TVアニメ「ウィッチクラフトワークス」のエンディングでは、アップテンポな曲に合わせて「塔の魔女」達が、実在する様々な拷問・処刑を受ける映像となっている。
この記事では、アニメに登場し主として中世ヨーロッパで実際に行われていた、これらの拷問・処刑法を紹介する。
身体の自由を奪うために、ヨーロッパでは様々な拘束具が考案された。大きく別けると、木製の板に穴を開けたものと、鉄製の輪を鎖で繋いだものがある。手枷、足枷、首枷それぞれ独立したもののほか、いくつかが一体化したものもある。単に身体の自由を奪うだけでなく、そのまま苦痛を与える拘束具も多様に存在する。アニメで使用されているのは、手枷と首枷が一体化した板状の拘束具と、鉄製の足枷である。
日本では縄による縛りの技術が発達していたため、このような多様な拘束具は存在していない。
十字架に磔(はりつけ)にされる公開処刑の刑罰。磔刑(たっけい)。イエス・キリストの処刑法としてもあまりにも有名。太い釘で手首を打ち付けられ、鞭打ちにされるなどして晒し者にされる。死に至るまでの時間が長く苦痛が大きいため、世界でも最も残酷な処刑法であると言われている。あまりの苦痛により受刑者が発狂してしまうため、没薬を混ぜたぶどう酒を飲ませるのが通例であった。
また、磔刑とともに行われることのあった処刑法として「鳥刑」がある。鳥刑の場合、磔にした人間を鳥の縄張りに放置し、鳥に肉を啄ませる。アニメ中では背景が山と林で高い所に磔にされていることから、鳥刑に晒されているようにも見える。
車輪を用いた拷問にはいくつかバリエーションがある。「運命の輪」は巨大な車輪に体を縛り付け回転させることで苦痛を与える拷問で、下に水を置いて顔を水に浸ける・上げるを繰り返す拷問水車や、火を焚いて火炙りにする火車なども存在した。車輪の側面に大の字に縛り付けるタイプと外輪に沿ってまっすぐ縛り付けるタイプがある。現在でもTVのバラエティ番組なんかで見ることもありますね。
アニメで使用されているものは床がくり抜かれているが水があるようには見えないので、単に回転を繰り返すことにより苦痛と恐怖を与え自白させるための拷問だと思われる。
他に車輪を用いた有名なものに「拷問の車輪」がある。これは初期には巨大な車輪に身体を括りつけて転がすことで車輪の重量で押しつぶす拷問・処刑であったが、死に至るまでに時間がかかるため、刺(とげ)の生えた車輪を使ったり針や茨の上を転がす処刑法へと進化していった。キリスト教の聖人・殉職者のカタリナには車輪を用いた拷問にまつわる逸話があり、刺の生えた車輪は「カタリナの車輪」と呼ばれ彼女の象徴とされている。
水や油で身体を茹でる拷問・処刑法。日本では石川五右衛門の処刑法として有名。日本では戦国時代から江戸時代にかけて行われたほか、中国では頻繁に行われていた。
ヨーロッパでは、ローマ帝国時代に聖ヴィトゥスが釜茹での拷問を受けた後に処刑されていたりと古くから拷問の一つとして存在していたようである。近世においては、ヘンリー8世が毒殺に対しての法定刑罰として釜茹でを採用しており3件の執行例があるが、王位が移ってからは廃止されている。民間の魔女狩りの拷問・処刑にどれほど釜茹でが使用されていたかは不明。
「いしだき」と読む。別名「算盤(そろばん)責め」。日本で江戸時代に囚人に対して行われた拷問のひとつ。三角形の木を5本並べたギザギザの板の上に正座をさせ、膝の上に石版を乗せる拷問。板は十露盤(そろばん)板と呼ばれる。石版には伊豆石が使われ、一枚が45kgほどあるものを4・5枚程度乗せ、さらに石を左右に揺らされ苦痛を与えられることもあった。腕は後ろに縛られ、身体も背後の柱に固定される。自白させることが目的であるため生命に危険が及ぶ前に降ろされるが、数日すると再度実施され、白状するまで繰り返される。この中では唯一、西洋に縁のない拷問法である。
