“弱い”ってことはもっと強くなれるって事やんとは、猿渡哲也の漫画『TOUGH』に登場するセリフである。90th MATCH「命をつなぐ」内で主人公・宮沢熹一により発せられる。
ハイパー・バトル日本予選終了後、薔薇丸と同じ列車に乗り合わせた熹一は、「お前は一番最後に倒す」という約束を果たすべく、素手と超日本刀で激突。
心眼を使い、薔薇丸の突きを脇の下で受け止めたあと、顔面に膝蹴りを入念に叩きこむ。
「武器を持たなかったら人間は猿にも劣る」と言い、身体をガクガクさせつつ立ち上がる薔薇丸に、熹一は「何がお前をそこまでさせるんや… 薔薇丸ちゃん」と問う。
すると薔薇丸はマントをバッと掻き上げると同時に、自分が父から受けて来た容赦のない徹底的な英才教育について話し出す。
弱い者は子供として認められないと言われ育ったこと、いつでも自分を殺せると豪語する父は恐怖の存在でしかなかったこと――
しかし、そんな父も寄る年波には勝てなかった。とある武闘家と立ち合って大怪我を負い、入院生活を余儀なくされてしまったのだ。
薔薇丸は病室に入ると、来訪を喜ぶ老いた父に向け「みっともない あなたには失望しましたよ」と吐き捨て、父が会得できなかった円月流の秘剣“土竜突き”を習得したと告げる。
「私も認めませんよ 弱い父親なんて認めません」と実の息子に言われた父親は涙を流し、PC書き文字の慟哭を上げる――
「私はみじめで無様なものが許せないんです」「それが自分であっても身内であっても他人であってもね」。
信念を話す薔薇丸に、熹一は「そら性格も歪むわのォ」「オトンが言うてたわ 才能のない子供に英才教育するほど不幸なことはないってなあ」「ワシは天才やからめっちゃ楽しかったもん」と言い放ち、天才と凡人の差を見せつけるため、“土竜突き”をやってこいと注文。
リクエストに応え構える薔薇丸は、“攻撃性”を表す赤色、それも限りなく血の色に近い赤いオーラを放出してゆく。
対する熹一は“信心”を表す緑色や、“慈悲”を表す黄金色のオーラを纏いだす。
二人のオーラで充満しきった車両が、虹色に輝きだした時、薔薇丸が遂に“土竜突き”を繰り出す。
下段からの逆袈裟をフェイントに一気に突きに変化した刃を、オトン直伝の“弾丸すべり”を駆使し顔面で滑らせた熹一は、そのまま右のカウンターを合わせる。
ふっ飛ばされた衝撃で窓を突き破った薔薇丸は、自らの腕を掴む熹一に、格下だと思っていた者に無様に敗れた自分自身が許せないからこのまま死なせろと懇願するも、熹一は決死の覚悟で彼を救う。
屈辱にまみれうずくまる薔薇丸に対し、熹一は「お前はハッキリ言うて弱いわっ 腕も心も」と指摘。
その言葉に歯を噛み鳴らす薔薇丸だったが、熹一は「よかったのォ…」「“弱い”ってことはもっと強くなれるって事やん」と、格闘漫画の主人公らしい爽やかなセリフを吐く。
「それってけなしてるんですか? 励ましてるんですか?」という質問に「どっちでもええやん」と答えた熹一を病院に見送ったあと、薔薇丸は再び父のいる病室を訪ねる。
「わ… 私は…」と言葉が上手く出ない薔薇丸に対し、父は「言うなっ」「わかってる」「私のケガが癒えたらまた修行だ」と宣言する。
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最終更新:2025/04/17(木) 12:00
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