漫画家とは漫画・コミックを描くことで収入を得る人のこと。
(→ 漫画 の項目も参照)
概要
漫画家とは、漫画の制作を行う人間のことである。
漫画家と呼ばれるのはあくまで作品制作において主体的な役割を果たす者であり、作画などに関する補助的な仕事のみをする場合はアシスタントと呼ばれる。また作画の担当を他に設け、シナリオのみを書く者もいるがそうした人々も通常漫画家とは呼ばれず、漫画原作者と呼ばれるのが一般的である。
子供のなりたい職業に挙げられる事もよくある。
小学校など、いつも絵を描いていて「漫画家になる!」という子を見たことがないだろうか。
いいところ
自分のキャラクターや世界観、ストーリーが大勢に認められる。
日本中の書店に君の作品が並ぶ。アニメ化、映画化、ゲーム化も夢じゃない!
ほら、君の描いたキャラクターが画面で身軽に動いてるぞ!もちろん有名声優の声つきだ!
心に響くOP曲!まさにイメージ通りじゃないか!世界観をよく引き立ててる!
好きなものを描くだけで億万長者なんて最高!
発言力も強く、twitterすれば瞬く間にいいね!や賛同の嵐。俺TUEEEE状態。
ネットに投稿したら「先生何やってんすかシリーズ」「プロの犯行」とか言われてワロタw
テレビや取材でひっぱりだこ。有名人や他の漫画家さんとも仲良し。
羨望の眼差しと共に世界中に君の名が轟き、死後も歴史に名を遺す偉大な漫画家となるのであった。
…上手く行けば確かにそうなのだが。
現実
- 非常に競争が激しい世界。
- 人気がなければあっという間に打ち切り/候補入り。中途半端な展開で切られる事も。
- いくら人気を博しても面白さを維持できなければグダグダになるため、引き際も考慮する必要がある。
- 出版社・編集部に自分で売り込みにいかなければいけない。
- 一定のコミュニケーション能力も必要。
- 厳しいダメ出しを食らう可能性もあるため、メンタルの強さも必要。(なった後にも必要)
- 「郵送したので読んでください」も一応可能…であるが、読まれる保証がない。
- ダメだったら他の雑誌を当たる手はある。…が、必ずどこかが採用してくれる保証はない。
- なれなくても地獄。なっても地獄。打ち切られても地獄。
- 「絵が上手い」だけではなれない。
- 絵が上手い人はザラにいるため、「絵が上手い」自体が没個性的になりがち。
- 絵が下手=絶対になれない訳ではないが、桁外れに秀逸なセンス、他では真似できない(習得が困難)な知識分野・実体験・表現技法といった「画力以外」が相当に優れていないと難しい。
- 大抵のアイデア・ストーリーは既に世に出ているため、十分に差別化できなければ埋もれる。
- もちろん運もあり、同時期にメチャクチャ上手い人に囲まれたら厳しいかもしれない。
- 思い通りの物が描けるとは限らない。
- 編集や担当から「こうしろ」「こういう展開に変えろ」と横槍が入ることは珍しくない。
- 過激すぎたり、放送禁止、厄介な実在国家・組織・団体を敵に回すようなものは訂正を余儀なくされる。
(大人の事情)
- 毎月/毎週の締め切りに追い掛け回され、休日や寝る暇もない場合も。
- エアコンの効いた部屋で座って描き続けるだけと思いきや、体力・根気・精神力が必要。
- 細かい線や特殊効果など、集中力が必要な繊細な作業も要求される。
- 描く気力があってアシスタントが揃っていても描けないことも。
- 肝心な所でネタ切れを起こしたり、知識/技量不足が露呈。(→ネタ)(→ネタ切れ)
- 全く知らない分野を描こうとして適当に描いたら、構造や基本が大間違いで雰囲気ぶち壊し。
- ストーリーや表現、伏線といった不備でコレジャナイ展開が打破できない。
- 描けなくても締切や編集部は待ってくれないため、打ち切りが現実味を帯びてくる。
- やっとの思いで描き上げたら、ボツにされて描き直しを要求される。
- やっとの思いでOKを貰ったら、次の締め切りが迫ってくる。(無限ループ)
- 一部の作業はアシスタントさんに任せることもできる。…が。
- アシスタントの給料は漫画家の負担。
- 時給1000円で3人を8時間雇うと、一日あたり2.4万円、毎月20日雇うと48万円。
- 週刊誌で1pあたり6000円で18p描くと…10.8万円×4週=43.2万円…4.7万円の赤字。
- 週刊誌で1pあたり6000円で24p描くと…14.4万円×4週=57.6万円…9.6万円の黒字。
- 簡単な一例であり、熟練のアシさんだと時給は上がる。
- ページ単価も人気・貢献度、交渉・契約次第で上がる。(人気が出れば、だが)
