馬、常識破りの女帝 |
| オルフェーヴル | 牡 | 2008年 | 2015年 | クラシック三冠、有馬記念2回、 宝塚記念 |
金色の暴君、激情の三冠馬 |
| ロードカナロア | 牡 | 2008年 | 2018年 | 高松宮記念、安田記念、 スプリンターズステークス2回、香港スプリント2回 |
竜王 |
| ジェンティルドンナ | 牝 | 2009年 | 2016年 | 牝馬三冠、ジャパンカップ2回、有馬記念 ドバイシーマクラシック |
|
| キタサンブラック | 牡 | 2012年 | 2020年 | 菊花賞、天皇賞(春)2回、ジャパンカップ、大阪杯、天皇賞(秋)、有馬記念 |
選考委員会時代では委員の好き嫌いがかなり審議に関係し、これのせいでダイナナホウシユウは選出されなかったと言っても過言ではない。選出されなかった理由が「小柄な馬格」で顕彰馬にふさわしくないと言われたから。今となってはひどい言い様である。
それにテンポイントは関西勢からの批判もあり選出されたが、TTGのGであるグリーングラスは結局選出されなかった、ハイセイコーはアイドル性で選出されたのに成績では確実に上な同年代のタケホープは選ばれなかったなど、疑問が残る選出だった。
選定方法が選考委員会から記者投票へ変更された後も問題はある。
記者投票は1人4頭まで投票できるものの、別に4頭でなくて2、3頭に投票して残りは白票扱いにすることも可能である。例えば該当馬なしにしたら全部無効票となる。この制度のせいで例年少なくない無効票が発生し、涙を呑んだ顕彰馬候補もいる。
昨今同世代で傑出した馬のGI勝ち数平均はインフレの傾向があり(平成の間にGIレースは九つも増えたし、海外遠征も増えた)、制度当初はGI級3勝以上とされていたものが、最近ではGI6勝以上or繁殖成績で圧倒した等でないと候補にすら上がらないこともしばしばである。
3/4以上という厳しいボーダーも手伝ってJRA顕彰馬候補が渋滞して結果的に票が割れ、該当馬無しになってしまうことがままある。
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/21(日) 01:00
最終更新:2025/12/21(日) 01:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。