『それいけ!アンパンマン ゴミラの星』とは、2001年に公開されたアンパンマンの劇場版アニメである。
アンパンマンの長編アニメ第13作目。当時ニュースで問題となっていたダイオキシンをはじめとするゴミや廃棄物をテーマにした作品。かつては緑に囲まれた美しい星だったが、ゴミを吸収するダストホールが故障したためゴミだらけになってしまった惑星「ヤーダ星」を舞台に、アンパンマンとばいきんまんの戦いが繰り広げられる。
また、タイトルにもなっているアンパンマンの仲間・ゴミラと、ヤーダ星のプリンセス・ヤーダ姫の物語が本作の主軸となっている。物語の終盤、地球に落下しそうなヤーダ星を止めるために、自ら火山に飛び込むゴミラの姿は、アンパンマン同様やなせたかし氏の自己犠牲の精神が窺い知れ、宮沢賢治の童話「グスコーブドリの伝記」のクライマックスを連想させる。もちろん、ハッピーエンドで終わるため子供でも安心できるお話となっている。
本作に限らず、劇場版アンパンマンはディズニー映画のように、登場キャラクターたちが劇中で歌う場面がしばしば見られるなど、ミュージカル作品のような構成をしている。また、冒頭ではミミ先生と小学校の生徒達がアンパンマンを呼ぶシーンがあるが、これは映画を見ている子供達もその場で「アンパンマ~ン!」と実際にかけ声を挙げるような演出がなされている。
なお、本作のゲストキャラクターであるヤーダ姫は劇場版第2作「それいけ!アンパンマン ばいきんまんの逆襲」(1990年公開)でも登場していたが、本作とは全く設定が異なっており、「ゴミラの星」のヤーダ姫とは別人と考えた方が良い(声優も酒井法子ではなく、日髙のり子である)。
本作を語る上でもう一つ欠かせないのは、ガンダムシリーズの劇場版アニメ「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」のパロディがふんだんに盛り込まれていることである。
今回の騒動の発端は、ヤーダ姫がアンパンマンに助けを求めるため星を留守にした際、だれもいなくなたヤーダ星をばいきんまん達が乗っ取り、地球に落とそうとしたのが始まりである(数多いばいきんまんのいたずらや悪事の中でも、特に大掛かりなもの)。ヤーダ星落下の場面は、5thルナの地球衝突をちょうど反転したような構成をしている。
そして本編のクライマックス、大気圏に突入しそうなヤーダ星をなんとしても阻止しようと、アンパンマンと仲間達が押し返そうとする場面は、アムロ・レイのνガンダムをはじめとする多数のモビルスーツがアクシズの落下を止める場面を彷彿させる。
これはあくまで編集者の予想に過ぎないが、この作品を手掛けたアニメーターは、ちょうど映画館で直接「逆襲のシャア」を見た世代が中心となっており、この映画に感銘を受けてアンパンマンにも「逆襲のシャア」のオマージュとして制作したのではないだろうか?(なお、2009年公開の映画「それいけ!アンパンマン だだんだんとふたごの星」にも「逆襲のシャア」が元ネタと思われるシーンが見られる)。
思えばアンパンマンの声優である戸田恵子は初代「機動戦士ガンダム」のマチルダ・アジャン役にして、シャア・アズナブル役の池田秀一は元夫であるのも、不思議な縁を感じられる。この他にも山寺宏一をはじめ、本作にはガンダムシリーズにも出演した声優が多数参加している。
劇場公開時は「それいけ!アンパンマン 怪傑ナガネギマンとやきそばパンマン」と同時上映だったが、DVDでは本作が単品で販売されている。上映時間は約50分(「ゴミラの星」のみ)。
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最終更新:2025/12/11(木) 05:00
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