ゼビウス(XEVIOUS)とは、昭和58年(1983年)1月29日に発売されたナムコのシューティングゲームである。遠藤雅伸の代表作の一つである。
「縦スクロールシューティングゲーム」という分類の元祖であり、本作が大ヒットしたことにより沢山の模倣作品が作られ現在に至る。
現在の最新作は2009年1月28日に発売された「ナムコミュージアム.comm」内に収録された「ゼビウスリザレクション」である。
概要
このゲームは「縦スクロールシューティングゲーム」という分類が無かったころの作品であり、本作以前にはスペースインベーダーというシューティングゲームが大ヒットしていおり模倣作品も多かった。(ギャラガ、ムーンベース等)
しかし、本作はそれらの作品とは大きく差別化をはかり、背景画面を宇宙では無くし、画面を縦スクロールさせ、ステージの最後に巨大なボスキャラを配置し、ボスキャラを倒せば次のステージに進むといった内容にした。
これが、現在縦スクロールシューティングゲームと呼ばれるゲームの基礎となった。
また、このゲームは縦スクロールシューティングの元祖でありながら対空攻撃(ザッパー)と地上攻撃(ブラスター)を打ち分けるタイプのシューティングゲームの元祖もである。
さらには敵の出現パターンは必ずしもマップに依存する訳ではなく、プレイ時間によって出現パターンが変化し、ノーミスで進める事によってより強力な敵が出現する現在でも斬新なシステムとなっており、特定の地上物を破壊する事によってある程度パターンの変化を抑える事が出来るようになっている。この関連で、開始後の何秒間かは意図的にミスしようとしない限りミスしないように設定されているとのこと(移植作ではそのような仕様になっていない場合も多々ある)。
対空攻撃のザッパーは3連射、対地攻撃のブラスターは1発ずつの発射となっており、自機の前方に表示されている照準をめがけて発射される。
この自機前方の照準に地上攻撃を発射するシステムは後にアーガス、ツインビー、更にはレイフォースシリーズへと影響を与えている。
また、この照準は、地上物に反応して赤く点滅(スペシャルフラッグは例外)するようになっており、これにより攻撃する事で破壊できる事を判別でき、隠しキャラのソルの出現位置もこれで発見できる。
基板のグラフィック能力こそ当時としては特に優れていた訳ではないが、銀色に統一された敵や森や海、砂漠や草原、更にはナスカの地上絵と言った背景の美しさは当時の他のゲームとは一線を画していた。
スペシャルフラッグやソル、ある条件を満たすと現れる森のNAMCO文字等の隠しキャラも多い。
また、当時はまだコピー基板が横行していた時代であり、コピー基板対策としてスタート直後に画面右端の特定の位置にブラスターを打ち込むと隠しメッセージが現れるのは有名。
(有名になりすぎたせいでコピー基板にそれが逆手に取られた事も…)
コピー基板も多く、バトルス(BATTLES)、ゼビオス(XEVIOS)等が有名。このうち、ゼビオスはナムコの知的所有権を侵害していることを証明するため、法廷にて上記のメッセージを表示させる実演が行われているとのこと(正規品では「NAMCO original/program by EVEZOO」と表示されるが、ゼビオスで同様の操作を行うと「DEAD COPY Making/copy under NAMCO program」と表示される。なおバトルスではこのメッセージは「Prease/Enjoy this GAME!」に修正されている)。
本作は誰でも楽しめる単純明快なシューティングであるが、裏設定が細かく作られており、当時のゲームとしてはまだ珍しかった詳細なストーリーも設定されている。
裏設定の代表として、ゼビ文字と呼ばれる5本の線で表現された文字があり、文字がそれぞれ16進数に対応するようになっている。
この16文字以外にも何文字か存在するが、それらについては読み方が明かされていない。
これらの文字はサウンドトラックのジャケットや、一部の続編等で見る事が出来る。
また、具体的な文字については定義が無いようであるが、ゼビ語と呼ばれる独特の言語が架空言語として設定されており、作中に登場するキャラクターは全てゼビ語による名称が設定されている(が、意味が公開されていないものも多々ある)。