別称「悲しみの聖母」とも。中世ヨーロッパで使用されていたとされる拷問・処刑器具。女性の形をし内部が空洞になった人形の中に人間を入れる。内側には体を突き刺すように刺が生えていて、扉を閉めると同時に体に刺が突き刺さる仕組みである。名称とは裏腹に大部分は木製である。
ただ、この拷問器具は実際に使用されたり存在していたという明確な資料がなく、囚人を脅すための威圧用のオブジェであるという説や、空想上の拷問器具であるという説もある。現存しているものも全て中世のオリジナルではなく、18世紀末以降に作られた模造品である。
魔女狩りに使われた拷問具の中ではわりとポピュラーなものである。手と足をそれぞれロープで縛られ、上下からローラーでロープを巻き取ることで身体を引き伸ばしていく拷問器具。身体を引き伸ばすタイプの拷問器具には垂直方向に吊るすものとベッドなどの横に寝かせるものが存在するが、ローラーで巻き取るこのタイプは横に寝かせて使用するものである。アニメの作画では少しわかりにくいが、タイル張りの床面に寝かされて拷問を受けていると思われる。なお、通常は一人用の器具。イギリスでは「エクセター公の娘」と呼ばれた。
「車輪刑」とも。中世ヨーロッパにおいて、被処刑者の四肢を砕いて車輪に括りつけ梟示する(晒しものにする)処刑である。車輪は太陽神のイメージで、死ぬまで太陽に晒す行為には太陽神に供物を捧げるという意味合いがあると考えられている。四肢を粉砕してから車輪に括りつける場合、車輪に固定してから粉砕する場合、車輪を用いて粉砕する場合など、四肢の粉砕のプロセスは時代・地域によって様々であったが、車輪の上で晒し者にされる点は共通している。このように、東洋の処刑が単純に見せしめであるのに対し、西洋の処刑は宗教上の「儀式」としての側面も重要視された。
アニメの場面は車輪に括りつけられて高所に晒されている姿だと思われる。
なお、中国における馬車による処刑も「車裂きの刑」と訳されるがこれは引き裂き刑の一種であり、西洋の「車輪刑」とは別のものである。
17世紀頃に海賊が捕虜に対して行ったとされる処刑法。船縁から突き出した板の上を歩かされ、海に落ちてサメの餌食となる。体を縛られ目隠しをされた状態で歩かされたり、後ろから槍や刀で追い落とされる方法が取られた。アニメ内では目隠しはせず、槍で突かれ追い詰められている。
「拷問椅子」、「祈りの椅子」などとも呼ばれる。針の付いた椅子に人間を座らせて苦痛を与える拷問器具。
アニメ内で登場しているようなびっしりと刺の生えた椅子は体重が分散して大した苦痛を与えないため、囚人に見せつけて恐怖を与えるための威圧用のものである。
実際に拷問に使用されたものはまばらに刺を配置したもので、こちらのほうが苦痛が大きい。手を置く部分にも刺が生えており、体や手首をベルトで固定し刺を突き刺す。刺の長さはそれほど長くなく致命傷になりにくいため、比較的安全に拷問することができたとされる。
「祈りの椅子」という通称は、拷問にかけられた人間が苦痛で前屈みになっていく様が祈りを捧げているように見えるためである。
「火炙り」。受刑者を火で焼き殺す処刑法。魔女狩りの処刑法の中では最もスタンダードなものであった。なぜなら、魔女は肉片の一片からでも再生すると言われており、身体を完全に灰にする必要があったためである。そのため、魔女の火刑はただ絶命させるだけでなく、足元に大量に積まれた薪を使ってじっくりと時間をかけて焼かれた。
魔女の処刑法としては他に、イギリスで主体だった絞首刑や、溺死刑などがある。
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最終更新:2025/12/07(日) 06:00
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