裁判官とは、裁判を行う人である。
概要
裁判官の役割、任用方法は各国によって相当違いがあるので、以下に憲法裁判所非設置国として日本・アメリカとスイスを例示し、憲法裁判所設置国については憲法裁判所裁判官の任用方法のみ述べる。
日本の場合
民事裁判の全て・刑事裁判のうち裁判員裁判対象外のものにおいて、事実認定から法的判断までを行う権限がある。裁判員裁判においては、裁判員と合議のうえで事実認定をして、量刑判断を行う。法解釈は裁判官の専権事項であり、裁判員は関与できない。
裁判官になるには、比較的若い年齢で司法試験をクリアしたうえで、司法試験・司法修習とも上位の成績を収めた上で、司法修習中に裁判官志望であることを表明するとなることができる。この他、弁護士からの任用制度もあるが、正直狭き道である(最高裁判所裁判官のみ、学者、行政官、検察出身者がなる枠がある)。
アメリカの場合
民事裁判・刑事裁判において陪審制がないものについては事実認定から法的判断まで全ての権限があるが、陪審制の裁判においては事実認定をする権利がなく、陪審員が認定した事実をもとに法的判断のみを行う(これをすることにより、刑事裁判においてはより「疑わしきは被告人の利益に」が実現されるようだ。日本でも同じ傾向がある。[1])。
裁判官になるには、法曹資格を有することが大前提だが、州によっては選挙で当選した人が裁判官になる制度がある。このとき、支持する政党を表明してよいとする制度を導入している州もあれば、そうでない州もある(このため、裁判官は政治家へのステップと考える者もいる)。また、アイオワ州では同性婚を合憲とした裁判官が州民審査によって罷免される[2]など、日本より政治的背景に左右される。
スイスの場合
州によって陪審制・参審制を採用する。特徴的なのは検察官による略式命令であり、6か月以内の禁固刑及び罰金・過料を検察官が言い渡せる。このため、スイスで有罪判決の9割以上を言い渡しているのは、裁判官ではなく検察官であり、刑事司法においてスイスの裁判官はごく少数の重大事件と、検察官が下した判決に対する異議申し立てを裁いているに過ぎない[3]。日本のように検察官が略式起訴をしようと思ったら、裁判官が「略式起訴は不当」と判断し正式裁判を開いた、という事例[4]は存在しないのである。
州によっては、今でも裁判官公選制がある。これはスイスの直接民主主義から来ている。
憲法裁判所がある国
政治的任用がなされることが多いようだ[5]。すなわち、憲法裁判所を設置するということは、実質的には憲法判断を政治的に行おうとすることに等しいといえよう。
関連動画
関連静画
関連項目
脚注
- *裁判員裁判では供述証拠より客観的証拠が重視される傾向にある。【変わる法廷 裁判員制度10年(1)】崩れた供述依存 コールドケース、物証で光
- *2018年中間選挙とアメリカの州裁判官公選・審査制(1)
- *まるで宗教裁判?検察官が判決を下せるスイス
- *「電通裁判が問うものは」(時論公論)
- *諸外国等における最高裁判所裁判官任命手続等一覧表
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