スバル(SUBARU)とは、東京都新宿区西新宿に本社を置く富士重工業株式会社(Fuji Heavy Industries Ltd.)の製造・販売する、星座「すばる(六連星 / 昴)」に由来する自動車の商標(ブランド)及び自動車部門そのものである。
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概要
オーナーは後閑暢夫東京農業大学名誉教授が1975年に命名した紳士の称号、「スバリスト」を持つ。又その称号を嫌うオーナーもいる。スバル広報は現在、「スバリスト」と「カーガイ(Car Guy)」を広報誌等で使っている。
ポルシェと共に現在水平対向エンジン(ボクサーエンジン)搭載四輪量販車[1]を製造販売メーカーで日本で唯一つである希有なメーカーである。ポルシェ同様、大会社の様に色々なエンジンを揃えられない事情から、市販車エンジンはレースで培った技術を注ぎ込み、基本性能を向上させた、レースエンジンを一般向けにデチューンしたエンジンに近いものである。
製造する軽自動車の全て直列四気筒エンジン搭載車なのも三気筒エンジンが主流の軽自動車では珍しいメーカーである。軽自動車の自社開発製造は中止され、ダイハツからのOEMに切り替えられる予定になっている。
レシプロエンジンとしては、水平対向エンジン、軽自動車規格直列四気筒エンジンは少数派だが、王道の技術である。只、気付いたら少数派に成っただけ…。「ちょっぴり贅沢な形式のエンジン」と自慢しよう。
現行のラインナップはスバル360の系譜を引き継ぐ伝統の全車四輪独立懸架を備え、駆動方式は、普通車はエンジン縦置きFF[2]、軽自動車はエンジンを横置きにしたFF及びRR[3]をベースにした2WD及び4WD[4] / AWD[5]である。開発元としてのCVT[6]技術を持もつ。良好なハンドリング(操舵性・操作性)を持ち、アイポイント(視点)が高目で、シートの設えがしっかりしている極めて欧州車風味の乗り味を持つ車作りをする。
エンジン縦置きFFで、4WD / AWDと言う普通車のラインナップから、VW資本のドイツ自動車メーカー、アウディ(Audi)と良く比較される。又、同じ元航空機メーカーからの発祥故か、「4輪なのに、なんかカワサキ(Kawasaki)臭い」と言われ、ディーラー以外の整備士が「うわぁ…」と言う顔をする所も共通する。
WRCでの好敵手三菱のランサーエボリューションと激しく競り合うスバルインプレッサに代表される様に自動車競技へもワークスチームを参加させていた。F1にも参加した黒歴史前歴がある。
一時期経営難に陥った時期があり、日産資本の注入があったがその後盛り返し(レガシィワゴンのヒットと、日産ディーゼル出身の川合勇氏の功績が大きい)、日産の「ゴーン改革」で富士重工の株式は米ゼネラルモータース(GM)へ委譲される。
現在は米国経済の後退に伴いGM本体の業績が悪化、再度株式は放出され、現在はその一部を購入したトヨタが筆頭株主である。ただし経営の自主権までは失っていない模様。
歴史
前身は戦前の軍用航空機メーカー「中島飛行機」(1917年創立)である。最盛期には三菱航空機を凌ぐ世界有数の航空機メーカーであった。大戦中は「隼」「疾風(はやて)」「鍾馗(しょうき)」等の戦闘機、重爆撃機「呑龍(どんりゅう)」、また三菱設計の「零戦」の製造を請け負うこともあった。
敗戦後、GHQによる財閥解体の対象となり東京富士産業、宇都宮車両、富士工業などに分割された。分割された数社のうち、立川飛行機と結びついていた富士精密は後にプリンス自動車となり、更にその後業績不振と通産省の自動車業界再編計画により昭和41(1966)年、日産自動車に吸収された。
中島飛行機解散後はスクーター(ラビット)やバスの設計製造を行っていたが、戦後復興に伴い主力商品であるバスの需要が頭打ちになることが予想された。
