エンジェル・ハイロゥ 単語


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エンジェルハイロゥ

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エンジェル・ハイロゥとは、

  1. いわゆる「天使の輪」。angel halo。
    haloは気象現象である太陽の暈(かさ)のほか、「後光」という意味もある。
  2. 『機動戦士Vガンダム』に登場する巨大構造物。

ここでは2.を説明する。

概要

ザンスカール帝国によって木星圏で建造された巨大なリング状サイコミュ兵器。エンジェル・ハイロゥという名は「天使の環(または後輪)」を意味するangel['s] halo(英語では単にhaloという事が多い)から取って付けられた名であると思われる。

天球儀のような形状をしており、最外円の直径は20kmに達する。五重のリングはそれぞれ回転し、平面を全て揃えた状態(閉)から展開する構造になっている。

そのリングの内部には、マリア主義の信徒(海洋都市アンダーフックの民など、ザンスカール帝国の国民でない主義者も含む)である2万人以上の超能力者「サイキッカー」達が組み込まれている。稼働時には彼らの膨大な思念波を極限まで増幅した上で、女王マリア自身が内部で祈ることによって集約された思念を使い発生させたサイコウェーブという波動を、対象とした場所に照射する事が可能であった。

このサイコウェーブを受けた人間を始めとした生物は、精神の著しい退化現象を起こして昏睡状態に陥り、完全に無力な存在と化してしまうという恐るべき精神干渉型の戦略兵器である。

ザンスカール帝国の宰相フォンセ・カガチは、殺戮を好まない帝国の女王マリアに、ただ眠るだけと言葉巧みに言いくるめていた。実際には生物は幼児退行し機能不全になるだけでなく、地球連邦軍のムバラク・スターン将軍曰く問題なのは、これが眠れる森の美女ではないということだ。眠ったまま放置された生物は腐る」という、粛清の為の兵器であった。

カガチは自身の木製帰りのパイプを生かし木星圏で建造した後に「ブルー3」等のザンスカール系のコロニーに移動させサイキッカーを搭乗させ、これを地球に運び成層圏で稼働することにより、地球全土の人類を全て覚めない眠りに落として制圧しようと考えていた。だが作戦開始時に既に死亡してしまったマリアに代わって制御室であるキールームに入り祈ったシャクティ・カリンの平和への意志に感応し、“暖かな光(ウォームバイブレーション)”と称される、想定外の輝きに包まれながら空中分解を起こし、崩壊した。

宇宙世紀シリーズ最後の戦略兵器として

「機動戦士Vガンダム」は、映像化された宇宙世紀作品としては最も未来を描いた作品であり、それまでの歴史の中で多数の巨大構造物を使用しての(或いは対象にした)大量破壊が描かれてきた。
コロニー落とし、ソーラ・レイ(コロニーレーザー)、GGガス及びG3ガス、隕石落とし、バグなど、その大半が大量殺戮・破壊を目的とした兵器であった。主義に従わない者、或いはその為の生贄として無関係な大多数に向けて大規模な粛清を行ってきたのである。更にそれによって、時の指導者や官僚達は、自己正当化や新時代の到来(ニュータイプの覚醒)を予言し続けてきたという側面も持ち合わせていた。
また「Vガンダム」作中でも、この兵器の登場以前に衛星砲カイラスギリーによる地球への砲撃(但し未遂)や、巨大バイク型戦艦による「地球クリーン作戦」によって腐敗した連邦政府管轄の重要文化都市の破壊と住民の抹殺を行っており、これもかつての大量破壊作戦に近いものであることが伺える(地球クリーン作戦はエンジェル・ハイロゥ作戦の為の時間稼ぎに過ぎないとも語られたが)。

しかし、このエンジェル・ハイロゥは(死に至らしめると危惧されてはいるが)殺傷能力を持たないうえ、その行為によって人類を前に進めるどころか、原始退行さることによって全てをやり直す(聞き分けを良くする)という考えに基づいており、これまでの宇宙世紀に登場してきた粛清のための巨大構造物とは、全く異なる意図を持っている事が分かる。
カガチもこの兵器の意図を連邦政府への攻撃というだけでなく「穏やかな人類を地球に再生したいのだ」とも語っており、そのニュアンスは決して「ニュータイプの覚醒」等といった目的などでない事が分かる。

