セパン・インターナショナルサーキットとは、マレーシア・クアラルンプール近郊のサーキットである。
3月にF1、10月にMotoGPが行われる。
マレー系、華僑系(中国系)、インド系の3人種が混合する多民族国家であり、
イスラム教、仏教、ヒンドゥー教が混在する多宗教国家である。
公用語のマレー語、英語、中国語、タミル語(インド南部の言葉)が飛び交う多言語国家でもある。
ラジオ局も言語別に分かれていて、マレー語局、英語局、中国語局、タミル語局に分かれている。
旧英国植民地のご多分に漏れず、英国との関係は良好で、現在も英連邦に加入している。
お隣の都市国家シンガポールとは元々一つの国だった。
いろいろな経緯があって分裂したが、現在も経済面で密接な関係を保っている。
工業に力を入れ、ペトロナス(石油精製)やプロトン(2輪、4輪乗用車)といった国営企業がある。
ペトロナスはF1のスポンサーとして名が通っている。青緑色のペトロナスカラーでおなじみ。
プロトンは2001年から2005年までMotoGPに参戦した。
マレーシアに限らず熱帯の国に共通することだが、冷房を効かせることが富の象徴と考える風潮がある。
空港などの施設の中は冷房が効きまくっていて寒い。旅行の際にはジャケットを持っていきたい。
フルーツ大国で、市場に色んなものが売られている。果物を切り売りして提供する路上の屋台が多い。
田舎の道ばたにマンゴーやドリアンやパイナップルが生えているらしい。
なんとバナナを油で揚げたお菓子があり、マレーシア語でPisang Goreng(ピサン・ゴレン)という。
これはマレーシアだけではなくシンガポール、インドネシア、タイ、ミャンマーでも定着している。
赤道直下で雨量が多いためアブラヤシの生育に最適であり、アブラヤシ農場を多く抱えている。
アブラヤシから作られるパーム油は食用として全世界で色んな形で使われている。
パーム油の世界シェアは、マレーシアが41.5%、隣国インドネシアのシェアが44.0%。
セパン・インターナショナルサーキットの周辺にもアブラヤシ農場が多い。
航空写真で見てみると規則正しく植樹されているが、これがアブラヤシ農場である。
バドミントンが国技並みの一番人気スポーツで、オリンピックレベルの選手を輩出している。
バドミントン専用体育館が非常に多い。
2017年はMotoGPライダーがバドミントンを楽しむイベントが行われた。画像1、画像2、動画1
クアラルンプール市街地から南に40km離れた郊外に位置する。
サーキットのすぐ隣にはクアラルンプール国際空港がある。
空港内にはトランジットホテル(飛行機を乗り継ぐ客のためのホテル)が十分に確保されている。
セパンサーキットは空港と多くのホテルの隣に位置していて非常に観戦しやすい、そう評価できる。
日本の北海道や九州に住むレースファンにとっては、鈴鹿サーキットやツインリンクもてぎに行くよりも
遠征しやすいサーキットではないだろうか。
ヘリコプターの空撮で最終15コーナーから1コーナーの方角を向くと、空港の滑走路が見える。
多いときは10機ほどの飛行機が留まっているのを確認できる。
アクセスしやすい場所でホテル確保も容易であり、MotoGPのシーズン最終盤になることが恒例で、
チャンピオンが決まったレースになりやすいことから、チャンピオンの家族がよくやってくる。
2012年はサンドロ・コルテセそっくりの女性がいたし、2017年にはジョアン・ミルの両親が来た。
赤道直下に位置し、一番気温が下がる1月も平均最高気温が31.5度で、年間平均最高気温も32.4度。
典型的な熱帯雨林気候で、年間を通して降水量が多い常夏の気候で、植物がよく生い茂る土地である。
気温が高く雨も多く、色んな生物がいる。サーキットにコブラが出現したこともある。動画1、動画2
海岸線からの距離は17kmで、海風の影響は少ない。
ちょくちょくスコール(豪雨)が降る。
このサーキットを多く訪れる人によると、夕方の午後4時に決まってスコールが降るという。
こちらが現地の天気予報。
ドルナ製作の開催地紹介ビデオにはクアラルンプール近郊の観光名所が映っている。
2012年頃の開催地紹介ビデオはこちら。現在は内容が少し変わっている。
ペトロナスツインタワー、クアラルンプールタワー、オレンジ色の僧衣を身につけた仏教徒、
チャイナタウン(ペタリン通りが中心)、パヴィリオン・モールの噴水、
スルタン・アブドゥル・サマド・ビル(時計台が目印の最高裁判所)、