シオナイトといったゲームに直接影響しない演出専用のキャラが登場するのも本作の特徴である。
ゼビ語の例
本作のバックストーリーが描かれている小説「ファードラウトサーガ」より、代表的なものを抽出引用する。
- ザカート = 奇跡、魔法
- グルゼーグ = 飛行隊、戦闘機
- ガンプ = 寄せ集めたもの
- ハーロ = 光明
- デバズ = 灰、命なきもの
- バグルス = 見えざるもの
- ゲルマック = 雷
- イル = 冷たい、固定された
- ドークト = ESP
- ユース = 淑女
- レド = やり直す
- マルフ、オルラ、ギルバ = 白、赤、黒
- ファードラウト = 6つが交わる(ファーは数詞で「6」)
- ゼビウス = 第4の星(ゼビは数詞で「4」)
なお、誤解されがちだが、自機ソルバルウの由来となったソル・バルゥ=太陽の鳥は古代地球語でありゼビ語ではない。←さらにぶっちゃけて言えばスペイン語だったりする……
移植
このゲームはビデオゲーム史上でも最も多くの機種に移植された部類に入る。
その為、全てを網羅すると膨大な数になってしまうため、一部のみ記載する。
- PC-6001版「タイニーゼビウス」
初の移植作品。
ハードスペックが当時としてもあまり高くないため、見た目もマップも本来のゼビウスからかけ離れており、ナムコも許諾を出すのを拒否したが、それでも高水準なプログラム技術に多くのユーザーが驚かされた。
このゲームのプログラマーは、当時中学生で現在もゲーム製作者として活躍する松島徹氏である。 - X1版
初のナムコ許諾の家庭用移植作品である。
スクロール機能もスプライト機能もないハードのため動きはやや荒いが、当時としては驚異的なグラフィックの再現度と完成度の高さでヒット作となった。 - ファミリーコンピュータ版
マップ構成は同じものの、スペックに差があった為、大きいキャラを動かせず、アンドアジェネシスが地上物となり、その時にスクロールがゆっくりになる仕様に変更されている。
また、カセットの容量も当時はまだ少ない時期だった為、グラフィックがかなり削られ、草原や海はベタ塗り、森は角ばっており、ナスカの地上絵がカットされ、タイトルロゴも荒いドットで表現されている。
尚、このファミコン版に限り、2進数のコードを入力する事で様々な事ができるデバッグモードが用意されており、当時(まだ萌え雑誌じゃ無かった頃の)コンプティークでこの事が取り上げられた。 - MSX2版「ゼビウス ファードラウトサーガ」
ナムコのMSX2のアーケード移植では後発であり、その分クオリティも高い。
コンパイル開発で、アーケードに忠実なモードの他、大幅にアレンジが加わったモードがあり、そちらでは自機としてソルバルウ以外のマシンが数機選択できるようになっている。
FM音源に対応しており、神曲が多い。 - PCエンジン版「ゼビウス ファードラウト伝説」
- MSX版同様アーケードに忠実なモードの他、アレンジモードが用意されている。
こちらもコンパイル開発であるが、アレンジモードはMSX版とは別物で、ヴィジュアルデモが用意されて壮大なストーリーが展開される。自機は選択できないものの、敵であるタルケンをソルバルウの代わりに操作する場面がある。
中盤のBGMには初代ゼビウスのアレンジバージョンが流れる。 - Let's!TVプレイCLASSIC ナムコノスタルジア1
テレビ直結型のソフト内蔵のハードウェア。
解像度以外アーケードに忠実な移植に加え、スクランブルミッションというゲームが収録されている。
こちらはキャラクター以外本来のゼビウスとは殆ど別物で、加速減速を駆使し、障害物を避けながら迷路のような要塞を高速で抜け、最後にボスを破壊するというレーシングゲームのような内容となっている。 - 3Dクラシックス ゼビウス
ニンテンドー3DS向けに、グラフィックを3Dにしてリメイクされている。
3Dボリュームの調整によって、背景や自機などが浮かび上がるという点以外は、内容は原作と同様。
