ただいま伯爵
概要
アーカードとは、少年画報社発行の月刊コミック誌『ヤングキングアワーズ』にて連載、2009年3月に単行本10巻を以って完結した『平野耕太』作の漫画『HELLSING』のラスボス主人公である。
通称は旦那。アニメCVはTV版OVA版共に中田譲治氏。
英国貴族・ヘルシング家当主、対吸血鬼組織『英国国教騎士団(ヘルシング機関)』の長インテグラ卿に使役されている吸血鬼。対化物の切り札、殺し屋にしてゴミ処理屋。
その正体はブラム・ストーカー作『吸血鬼ドラキュラ』に登場するドラキュラ伯爵にしてそのモデル、“串刺し公”ヴラド・ツェペシュその人である。
ちなみに名前の「アーカード」は英語圏では「Alucard」と綴られ、これを逆から読めば「Dracula ドラキュラ」になる。他のドラキュラ関連作品ではアルカードとも表記される。
能力
一言で表せばチートの塊。
作中に登場した吸血鬼の身体能力は、平均的な個体においても人間を文字通りの“ボロ雑巾”にせしめる超怪力、1m程度の超々至近距離からの小銃のフルオート掃射を回避する反応速度&ライフル弾が発砲された直後に遥か後方から飛び出し、仲間を庇う程=弾丸を超える移動速度および瞬発力、仮に直撃を被ったとしてもごく一部の例外(銀製武器、法儀礼済武器等)を除いて、明確なダメージを負わないという程の耐久力、など。
上位種の個体にあっては、前述の性能を有する吸血鬼単体、集団をすら歯牙に掛けない隔絶した戦闘能力(例として6.8tの高射砲を片手で持ち上げた挙句射撃)に加え、幻術・念動力等の超常の力まで操る。
しかし、アーカードの戦闘能力はこれら異能を誇る吸血鬼達を圧倒的に上回る。音速の20倍もの魔弾をも咬み捉え、超音速偵察機SR-71ごと自身を極超音速で軍艦に叩きつけようが平気の平左。
使用武器は主に454カスールカスタムオートマチックおよび対化物戦闘専用13mm拳銃ジャッカル。装弾数はどちらも6発+1。双方共に弾丸に対化物、対吸血鬼用の特殊弾である(化物に有効とされる銀や法儀式を施した水銀など)。
ある人物は捨て駒を先行させることでこれらを消耗させようとしたが、作者曰く“『100万発入りのコスモガン』だそうで、その虐殺戦闘だけでリロード無しで40発発砲しており(動くものが何一つ無くなった後、思い出したように一応リロード)、その後の本人との戦闘でもまったく斟酌せず撃っていたことから、まるきりの無駄骨であったと思われる。
…というかその他の戦闘シーンでもお構いなしにバカスカ撃ちまくっている時点でお察し下さい。
髭でダンディな生前の伯爵形態時は甲冑を帯び、クレイモアと思われる十字剣を装備。外伝ではドラムマガジン付きのトンプソンM1928を使用していた。あと色気も。
又、吸血鬼ならではの異能として魅了の魔眼、壁抜けや壁走り、影との同化、体の液化&コウモリ化なども一通り保有しており、流水(船舶、航空機での渡航にほぼ問題なし)、日光(本人曰く『大嫌いなだけ』だとか)への耐性も完璧と言えるレベル。
しかし、彼を超絶なチートの塊然としているのは、同族たる吸血鬼たちをして化物と言わしめる程の特殊能力、そして極めて高い不死性に尽きる。
第一に、彼は“拘束制御術式”と称する術式によって自身の能力を大幅に制限しており、これを一時的、段階的に解放する事により以下のような能力を行使可能である点。
- 第3、2、1号開放時…
使い魔の使役。
全身が不定形の異形と化し、『それ』からコウモリやムカデ、“魔犬”などが対象へ襲いかかる。変則的な用法としては“全て本物”の分身となっての撹乱、末端の使い魔から“腕と銃だけ”を顕現させる視界外からの奇襲など。
現代兵器との融合。