- もちろん家賃・光熱費・食費・人数分の机などの備品等も自費負担。
- 大勢が不自由なく仕事できる部屋…家賃も高くなる。(立地にもよるが)
- 原稿料とよくて相殺、悪くて大赤字になるため、そこらのアルバイトの方が儲かる場合も。
- 連載=億万長者ではないため、有名漫画雑誌に載っても思ったほど収入にならない。
- 貢献度等によってページ単価が上昇していく。(連載時の契約内容にもよる)
- 単行本が1万部程度売れてもまったく億万長者ではない。
- 500円の単行本×1万部売れた=500万円もらえる訳ではない。
貰えるのは本の値段ではなく、印税収入。(印税は本の定価のおよそ10%前後)
- 1万部売上:印税収入で定価1000円で100万円、定価500円では50万円。
- アシスタント代もあるため、数人雇うと50万円なんて半年ももたない。
- 商品として複数購入されづらい。
- 飲食品のように同じ巻を頻繁に買う人はいないため、毎月もらえる訳ではない。
- 漫画本はテレビやパソコンのように5~10年で壊れて買い替え…という事もない。
- アニメ化・映画化されて大ヒットしても、それだけで巨万の富が手に入るわけではない。
- 絵を描く事が大好きだったのに、無理やり描き続け・描かされ続けて嫌いになることも。
- これが絵を描く事が好きな人には一番つらいかもしれない。
- 「趣味は仕事にするな」という人もいる。個人差はあるが。
- (番外編)順調にやっていたのに、twitter等で迂闊に問題発言をしてしまい打ち切り/人気低落。
- 珍しいパターンだが、「俺はこう思うぜ!」×「発言力」の威力は凄まじいもの。
- もし念願の漫画家さんになれた方が居たら気を付けて欲しいものである。
…すいません、想像しながら書いてるだけでつらくなってきた。
(※他にもあれば追加してください)
既に市場に貼られているが、漫画「バクマン」などを読んでみるといかがだろうか。
それでも漫画家に俺はなる!!
がんばれ。
…とはいっても、家でゴロゴロしながら適当に絵を描いているだけではなれない。
また「絵が上手いだけ」ではなれない。
情報・アイデアを手に入れれば可能性も一気に広がる。情報の価値を舐めてはいけない。(→情報)
家の外に出たり遠くへ行ったり、割と忙しいかもしれない。
「絵画教室に行く」「プロを雇って指導を受ける」といったお金のかかる方法は除いても
無料またはほとんどお金をかけずにできる事は以下の通りである。
- 様々な情報・価値観に触れてみる。
- 図書館や書店、ブックオフなどには様々なジャンルの本が陳列されている。
- 適当でもいいから手に取ってみて、わかる部分だけでもじっくり読んでみる。
- マニアックな週刊誌・月刊誌を手に取って、その世界に飛び込んでみよう。
- 資格参考書などは専門的な雑学も多い。
- 書店によってはカラーで写真資料を集めた資料写真集なども扱っている。
- インターネット上でも検索すれば様々な情報が手に入れる事が可能である。
- ただし検索しないと出してくれないし、検索内容には個人差が大きい。
- 前述のように、書店でランダムに手に取った方が手に入りやすいメリットがある。
- いろんな施設・名所・史跡・機関に出向き、見学・体験・経験してみる。本物を見てみる。
- 家の中や近所の物・現象を全部観察し、片っ端から疑問に思って検索にかければ雑学情報も増える。
- かなりの強硬手段である。ちなみに発明王エジソンさんはそれをガチでやっていた。
- よさそうなネタ・題材があればメモしておく
- いわゆる「ネタ帳」である。小さな手帳やチラシの裏を切って束ねたものでも良い。
- 新規購入しなくても、既存のノートや手帳の端に書いていく手もあり安上がり。
- 面倒くさがって記憶に頼ると大半は忘れているのがオチである。
- ネタ切れ(項目参照)を防ぐことも可能。
- 現場の道具や小物をメモしておくと、作品を作る際の雰囲気づくりになる。
- 最低限の勉強はしておく
- 100点満点を取る必要は無い。
- 「漫画家で絵を描くだけだから学校の勉強なんてしなくていい」→基礎的なところでコケる。
- 「漫画家になれなかった場合」の保険にもなる。こちらの方が大きいかもしれない。
- リアル系作品を描く場合は特に必要である。
- 柔軟な考えを持つ
- 常識だけに凝り固まってしまうと、自分から選択肢を大きく狭めてしまう。
- 絵の上では常識にとらわれない様々な描写が可能である。
- (※他にもあれば追加してください)
関連商品
関連項目