シビル・ウォー アメリカ最後の日 単語


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シビルウォーアメリカサイゴノヒ

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私たちは皆「アメリカ人」です、
わかりますよね?

……わかった。
「どういう種類の」アメリカ人だ?

 


『シビル・ウォー アメリカ最後の日(原題:CIVIL WAR)とは、2024年に公開された映画である。

その他の「シビル・ウォー(内戦)」については該当記事を参照のこと。

概要

あらすじ

連邦政府から19もの州が離脱したアメリカ。
テキサスとカリフォルニアの同盟からなる“西部勢力”と
政府軍の間で内戦が勃発し、各地で激しい武力衝突が繰り広げられていた。
「国民の皆さん、我々は歴史的勝利に近づいている──」。
就任 “3期目”に突入した権威主義的な大統領はテレビ演説で力強く訴えるが、
ワシントンD.C.の陥落は目前に迫っていた。

ニューヨークに滞在していた4人のジャーナリストは、
14ヶ月一度も取材を受けていないという大統領に
単独インタビューを行うため、ホワイトハウスへと向かう。

だが戦場と化した旅路を行く中で、内戦の恐怖と狂気に呑み込まれていく──

-公式サイトより抜粋-

作風

シビル・ウォー
アメリカ最後の日
基本情報
監督・脚本 アレックス・ガーランド
音楽 ベン・ソールズベリー
ジェフ・バロウ
製作 A24
DNAフィルムズ
IPR.VC
配給 A24(アメリカ)
ハピネットファントム・スタジオ(日本)
日本公開 2024年10月4日
上映時間 109分
映画テンプレート

アカデミー賞作品賞受賞作『ムーンライト』『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』を送り出したカルト的映画会社・A24の制作・配給作品。A24としては最大の製作費5000万ドル(ハリウッド水準としてはこれでも低い方だが)を投じた戦場ロードムービーである。

近未来、内戦が勃発し各州が分断された合衆国を舞台として、この内戦の元凶ともいえるアメリカ大統領にインタビューを行うべく、陥落寸前のワシントンD.C.を目指すジャーナリスト4人組の旅を描く。予告編では普通の戦争映画っぽいスペクタクルシーンが多いが、実際のところは4人の旅の描写に尺が割かれており、戦争アクション映画というよりはスリラー映画に近い作風になっている。

脚本も担当するガーランド監督が「右派と左派の観客が喧嘩をせずに議論できるような、双方に共通点がある映画をつくりたかった」と語る通り、作中では「何故内戦が起こったのか」「何故、共和党州のテキサスと民主党州のカリフォルニアが団結しているのか」といった、世界観の根底となる情報はほとんど語られない。リアリティに欠けると言えばそれまでだが、ガーランド監督は「詳しく言及しないのは、観客はすでにその答えを持っていると思うから」とも回答している。

必要最低限の情報のみを観客に提供し、明確な回答も描かないシナリオや、プロト・パンクの雄・スーサイドに代表されるファンキーな音楽は好みが分かれる所。特に純粋な戦争映画を観たい人や、アメリカの文化事情の知識=監督の言う「答え」の知識がかけらもない人には向かない映画である。

一方で、アメリカの雄大な自然を捉えた映像美と、それに反するように情緒の欠片も無く展開される乾いたアクションは独特の見所がある。更に殺意すら感じるほどこだわり抜かれた銃爆撃音の演出は一見の価値あり。特にDolby CinemaやIMAXなど、ラージフォーマットで鑑賞した際の迫力は凄まじい。

反響

アメリカ本国では公開から2週間興行収入1位を獲得し、批評家評価も上々。
一方で「北米大陸が戦場と化す」「ファシストの大統領」「登場人物の7割くらいがAR-15を振り回している」「あまりにも残虐なナショナリスト」等々、現在のアメリカでは全くシャレになっていない内容が大論争を巻き起こし、観客間では賛否両論が飛び交うことになった。

日本では上映スクリーンの確保の都合に加えて、あえて同年のアメリカ大統領選挙にぶつけるため、半年遅れの上映となった。結果的に同時公開の有力映画も少ない時期となったことで、初登場興行収入1位を達成。2024年公開の洋画としては『マッドマックス フュリオサ』以来の興収1位であった。

