点と線とは、以下のものを指す
本稿では1.と2.について主に解説し、3.は少しだけ触れる。
小説
九州博多付近の海岸で発生した、一見完璧に近い動機づけを持つ心中事件、その裏にひそむ恐るべき奸計! 汚職事件にからんだ複雑な背景と、殺害時刻に容疑者は北海道にいたという鉄壁のアリバイの前に立ちすくむ捜査陣……。列車時刻表を駆使したリアリスティックな状況設定で推理小説界に“社会派”の新風を吹きこみ、空前の推理小説ブームを呼んだ秀作。
1957年から1958年にかけて雑誌『旅』に連載され、1958年に光文社から単行本が発売された、松本清張の最初の長編推理小説。1971年に出た新潮文庫版が半世紀以上経った2023年現在も容易に入手可能なほか、2009年に出た文春文庫版も入手可能。
それまで日本のミステリーは「探偵小説」と呼ばれ、江戸川乱歩に代表されるように、現実離れしたおどろおどろしい世界を舞台に、エログロの猟奇趣味や怪奇幻想も入り乱れるいかがわしい読み物という雰囲気があった。そこに登場した本作は、地に足のついた現実的な事件を刑事が地道な捜査で追いかけるというリアリズムを導入し、まだ庶民にとって旅行が一般的な娯楽でなかった時代に旅情の要素も入れたことで、幅広い読者を集めて大ベストセラーとなった。以後、この清張の作風を模したミステリーが量産され、「社会派推理小説」として60年代前半にかけて一大ブームを築くことになる。
前年に第3回江戸川乱歩賞を受賞した仁木悦子『猫は知っていた』とともに、マニアックな世界だった「探偵小説」が広く一般的に読まれる「推理小説」に変わる契機となった作品。作中の有名な「空白の4分間」は刊行当時は実際に発生するものだったため、東京駅に見に行く人が続出したとか。
文字通り、日本のミステリーの歴史を変えた記念すべき作品である。同時に、現代においては50年代当時の当時の電車の旅の様子を追体験できる歴史小説ともなっている。
ただしミステリーとしてのアリバイトリックそのものは、ぶっちゃけ「えっ? それがトリックなの!?」という代物。当時としては新鮮だったトリックが今読むと経年劣化で古びてしまった……というわけでもなく、このトリックは刊行当時からマニアの間では評判が悪かった。何しろ戦前の作品に同じものをもっと上手く使った長編があったわけで、清張自身もこのトリックは失敗だったと認めている。そのため映像化などではトリックそのものは早めに検証し、そこにもう一段謎を仕込むという形を採っている。
また「社会派」要素も単に事件の背景に汚職事件が存在するというだけで、社会問題を鋭く追及したり重厚なテーマを掘り下げたりはしていない。そのため、歴史的名作という評価から現代のミステリファンが過度な期待をもって読むとガッカリする可能性が高い作品でもある。現代のミステリファン向けの本作の魅力については、文春文庫版の有栖川有栖の文庫解説などを読むのをオススメする。
映像化は清張作品としては少なく、1958年の映画化と2007年のビートたけし主演のテレビドラマ化の2回のみ。これはダイヤの変更で発生しなくなって以来、本作の最大の見せ場とも言える「空白の4分間」を映像で再現することが難しいためと思われる。2007年のテレビドラマ版では、宮原総合運転所に1957年の東京駅のオープンセットを組んで撮影された。
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関連項目
アニメ『星屑テレパス』OP主題歌
「伊藤美来 11th Single」 に収録される。(2023/10/11(水)発売)
・ネット上では楽曲のイントロからモールス信号のリズムを刻んでおり何かしらのメッセージを伝えているのではという考察もしばしば見受けられる。
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戦争
広大な領土を持つ敵国に攻め込んだ際に、その領土のすべてを占領することができずに、都市および都市と都市をつなぐ幹線道路のみを占領している状態のこと。日中戦争などで発生した。
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