本来、操縦に相当の専門の知識と習熟を要する軍用偵察機や、膨大な人員を以って操艦されるVSTOL空母を意のままに操る。また、燃料の誘爆によって空中分解しかかった機体を“自身の身体”を用いて応急に補修したり、“それ”の特攻によって大破炎上した艦を自力で航行させ、大西洋からわずか数時間でロンドンへと帰還を果たした。 - 零号開放時(主であるインテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシングの承認を必要とする)
通称“死の河”。
『今までに吸った人間の命』全てを亡者の軍勢として甦らせる。一度彼に取り込まれた命は、生前敵対していた者であっても無条件で彼に隷属しており、自らの所属していた陣営に対しても躊躇なく攻撃を行う。また、対象が何らかの超常能力を持っていた場合、その特殊能力をも完全に再現してしまう。
そもそも“アーカード”とは、彼が今まで吸った『血液を媒介として取り込んだ命』全てを彼自身の強靭なパーソナル及び何らかの手段、措置を以って『拘束』、『制御』し総体として活動する『運動する領地』であり、この状態は正にアーカードそのものと言える。
後述の彼自身の来歴と、永きに渡る殺戮と闘争の生涯を体現するが如く、その物量、攻撃力は圧倒的であり、一時はロンドンを恣に蹂躙したミレニアムのSS兵団(572名)並びにバチカン第9次十字軍(2875名)を瞬く間に鏖殺、彼の二つ名にあるとおり、その悉くを串刺しに晒した。
ただしこの状態のアーカードは“ヴラド・ツェペシュ”個人(中の人そっくりのひげのダンディなおじさま)=『ただ一人の吸血鬼』として顕現するため、後述のような不死性を持たず、本体のダメージが亡者たちへも伝播するため、諸刃の剣でもある。
第二に、『水面に映る影』『生も死も全てがペテン』と例えられるほどの異常極まる不死性であり、これは前述の拘束制御術式もといアーカードを筆頭とするHELLSING劇中の世界観における“真の吸血鬼”の性質が大きく関係している。
判明している範囲内でのそのメカニズムは、素質を持つ人間が血液を媒介として他者の命・魂を取り込み、融合し、個にして群体の吸血鬼として自然発生するというものである。
これは命を取り込めば取り込んだ分だけ、殺戮し喰らえば喰らった分だけ実質的に命のストックが無制限に増える事と同義であり、通常の吸血鬼にとっての致命傷である筈の心臓の破壊や頸部の切断、流水への水没等が単なる“残機数マイナス1”にしかならず、殲滅するには全ての命を殺し尽くす必要がある。
この出鱈目な耐久性からか、アーカードは本来余裕で避けられる(防御できる)筈の攻撃への対応にも基本的に無頓着、どころか敵に自分の体を木っ端微塵になるまで攻撃されるがままである事も日常茶飯事。
人物
もはや姿形に意味はないのだろうが、時々気分で髭になったりロリになったりする困った人・・・ひと?!
通常時の外見は黒い長髪に赤い瞳、凶相を浮かべなければ中性的な美形の青年。
年齢:ヴラド本人であることを考慮すれば最低でも550歳前後。
好きなもの:血液・戦い・人間(後述の条件に適合する場合に限る)。
性格:傲岸不遜。ただし所謂ところの典型的な吸血鬼としての人間蔑視などとは無縁。
「『あきらめ』が人を殺す。あきらめを拒絶した時、人間は人道を踏破する権利人となるのだ」
「貴方も50年前の様なおてんばのままだお嬢さん。いや貴方は今こそが確実に美しいのだ女王」
「私はもうおばあちゃんだぞ」「だがそれがいい」
「何という男だ。人の身でよくぞここまで練り上げた」
(『吸血鬼』である自分と対等に剣を交える『人間』へ。某狂戦士コミックの不死者の発言のオマージュ?)