登場人物/演者

リー・スミス / キルスティン・ダンスト
マグナム・フォト所属のベテラン戦場カメラマン。コロラド出身の白人女性。大学生時代にANTIFAの虐殺事件のスクープ写真を撮影して史上最年少でマグナムに加わった、その道では有名人。ソニーαシリーズのカメラを愛用する。
一切の情を挟まず「記録」に徹する、理想的な戦場カメラマン。これまでいくつもの悲惨な現場を記録し、アメリカ本国に警鐘を鳴らすことを目的に活動してきたが、その甲斐なく内戦が勃発したことで精神が揺らぎつつある。
名前はガーランド監督が敬愛する実在の女性写真家、リー・ミラーに由来する。
ジョエル / ワグネル・モウラ
ロイター社の戦場ジャーナリスト。フロリダ出身の南米系男性。酒と煙草を愛し、そして戦場が放つ「ある種の魅力」に憑りつかれている男。とはいえ内心は意外と人情深く、実際の戦場では安全第一の冷静な行動に徹する。大統領にインタビューすることを強く願い、前線へと進んでいく。
サミー / スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン
NYタイムズ紙の記者。老境の黒人男性。中~下半身肥満のために杖無しでは満足に歩けないが、長年の経験で培った鋭い見識と危機察知力は衰えていない。リーにとっては師匠ともいえる存在であり、駆け出しのころから世話になってきた。
ジェシー・カレン / ケイリー・スピーニー
23歳の駆け出しカメラマン。年の割にかなり幼い外見の、ミズーリ出身の白人女性。リー・ミラーと同じ名前のリー・スミスに憧れており、大統領インタビューの旅に同行を申し出てくる。
故郷の農場に引きこもる父からフィルムカメラ(ニコンF2)を貰ってニューヨークにやってきたものの、戦場カメラマンとしての経験と覚悟はまだまだ皆無。旅の中で一端の戦場カメラマンに成長していく。
大統領 / ニック・オファーマン
なんとな~くドナルド・トランプに似ていないことも無い、恰幅の良い白人男性。
サングラスの男 / ジェシー・プレモンス
正体不明の、非常に「アメリカ的な」白人男性。何らかの軍役関係者のようだが……?

TIPS

作中世界のアメリカ

本編では断片的にしか語られない、パンフレットで補足されている情報をざっとまとめる。

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ネタバレ注意
大統領は何をやらかしたのか
作中では、大統領は「発見しだい射殺」の命令が出ており、政府軍の兵士たちも基本的に捕虜にされずその場で殺されていく。ここまで憎悪を集める大統領とは一体?
日本人にはピンとこない人が多いだろうが、実は、あらすじでしれっと語られている「(任期)3期目」そのものが憲法違反の行為である。その後もFBIを解散、反対する自国民への空爆を命じるなど、完全なファシストとして台頭してしまったのが本作の大統領。アメリカ合衆国ではファシストは許されない。
西部勢力(WF)
テキサス州とカリフォルニア州が結成した反政府勢力。大きな白星が2つだけ描かれた星条旗をシンボルとしている。
本来なら支持政党というイデオロギーで対立するこの2州が手を組んでいることについて、ガーランド監督は「民主党と共和党が『ファシズムは悪だ』と同意して手を組むことが、なぜそれほど想像できないのでしょうか?」「もしあなたがそんな状況は想像できないと考えているのならば、それはあなた自身の問題を反映しているのかもしれません」と語っている。
フロリダ連合
フロリダ・ジョージア・テネシー・アラバマ・ミシシッピー・アーカンサス・ルイジアナ・オクラホマの8州からなる反政府勢力。南北カロライナ州は何らかの原因で参加を拒否した模様。作中では西部勢力に続いて政府軍と戦っているらしい。
新人民軍
ジョエルがちらっと語る「オレゴンの毛沢東主義者」。オレゴン・ワシントン・アイダホ・ユタ・モンタナ・ワイオミング・南北ダコタ・ミネソタの9州が勢力圏に入っている。見事に田舎ばっかり。その名の通り共産勢力らしい。
彼らが登場するカットも撮られてはいたらしいが、映画ではカットされた。

旅の道のり

ニューヨークからワシントンD.C.までは直線距離でおよそ300kmほどだが、州道は寸断されてしまっている。このため一同はピッツバーグまで西進し、そこから南下して回り込むルートを取っている。この辺の地理が頭に入っていないと旅の実感が沸かない。

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ネタバレ注意
ニューヨーク
本格的な戦闘は始まっておらず、戒厳令も維持され、朝には子供たちが自転車で通学できる程度の余裕はある。しかし、いつもどこかで建物が爆発しており、ホテルは毎晩のように停電。給水車と警察を狙う自爆テロまで起こっている。
ペンシルベニア州
ここから無政府状態。ハイウェイは廃車で溢れ、ガソリンの給油には給油許可証が必要になっている。住民たちはどいつもこいつも武装しており、政府軍と交戦する民兵もいる。
ウェストバージニア州
西部勢力が実質的に勢力下に収めているが、やっぱり無政府状態。女子供と数えるほどの男性しかいない難民キャンプもあれば、内戦に不干渉を貫く不思議な村もある。所属不明の兵士達も暗躍している。
バージニア州
物語開始当初の最前線・シャーロッツビルが位置する州。当然のように無政府状態。やっぱり所属を伏せた武装勢力がうろうろしている。
ワシントンD.C.
終局の地。僅かな政府軍と大統領が立て籠もる要塞都市となっている。

関連リンク

関連項目

  • 映画 / 映画の一覧
  • アメリカ合衆国

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