国産四輪普通乗用車の製造が計画され、技術者故百瀬晋六(ももせ しんろく)を中心に1500cc・前置きエンジン・後輪駆動(FR)の乗用車が計画され、幾つかの増加試作型が製造された。この車は開発コード「P-1」と称され、その後「すばる1500」と名づけられた。
海外メーカーの技術の模倣はあったものの、当時の国産車としては高度な技術力で纏められており、試作車の払い下げを受けたタクシー会社での評判も運転手・乗客ともによかったという。ただチーフエンジニアの百瀬氏は、後輪駆動用のプロペラシャフトの振動や――当時の工作精度では無理も無い――操縦安定性が気に入らず、後年発売したスバル1000はFF車である。P-1以降スバル製FR車はトヨタ自動車との共同で開発したBRZまで待つこととなる。
しかし当時の資本力では普通車生産のための増資が行えず、またメインバンクも首を縦に振らなかった。(その前に全国レベルの販売ルートを持っていなかった。)日産やオオタ自動車[7]、日野、いすゞでさえ海外メーカーとの提携によるノックダウン生産ぐらいしか出来ず、国会においても議員が「日本はトラック製造のみおこなえばよく、乗用車はアメリカから買えば良い」と発言する時代であった。
そこで通産省の「国民車計画」に則った「軽自動車」の開発に着手することとなる。(つづく)
開発または発売された車両
- P-1(すばる1500)
- スバル360
- スバル初の量販車。
- スバルサンバー・バン / トラック(360~660)
- 現存するスバル最古の商標。「農家(農道)のポルシェ」の異名を持つRR軽商用車。赤帽御用達。
- スバル450
- 普通車。海外輸出モデルの国内市販版
- スバル1000
- 排気量拡大後にff-1に改名
- スバルR-2(360cc)
- 現行のR2とは異なる。
- スバルレオーネ
- インプレッサ登場までレガシィと併売。インプレッサ登場後生産中止。その後もネームのみ日産ADバンのOEMモデルにつけられていた。
- スバルレックス(360~660)
- 軽自動車規格が大きく変わる時に登場し、目まぐるしく仕様・構造が変更された軽自動車。
- スバルドミンゴ(1000~1300)
- サンバーバンの車体にジャスティーのエンジンを搭載。7人乗りの「ミニバン」。
- スバルジャスティー (1000~1300)
- リッターカーブームに登場したスバルのエントリーモデル。「デカいレックス」とも。ECVTを初めて搭載した市販車。ECVTは伊フィアットグループにも供給され、初代パンダなどにも採用。しかしジャスティー自体は他社にあった「ターボモデル」がなく、販売では苦戦することになる。
- スバルビッグホーン
- いすゞビッグホーンのOEM。変更点はバッジのみ。同時期にいすゞではレガシィセダン(BC型)が「アスカ」として販売された。
- アルシオーネ
- スバル初のレオーネクーペベースのスペシャリティーカー。車名は星座のすばる/プレデアス星団の最も明るい星「アルキオネ」の英語読みアルシオーネに由来する。
- スバル・アルシオーネSVX(3300)
- グラスコックピットのスバル二代目スペシャリティーカー。
- ジオット・キャスピタ(3500)
- バブル期に開発された、童夢デザインのボディを持つ、水平対向12気筒エンジン搭載ミッドシップスーパーカー。
- スバルレガシィ (1800~3000)
- レオーネの上位モデルとして開発。のちにツーリングワゴンが加わり一大ブームとなる。セダンのターボモデル(RS)はFIA公認10万km世界速度記録を更新、WRC[8]参戦等、スバルブランドイメージ刷新の足掛かりとなるものの、セダンはツーリングワゴンの人気に押され、3代目のB4(BE5型)迄販売実績が芳しくなかった。2代目迄1.8L-SOHCエンジン、2.2L-DOHCエンジン搭載車もあったが、現在はセダンのB4、ツーリングワゴンは2.5Lエンジン搭載車のみである。
- スバルレガシィ アウトバック
- SUW / Sports Utility Wagonを標榜する、レガシィの車台をベースに作られたSUV[9]の一種。エンジンはNA[10]4気筒2.5LとNA6気筒3.6Lの二種類。
