アルクトス

アルクトス(Arctos)とは、2015年生まれの日本の競走馬。鹿毛の牡馬。

新冠町・須崎牧場生産、美浦・栗田徹厩舎所属
馬主は山口功一郎(東京の投資ファンド会社経営者。所有馬にシャインガーネット等)

主な勝ち鞍
2019年：プロキオンS(GⅢ)
2020年：マイルチャンピオンシップ南部杯(JpnⅠ)※日本レコード
2021年：マイルチャンピオンシップ南部杯(JpnⅠ)、さきたま杯(JpnⅡ)

馬名は「北斗七星(ギリシャ語)^[1]」。母馬からの連想でもある。

恒星の生い立ち

父アドマイヤオーラ、母ホシニイノリヲ、母父*シンボリクリスエスという血統。

父のアドマイヤオーラは現役時代重賞3勝を挙げたアグネスタキオン産駒で、母はビワハイジ、半兄にアドマイヤジャパン、半妹にブエナビスタなどがいる良血馬。また2007年クラシック世代の牡馬で唯一、同期のウオッカとダイワスカーレット双方に勝利した事がある馬である。アルクトスが生まれる2か月前に肩甲骨の複雑骨折で予後不良となり11歳でこの世を去ってしまったが（ラストクロップは2016年産世代）、没後に産駒がダートで活躍し始め早世を惜しまれた。
母のホシニイノリヲは現役時代ダートで1勝。
母父のシンボリクリスエスは2年連続天皇賞(秋)と有馬記念を制した優駿で、種牡馬としても活躍。近年ではオジュウチョウサンやレイデオロなど母父としても活躍を見せている。
祖母*コンキスタドレスは現役時代米国でGⅠ2着があり、9代母は一大牝系の祖であるラトロワンヌである。

1歳時の北海道セレクションセールで税別1900万円で落札され、美浦の栗田徹厩舎に管理されることとなった。

北斗七星に祈りを

2～3歳

2歳10月の東京ダート1400mで大野拓弥を鞍上に据えデビュー。不良馬場の中3番手から直線でも伸びたものの逃げ馬を捕らえきれず2着に敗れた。翌年2月に東京ダートマイルの未勝利戦で後続に6馬身差をつける圧勝で勝ち上がる。
1800mに伸ばした中山の自己条件戦では先手を取って逃げるも早くから被され、最後の直線で伸びなく8着に敗れ、続く芝マイルで田辺裕信に乗り替わったが2.2秒差の9着に敗れた。これ以降、全戦で田辺が騎乗している。

その後古馬混合戦が始まった6月になると、まず500万条件では重馬場の中古馬を相手に3馬身半差を付ける快勝を収め、続く1000万条件の猪苗代特別では最後の直線でインから突き抜けてスルスルと準オープン入りする。

ここで3歳ダート重賞であるレパードSへ出走。ここでは4番人気に推され、レースでは終始インの3番手を追走するが直線で伸びは今ひとつで、グリムの5着に敗れた。その後3ヶ月空けて東京の1600万下・綿秋Sでは、8頭立ての中先手を取って淡々と逃げ、並びかけてきたレッドオルバースを半馬身封じ、3歳でオープン入りを果たす。

4歳

明け4歳となり中山のOP・ポルックスSから始動。レースでは先手を取るがテーオーエナジーが並びかけてきた事もあり控え、直線に入っても伸びてはいたものの他馬の勢いが勝り6着に敗戦。
しかい東京のオアシスSでは5番手から直線外目を回し、逃げるドリームキラリを差し切ってオープン級初勝利を飾り、続く欅Sでも最内で粘るドリームキラリをゴール前で競り落として連勝。

そして中京夏のダート重賞、プロキオンSへ出走。新馬戦以来の1400m戦という事もあり1番人気をマテラスカイに譲るも続く2番人気に支持され、レースでは逃げるマテラスカイ他先行馬を見る5番手を追走し、直線では最内に潜り込んで脚を伸ばし、外からミッキーワイルドが並ぶと抜かせまいと更に脚を伸ばし、結果2着ミッキーワイルドに半馬身差を付けて重賞初制覇を果たした。この勝利は厩舎にとっても、生産牧場にとっても、馬主にとっても初の重賞タイトルであった。

その後MCS南部杯へと出走。ワンターンかつ直線が長めの盛岡競馬場の適性は高いと見られ、目下GⅠ連勝中のゴールドドリームが圧倒的人気も、アルクトスはそれに次ぐ単勝3.6倍の2番人気に支持され、その次のロンドンタウンが単勝16倍台であった。レースでは逃げるロンドンタウンを見る3番手を追走し、直線では内を突いて脚を伸ばすも、出脚の鈍さを克服したサンライズノヴァが外から突き抜けて2着となった。

5歳

年が明けて5歳となり、フェブラリーSから始動。ここでは芝から転向してきたモズアスコットが1番人気になり、本馬はインティとサンライズノヴァに続く4番人気に支持されたが、2番枠から好発した事もあり、隣の枠のワイドファラオと逃げ合う形となり、緩み無い流れで末脚を無くしてしまい9着に敗れた。
続くかしわ記念は7頭立ての4番人気となり、レースでは3番手を追走するが今度はワイドファラオに上手く逃げられてしまい、また直線での伸びも今ひとつで4着となった。

