アーダルベルト・フォン・ファーレンハイトとは (アーダルベルトフォンファーレンハイトとは) [単語記事]

アーダルベルト・フォン・ファーレンハイトは銀河英雄伝説の登場人物。CVは速水奨。
ラインハルト・フォン・ローエングラムの提督。艦隊旗艦はダルムシュタット、後にアースグリム。

黎明～風雲編

アスターテ会戦において、ラインハルト直属の五人の分艦隊司令官の一人として登場。この時の階級は少将。
メルカッツも含めた他の提督達が、ラインハルトの能力と不遜な態度に、疑問と不満をいだく中、その作戦に唯一好意的（面白そう）な反応を示した。会戦では第四艦隊先頭集団を壊滅寸前にまで追い込む等、勇戦して勝利に貢献する。

リップシュタット戦役では門閥貴族軍に参加。この時には中将に昇進。
貴族軍側ではメルカッツに次ぐ数少ない有能な提督として善戦し、長期戦を提唱するも盟主ブラウンシェヴァイク公に容られる事はなく、やがて捕虜となる。ガイエスブルク要塞で引見されるが、ラインハルトから自分に仕えるように言われ、これを受け入れて諸将に列に加わった。オーディン急襲にも参加。

ラインハルトが宰相となると、元帥府に入り、他の中将級の提督達と共に大将に昇進して一個艦隊司令官の座も与えられた。

ラグナロック作戦ではビッテンフェルトと共に、決戦時の予備兵力として待機を命じられる。フェザーン経略後は同地へと発ち、ラインハルト本隊に後続して合流。

第一次ランテマリオ会戦では、同盟軍左側面を迂回して後背にまわり込む挙に出たものの、恒星に接近し過ぎた為、計器の異常が発生して断念。以後も戦闘を継続して同盟軍を攻撃。

ヤン艦隊のゲリラ戦では、同盟領の補給基地を全て占拠、破壊する事を提案するも、ロイエンタールに一蹴される。バーミリオン星域会戦では、他の提督達と共に同盟領の補給基地の攻略と、周辺航路の制圧にあたった。

飛翔～乱離編

ラインハルトが皇帝に即位すると上級大将に昇進。

第二次ラグナロック作戦において各提督艦隊とラインハルト艦隊との間を繋ぎ、作戦全体の有機的な運営を任せられる。マル・アデッタ会戦では系外緑部で遊軍の配置につき、ラインハルトからの下知を受けると危険宙域を突破して、同盟軍の後背を脅かした。攻撃により同盟軍を押し出して、帝国軍の火線にさらす事を試みだったが、
同盟軍カールセンの勇戦により阻まれ後退、やがて体制を立て直して同盟軍の最後まで戦い続ける。

回廊の戦いでは15,200隻の艦隊を率い、ビッテンフェルトと共にイゼルローン回廊方面へ先発する。
しかしヤンの罠にかかったビッテンフェルトが回廊内部に突入して、不本意な戦端が開かれると、ビッテンフェルトの孤軍をさけるべく後を追う。だが狭い回廊内では布陣もままならず各個撃破の対象となった。
ビッテンフェルトの後退によってヤン艦隊と対峙。アッテンボローの左翼を破り、ヤン本隊の側面を横撃するも逆撃を被る。やがて体勢を立て直したビッテンフェルトとの合流を図るが、これもヤンの罠で、集結点を狙われて集中攻撃を浴び、メルカッツの右翼艦隊に追い詰められる事となった。
なおも奮戦して回廊からの脱出を図るものの、これまたヤンの罠である縦深陣が退路で阻み集中攻撃を浴びる。旗艦アースグリムは潰走する味方の最後衛となり、全面潰走をくいとめ、退却の援護をしたが被弾の後、撃沈されて戦死する。

その後

ローエングラム王朝では初めて戦場で討たれた軍最高幹部。死後は元帥に叙され、ジークフリード・キルヒアイス武勲章を授与された。後に建設された要塞、三元帥の城はキルヒアイス、ファーレンハイト、シュタインメッツの名を記念したもの。

ファーレンハイト艦隊は、艦艇と兵士の半数以上を失い一個艦隊の体裁を失った。艦隊の指揮権はビッテンフェルトが一時的に預かり回廊の戦い本戦にも参加する。
戦いの後は軍務省により再編され、正式に黒色槍騎兵に籍を移す事となった。しかし艦艇が黒色に再塗装された事は合併吸収と映り、ファーレンハイトの死の遠因がビッテンフェルトの猪突と考える者もいた為、黒色槍騎兵に対して反目に近い状態となる。
だが第二次ランテマリオ会戦では相互の競争という形としてプラス方向に働き、ロイエンタールをして唖然とする爆発力を発揮した。

能力

ゴールデンバウム、ローエングラムの両王朝にあって、勇将の名をほしいままにした百戦練磨の指揮官。
ラインハルトに弓引いた咎を持ちながらも将才ゆえに赦されて、古参の提督達と変わらぬ厚遇を与えられた。

能動と機動性に富んだ速攻の用兵に定評があるが、反面、迎撃戦となるとやや粘りに欠ける。
提督達ではビッテンフェルトに近く攻勢に強い猛将。正面突破を図るだけなく、機動力を活かして敵の側面や背後を突く奇兵も用いた。

人物

色素の薄い水色の瞳で鋭角的な顔立ち。ルッツと同い年。下級貴族の出身ながら家は貧しく、食うために軍人になったと広言している。

皇帝の権威は別として、ゴールデンバウム王朝には禄を食んだ恩義を感じていたようで、
リップシュタット戦役ではラインハルトの専横に対して王朝を守護する立場を取った。大貴族であるブラウンシェヴァイク公を相手にも畏れる事なく、痛烈に批判し、見限った後も公を裏切る事はなく最後まで与力した。
捕虜引見時の態度も堂々たるものであり、ラインハルトに登用されてからは、その知遇に対して忠誠を尽くした。
後のハイネセン占領時、ジョアン・レベロ暗殺犯達が降った時に居合わせ、彼らから同類ではないか、と寛恕のだしにされた時には怒気を発し、ラインハルトの命により暗殺犯達の処刑を取り仕切った。

それほど感傷深くない性格であったが、かつて共に戦った年長の僚友であるメルカッツとの立場の変転を思い、
帰結を見るまでは、なかなか死ねないと微妙に死亡フラグを立てる。そのメルカッツと対峙した時には
「よろしい、本懐である」と腹を括って戦闘に挑んだ。
その死を聞いたメルカッツは、かつての戦友の為、個人的に一日間の喪に服した。

旗艦が沈む間際、致命傷を負った時には従容と死にいどみ、ラインハルトへの形見を届けようする幼年学校の生徒に対しては、生還しておまえが形見となれ、と言い遺して事切れた。

将兵の士心も得ており死後も彼らから、故ファーレンハイト元帥の勇名を辱しめるな、と士気の拠り所となった。