- インプレッサ (1500~2000)
- レオーネの後継機種として開発。開発に当たってWRCでの活躍を念頭においている。インプレッサを操る故・コリン・マクレーと、三菱ランサーエボリューションを操るトンミ・マキネン(トミ・マキネン)の、ドライバーズタイトルを賭けた一騎撃ちは現在でも語り草となっている。スバルに日本車初の「WRC3連覇」をもたらした。4WDモデルやワゴンモデルも存在する。北米輸出モデルは2.5Lモデルも存在する。
- インプレッサWRX STI
- 初代(GC8型)インプレッサではver.VIまで開発・製造された。通称ver.1は完全に限定生産で、エンジン及びミッションのギア比が通常のターボモデルから見直されている。後にカタログモデルとなるが、ターボインタークーラー強制冷却用のウォータースプレーや、ドライバーズコントロールデフ[11]、エンジンの内部部品、とくにピストンにモリブデンコーティングをして摩擦ロスを低減したり、給排気バルブの中を中空構造とし、その空洞に金属ナトリウムを封入し冷却効果を高めるなど、おおよそメーカーの生産ラインで製造されたと思えない「チューンドマシン」となっている。ボディー補強は、ベースシャシーがこの大出力エンジンを搭載することを前提に設計されているため、必要ない。そのため生産ラインでの「スポット溶接増し」はされていない。[12]クーペモデルのSTI RAや、それを基に400台限定で製造された22BSTi(車両価格500万円 諸経費を除く)が存在する。2代目インプレッサより、それまでの5速MTから6速MTに、ブレーキも伊ブレンボ社製ブレーキになっている。
- フォレスター(2000~2500)
- インプレッサのフロアをベースに開発された都市型SUV。「スバルのターボ車」の中でも一番安い車両価格であったのと、それまでにないコンセプトの車両であったため(他社の本格クロカンブームの時期ではあったが、そのような本格クロカンは街乗りには使いづらいという声もあった)、人気車種となる。現在販売のSTIモデルはエンジンまで手が加わっているが、初代(SF5型)は外観(前後エアロバンパー・サイドスポイラー)とローダウンサスの調整、シート地の変更のみである。
- スバルVIVIO(ヴィヴィオ 660)
- レックスの後継機として登場。貨物登録のバンモデルも存在した。そのほかにもバリエーションは多彩である。
3ドアと5ドア、FWD(前輪駆動)とAWD(4WD)が存在する。バン以外はすべて電子式の燃料噴射システムとなった(バンは旧レックス廉価モデルと同様キャブレター方式を採用)。
- ヴィヴィオ ビストロ
- 「サンバーバンクラッシック」の人気を受け、販売中期に企画・製造された「クラッシック風モデル」。初代mini(英)を思わせるデザインに若い女性からの支持が集まり、人気車種となる。視界が広く、操作性や乗り心地も良かったことも支持の要因のひとつ。革張りシートの『ビストロ・クラブ』などの高級モデルも企画された。
このブームにホンダ以外の他社も追従し、スズキアルト・セルボ、ダイハツミラなどもクラッシックモデルを投入した。
- ヴィヴィオ RX-R
- ヴィヴィオシリーズのホットモデル。「EN07型」660cc4気筒エンジンに、DOHC+インタークーラー付きスーパーチャージャーをプラスし64馬力を発生。ミッションもクロスミッションとなっている。FWD/AWDモデルがあった。
コリン・マクレーらをドライバーに迎え、軽自動車規格で初めて「サファリラリー」を走った記念すべき一台。
- ヴィヴィオ T-TOP
- 3000台のみ製造されたヴィヴィオのオープンモデル。時期的にビート(ホンダ)、カプチーノ(スズキ)、AZ-1(マツダオートザム)と競合しようとした、っぽい。
- エルテン
