T-28中戦車 単語


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テードヴァーツァチヴォースィミ

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T-28中戦車とは、ソ連が開発・運用した多砲塔戦車(分類は中戦車)であり、英国面被害者の会の一員[1]
ロシア語では「テー・ドヴァーツァチ・ヴォースィミ」と読む。

概要

 T-28中戦車はソ連が1933年に制式化した中戦車であり、76.2mm砲を搭載する主砲塔の他に、車体前面に機銃を搭載した銃塔を2つ搭載する多砲塔戦車であった。各国が世界恐慌による軍事予算削減&多砲塔戦車自体の将来性の無さ[2]から多砲塔戦車の開発を次々と中止する中で、世界恐慌の影響を全く受けなかったソ連はどんどんと多砲塔戦車の開発・量産を行ってしまい、結果としてT-28中戦車は生産が終了する1940年までに503両も生産されてしまった。無論、多砲塔戦車としては世界最多生産台数である。

 ポーランド東部への侵攻、冬戦争、独ソ戦初期に投入されるが、図体のデカさに対して薄い装甲の多砲塔戦車は対戦車兵器のカモであり、ソ連軍でも次第に単砲塔戦車に置き換えられた。それ以外の軍ではフィンランド軍が少数を鹵獲し、運用している。

性能

データは1933年型のもの

速度 38km/h(整地)、22km/h(不整地)
行動距離 220km
主砲 76.2mm戦車砲KT-28(16.5口径、弾薬搭載量70発)
副武装 7.62mm機関銃DT(3~4丁搭載、弾薬搭載量8000発)
装甲 30mm~11mm
エンジン M-17M V型12気筒ガソリンエンジン(500馬力)
乗員 6名

開発経緯

 紅茶の切れた英国紳士達が英国面全開で開発した世界初の多砲塔戦車、A1E1インディペンデント重戦車に中二病を刺激された衝撃を受けたソ連軍上層部は「我々も同じコンセプト[3]の戦車が必要である!」と結論付けた。しかしソ連が購入を打診したところ、紅茶を補給して平静を取り戻した英国紳士達に「こんな黒歴史を輸出できるか!」と一蹴されてしまう。で、しょうがなくソ連は多砲塔戦車の自主開発を決定し、砲塔を5つ持つT-35重戦車と、砲塔を3つに抑えたT-28中戦車タイプを開発することとなる。

 T-28中戦車はインディペンデント重戦車などイギリス製多砲塔戦車を参考に作られており、砲塔の配置やサスペンションの方式にその影響が見てとれる。というかモロパクリ。それ以外には砲身を安定させる装置や、電動式の動力砲塔を採用するなど、当時の最新技術を盛り込んでいた。しかし、多砲塔戦車の宿命として大重量の車体を駆動させるエンジンやサスペンションには問題を抱えており、これは結局最後まで解決しなかった。

 45mm砲を搭載した試作車は1932年に完成し、主砲を76.2mm砲に換装して翌年の1933年に制式化。一般大衆にはメーデーのパレードで公開された。

実戦

 ポーランド侵攻で初めて実戦投入されるが、続く冬戦争では森林や深い雪の中、土地を知り尽くしているフィンランド軍の対戦車砲、火炎瓶を使用した待ち伏せ攻撃などによりフルボッコにされた

 例をあげると、投入されたソ連軍第20重戦車旅団に所属するT-28中戦車は全車が最低2回は損傷を受け、最大で5回撃破された。同旅団におけるT-28中戦車の損失総数は482両となっており、ほぼT-28中戦車の生産量に匹敵するほどであった。

 予想以上の大損害に驚いたソ連軍は大急ぎで追加装甲を開発・取り付けするも、フィンランド軍は追加装甲が無い部分を狙って攻撃することで対処した。フィンランド軍パネェ。さらにフィンランド軍は5両(2両の説もある)のT-28中戦車を鹵獲し、自軍の戦車として運用している。

 これらの結果を受けて、ソ連はT-28中戦車に更なる装甲強化を行ったが、もはや多砲塔戦車=役立たずはソ連軍内部で常識となり始めていた。

 続く独ソ戦でもT-28中戦車は戦場に投入されるが、運用の稚拙さからかなりの数がやられている。局地的にはT-28中戦車一個小隊でドイツ軍を撃退したり、たった1両でドイツ軍が占領した都市を奇襲してドイツ軍後方部隊に大損害を与えるなど活躍を見せたが、大勢を覆すまでの力は無かった。

 その後も生き残った車両はモスクワ防衛などに投入されるが、次第に単砲塔の戦車に置き換えられていった。T-28中戦車がソ連によって最後に実戦投入されたのは1944年のフィンランド方面への攻撃であり、この時はフィンランド側も鹵獲したT-28中戦車を繰り出して応戦している。

 フィンランド軍は鹵獲したT-28中戦車を貴重な戦車戦力として重宝し、冬戦争と継続戦争の両方で実戦に投入している。特に継続戦争では遥かに高性能なT-34-85中戦車を撃破したりしている。フィンランド軍マジパネェ。最終的に冬戦争・継続戦争合わせて10両(7両という説もある)がフィンランド軍によって鹵獲・運用された。

その後

 ソ連では早々に退役したが、フィンランドでは戦後も1951年まで戦車として自軍戦車部隊に配備し続け、さらに戦車回収車に改造するなどして1950年代まで運用を行っている。 

 現在、T-28中戦車はフィンランドに2両、ロシアには1両が現存する。

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関連項目

第二次世界大戦時のソ連軍の戦車
軽戦車・快速戦車 BT(戦車) / T-26
中戦車 T-28中戦車 / T-34
重戦車 T-35重戦車 / KV-1 / KV-2 / IS(戦車)
  • 軍事
  • AFV / 戦車 / 多砲塔戦車 / 軍用車両の一覧
  • ソ連 / 赤軍
  • フィンランド / フィンランド軍
  • 第二次世界大戦

脚注

  1. *他のメンバーは同じソ連のT-35重戦車、SMK重戦車、T-100重戦車、フランスのシャール2C重戦車、ドイツのNbFz、ラーテ、そして日本の九一式重戦車、九五式重戦車、オイ車である
  2. *デカクて重たいもんだから機動力が死んでる、軽くしようとしたら図体がデカイ割に装甲が薄くなる、操作要員が多く指揮が煩雑になる、車内に余裕が無いうえ構造が複雑だから整備性が悪い、そして何より「デカイ、重い、複雑」で高い
  3. *多砲塔戦車の基本コンセプトは、歩兵の支援を受けない戦車単独での敵防御陣地突破である

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