闘争につぐ闘争の果てに、人道を踏破し、人間に許された生よりも遥かに長い時を生きた不死者。
しかし内心、自身が『人間でいることに耐えられずに化物へとなり果てた弱いもの』であることを誰よりも忌避している。
その裏返しとして人間としての生、人間としての老い、人間としての死、即ち人間そのものの素晴らしさへの憧憬を強く抱いており、それらを決して捨てる事のない誇りある『人間』へは彼なりの好意と敬意を以って接する。
それほどの強い想いを持つ故であろうか、一度は認めた人物が人であることを捨てた際には失望と嫌悪を露わにし、自らの眼前で化物になろうとした者には、懇願めいた忠告すら口にしたほど。
…その美意識から、彼が有効的に接する人物の多くが高齢に達していることから爺専だの婆専だのと言われる事もしばしばではあるが。
「使い魔達を出せ!!体を変化させろ!!足を再構築して立ち上がれ!!銃をひろって反撃しろ!!」
「高貴さも信念も理性もなく、キリにもコウモリにも姿を変えられない。撃たれたキズの回復すらできない。
喰うためでもないのに女・子供まで皆殺し、揚句銃弾が切れたら戦う事すらできない。
貴様、それでも吸血鬼のつもりか。恥を知れ!!」
こと戦闘ともなれば同族嫌悪も手伝ってか、真性のサディストとしての面が強く現れる。とりわけ『化物』としての矜持すら持たない力に酔っているだけの雑魚には辛辣ですらある。
前述のとおりドM呼ばわりされるほどのオーバーキルを総身に受けた後は、アッサリと一瞬で再生、『それだけやったからにはやられる覚悟もあるよね?』とばかりに本気を出してワンちゃんのエサにしたり、上役の命令に従っているだけの実質的に無関係な特殊部隊の兵士諸兄をモンスタームービーだかピカレスクアクションのようなノリで虐殺したり、そのクライマックスに昔を思い出しでもしたのか、生き残りの数人を旗のポールにデコレーションして夕飯時のお茶の間に素敵な放送事故をお届けしたり、「豚のような悲鳴をあげろ!!!」とか言いつつトランプおじさんとパーがチョキに勝つ理不尽ジャンケンで勝負してフルボッコにしたり、「亡霊を装いて戯れなば、汝亡霊となるべし」とハマリ過ぎの魔王ごっこの〆に眼鏡のそばかすッ娘をこれまた太くて長い物で串刺しにして血まで吸った揚句にお持ち帰りしたりと、どうしようもないほどの真性のドSになる。
これらの性質と絶大な戦闘力とが余すことなく披露されるアーカードの戦闘シーンは、それでなくとも暴力的な本編の中でも際立っており、それらをピックアップした動画の中では[※主人公です]との注釈が絶えない。
というか再生怪人と数の暴力に訴えるような主人公がそうそう居てたまるか。
ワラキア公国の公家(=国王家)に生まれ、幼少の頃にアッー!されたらしい。それが原因なのかそれとも元々からの主義だったのか、『“祈り”と称して神へただ嘆願をなすだけのような者は死ねば良い』、『神への祈りと祈りと祈りの果てに神(及び楽園)は降りて来る』と、狂信的かつ盲目的な信仰心の元、祈りのためだけの闘争を行うようになった。ちなみに当時は蓬髪に髭を生やしたダンディなお方であった(中の人にソックリという話も)。しかし最後は結局弟に裏切られ、兵も領民も皆殺し。城も領土も燃えて落ち、自らもムスリムの皆様に捕まり斬首される事となるが、首を落とされる直前に血液を舐め、最初の吸血鬼、すなわち真祖となる。
吸血鬼となった後はドラキュラ伯爵としてトランシルヴァニアの山中にて暮らすようになり、19世紀の暮れに、一人の代理士『ジョナサン・ハーカー』を騙しこんで城に連れ込み、後に帝都ロンドンへ船で向かう。大英帝国では散々暴れ周り、『ミナ・ハーカー』の血を吸うも、吸血鬼となった彼女によって彼もまた血を吸われることとなった。そして最終的にヘルシング教授らによって心臓に杭を打たれ倒される。この辺りの顛末はほぼ原典であるブラム・ストーカー著作『ドラキュラ』準拠と言って良いだろう。
その後如何なる紆余曲折があったものか、ヘルシング一族によって同じ吸血鬼を狩る為に使役される従僕となった。
