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シリアルエクスペリメンツレイン

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岩倉玲音serial experiments lainとは、書籍+イラスト雑誌連載、ゲーム、アニメが相互に補完しつつ同時進行進むという、当時は珍しかった「マルチメディア企画」、である。通称lain。

特にアニメ版の評判が高く、中村隆太郎監督作での傑作のひとつではあるが、その構成の複雑さと極めて無機質に統一された感覚は、非常に人を選ぶ。

アニメーションはProduction 2nd.制作で、1998年テレビ東京系で放映された。実写やデジタル映像の組み合わせなど、現在のデジタルアニメーションに影響を与えた作品のひとつ。

また、国内以上に海外での評価が高く、国外では非常に人気がある。

「serial experiments lain」は直訳すると「lainについての一連の実験」。その通りの野心・実験作である。

概要

存在は認識=意識の接続によって定義され、人はみな認識によって繋がれている。
記憶とはただの記録に過ぎない。

コミュニケーション端末が普及し、Real_World(現実)とWired(ワイヤード)が普通に扱われる世界。14才の中学生、岩倉玲音(レイン)の体験する 不思議な出来事が、玲音の視点で展開していく。

その頭角を表したのは1998年、iMacが発売された年である。

現在ではあまり珍しくない「技術の発達により現実と仮想が曖昧になる」類の世界をモチーフにしているが、似たようなテーマを持ち、テレビで放映されて人気を博した「電脳コイル」や「攻殻機動隊」とは大きく異なる。
また「Web上での事件を共有する世界」「メディアミックス」という類似点を持つ「.hack」ともひどく異なる。

まず「ネット世界を扱う」とあるものの、制作者などにに「専門的な知識」を持つ人物が多いためか、遠慮解釈もなしに(当時の)技術用語やOSやプログラミング言語、自作PCにまつわる設定・描写が取り込まれている。
そして非常にSFチックな、しかし技術的には現実の自作PCをベースにした擬似PC「NAVI」と、現実のWebが進化したような仮想世界「ワイヤード(Wired)」にまつわる描写、そしてワイヤード上で狂奔する98年当時のハッカーらの"アナーキーぶり"がものすごく、異常なほど鋭い非現実感が演出されている。

他にも、当時のハッカー文化やIPv6に関わる陰謀論的ネタ、「脳の活動は(PC内で行われている事に近い)電気信号である」というテーマからアプローチしたネタ、「リアル」と「ワイヤード」を繋ぐ精神世界についての心理学やそれにまつわる疑似科学ネタ、さらに麻薬や精神病、「神は遍在する」という点での神の定義にまつわるネタなどの従来のアニメでは禁じ手とされていたものも扱っており、色々と「実験的」なことになっている。
そのため、その内容は98年当時にしては極めて「ユニーク」であり、上述のようにこれらの世界観に魅力を感じなければ不気味、得体の知れない雰囲気しか感 じられないかもしれない。海外でウケるのもむべなるかな。
詳しくは、ウィキペディアを参照するか、自分でググったほうがいい。

下記内容では、仮定的に「serial experiments lain」プロジェクト、またはその根幹設定の略称として「lain」を、それらの作品に共通して現れる女の子を「岩倉玲音」「玲音」として用いる。

ゲーム版lain

ゲーム版lainはプレイステーションから発売された。
冒頭に挙げたように「ゲームとアニメと雑誌が相互に補完する」という設計の元、lainを構成する一要素になっているが、特にゲーム版には「プリミティブ」な設定が多く、アニメ版で語られない部分はここで補完できる。

その内容は今でも「ゲームなのか」という議論を呼んでいる。なぜならば、このゲームでは「精神病院に収監された玲音」と「そのカウンセラーである米良柊子」たちの、日記と備忘録と治療記録を、文章と映像で追っていくというサウンドノベルともまた違う構造になっているからだ。いわば、ゲームで見るオフライン版ニコニコ動画、というよりyoutube。
そのため、プレイヤーは常に2人やその他の人物がつけた「記録」を読み、そこからlainにかかわる設定を類推するよう強いられる。よって、他のlain同様単体では意味が分かりづらく、他と相互に補完して観ることでその機能を果たすということになる。
そのため、これ単体での売り上げは非常に少ないまま廃盤になってしまい、かつlainの世界観を知るためには必須なため、定価よりも多くの高値をつけている中古ショップも多い。

他メディアでは書けない、大人の事情で描写できなかった暗部が綴られており、かなり「病院逃げて」感が強い。
特にエンディングはその鬱展開に比した救いがあるかどうか分からない展開で、後味が凄絶に過ぎた結末だが、それは同時に他の作品への訴求力を高めている。

アニメ版lain

こちらはテレビ東京、深夜1時枠に放映。後にビデオ・DVD化されており、BD版も発売される予定とか。
こちらのlainは岩倉玲音を一般生活を営む中学生の女の子として描写し、それが後に起こる事件へと関わっていく、という設計になっているため、ゲーム版と比べると若干精神面に関する描写はおとなしいが、初見では不可解になるほど他との相互補完を重視しつつ、視聴者の理解をある程度助けるようになっているため、見やすくまたハマりやすい。

地上波で放映されるためか、極端に陰惨な描写は省略されているが、そこに残ったものでさえ当時の深夜枠でもかなり危ない状態になっている。昔の深夜アイキャッチに「JUNGLE」があったが、あれに近い。
ハッカーとしての才能を開花させていく岩倉玲音と、彼女の気が遠くなりそうなその才能に振り回される(?)中学校の友人や家族、謎の集団「ナイツ」と橘総合研究所の陰謀、そして「神に成ろうとする男」との関わりを描く。

設定を監督らが気に入ったためか、上述のネタのほとんどがアニメ版で使われている。
そのため、主に外人が一目惚れするのはこのアニメ版lainのようだ。

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印象的なアニメオープニング主題歌のDUVET(デューベイ)はサントラ盤には収録されておらず、イギリスのロックバンド、bôa(ボア)のマキシシングル"tall snake ep"(トール・スネーク・EP)またはアルバム"THE RACE OF A THOUSAND CAMELS" に収録されている。純粋にDUVET目当てならば、オリジナル版の他に別アレンジが2曲収録されている"tall snake ep"(トール・スネーク・EP)のほうがお勧めかもしれない。

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関連項目

  • 安倍吉俊
  • 灰羽連盟
  • NieA_7
  • テクノライズ(TEXHNOLYZE)
  • an omnipresence in wired(「lain」画集)
  • 中村隆太郎
  • 小中千昭
  • アニメ作品一覧
  • (ネタバレ注意)

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最終更新:2025/12/21(日) 19:00

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