フリッパンシー(英:Flippancy)とは、1924年生まれの競走馬、繁殖牝馬である。1948年9月3日死没。
当時の表記はフリツパンシー。
英国で生産され、日本へ輸出され、昭和初頭の日本競馬に多大な影響を与えた。
父 Flamboyant、母 Slip、母の父 Robert le Diable。1924年の英国生まれ。
父は10頭目の英国三冠馬ロックサンド(Rocksand)の直系で、セントレジャーステークスなど5つの重賞を勝ったTraceryの産駒。母父にセントサイモンを持ち、自身もドンカスターカップ、グッドウッドカップを勝利した[1]。1936年にはドイツのリーディンサイアーにもなっており、[2]他の産駒にドイツバーデン大賞を制覇したWahnfried[3]がいる。
母父も、1904年にドンカスターカップを制覇したRobert le Diable。母母父のDonovanは頭差で2000ギニーステークスを落としながらも当時の獲得賞金額の世界記録を更新した英国2冠馬。
1勝馬ながら、名前に着いた軽佻浮薄の意と裏腹に、当時の日本にとっては重要な存在だったと言える。そんな彼女は戦前の大種牡馬シアンモアと共に日本の小岩井農場に輸出された。
小岩井農場とは戦前の三菱財閥に属する牧場で、下総御料牧場と並ぶ戦前の二大牧場であった。
繁殖牝馬として成果を上げることを期待されたフリッパンシーは、その期待に違わぬ成績を上げていく。初年度産駒タイホウは横浜の帝室御章典を勝利し、7頭目の産駒セントライトは日本競馬史上初のクラシック三冠を制覇。8頭目の産駒クリヒカリ(旧名アルバイト)は横浜農林省賞典四歳呼馬(現皐月賞)の兄弟制覇と帝室御賞典(秋)を勝利。ラストクロップとなったトサミドリも10度のレコードと共に皐月賞と菊花賞を制覇。産駒11頭で中央66勝、八大競走を8勝の成績を挙げ、特にセントライトとトサミドリは後に顕彰馬とされた。
日本競馬において繁殖牝馬の産駒が、現在のGIレースに相当する競争を8勝したのは*パシフィカス(主な産駒:ビワハヤヒデ、ナリタブライアン)が並び、スカーレットブーケ(主な産駒:ダイワメジャー、ダイワスカーレット)が抜くまで最多であり、4頭のGI級勝馬、2頭の顕彰馬を輩出したのは今なおフリッパンシーのみである。
1948年9月3日に死亡。三菱財閥の解体に伴い、小岩井農場が馬産を停止する前年の事であった。
しかし、牝系の孫世代からも、オークス馬ヤシマヒメ、第1回朝日盃3歳ステークスの勝馬アヅマホマレが出ており、勢いこそ衰えたものの現在に至るまで牝系は繋がっている。
更に、大鵬、セントライト、クリヒカリ、トサミドリは種牡馬入り。セントライトからはオーエンス(平和賞(現在の春の天皇賞))、セントオー(菊花賞)、トサミドリからはキタノオー(菊花賞、天皇賞(春))、コマツヒカリ(東京優駿)ら7頭の八大競走勝馬が誕生。彼らは父系こそ絶えたものの牝系に入り、日本の古い血を引く競走馬の血統表の奥底に彼らは頻出する。戦前から現在に至るまで、フリッパンシーの血は日本競馬に影響を与え続けているのである。
馬名 | 父 | 誕生年 | 性 | 戦績 | 主な勝ち鞍 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | タイホウ (繁殖名:大鵬) |
*シアンモア | 1929 | 牡 | 中央11勝 | 帝室御賞典(横浜) 目黒記念(春) |
2 | ゲンスイ→トーザン (繁殖名:第弐フリッパンシー) |
*シアンモア | 1930 | 牝 | 中央2勝 | |
3 | イワテフジ | *シアンモア | 1931 | 牡 | 中央8勝 | |
4 | ミスフリツパンシー (繁殖名:第参フリツパンシー) |
*シアンモア | 1933 | 牝 | 中央7勝 | |
5 | ノルマンデイー (繁殖名:第四フリツパンシー) |
*アスパイヤリング | 1934 | 牝 | 中央2勝 | |
6 | ハツガロン (アイチハツガロン) |
*アスパイヤリング | 1935 | 牡 | ||
7 | セントライト | *ダイオライト | 1938 | 牡 | 中央12戦9勝 | 横濱農林省賞典四歳呼馬 東京優駿競走 京都農林省賞典四歳呼馬 |
8 | アルバイト→クリヒカリ | *シアンモア | 1939 | 牡 | 中央13戦9勝 | 横濱農林省賞典四歳呼馬 帝室御賞典(秋) |
9 | イサオーバル | *シアンモア | 1940 | 牡 | 中央14戦1勝 | |
10 | 第五フリッパンシー | *ダイオライト | 1943 | 牝 | ||
11 | カネリツ | *プリメロ | 1945 | 牡 | 中央8戦1勝 | |
12 | トサミドリ | *プリメロ | 1946 | 牡 | 中央31戦21勝 | 皐月賞 菊花賞 |
フリッパンシーの五代血統表 | ||||
---|---|---|---|---|
インブリード:St. Simon=Angelica 18.75% 5 x 5 x 3、Galopin 15.63% 4 x 5 x 4 | ||||
父系:エクリプス系(ストックウェル系) | ||||
Flamboyant 1918 鹿毛 イギリス |
Tracery 1909 鹿毛 アメリカ |
Rocksand | Sainfoin | Springfield |
Sanda | ||||
Roquebrune | St. Simon | |||
St. Marguerite | ||||
Topiary | Orme | Ormonde | ||
Angelica | ||||
Plaisanterie | Wellingtonia | |||
Poetess | ||||
Simonath 1905 鹿毛 イギリス |
St. Simon | Galopin | Vedette | |
Flying Duchess | ||||
St. Angela | King Tom | |||
Adeline | ||||
Philomath | Philammon | Solon | ||
Satanella | ||||
Chrysalis | Lecturer | |||
Winged Bee | ||||
Slip 1909 鹿毛 イギリス |
Robert le Diable 1899 鹿毛 フランス |
Ayrshire | Hampton | Lord Clifden |
Lady Langden | ||||
Atalanta | Galopin | |||
Feronia | ||||
Rose Bay | Melton | Master Kildare | ||
Violet Melrose | ||||
Rose of Lancaster | Doncaster | |||
Rouge Rose | ||||
Snip 1899 鹿毛 イギリス |
Donovan | Galopin | Vedette | |
Flying Duchess | ||||
Mowerina | Scottish Chief | |||
Stockings | ||||
Isabel | Plebeian | Joskin | ||
Queen Elizabeth | ||||
Parma | Parmesan | |||
Archeress | ||||
母系(F-No.):22-b |
掲示板
1 ななしのよっしん
2022/11/10(木) 11:16:37 ID: U9F9T99O+7
少し前まで直系が走っていたけど滅んでいる可能性が高い。
2 ななしのよっしん
2023/10/28(土) 13:02:47 ID: 7IOBbb0VAk
>>1
いやいやw……って調べてみたら思ったより状況悪かった
断絶はしてないけど現役繁殖はマイネチャームだけかな? まさかマイネサマンサからさっぱり繋がらないとは
3 ななしのよっしん
2024/11/30(土) 15:03:05 ID: XFnO+OjxUB
明日デビューのマイネルアウルムはこのフリツパンシー牝系の末裔です
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最終更新:2025/03/23(日) 21:00
最終更新:2025/03/23(日) 21:00
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