ファミコンウォーズとは、1988年に任天堂から発売されたウォー・シミュレーションゲームである。
開発は『ファイアーエムブレム』シリーズでお馴染みのインテリジェントシステムズ。
キャッチフレーズは「頭をキタえて待っていろ。」
概要
現代兵器による戦争を扱ったウォー・シミュレーションゲームは「大戦略」などがあったが、ユニットのデータが細かすぎるなどの理由で、シミュレーションゲームの経験のないゲーマーには敬遠されがちだった。
これらウォー・シミュレーションゲームの複雑な要素を出来るかぎり簡略化し、初心者でも遊べるようにしたものが本作であり、極端な簡略化の結果リアリティは皆無であるが、遊びやすさとゲーム性は随一である。
今までのウォー・シミュレーションゲームに無かった取っつきやすさが評価され、ゲームボーイやスーパーファミコン(ロッピーの書き換え専用)などをはじめ、GBAやDSでも発売されている。またWii以降の全プラットフォームで、バーチャルコンソールでの配信が行われている。
こいつはどえらいシミュレーション
このファミコンウォーズで得た技術によって、手ごわいシミュレーションこと『ファイアーエムブレム』シリーズが製作され、シミュレーションRPGというジャンルの礎を築くこととなった。
ファイアーエムブレムシリーズと比較すると、向こうがストーリーをそれぞれに持つキャラを成長させながら進む一種のキャラゲーであるのに対し、こちらはキャラやストーリーといったものの比重は極めて小さく、
といった感じで、何とも近代戦なゲームになっている。
ゲームボーイウォーズアドバンス以降、指揮をとるキャラクター(「ショーグン」という)ごとに、特定ユニットの移動力が上がったり、間接攻撃の射程が伸びたりするなど、個性付けがなされている。
シリーズ発売日
断りのない限り日本でのタイトル、発売日を記載。バーチャルコンソールでの発売は記載していない。
(※)ウクライナ危機の影響で2022年4月8日の発売日が延期。
余談
主な兵種
シリーズによって種類や性質が違うため、主要なものだけ簡単に表記する。簡略化によって種類が絞られ、役割が非常に分かりやすい性能となっているため、攻撃時はじゃんけん状態になる。
性能解説は、原則としてGBA版と『DS』準拠。無傷のユニットが同種のユニットに直接攻撃を仕掛けた場合、大体55ダメージ%ぐらいのダメージになる。これはHP10のユニットで攻撃すれば相手ユニットは半壊するダメージである。
地上ユニット
安価で最も種類が多い地上戦の基本、近距離兵器と遠距離兵器、対空兵器がある。
地形効果を受けられるため、海や空のユニットと異なり1戦闘で全滅するような極端な組み合わせは少なく
(100%超えは新型戦車→非装甲車両ぐらい)歩兵でもある程度なら壁として使用できる。
- 歩兵
- 最安値のユニット。走攻守ともに貧弱極まりなく、歩兵系以外との直接戦闘は無茶だが、山に登ったり渡河したりでき、何より各種施設を占領可能という重要ユニット。
- 以前は歩兵で壁を築いて戦線を維持する人民解放軍戦法が可能だったが、『GBW』以降は戦車以上になるとほぼダメージを与えられない上、キャンペーンやトライアルではスコアのユニット被害数が評価されるため、あまり使われない。
- 初代以来ずっと1000Gだったが、『失われた光』では1500Gに値上げされ、安価な盾にもしづらくなった。
- バズーカ兵
- ちょっと強い歩兵、古い作品では「戦闘工兵」と呼ばれる。
防御力は歩兵とほぼ一緒、移動力は歩兵以下と貧弱だが、山や川でもコスト1で移動可能。
そして装備したバズーカの威力は軽戦車並みと非常に強く、車両に対して先制できれば対価格効果が大きい。逆に言えば、こちらが軽車両で攻める時には金銭的被害が大きく、山に居られると戦車並みに固く厄介な敵となる。
- 偵察車
- 大型のマシンガンを装備した装輪非装甲車両、対歩兵用。索敵範囲が大きい。
- 装輪なので悪路に弱いが、道路では物凄い移動力を発揮するので、歩兵やロケット砲を潰しに行くと良い。攻撃力は歩兵に毛の生えた程度であるため偵察車同士で撃ち合ってもダメージは少ない。
- 輸送車
- 歩兵・バズーカ兵を1ユニット積んで運搬可能な車で、攻撃能力はない。
- 補給車も兼ねており、周囲の味方に弾と燃料を補充する、海・空ユニットにも補充可能。
