日蓮宗(宗教法人・日蓮宗)とは、鎌倉時代の僧侶、日蓮の教義を宗とする仏教の一派である。
後述のように妙法蓮華経を経典とするため、日蓮法華宗とも称される。
概要
鎌倉時代、世は末法を呈していた。なぜならば、鎌倉時代に端を発する武家社会の萌芽と台頭、北条氏と天皇・上皇による権力闘争、元寇の来襲などで社会は混乱し、荒れに荒れまくっていたためである。
日蓮宗は、そんな鎌倉時代に「法華経二十八品と特にその訳書「妙法蓮華経」こそ釈迦が衆生救済の為に説いた真実の教えであり、この末法の世を正すものである」と日蓮が説いた宗派で、教義に当時の世相が見られる。
成立後「日蓮宗」内には勝劣派・一致派などの無数の諸宗派が分派していたが、それら諸宗派を包含し統一することで成立したのが近世における日蓮宗である。そのため、総本山身延山久遠寺の下に5つの大本山と40以上の本山が含まれでおり、日蓮宗は「妙法蓮華経」を経典とする宗教法人の中では最大宗派となっている。
また、日蓮が鎌倉時代中期の各仏教宗派を「四箇格言」として
念仏無間(念仏宗(現浄土宗/浄土真宗)を信じれば無間地獄行き)
禅天魔 (禅宗は天魔の所業)
真言亡国(真言宗は国を滅ぼす)
律国賊 (律宗の僧は国賊である)
と排撃したことから、他宗派に厳しい時代もあったのが日蓮宗の特徴である。現代ではもはやそのようなことはなく比較的自由であり、中には寺フリーダムなMADテンプルもあるかもしれない。
他宗との簡単な見分け方
お寺から威勢の良い読経や唱和が聞こえてきたら、そこは大体が日蓮宗のお寺さんです。
日蓮宗では、読経の時には太鼓で、お題目を唱える時には片手で持つ団扇太鼓を鳴らし、その音頭に乗って一斉に題目を唱え、独特の「空気」を作ります。
またこの宗派では念仏を唱えない代わりに、毎朝夕の題目の唱和を欠かしません(念仏は口の中でぶつぶつ、題目は高らかに声に出す)。その理由もあって、日蓮宗の「妙法蓮華経」には、独特の節回しがついています。
これは浄土宗との比較で考えるとより、分かりやすくなります。
二つの宗派には、末法の世に、民衆救済という志をもって登場したという共通点がありますが、一方は「南無阿弥陀仏」をもう一方は「南無妙法蓮華経」を唱える事で救われると説きました。
決定的な違いは、浄土宗が極楽浄土で救われるとしたのに対し、日蓮宗はあくまで現世で救われなければならないとしました。日蓮にとっては、今この現世で起きている事が重要であり、日蓮が開山した当時の政権(北条政権)に対しても、『法華経』を信仰しないと(来世で救われるのではなく)日本が滅びると建言しました。
こういった理由もあり、日蓮宗は声高に現世救済を叫ぶというのを是にしています。
注意
※よく勘違いされるが、同じ法華経を経典としていても、『日蓮正宗』『顕正会』『創価学会』、『霊友会』『立正佼成会』などとは、日蓮宗とは全くと言っていいほど違うので注意が必要。
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