デワン・バンダラヤ(クアラルンプール市庁舎)、マレーシア国立博物館(壁画がある)、
クアラルンプール記念図書館(モスク風の黒い塔が2つある)
ロイヤル・スランゴール・クラブ(クリケット場。3つの三角形が目印)、
バドゥ洞窟のムルガン神像(ヒンドゥー教の神様の金色像。高さ43mでビル14階分)が映し出される。
バドゥ洞窟はヒンドゥー教の聖地で、クアラルンプールの中心地から車で30分の郊外にある。
272段の長く急な階段を上がってようやく洞窟に入ることができる。
階段にはサルが多く出没し、観光客が面白がって餌を与えている。
5階建てビルが入るほどの高くて広い鍾乳洞の中で神々が祭られている。
最深部は天井に穴が空いて空が見える場所で、ご本堂がある。
クアラルンプールには2011年に移転したばかりの王宮があり、白い制服を着た衛兵がいる。
暑苦しいなかガッチリとした制服を着ているのに直立不動の姿勢を常に保っている。
観光客が横に並んで記念撮影しても一切姿勢を崩さない。
1時間ごとに衛兵の交代式が行われる。Youtubeにも交代式の動画がある。
首都クアラルンプールの南25kmにプトラジャヤという行政都市がある。
ピンクのモスクと緑のモスクがある。
ここをMotoGPライダーが疾走するイベントを行ったことがある。動画はこちら。
スコール対策のため、大きな屋根を設けてある。観衆の大歓声がその屋根に反響して、よく響く。
バックストレート前とメインストレート前のスタンドにはバナナの葉を模した屋根が並んでいる。
最終15コーナーにはマレーシア国花のハイビスカスを模した丸い屋根がそびえ立っている。
こうした巨大な屋根を映すのがテレビ中継の定番である。動画1
車載動画でも屋根がよく見える。動画1、動画2
バックストレートとメインストレートの間は空間があり、Mall Areaと呼ばれる広場になっている。
各メーカーのブースや売店がある。
サーキット内にヤシの木を植えて南国気分を盛り上げている。
2コーナー、3コーナー、4コーナー、7~8コーナー、10~11コーナー、13~14コーナーの
外側にヤシの木がずらっと並んでいる。
2016年2月から5月にかけてサーキットが閉鎖され、改修工事が行われた。
路面が全面的に張り直され、長年の使用で発生した轍(わだち)やバンプ(隆起)や
ギャップ(割れ目)がなくなった。
それまでのセパンサーキットの路面は白っぽい路面だったが、灰色の路面になった。
そしてなんと、最終15コーナーのイン側が約1m盛り上げられ、正真正銘の逆バンクコーナーになった。
これにより、高速コーナーリングが難しくなり、トリッキーなコーナーになった。
F1ドライバーたちの評価は「あまり楽しくない」「どうも不自然」「意地悪なコーナー」
「あまり好きじゃない」「ヘンな感じ、奇妙な感じ」となっていて、いまいち評判がよくないようである。
この最終15コーナーの改修は安全のためバックストレートとメインストレートの速度を下げるためで、
その目的自体は達成され、2016年以降のラップタイムは下がった。
改修を計画したのはイタリア人ヤルノ・ザッフェッリ率いるドローモサーキットデザイン社である。
同社はアウトドローモ・テルマスデリオオンドの改修を手がけたことで知られている。
セパン・インターナショナルサーキットは日本企業である日本道路と契約を結んでいていて、
この改修でドローモサーキットデザイン社の提案を受けて実際に路面を敷いたのが日本道路だった。
日本道路は1929年創業の道路舗装企業。日本語版Wikipediaあり。
この日本道路が道路に使うコンパウンド(化合物の意味。ここではアスファルトのこと)を
うっかり間違えてしまったらしく、メインストレートには2種類のコンパウンドが混在することになった。
間違いに気付いたのは工事終了の直前で、日本道路は「再舗装させてほしい」と言ったが
工事直後のスーパーバイクの開催が迫っていたので再舗装はできなかった。
2017年2月の時点ではまだ再舗装されずメインストレートの状態がそのままであった。
近年はマレーシアやその隣国のインドネシアにおいて二輪モータースポーツの人気上昇がめざましく、
セパンサーキットで行われるMotoGPは多くの観客を集めている。
2014年には週末合計で13万人、決勝当日だけで8万1千人を動員。
2015年には週末合計で15万人、決勝当日だけで8万8千人を動員。
2016年には週末合計で16万人、決勝当日だけで9万5千人を動員。