- 飛行機・潜水艦・ロケット砲のお供だが、前者二つに地上からどう補給するのかと言ってはいけない。かつては歩兵系ユニット輸送の兵員輸送車と弾薬・燃料補給を行う補給車に能力が分割されていた。『GBW3』と『失われた光』では、さらに補給専用拠点の「簡易空港」や「簡易港」を作れる工作車になっている。破壊されれば乗っていたユニットも破壊されるので敵の攻撃には気を付けなければならない。これはほかの輸送系ユニットの輸送ヘリ・輸送艦にも言えることである。
- 軽戦車
- 戦場の主力である戦車の小さい方。車両を撃破するための大砲と敵の機関砲に耐える装甲を持つ。これが生産できると敵車両の撃破が可能となり、本格的な進攻が可能となる。重戦車が出てくる後半は軽快な動きで非装甲車両や歩兵を倒すのが主な任務。戦車の区分は作品によって異なり、高額側が完全上位の場合(センシャA・B)と、高額になるほど移動力・弾薬・燃料が劣る場合(軽・中・重戦車)がある。
- 重戦車
- 戦場の主力である戦車のデカい方。敵戦車を粉砕する大型の大砲と敵の砲弾に耐える重装甲を持つ。接近戦では絶大な威力を発揮するが、足が遅く弾や燃料も若干少ない等弱点もある。新型戦車に対しても先制すればある程度有利。
- 新型戦車
- 走・攻・守どれを取っても最強の戦車だが、最強故にいかんせん高い。装甲はそれほどでもないが火力が高く、先制を食らえば重戦車でも壊滅しかねないため、ロケット砲や爆撃機で倒した方が良い。GBA・DS版のものは「敵の技術を奪って作った」ため、その異様な形状からタコ戦車と呼ばれる。
- 自走砲
- 敵陣に乗り込み制圧する戦車に対し、こちらは支援兵器である「大砲」に軽装甲と自走機能を付けたもの。射程2~3の遠距離攻撃ができるが、1ターン内に「移動」と「攻撃」の片方しかできない。装甲が薄い戦車上部を狙って攻撃する対戦車兵器であるため、装甲車両に対して強く、軽戦車並みの安価でありながら重戦車にも大きなダメージを与えられる。
- 間接攻撃ユニットも、昔は高いほうが全面上位互換で安いほうが死んでいた(ジソウホウA・B)が、SFC以降は火力差が減り、機動性は安いほうが優れる。安いほうは前に出して火力の足しに使い、高いほうは遠くから敵を狙い撃つために使うようになった(自走砲・ロケット砲)。
- ロケット砲
- 3~5という長射程と、新型戦車をも一撃で半壊させる高威力のロケットをトラックに積載したもの。重戦車並みの攻撃力で一方的に攻撃できる反面、下はただのトラックなので装輪故に悪路に弱く、全くの無装甲なので防御力は自走砲以下という後衛専用兵器、弾切れにも注意。価格は重戦車程度だが大事に使えば消耗しないため、費用対効果は高い。
- 対空戦車
- 飛行ユニットを撃ち落とすための対空機関砲を装備した軽装甲な戦車。飛行ユニットに強い。対空機関砲は「超大型マシンガン」であるため歩兵にも非常に強い(実際の戦争もそうだったらしい)。戦闘ヘリの攻撃にはかなりの耐性があるが、爆撃機に先制されると壊滅してしまう。副砲で戦車系などについているサブマシンガンがついていないため弾切れにも注意。
- 対空ミサイル
- あらゆる航空兵器を一撃で撃墜する対空ミサイルを放つ装輪対空遠距離兵器。射程は3~5(DS2は6)だが、そもそも航空機の移動力が6から9と凄まじいため運用が難しく、そのためかDS2では、移動・射程が強化されている。
- 牽制や防御としての運用が有効で、前線後ろなどに置くことで攻撃しようとする敵航空ユニットに使い捨てになることを迫り動きづらくすることが可能。航空ユニットは間接ユニットがいない、単価が高い(数押しできない)、対空ミサイルで即死するためかなり大きな負担を与えることができる。
- また、敵空港を射程内にとらえてしまえば、生産したユニットをターンが回る前に攻撃して使い物にできなくすることができるため、事実上その空港の生産を封じることが可能。
海上ユニット
海戦及び陸上の支援を行うユニット、強いのは強いのだがやっぱり高価。
GBA版ではあまり強くなかったため、航空ユニットがいる場合は支援側に回りがちであったが、DS版から対空性能が上がり、置いておくだけで牽制能力を発揮するため、制海権、制空権の維持に活躍する。
毎ターン燃料を1消費しなくなると沈没するが、潜水艦以外ではまず起こりえない。最初期は海ユニット向け補給ユニットも出たが、GBA以降は陸にいる補給車からでも燃料・弾薬補給ができるようになった。
- 戦艦
- ロケット砲をも超える射程3~6で全地上海上ユニットを粉砕する威力の戦艦砲と、随一の防御力を持つゲーム中最高値のユニット。潜水艦、航空ユニットが弱点。遠距離ユニットの性質上、海戦で使うというよりは上陸支援で使う方が多い。過去にはそれなり以上の威力で対空攻撃が可能だった作品もいくつかあった。