ボリュームをマックスにした際の地面との距離感は凄まじく、「こんな高い高度飛んでたのか!」と驚くこと請け合い。有野課長も驚いた。 - その他
ゼビウスの移植ではないが、エニックスから「アルフォス」というゲームがPC-8801でリリースされており、ゼビウスっぽい内容のゲームとなっている。
ゲーム性は確かに似ているが、この程度の模倣なら当時は無許諾で出されるのが普通であり、わざわざナムコから許諾を得てタイトルにもクレジットされているのは異例であった。
続編
- スーパーゼビウス(アーケード)
ゼビウスのマイナーチェンジ版。
初代ゼビウスにおいて長時間粘るプレイヤーが続出した事により、インカム対策として開発された。
高難度となっている他、隠しキャラが大幅に増加されている。
しかし、一部の隠しキャラを破壊すると点数がリセットされる等、理不尽な要素も追加されている為、当時のファンからは不評であった。
「スーパー」は英語である(super)。後に遠藤氏は「スーパーに相当するゼビ語でタイトルを付けなかったのはなぜか」とファンに質問され、「その発想が無かった」と回答したという。 - スーパーゼビウス ガンプの謎(ファミコン/アーケード(任天堂VSシステム))
こちらは上記の物とタイトルは一緒だが、それと本家とは別物であり、正当な続編となっている。
但し、遠藤雅伸氏本人は開発に関わっていない。
ゲームシステムはほぼ同じであるが、エリア毎の条件を満たさないと次のエリアに進めず、ループするシステムとなっており、アイテムを取得する事によりパワーアップが出来るようになった。
容量が増えた事により、背景が多彩になっており、前作でカットされたナスカの地上絵も登場し、カクカクだった荒いタイトルロゴも解消されている。
BGMもバリエーションが増えており、前作の雰囲気を継承した1~2小節程度のBGMが殆どであるが、終盤になるとメロディアスなBGMも流れる。
また、特定の場所で死ぬと前作のスタートBGMを聞くことが出来る。
シューティングゲームでは珍しくパスワードコンティニューが可能。
後にファミコン互換基板の任天堂VSシステムを使用したアーケードに逆移植されている。
こちらでは無限ループができなくなっており、プレイデモが追加された。
尚、このアーケード版では貴重なファミコン音源でのゼビウスのコイン投入音(「ズキューン」という音)を聞くことが出来る。 - ソルバルウ(アーケード/Wii(バーチャルコンソール))
スターブレードタイプのゼビウスの3D版。
当時はまだ珍しかったポリゴン(まだテクスチャーも無い)を採用した大型筐体のゲームで、本家の世界観をポリゴンで忠実に表現している。
ブラスターの仕様が本家と異なり照準でロックオンし、発射するとホーミングするようになっている。
また、残機制ではなく、ダメージ製を採用しており、メインディスプレイの上にある別画面(実際は同一画面を筐体で仕切って分割している)にシールドの残量が表示されている。 - ゼビウスアレンジメント
アーケードのナムコクラシックコレクションVol.1に収録されているバージョン。
続編というよりは本家のリメイク的存在であり、ストーリーも特に用意されていない。
エリア構成や敵、グラフィックやBGMに至るまで一新されており、パワーアップ要素が追加され、二人同時プレイが可能になった。
後にPS版ゼビウス3D/G+に単独で移植されている。 - ゼビウス3D/G
ポリゴンで表現されたゼビウスの3D版だが、前述のソルバルウと異なり、こちらは初代ゼビウスと同一システムをクオータービューで表現した縦スクロールシューティングとなっている。
パワーアップ要素や二人同時プレイ等、ゼビウスアレンジメントから受け継がれている部分もある。
後にレイストーム等に繋がるクオータービュータイプの縦スクロールシューティングの先駆けとなっている。(※初ではない。このタイプのゲームは意外に歴史が古い) - ゼビウスリザレクション
2009年の時点での最新作。
プレイステーションストアでダウンロード販売された「ナムコミュージアム.comm」内に収録されており、PS3で遊ぶ事が出来る。