2017年には週末合計で16万人、決勝当日だけで9万7千人を動員。(ホンダの公式サイトから抜粋)
ズルファミ・カイルディンやハフィズ・シャリンやカイルール・パウィがレギュラー参戦して
活躍しているのも観客増加に大きく貢献しているだろう。
2008年までは週末合計動員数が5万人だったが、
カイルディンがマレーシアGPにワイルドカード参戦した2009年は週末合計動員数が10万人になった。
カイルディンは2010年からフル参戦し、2012年のマレーシアGPで予選最速、決勝も2位に入った。
週末合計動員数も2010年から10万人以上で右肩上がりとなった。
やはり地元のライダーが速いと人気が出るのだろう。
ちなみに彼らマレーシア人ライダーが表彰台に上がると、シャンパンファイトに参加せず、
スパークリングワインをぶっかけられそうになると必死に逃げ回るのがいつもの風景になっている。
飲酒御法度のイスラム教徒のマレーシア人ライダーが多い。
本サーキットで行われるMotoGPは、シェルアドバンスがメインスポンサーを務めることが多い。
2009年から2017年までの9回開催中8回でシェルアドバンスがメインスポンサーになっている。
黄色いホタテ貝の看板がメインストレートにずらっと並ぶのが恒例になっている。
シェルアドバンスはバイク用エンジンオイルのブランドで、
世界最大級の石油企業・ロイヤルダッチシェルの傘下企業が製造販売している。
ロイヤルダッチシェルは、イギリス・ロンドンで貝殻加工販売から始めて海運業で財を成したシェルと、
オランダ王室の許可を得てオランダ領インドネシアで石油精製業を始めたロイヤルダッチが
1907年に業務提携を始めて2005年に合併した企業であり、インドネシアが発祥の地の1つである。
そのインドネシアからマレーシアはすぐ隣で気候もよく似ているので、
心情的にスポンサーしたくなるのであろうか。
またマレーシアは英国と関係が深いので、英国育ちのシェルがスポンサーする気になりやすいのだろう。
シェルアドバンスは、2014年から2016年までアジアタレントカップのメインスポンサーも務めていた。
アジアタレントカップはアジア圏の若いライダーの育成のために立ち上げられた大会で、
カタール、マレーシア、インドネシア、タイ、中国、日本を転戦して争われる。
2014年には鳥羽海渡、2015年には佐々木歩夢がチャンピオンに輝いた。
10月に日本とオーストラリアとマレーシアでMotoGPを3週連続開催することが恒例になっている。
2001~2003年、2006~2007年、2010年、2012~2017年が3週連続開催の例となっている。
なぜ3週連続開催にするかというと、貧乏な弱小プライベートチームへの配慮であるとされている。
環太平洋ラウンドは、ヨーロッパにあるチーム本拠地を離れ、スタッフ全員がホテル暮らしする。
3週連続開催にすればホテル滞在費を削減できる。
そういうわけで3週連続開催になっているが、この環太平洋ラウンドはどこも体力を消耗させられ、
ライダーたちにとってリスクの高い場所になっている。
日本・・・世界有数のハードブレーキングサーキットで上半身を酷使する。
オーストラリア・・・とにかく寒い。気温10度まで下がる。ピットの中ではみんながニット帽をかぶる。
マレーシア・・・気温30度で暑いが、空港は冷房が効いて寒い。水あたり・食あたりを起こす危険もある。
2016年はマルク・マルケスが食あたりを起こし、胃腸炎を抱えたままマレーシアGPを走る羽目になった。
長い直線2本と中低速コーナーで構成される。
まずは、なにはともあれ、長い直線の後にしっかりハードブレーキングできる車体を作る。
そのあとは9コーナーから14コーナーまでの高速区間をリズム良く流れを殺さず走りきるようにする、
これがセパンにおけるセッティングの流れだという。
色んなところでアップダウンがあるサーキットである。
F1のサーキット紹介動画では高低差を視覚表示してくれている。3コーナーが最底辺だと分かる。
2015年までは、路面に轍(わだち)やバンプ(隆起)やギャップ(割れ目)があるサーキットだった。
F1が開催され、F1のハイパワーマシンによって路面が削られ、うねりや凹凸が多かった。
2016年の改修の後は路面の凹凸が解消され、グリップの高いサーキットに生まれ変わっている。
ただ、このサーキットは常夏の場所にあり冬季のテストに最適で二輪・四輪のテストに多用される。
四輪の走行によって路面が痛むのは必然であり、路面の凹凸が増えるのは時間の問題であろう。