- 『失われた光』では、ついに移動後間接攻撃可能となり(射程3~5)圧倒的な戦闘能力を得た。
- 護衛艦
- 潜水艦特効の対潜ミサイルと、対空機関砲で他の船を守るためのユニット。ヘリを二基まで積載できる。GBA版の対空性能は対空戦車程度で打たれ弱かったのが、DS以降は爆撃機にすら先制必殺、後攻でも五分と大幅に強化された。対潜ミサイルも対艦ミサイルに変更し、対潜性能は変わらずに潜水艦以外の海ユニットにも少々のダメージが与えられるようになった。海外版では名称まで変更されている[1]。
- 爆撃や魚雷に高い耐性があり、「護衛艦に有効な直接攻撃」が存在しないため、破壊されにくいユニットでもある。
- 潜水艦
- 水中に「潜る」ことで護衛艦、潜水艦以外からの攻撃を受けなくなり。隣接するまで姿が見えなくなる。元々燃料が少ない上潜ると燃料消費が5まで増加する。索敵範囲もすごく広い。潜ると陸上・航空・間接攻撃で倒される心配がないため索敵に最適で、戦闘面では輸送船の破壊及び戦艦や空母への攻撃に用いる。『DS』までは敵の港に沈めておけばその港を封鎖できたりもした(『失われた光』では敵占領港への侵入は不能)。現実同様、海上唯一のまともな直接打撃力を誇るが、いかんせん値段が高い。
- 輸送船
- 陸上ユニットを何でも2つまで積載し、遠方へ運ぶためのユニット。最初期のものを除いて攻撃能力はない。能力の割に値段が高いのだが、他に輸送手段がないためどうしてもこれに頼ることになる。
GBA~DSではなぜかCPUが使いもしないのに優先的に生産する。金の無駄遣いである。
- 空母
- 航空機を搭載、運搬してそれによる攻撃を行うユニット……のはずなのだが、どの作品でもいまいち本業で活躍しておらず、対空ミサイルでの防空を仕事にしている。
- 『失われた光』では攻撃能力を落とす代わりに、搭載した航空ユニットの回復や補給、資材と資金を消費して燃料の少ない爆撃機と言える「艦載機」が生産できるようになり、やっと空母らしい活躍ができるようになった。
航空ユニット
空を自由自在に飛び回るユニット、高価な飛行機と安価なヘリがある。
地上、海上どちらにも有効打を与えられるが、防御面を「空にいる」ということに頼っているため相性が極端に出やすく、対空兵器に狙われると一発で落ちる脆さもある。
毎ターン、ヘリは2、飛行機は5の燃料が消費され、ゼロになると墜落してしまうので残量に注意。当初は燃料・弾薬補給は空港に戻らないと行えなかったため運用が難しかったが、少しずつ制限が緩和され、GBA版以降補給車でお手軽補給が行えるようになり管理が楽になった。
- 戦闘ヘリ
- 低空を飛ぶ「半地上兵器」、攻撃力は軽戦車程度。空中にいるため対車両兵器を受け付けず、地上ユニットに反撃ダメージほぼ無しで攻撃できる。
- ただし本体は脆いため、対空兵器と戦うと一瞬で撃墜される。戦闘ヘリ同士で撃ち合うと先制側が大幅有利。
- 輸送ヘリ
- 低空を飛ぶ「半地上兵器」。歩兵系ユニットを1ユニットだけ積み、山海を越えて運べる。最初期のものを除いて攻撃能力はない。輸送車と比べると飛行ユニットであるぶんだけ機動性が高いが、補給能力はない。
- また、戦闘ヘリよりもやや脆く、歩兵の機銃でもけっこう削れる。
- 戦闘機
- 高空を超高速で飛行し、全ての航空ユニットを粉砕する空対空兵器。地上や海上へは攻撃できない。対空戦車などの攻撃にも多少なら耐えられる。基本的に他のユニットを爆撃機から守るのが仕事である。FC版では地上ユニットと交戦できてしまったため、歩兵に攻撃されると被害金額で大損になってしまう欠点があった。
- 爆撃機
- 高空を高速で飛び、全ての地上・海上ユニットを殲滅する最強の対地上対艦兵器。ほとんどの地上海上ユニットに8割~全滅というものすごい攻撃力で攻撃できる。高価なユニットではあるものの極めて解りやすい強さを誇り、使い勝手は抜群に良い。瀕死か即死か結果が安定しない場合が多いため、補正で確殺可能になるとさらに使い勝手が良くなる。
- ただし、爆撃機だけだと対空兵器のカモになるため、地上海上との連携が重要。
主な地形
大抵のシリーズに出てくるものを紹介。基本的に陸上にある地形は陸上ユニット、海上にある地形は海上ユニットでしか侵入できない。航空ユニットはどこでも移動コスト1で移動できるが、防御効果は得られず、マップ兵器のあるマスに止まることはできない。
関連動画
シリーズのうち記事のあるものの一覧
関連項目
脚注
- *destroyer(駆逐艦)→cruiser(巡洋艦)