- ヴィヴィオをベースに制作されたショーモデル。外観は「スバル360」を模している。ハイブリッドシステム的な駆動方式搭載を考えられていたが、計画中止となった。「ガソリンエンジンでいいからさっさと出せ」は、この頃の自動車雑誌の読者投稿欄によく書かれた言葉。
- スバルプレオ(660)
- 新世代軽規格車両第一弾。新型CVT「i-CVT」と「マイルドチャージ(低加給圧スーパーチャージャー)」初搭載。それまでのECVTと異なり、通常のATのような「クリープ現象」があり、また軽量化されつつも耐久性が増している。衝突安全性向上で重くなった車重をマイルドチャージでカバー(バンの全車種およびMTは非搭載)。リッターカー並の燃費と動力性能確保を図ったとしている。5ドアのみの発売で、クラッシックモデルのネスタやバンモデルも存在する。
- トラヴィック(1800~2200)
- GM傘下時代に、同じグループの独オペル社から7人乗りミニバン「ザフィーラ」の供給を受けたもの。エンジンは同社製Z3型(後期発売の1.8Lモデル”A”を除く)に強化され、足回りもスバル技術陣による見直しがなされた。生産はタイ王国のオペル工場。ヤナセでザフィーラを購入した人が、幾人か全力で涙目に。実際トラヴィック発売から程なくして、ヤナセはザフィーラの輸入販売を止めている。ちなみにトラヴィックの電動格納ミラーはザフィーラに流用できない。
- サンバーディアスワゴン
- これまで乗用モデルのなかった、サンバー初の軽乗用モデル(5ナンバー)。スバルで軽自動車を買うならこれを買えば、大概の用は事足りる。他社の軽バン乗用改と異なり、足元が広く、長距離の運転でも疲れにくい。荷室が広く、大きな品物(ベニヤ板や畳など)も載る。
- スバルR2(660)
- 意欲的で先鋭的なデザインの軽自動車。
- スバルR1(660)
- 兄弟車スバルR2よりも小振りな高級志向2+2軽自動車。
- スバルステラ(660)
- R2、R1では、ダイハツ・ムーブ、スズキ・ワゴンR等トールワゴン市場に食い込めないことを悟ったスバルの回答。走行中も静かである。販売側からせっつかれ、短期間の開発期間で高度に纏め上げた。(計画自体はそれ以前からあった。)
その他の車種はこちら → 富士重工業の車種一覧
関連動画
スバル(自動車)に関するニコニコ動画の動画。
関連商品

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公式サイト
- 富士重工業株式会社公式サイト
-
富士重工業株式会社
- 富士重工業株式会社自動車部門スバル公式サイト
-
SUBARU オフィシャルWebサイト
関連項目
- 自動車 / 軽自動車
- 自動車製造会社一覧
- 富士重工業の車種一覧
- STI
- R&D SPORT (SUBARU・STIと結びつきSUPER GTにレガシィ B4で参戦)
- スバリスト / 紳士 / 変態 / 面妖な、変態技術者どもめ
- 放課後のプレアデス
脚注
- *量販水平対向四気筒エンジンメーカーは世界でスバル一社だけである。
- *Front Engine Front Drive, エンジン前置き前輪駆動。
- *Rear Engine Rear Drive, エンジン後ろ置き後輪駆動。
- *4 Wheel Drive, 四輪駆動。四輪車の場合、前輪と後輪を両方共エンジンで駆動して四輪で車を推進させる。悪路踏破・雪上/氷上踏破性能が高いが、ブレーキでの制動性能は二輪駆動と変わらない。
- *All wheel Drive。全輪駆動。2輪車、4輪車、6輪車、8輪車だと2WD、4WD、6WD、8WDに相当する。
- *Continuously Variable Transmission, 無段階変速機
- *当時存在した自動車メーカー
- *世界ラリー選手権
- *Sports Utility Vehicle。
- *Natural Aspiration、自然吸気。過給器を使わない。
- *メーカーオプションのため、取り付けの無い車両もある
- *よく比較される三菱ランエボとの大きな相違点である。