こちらがMotoGP公式サイトの使用ギア明示動画である。1速に落とすのは9コーナーのみとなっている。
主なパッシングポイントは、メインストレートエンドの1コーナー、4コーナー、9コーナー、
14コーナーとなっている。
2015年まではバックストレートエンドの最終15コーナーもパッシングポイントだったが、
2016年の改修によって最終15コーナーはパッシングしにくくなった。
青山博一が得意としていたサーキットであり、2009年には見事な勝利を収め、
250ccクラスチャンピオン争いで大きく前進した。
雨が降り出すととんでもない量の雨が降る。
ただし、高温なので、晴れ間が広がるとあっという間に乾いていく。
2015年までのセパンの路面は白っぽかった。
乾いた路面も濡れた路面も白っぽく、乾いているのか濡れているのか判断しにくかった。
2016年の改修の後は灰色の路面になった。
乾いた路面が灰色、濡れた部分が黒く見えるようになり、判断しやすくなった。
ちなみにサーキットの路面は、多くのマシンがスリックタイヤで走ることで路面の砂埃が掃除され、
さらに黒いラバー(ゴムのこと。ブラックマークとも言う)がベッタリと糊のように路面の上に付着し、
グリップがどんどん良くなっていく。
しかしながら雨が降ると、そうした黒いラバー(ブラックマーク)が流され、
雨が空気中の塵埃を拾って路面に付着させ、
さらには路面のアスファルトの奥部に詰まっていた小さな塵埃が表面に浮き上がり、
元通りの塵埃にまみれた汚い路面になってしまう。スコールが降った直後は路面のグリップが悪くなる。
また、豪雨によってコースの外から砂や土が流れ込むことがある。
スコール後にコーナーのアウト側を目一杯使うライディングをすると砂や土を踏んで滑ってしまう。
このサーキットはいくつかの場所でアップダウンがある。先に乾くのはそういう起伏のある場所である。
起伏のあるところのほうが風が当たりやすく、乾きやすい。
ほぼ赤道直下に位置するので、高温多湿で灼熱のサーキットになる。
各ライダーは自分の汗でのぼせ上がり、ユデダコのように真っ赤になる。
首筋にタオルを巻き、ライダースーツの胸元を開け、扇風機の風を浴びるライダーの姿が
セパン風物詩である。
ピットインのたびに首筋や脇や手首といった太い血管のある所へ氷を当てて体温を冷やさねばならない。
氷がまさしく必需品となる。
あまりに汗をかくので、ライダースーツが汗でずっしり重くなる。水分補給も必須である。
路面温度が50度を越えることが珍しくない。
路面温度が50度を越えるとどのコンパウンドのタイヤでもグリップしないと言われ、転倒者が増える。
路面温度50度まではフィーリングが変わらないが路面温度が55度を超えるとフィーリングが激変し、
内圧・表面温度・内部温度・空気圧が大きく変わる、こうしたことも盛んに言われることである。
そして、マレーシアGPで「魔の路面温度55度」を越えることは珍しいことではない。
路面温度50度近辺は1度の差がタイムに大きく反映されるので、
雲が流れてきて日光が遮られるとコース上に出ている全員のタイムが一斉に上がる。
周回タイムで皆のタイムが上がったらサーキット上空に小さな雲が居座って日が陰っていることが多く、
周回タイムで皆のタイムが下がったらサーキット上空の小さな雲が流れて青空になっていることが多い。
路面温度が30度台なら、1度の差がタイムに大きく反映されないので、ここまでの珍現象にはなりにくい。
「路面温度が30度台でタイヤのグリップがいいとバイクの問題点も表れないが
路面温度が上がってタイヤがグリップしなくなるとバイクの問題点が表れる」という言い伝えの通り、
各ライダーは上手く走ってくれないマシンをなんとか力ずくで操縦する作業に追われることになる。
気温が高いとブレーキの性能にも悪影響が出てくる。
ブレンボ(イタリアのブレーキメーカー。MotoGPクラスのほとんどのマシンにブレーキを供給する) が
選んだ「ブレーキに厳しいサーキット」の中で、本サーキットはトップ4の一角に入っている。
気温が高いとエンジンの冷却が上手くいかず、エンジンの調子が悪くなる。
セパン・インターナショナルサーキットでは毎年2月ごろにMotoGP最大排気量クラスのテストが行われ、
各チームが様々な部品をテストする。
そのとき1つ言われることが「セパンでエンジンの性能を判断してはならない」というものである。
本サーキットは暑く、強力すぎるエンジンも本来の力を発揮せず、大人しい出力になる傾向がある。