これも続編というよりリメイクに近く、ゼビウスアレンジメントに近いコンセプトで作られた物と思われる。
但し、システムに大幅な変更があり、従来の2種類の武器のほか、シールドを張る事が可能となっており、敵の攻撃にもレーザーが加わった。
グラフィックも強化されており、いきなり宇宙から始まる等、今までに無い試みが成されている一方、旧作の地形もグラフィックを描き直した上で登場する。
その他
- 「バキュラにザッパーを256発撃ち込むと破壊できる」という都市伝説が存在するが、全くのデマであり、理論上不可能な上、プログラム上でもそういう作りになっていないと遠藤雅伸氏が否定している。これはプログラム解析の結果として、バキュラの属性に0xff(符合なし8ビット整数の最大値255)という値が設定されていたため、これが耐久力であると誤認されたためであると言われているが、根本的に本作には「撃破可能」「当たり判定なし」「撃破不能」の3種類しか存在せず、耐久力という概念を持った敵が存在しない。
バキュラは破壊不可能な敵の代名詞となっている(「ファードラウト伝説」の設定上でも「通常の4096倍ものエネルギーを使用して生産する、高純度のイル・ドークトの塊であり、スパリオ(=ザッパー)で破壊できない」とされている)が、続編ではその限りではない。
また、極上パロディウスではバキュラに似た敵が登場し、しかもショット256発分を吹き出しでカウントしている。「16bit」と書かれたものも登場する(当然耐久力は符号なし16bit整数の最大値=0xffff=65535)。 - 一瞬で気付きにくいが、敵の弾に接触し被弾するとソルバルウが一瞬上下逆さまになる。
この現象はファミコン版でも再現されている。 - 『ACE COMBAT 04』のゲームエンジンを使って『ゼビウス』をリメイクする企画があった。企画は残念ながら没になってしまったが、後にエースコンバット公式Twitterでトレイラーが公開された。
- 『エースコンバットインフィニティ』において一定の条件を満たすと『ゼビウス』のBGMと共に上空にバキュラが登場。このバキュラは機関砲を計256発当てると倒すことができ、倒した場合通り名「ガスト・ノッチ(ゼビ語で「絶好調」の意)」が手に入る。
またこの粋なアップデートに合わせてエースコンバット公式Twitterではゼビ語による「LIE BELTA NAPROOSA BACURA(リー・ベルタ・ナプルーサ・バキュラ、「バキュラ確認」の意)」という告知がなされていた。 - カプコンの「1943」や「ソンソン」等に登場する隠しキャラのタケノコは本作におけるソルのオマージュである。また、コナミの「オトメディウス」のアレキサンドリアステージには回転する石版のような敵が登場する(撃破可能なものと撃破不能なものがある)が、この敵の名称は「ラー・ユキーバ」(逆から読むと…)とのこと。
- 2002年にアニメ映画化されている。
- ファミ通の企画で編集部により手作りでゼビウスをデザエモンに移植する企画があった。
あくまで紙面上での企画であった為、実際にプレイは不可能であり、動画も無い。
デザエモンのシステム上で作られている為、システムはかなり異なっていたと思われるが、写真を見る限り見た目は非常に忠実に作られていた。
因みにセイブ開発の雷電も同企画で同時に作られていた。 - バンダイ・ナムコ統合10周年記念企画『カタログIPオープン化プロジェクト』に株式会社CAVEが参加、社のスマートフォンアプリ『ゴシックは魔法乙女』とコラボイベントが開催された。イベントでは「ソルバルウ」と「アンドアジェネシス」がそれぞれ『ソル』『アンドア』という二人一組の使い魔『ゼビウス』として擬人化された。まさかのCV.釘宮理恵である。専用STGステージも存在し、背景からBGMまでこだわって製作されていた。
なおコラボしたナムコゲームはそれだけではなく、パックマン(CV.洲崎綾)、ディグダグ(CV.早見沙織)、マッピー(CV:斎藤千和)、ギャラガ(CV:本渡楓)がそれぞれ使い魔として擬人化された。CAVEなら仕方ない
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