このミステリーがすごい！とは (コノミステリーガスゴイとは) [単語記事]

このミステリーがすごい!とは、毎年クリスマスイブのころに宝島社から出版されるムック本である。「このミス」とも。

以前の表紙にはギャグ（ジョーク）が盛り込まれていることが多かったが、2007年版頃からはシンプルなイラストになり、さらに2010年版からは猫のキャラクター「ニャームズ」のイラストになっている。

2002年からは新人賞「このミステリーがすごい！大賞」ももうけられた。

概要

　1988年12月に発行された「このミステリーがすごい！　ミステリー中毒者が選んだベストテン'88」から始まり、20年以上にわたって出版されている人気ムックである。

　2冊目の「'89」は1990年1月に発行された。3冊目はその1年後の1991年1月に発売されたが「'91」となっており、タイトルが一年飛んでいる。月刊誌の号数日付が1～2か月前倒しになるのと同じで、新しさをアピールするための営業的判断だと思われる。1994年版以後は、タイトルに掲げている年の前年の12月に発行されている。

　ミステリー＆エンターテイメントを対象にした本のランキングをメインの企画にしている。ほかの企画としては作家へのインタビューや各作家の構想を伺う『私の隠し玉』など。

　ランキングの対象は、タイトルに掲げている年の2年前の11月から前年の10月に出版された作品である。つまり2013年12月に発売された「2014年版」は、2012年11月から2013年10月までの作品を対象としたランキングを掲載している。

　書評家や読書に関係したグループにランキングが依頼されるが、投票の末の集計によって決まることと対象作がミステリーに限らないことから最終的なランキングにはぶれがあり、1位だから2位だからと画一的に語れるものではない。例えば、2007年度に1位になった短編集『独白するユニバーサル横メルカトル』では徹底した非人道的な描写が評価されているものの、ミステリーとしてはごくごく薄味（あるいはまったくない）になっている。

　ランクで優劣をつけるのは望ましくない。書評や紹介を手がかりに好みの本を広げていくのがこの本の正しい使い方……のはず？

　同じ宝島社からは『このライトノベルがすごい！』、『このマンガがすごい！』、『この文庫がすごい！』が出版されている。まれにテンプレ化され「この～がすごい！」と言われることもある。