セパンでエンジン性能を検査して「よし、十分に扱いやすい。このエンジンで行こう」と決めたら
他の涼しいサーキットではエンジンパワーが強力になりすぎて上手く扱えないことが判明する・・・
こういうことが過去に繰り返し起こってきた。
MotoGPのメインイベントである最大排気量クラス決勝の開始時刻は、
14時になったり16時になったりと変遷している。
1999年のセパンサーキット初開催から2017年までの間、14時台開始が5回、15時台開始が9回、
16時台開始が5回。MotoGPの運営者であるドルナもすこし決めかねている。
MotoGPが開催される10月において、マレーシアとMotoGPの視聴者が最も多い中央ヨーロッパ諸国
(スペイン、イタリア、フランス、ドイツなど)の時差は7時間。
16時決勝開始だと中央ヨーロッパ朝9時開始になり視聴率を稼ぎやすい。
気温や路面温度も下がり、走りやすい。
しかしながら、セパンサーキット周辺は16時ごろにスコールが降りやすく、危なっかしい。
14時決勝開始だと中央ヨーロッパ朝7時開始になり視聴率が落ちる。
気温や路面温度は頂点の高さで、走りにくい。
しかしながら、スコールが降る危険性はやや下がる。
メインストレートエンドの1コーナーはMotoGP有数のハードブレーキングポイントになっている。
1コーナーでマルク・マルケスが奇跡的な転倒回避をしたことがある。
1~2コーナーは右~左の切り返しであり、スタート直後の位置取りが注目される。
1コーナーをアウト側から進入すると2コーナーではインを突くことができる。
1コーナーをイン側から進入すると2コーナーではアウト側を回らされることになる。
2コーナーはライダーが沈んでいくようにみえるほどの急な下り勾配になっている。
2015年までは1~2コーナーの内側にマレーシア国旗の4色(赤白黄青)を塗っていた。
上空からみるとこうなっていた。画像1、画像2
このペイントの部分にマシンが転がり込んでもペイントが崩れない。
つまり、グラベル(砂)の上にペイントを施しているのではない。
2コーナーの内側にはライダーの周回に合わせて旋回するカメラが置かれるが、
そのカメラがマレーシア国旗の4色のペイントを捉えていた。
2016年と2017年は4色ペイントを行わなかった。
3コーナーの外側に丘があり、マレーシア国旗をペイントしている。テレビ中継でも映される。
丘の斜面のペイントなのでライダー目線でも目立つ。
2コーナーを立ち上がった後は、下り勾配の中でマシンを左から右へ切り返す。
大きく右にカーブしながら下り勾配が続く3コーナーになり、アクセルを開けてパワーを掛けていく。
3コーナーが本サーキットの最底辺となっている。3コーナーを立ち上がると急な上り勾配に転じる。
4コーナーはパッシングの多い場所である。4コーナーを過ぎた後もしばらく上り勾配が続く。
4コーナー付近の下には地下道があり、それを通ってパドックにクルマで進入することができる。
5コーナーは結構急な下り坂になっており、リアタイヤの荷重が抜けやすい。画像1、画像2
5コーナーでアクセルを開けていくことはかなり難しいこととされる。
5コーナーを映すテレビカメラに、サーキット外の公道344番線を行き交う車の姿が映ることがある。
6コーナーはグイッと上り勾配になっていて、各ライダーはアクセルを開けつつ右に切り返していく。
上り勾配でアクセルを開けるのでリアタイヤの荷重が大きくなり、フロントタイヤの荷重が抜けやすい。
走行ラインを少しでも外すと、スリップダウンの転倒やコースアウトの危険性が一気に高まってしまう。
6コーナーでは丁寧なマシン操縦が要求される。
6コーナーのあたりにショートカットがあり、ここからピットに戻ることができる。
そのショートカットの横にはヘリポートがある(Hを○で囲んである場所)
7~8コーナーは鈴鹿サーキットのデグナーカーブに似たコーナーになっている。
パッシングは滅多に起こらない。
8コーナーから9コーナーの間は短い直線だが、僅かに左へ曲がっている。
9コーナーは非常にパッシングが多い。進入は下り勾配で、脱出は上り勾配となっている。
9コーナーから14コーナーの高速区間はライダーたちに重要視されているようであり、
ここを速く走ってバックストレートの加速につなげることがラップタイム向上のため効果的らしい。
本サーキットの設計者はヘルマン・ティルケであり、それを思い出させるのが9コーナー以降である。