その後札幌のエルムSに出走するが、道中中団といつもより後ろ目となり、上がり3位の脚も順位を上げるには至らず同期のGⅠ馬タイムフライヤーが復活する中6着となった。

その後2度目のマイルチャンピオンシップ南部杯を迎える。上位はかなりの混戦模様となり、前年勝ち馬のサンライズノヴァが3.5倍の1番人気で、アルクトスは6番人気も単勝は6.9倍。モズアスコットにゴールドドリーム、インティにワイドファラオと何があっても可笑しくない状況であった。
雨の影響もあって稍重発表となった盛岡競馬場。レースは内枠のインティがハナを主張するも3, 4コーナーからアルクトス含め後続が殺到。残り400m時点でモズアスコットと共に先頭に立ち、盛岡の直線一杯を使った追い比べとなる。結果、残り50mでアルクトスが抜け出てクビ差でゴール。自身初のGⅠ級タイトル獲得と同時に、雨によって高速化した馬場も相まってタイムは1分32秒7の日本レコード。クロフネの持っていたダート1600mのレコードを0.6秒更新する高速タイムとなった。

その後チャンピオンズカップへ出走。1800m超の実績が無い為か9番人気となり、レースでは出入りの激しい展開も好位を追走していたが、直線では他馬の勢いが勝り人気通りの9着となった。

6歳

年が明け、6歳初戦は根岸Sから始動。ここを2番人気で迎え、レースでは先行馬が緩みないペースを刻んでいた事もあり6番手付近を追走。直線では内に潜り込んで脚を伸ばすものの、外から伸びるレッドルゼルの勢いが勝り、59kgの斤量もあってか4着となる。
続くフェブラリーSでも2番人気となり、ここでは外目の好位を追走し直線に入って一時は先頭争いを伺う手応えを見せたが、半ばで一杯となり9着に敗れた。

その後間を空けてさきたま杯へ出走。ここではエアスピネルやワイドファラオなどを抑えて1番人気に支持され、レースではプレシャスエースやベストマッチョなど地方組が先行し、アルクトスをそれらを見るように5番手付近を追走。直線入口で先行馬が一塊となった所を外から強襲し、内から抜けてきたエアスピネルを半馬身封じて重賞3勝目を挙げる。

さきたま杯後脚部不安を発症した事もあって南部杯かJBCのどちらかを年内最終戦に見据え、最終的に南部杯を選択。マイルチャンピオンシップ南部杯は臨戦過程と調整の不安もあったが最終的に1番人気に支持され、ソリストサンダーやエアスピネルなど春に涙をのんだ馬達が人気を集めた。
レース本番は雨こそ上がったものの馬場は不良にまで悪化。大外16番枠発走となったアルクトスは逃げるワークアンドラブ、ヒロシゲゴールドを見る3番手を追走し、直線に入って内で立ち回るヒロシゲゴールドを外から交わし、そのまま脚色は鈍ること無く、2着に2馬身半差を付けて同レース7頭目となる連覇を果たした。田辺裕信もコパノリッキー以来となる南部杯連覇となった。

7歳

明けて7歳初戦はフェブラリーS。レッドルゼル、カフェファラオに次ぐ3番人気に支持され、道中5番手で進めたが、直線で前残りの高速決着についていけず7着。
続いてドバイ・ゴドルフィンマイルの招待を受諾し、鞍上には川田将雅を迎える予定で出走を目指して調整したが、結局体調が整わず断念。

次走はブルーコンコルド以来の3連覇がかかるマイルチャンピオンシップ南部杯となった。山口オーナーがレースに先立って年内での引退と2023年からの優駿スタリオンステーションでの種牡馬入り予定を明かしており、種牡馬入り前の花道を飾りたい一戦となったが、休み明けも響いたようで4角からズルズルと後退し*カフェファラオの14着に大敗。レース後に山口オーナーから引退が発表された。

TIPS

• 3歳時の福島で勝った1000万下を除けば、それ以外の9勝は全て東京・中京・盛岡・浦和と全て左回りコースである。また足抜きの良い湿ったダートを得意とする。540kgを超す雄大な馬格を持ち、ストライドが非常に大きい。インティ辺りと見比べるとよく分かる。
• 自身初の重賞タイトルになったプロキオンSだが、プロキオンは恒星の名前であり尚且つこのレースが行われたのは7月7日の七夕であった。それをホシニイノリヲの産駒であるアルクトス＝北斗七星が制するという星尽くしのレースとなった。更に同日の七夕賞ではトーセンホマレボシ産駒が勝利している。誰ぞこのサイン馬券を当日に見つけて儲けた剛の者はおらんか！？

血統表

アドマイヤオーラ 2004 鹿毛	アグネスタキオン 1998 栗毛	*サンデーサイレンス	Halo
			Wishing Well
		アグネスフローラ	*ロイヤルスキー
			アグネスレディー
	ビワハイジ 1993 青鹿毛	Caerleon	Nijinsky II
			Foreseer
		*アグサン	Lord Gayle
			Santa Luciana
ホシニイノリヲ 2009 鹿毛 FNo.1-s	*シンボリクリスエス 1999 黒鹿毛	Kris S.	Roberto
			Sharp Queen
		Tee Kay	Gold Meridian
			Tri Argo
	*コンキスタドレス 1992 鹿毛	Seeking the Gold	Mr. Prospector
			Con Game
		Bless You	Halo
			Wedding Party

クロス：Halo 4×4(12.50%)、Hail to Reason 5×5×5(9.38%)

関連動画

関連項目

• 競馬
• 競走馬の一覧
• 2018年クラシック世代
• 田辺裕信
• アドマイヤオーラ
• トウケイニセイ、ブルーコンコルド、ユートピア、エスポワールシチー、ベストウォーリア、コパノリッキー：南部杯連覇クラブの皆様

脚注

1. *厳密には「熊」の意であり、北斗七星の属するおおぐま座を指す。