しかし、その一方でカガチと主人公ウッソ・エヴィンはエンジェル・ハイロゥ内部にて


ウッソ「生き物は親を越えるものです。 親は子を産んで死んでいくものなんです。その真理を忘れているこの作戦は、 もともと敗れるものだったんですよ!」

カガチ「小僧がよく言う。 増えすぎた人類こそ、真理を踏み越えたのだ。 そういう人類は消えた方がよい」

ウッソ「ひとりの頭でっかちの老人のお陰で、人類が全滅するなんてっ!僕達が、新しい方法を編み出して見せます!」

カガチ「その自惚れが、人類を間違えさせたんだぞ!」

ウッソ「僕らが出来なければ、次の世代がやってくれます!」

という「逆襲のシャア」にてアクシズを落とそうとするシャアとそれを阻止するアムロと似たような会話の応酬も繰り広げており、戦略兵器という存在には変わりがないとも言える。

宇宙世紀153年という時代背景においては、最早ニュータイプという新たな相互理解による進化論(エゴの廃棄)自体が、ここに至るまでの破綻や失敗を繰り返す中で人々の記憶から忘れ去られ、それに代わってエゴを捨て去る手段が幼児退行だったのは、必然の理だったのかもしれない。

背景にある宇宙戦国時代と地球帰属論

またこの宇宙世紀153年という時代は、旧ジオン公国との戦乱の衰退後共通の敵を半世紀近く失ったことによる各コロニーサイドのスペースノイド達の紛争や地球連邦政府の腐敗の悪化によって、宇宙戦国時代が到来するほどに地球圏は混乱していた。
即ち、もしこの作戦が成功し連邦政府が一掃されれば、行く行くは宇宙移民者が地球の支配権を握り、再び地球に帰属することも可能になるといった、地球とコロニーの立場が逆転するという想像も可能である。かつてクワトロ・バジーナが危惧しダカールで行った演説とまるで逆行する状況であるが、エンジェル・ハイロゥによる作戦とは、それをあえて望む程に、スペースノイド達の心境が時代と共に変化したことの象徴である(地球から迫害をうけながらも一応意気揚々として巣立ったつもりが、結局それを諦める)…という見方も可能である。
そもそも、「Vガンダム」初期の冒頭ナレーションでは

地球を汚染させてしまった人類が宇宙に移民をして、それに十分なじむ時代となっていた。しかし人類は、この宇宙でも地球上と同じ様に戦争の歴史を繰り返していた。それは、自らの愚かさを直して、新しい環境に適応しようとする、人の本能がさせていることなのだろう。

こんな人類でも、宇宙に暮らすことが出来ると信じなければ、人の歴史はあまりにも悲しい。

と、何故かやたらと宇宙移民に否定的なニュアンスで語られており、更にザンスカール帝国の女王マリア・ピァ・アーモニアも、


タシロ・ヴァゴ「野心家はいくらでも生まれるものだ!私だけでは!」

マリア「それもエゴです!クロノクルのように小さな魂しか持てない人間の、その小さな我執が!スペースコロニーの時代を呼んだのだと、何故わからないのです!?」

と、最早コロニーや宇宙移民自体を否定するような発言をするにまで至っているのである。

また「Vガンダム」は制作サイドも富野由悠季監督が「ガンダム=宇宙のイメージを消す」という試みを行ったと発言していることを筆頭に、当時話題になっていた環境問題もテーマに盛り込むなど監督自身の価値観の変化も反映されており、エンジェル・ハイロゥの設定もそれらに意図して出来たものという見方もある。

ゲーム中での登場

『SDガンダム Gジェネレーションゼロ』では戦艦ユニットとして登場する。
『スーパーロボット大戦』シリーズでもVガンダムが参戦する作品の一部に登場する。無印αやDではシナリオ上で発動しプレイヤー側出撃ユニットのステータスに影響を及ぼしている。

関連項目

  • 機動戦士ガンダム 
    • サイコミュ
    • 機動戦士Vガンダム
      • ザンスカール帝国
      • マリア主義
      • サイキッカー
    • Gジェネレーション
  • スーパーロボット大戦シリーズ
    • スーパーロボット大戦α
  • 天使
  • 戦艦
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