10~11コーナー、13~14コーナーがどちらもティルケお好みの『フの字形コーナー』になっている。
『フの字形コーナー』は、進入する部分は緩やかな角度でコーナーリングスピードが高いのだが、
脱出する部分はきつい角度になっておりコーナーリングを落とさざるを得ない。
進入部分は度胸を決めて勢い良くスピードを保ってコーナーに進入する、
脱出部分に向けて徐々にブレーキングして上手くマシンをコントロールする、
この相反する技術を求められる。
11コーナーの立ち上がりは、次の高速S字にできるだけ速い速度で進入しようと考えるあまり、
焦ってアクセルを開けすぎてリアタイヤが制御不能になってハイサイド転倒することが多い。
11コーナーから12コーナーの間に地下道があり、転倒したライダーはここを通ってピットに戻る。
12~13コーナーは下りの高速S字で、ここに飛び込んで行くライダーの姿は格好いい。
12~13コーナーはかなり急激な下り勾配を高速で飛び込んでさらに切り返す度胸試しのコーナーで、
フロントタイヤの荷重が抜けやすく、フロントのチャタリングも出やすい。
ロングストレートの前のコーナーではパッシングを仕掛けずに綺麗なラインを通り
ストレートでの加速に備える、という格言があるが、14コーナーはかなりの低速コーナーなので、
その格言を破ってパッシングするライダーもいる。
14コーナーは各ライダーが同じようなラインを通るので、ラインを外れた外側は埃が積もっている。
また先述のようにスコールでコース脇の土砂が流れ込む影響もあり、コーナー外側に砂埃が多い。
14コーナーのラインを外れた外側は非常にdusty(塵が多い)でdirty(汚い)である。
14コーナーはカント(傾斜)が付いていないフラットなコーナーなので、タイヤへの荷重が抜けやすく、
転倒しやすい。
2015年にはこの14コーナーでヴァレンティーノ・ロッシとマルク・マルケスの接触事件が発生した。
コーナーの外側に押し出されたマルケスが転倒、ロッシはレース後にペナルティポイントを課せられた。
バックストレートの横にはsupport paddockがあり、ピットとして使用できる。
ただ、MotoGPでは使用されない。
バックストレートで先行ライダーがスリップストリームを嫌いマシンを左右に振る姿がたまに見られる。
後続のライダーが背後に付いてスリップストリームを使って加速してくると、
先行のライダーは後ろに引っ張られるような感じになり、車速が落ちてしまう。
なぜそうなるのか原理は解明し切れてないが、ライダーの感覚でもデータ上でも明らかに車速が落ちる。
それゆえ先行のライダーは後続のライダーにスリップストリームを使われないように努力する。
背後に付かれてスリップストリームを使われるのを防ぐには、耳を澄まして、
後ろの車が右か左かどちらから来るか判断する。経験があれば判断することができる。
右から来られたら左に、左から来られたら右に車体を振るのである。
2015年までは最終15コーナーが最後の勝負所となっていて、ここを無理に走るあまり
悲劇的な転倒を喫するケースも多かった。
2016年の改修で最終15コーナーのイン側が1m盛り上げられ、正真正銘の逆バンクコーナーになった。
これにより、攻めたいけれども攻め過ぎるとアウトに膨らんでしまうコーナーとなり、
走りづらいコーナーになった。
各ライダーの走行ラインもまさしくバラバラで、
大回りするライダーもいるしイン側を小回りするライダーもいるという、
統一的なラインが存在しないコーナーになっている。
YoutubeにMotoGP公式から各ライダーの走行ラインを比較した動画がアップされている。
Contrast and compare the riders' through turn 15
How the fastest qualifiers approached turn 15
最終コーナーの立ち上がりはそこだけアウト側に舗装が広がっていて、
他の直線部分に比べコース幅が広い。この広い幅を目一杯使ってライダーたちが立ち上がっていく。
最終コーナーの外側にヘリポートがあり、駐機しているヘリコプターが映ることがある。
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最終更新:2025/12/12(金) 00:00
最終更新:2025/12/11(木) 23:00
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