SAMとは、地対空ミサイル【Surface-to-Air Missile】または艦対空ミサイル【Ship-to-Air-Missile】の略語である。
地上(または水上戦闘艦)から発射され、空中の目標を撃破するためのミサイルである。誘導装置と推進装置(ロケットモーターなど)をもつ。通常、弾道ミサイルを迎撃するためのミサイル(ABMやミサイル防衛)とは区別される。
主にミサイル・サイトや車両上の発射機で運用されるが、個人で携行・使用可能なサイズものもある(FIM-92”スティンガー”などが有名)。大型のものは、捜索・識別用のレーダーや指揮装置などと組み合わせてセットとして運用する。射程の異なるSAMや、対空機関砲などを組み合わせて多層的な対空防御網を構築するのが基本的な運用法である。
地対空ミサイルと艦対空ミサイルはどちらも【SAM】と略されるが、艦対空ミサイルの場合
【ship-to-air-Missile】
と【SAM】のSが「surface」ではなく「ship」になるので厳密に言えば別物ということになる(「水上」だってsurfaceじゃあ! と主張することも不可能ではない)。ただし、陸上用のシステムを艦上用に転用したり、航空機搭載用の空対空ミサイル(AAM)をSAMに転用するようなこともしばしばある。
誘導方式はレーダーホーミング、赤外線、可視光画像識別、レーザービーム誘導、手動操作など多岐にわたる。エレクトロニクスに強い日本が存外がんばっている分野でもあり、自衛隊用に各種SAMが開発されている。
代表的な国産SAMを幾つかあげると、平成7年度より調達の始まった81式地対空誘導弾C型(ロケットモーターの排煙量減少、有効射程増大、誘導方式を赤外線から光学映像+赤外線/アクティブレーダーの二種類へ変更)。平成19年度より調達の開始されている91式携帯地対空誘導弾B型(民生部品転用によるコスト低減、赤外線映像誘導方式採用による、命中精度の改善)。
そして最大級のものとしては、03式中距離地対空誘導弾があげられる。こちらは改善ホークの後継として開発されたもので、射程はホーク以上パトリオット以下、即応性と命中精度はパトリオット以上と推察されており、6連装垂直発射装置を用いている。他国の最新SAMと比較しても何ら遜色のない、高性能なシステムである。
しかしながら、コストが1ユニット470億円と高価で調達は進まず(性能改善は進んでいる)、一部では一度お蔵入りした、AAM-4こと99式空対空誘導弾が原型である、海自で計画が中断となってしまったXRIM-4ことAHRIM(ESSM相当)を陸上用SAMに転用。再開発する可能性があるとも言われている。同種のものとしては、米国もAMRAAM(AIM-120)を原型としたSAMをハンヴィーを中心とした車輌複数に、システム・ユニットとして搭載している事例があるのでHi-Lo-Mixとしては有効と思われる。
なお、対弾道弾迎撃手段として、パトリオットSAMシステム最新のPAC-3。イージス艦搭載SAMスタンダード・SM-3型の配備も進んでおり、平成20年春に発生した北朝鮮「人工衛星打ち上げ」事案に際しては、都心等々にPAC-3装備部隊が展開。日本海方面等々にイージス艦が警戒進出したことは、記憶に新しい。
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最終更新:2025/12/11(木) 08:00
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