外伝にて語られる第二次世界大戦の折には、死神君ことヘルシング家執事ウォルター・C・ドルネーズ(当時15~6歳?の少年として登場、通称はショルターとも)と共にドイツ占領下のポーランド・ワルシャワへと送られ、彼と共にナチスドイツのアンデッド軍事転用研究機関(機関全体が『ミレニアム』に帰属していたかは不明)の実験施設を強襲、トンプソンやらカンオケやらで少佐らをフルボッコしたという結末になる予定。
余談ではあるが、この際アーカードは使用武器説明時に言及した通り何故か『少女』の形態を(少佐の審美眼を信用するなら、だが)採っている。
元がワラキア公ヴラド・ツェペシュ=れっきとした男性である筈のアーカードだが、本人曰く『姿形に意味は無い』との事。本人の意思で自由に姿を変えられるこの能力を利用しての事であろうが、肝心のそのルックスはと言えば
年の頃はおおよそ13~4歳、背中の中程まで届くストレートロングの黒髪を俗に『姫カット』、『毛先ぱっつん』と称されるヘアスタイル(秋山澪、蓬莱山輝夜、古手梨花、閻魔あい、ざんげちゃん等のあの髪型)にし、逆に装いは毛皮の帽子、コート、スーツ、マフラーから靴に到るまで純白という妙に凝ったスタイル。
果ては外見にある程度性格が引き摺られるのかはたまた余興と称してウォルター(と主に読者)をからかうつもりなのかその言動ときたら、
「あ、ひょっとして犬語じゃないとダメかな?キミ。ワンワン、ワーン」
「それに私は敵の首魁を追わねばならぬ。悲しいけどコレ戦争なのよねぇ」
「まかせたぞ執事の権化!!がんばんなさいネー」
「何、あやつも手練れよ。傾城御覧ぜは手練れ狙うてよのう」
「なんじゃこの銃は。火打ち式マスケットに…てか、長っ!」
「さあ、おいで鉈女糞餓鬼!!」
「もう遅いわい、ブァーカ!!」
とドSで古風なお嬢様チック+煽り系お子ちゃま風味にご乱心。
映像化にあたってそのCVは長く論争の的となっていたのだが、この度OVA9話にて遂にその姿とCVを明らかにした。
((作者と)苗字繋がり平野綾とでも思ったか?残念!お譲さんでした!)
いずれにしてもコレだけは言わずばなるまい。
それにしてもこの旦那、ノリノリである。
その後、あまりにもチート強大に過ぎる力と闘争の為の流血を厭わない彼の性質を危険視した当時のヘルシング家当主、アーサー・ヘルシング卿(劇中時間によれば1989年前後に病没)によりヘルシング邸の地下牢獄にカラッカラに干からびた状態で封印、放置される。
しかし、インテグラの血(先代の死を機に当主簒奪の為動き出した叔父リチャードに彼女が銃撃された際の出血)を浴びて復活、リチャード郎党を鏖殺(リチャード自身はインテグラにより射殺された)、インテグラに仕える様になった。
以後、それまでの吸血鬼狩り(ゴミ処理)を受け持ち、これまた常人を逸脱した戦闘能力を保有していたとは言え、既に70歳前後の高齢にあったウォルターと入れ替わる形で(ウォルター自身は引き続きインテグラの護衛、新たにアーカードの武器製作などのサポートを含んだ執事業を続ける事となる)吸血鬼狩りの任に就き、そして始まる闘争の嵐…
最後に
敵を殺し、味方を殺し、守るべき民も、治めるべき国も、自分さえも滅ぼしつくし、人であることを捨てて化物に成り果て、他者の命を際限なく取り込み続け、その末に個人としての自我すら曖昧になった彼の望むものとは?
本項にて列挙した彼の能力からすれば無茶振りにもほどがある話ではあるが、突き詰めればそれは『化物である自分がただの人間に打ち倒され、滅ぼされる』事、その一点に尽きる。
「おまえにわたしはたおせない。化物を倒すのはいつだって人間だ。人間でなくては、いけないのだ!!」
意訳:
「人間じゃない奴になんて殺されてあげないんだから!勘違いしないでよね!狗になんか殺されたくないんだからっ!!」
ツンデレである。…なのか?
関連動画
関連静画
関連コミュニティ
関連項目
- HELLSING
- セラス・ヴィクトリア
- 少佐(HELLSING)
- アレクサンド・アンデルセン
- ウォルター・C・ドルネーズ
- ルーク・バレンタイン(狗の餌)
- ピップ・ベルナドット
- トバルカイン・アルハンブラ
- 吸血鬼
- チート
- 命のストック
- ロリコンホイホイ
- パーフェクトだ、うp主
- 素直クール
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