スプルーアンス級駆逐艦 単語


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スプルーアンスキュウクチクカン

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スプルーアンス級駆逐艦とは、アメリカ海軍が運用していた巡洋艦駆逐艦のクラスである。

概要

1972年から1983年にかけて31隻が建造され2005年にアメリカ海軍での運用を終了した。本級の艦名は後述するキッド級と共にアメリカ海軍にゆかりのある人物名からとられている。

特徴

本級は対ソ連の対潜艦として建造されると共に将来の改良及び派生型の開発を考慮して開発された。

船体構造

最初に本級と前任となるフォレスト・シャーマン級の船体規模を比較する。

艦名 全長 全幅 基準排水量 満載排水量
フォレスト・シャーマン級 127.5m 13.8m 2750t 3920t
スプルーアンス級 172m 16.8m 5825t 7800t

表で見て分かる通り明らかに第2次世界大戦期の軽巡クラスまで大型化しており、同時期に整備されたバージニア級原子力ミサイル巡洋艦に継ぐ規模となっている。

理由は前述の通り将来の改良を見越して余裕を持たせたことと及び対潜艦として機関等の静粛性を高めるため各種アブゾーバー装置を大量に装備したのでその容積が必要となったためである。

更に以下の特徴を持つ。

  1. COGAG推進方式=ガスタービンx4により8万馬力⇒最大32ktの速力を発揮
  2. ブロック建造方式のため全体的に垂直的な艦上構造物
  3. リットン・インダストリー一社による31隻一括建造

このうち2、3は生産コスト削減の一環であるが本級はそこまで安くはならなかった。ちなみに本級の建造費の半分は電子装備代に消えている。

武装

本級の建造時の兵装は以下の通りであった。

種類 装備 備考
艦砲 5インチ砲x2
対潜装備 8連装アスロックランチャー×1 後述の通り撤去・更新
3連装短魚雷発射管×2
対艦ミサイル ハープーン4連装発射機×2
対空ミサイル シースパロー8連装発射機×1 当初Mk25⇒Mk29に更新
艦載機 対潜ヘリコプター×2 当初SH-2⇒SH-60に更新

この様に第一義の対潜能力の高さに留まらず対艦、対地、対空兵装を一通り揃えているが船体の規模に対し兵装が少なすぎる、と非難されることもあったが建造後に以下の兵装追加・更新が行われた。

  1. ファランクスCIWS×2の追加装備
  2. 4連装ABL=トマホークミサイル用装甲付発射機の装備[1]
  3. アスロックランチャーをMk.41VLSに更新⇒アスロック+トマホークを一括運用。
  4. RAM21連装発射機×1を追加装備(一部)

この様に能力の向上、強化に成功したが年数と対空能力が本級より高いアーレイ・バーク級の充足により退役することになった。ちなみに6番艦アーサー・W・ラドフォードは1997年に後部マストを試験的にAEM/Sに換装している

派生型

前述の通り本級は派生型を開発する計画で建造されているが形になったのはタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦及び後述のキッド級のみである。但し、計画に限れば船体を流用した制海艦=軽空母や対潜ヘリを最大4機運用する派生型も存在した。

キッド級ミサイル駆逐艦

1978年から1980年にかけて4隻が建造された(対空)ミサイル駆逐艦。本級との違いは以下の通りである。

  • アスロックランチャーとシースパロー発射機に代えてMk26連装発射機×2(スタンダードミサイル[2]+アスロック)装備
  • 後部マストに旋回式3次元対空レーダーを搭載(スプルーアンス級は2次元レーダーのみ)
  • 空調設備の強化
  • 以上3点の変更の結果排水量が増大。基準6210t⇒満載9574t⇒台湾引き渡し時点で10,500t

実は本級はアメリカ海軍ではなくイラン海軍向けに建造された艦船である。

イランは現在こそ反米のイメージが強いが1925年から1979年までパフラヴィー王朝によって支配され、特に1955年から1979年にかけて親米傾向が強く、オイルマネーでアメリカから兵器を購入していた一環[3]で本級が建造された(空調の強化はペルシャ湾で使うためである)。しかし、1979年にイラン革命により王朝は打倒され程なくイランは反米となったので浮いた本級はアメリカ海軍に使われることになった。

そして1999年に退役後、モスボールされたのち2004年になって4隻とも台湾海軍で運用されることとなり改修とアメリカでの訓練を経て2005年から2006年にかけて台湾に引き渡され『基隆級』と改名されて運用されているが台湾が本来希望していたイージス艦と比較すると能力が劣ることは否めないうえ、対潜システムも制限[4]されており早急な改修と能力強化が求められる。

小ネタ

よく映画などの作品に米海軍の艦艇が登場するが、スプルーアンス級も意外な形で登場することとなった。それは1941年12月8日の大日本帝国海軍の真珠湾攻撃を描いた映画作品『パール・ハーバー』である。劇中の戦艦「ネバダ」や「ウェストバージニア」などの米艦艇への攻撃シーンで花火のように爆発炎上する4隻のスプルーアンス級もドアップで登場する。もちろん、スプルーアンス級は当時、真珠湾に居ないどころか就役もしていない。では何故、スプルーアンス級が停泊していたのか・・・。答えはマイケル・ベイのみぞ知る・・・。

『パール・ハーバー』の突っ込みどころ上位に上がってくるシーンである。モスボール状態だったのか、南雲機動部隊にフルボッコにされてしまった。(まぁ、花火大会やっているようにしか見えないが

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関連項目

  • 軍艦/駆逐艦/巡洋艦
  • 軍用艦艇の一覧
  • タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦(派生型)
  • オリバー・ハザード・ペリー級フリゲート(同時期に整備されたがまだ使われている)
  • アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦/ズムウォルト級ミサイル駆逐艦(後任)

脚注

  1. *この場合はアスロックランチャー撤去
  2. *当初はSM-1⇒SM-2に更新
  3. *例としてF-14やM60戦車を購入していた
  4. *Mk26で使えるアスロックが生産終了している、4隻中3隻が台湾の主力艦載ヘリS-70=SH-60に対応していない等

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