ゼロから始める魔法の書とは、電撃文庫より刊行中のライトノベルである。
2017年4月現在、既刊は9巻。
概要
2014年2月8日発売。著:虎走かける。イラスト:しずまよしのり。
第20回電撃小説大賞・『大賞』受賞作品。
また2016年10月にアニメ化が発表、2017年4月より放送中。
魔女や騎士などが存在し「魔術」という学問があるファンタジーな世界が舞台で、中世時代に近い。
著者に曰く「大好きなファンタジーで、大好きな王道ストーリーを書こうと思って出来上がった」作品、との事。
「魔法科高校の劣等生」の著者・佐島勤も本作のファンであり、巻末に推薦文を寄せている。
主人公である傭兵が、魔女であるゼロに雇われ、その2人ないし道中仲間になった者達と魔女に関する事件や出来事を解決していくというのが概ねの作品の主軸となっている。物語前半に何気ない描写に読者へ対して多くの複線が提示され、最後に回収していくという推理要素が多く見られる。また、旅に当たっての描写が細かく描かれ、特に料理のシーンはシリーズを通して非常に多く描写されているのが特徴である。
通称は著者に曰く「ゼロ書」。だが、イラストを手掛けたしずまよしのりがデザインしたとあるキャラクターが、カバーイラストのヒロインであるゼロの顔立ち・雰囲気と似ている事などから『ゼか魔書』という略称も定着している。
セガゲームスの格闘ゲーム「電撃文庫 FIGHTING CLIMAX IGNITION」の家庭用移植版(2015年12月17日発売・PlayStation 4/PlayStation 3/PlayStation Vita)に、サポートキャラとしてゼロ(CV:高橋花林)が参戦することが発表された。
ストーリー
「魔女」が存在し、「魔術」が科学に代わって普及している世界。
そんな中、半人半獣の「傭兵」は「獣墜ちの首を狙う」魔女に命を狙われ、逃げ延びた先で偶然謎の魔女と出会う。
ゼロと名乗る魔女は、10年前にどこかへ持ち出されてしまった『ゼロの書』を探して旅をしているらしく、傭兵を人間の姿に戻してやる代わりに護衛を務めてくれ、と交換条件を持ちかけ、傭兵は大嫌いな「魔女」の護衛をしながらゼロの書を探す旅に出る。
魔術師団所属の未熟な少年魔術師「アルバス」、ゼロの過去やゼロの書についてを知っているらしい魔術師「十三番」、様々な人物たちの思惑と魔法書を巡るストーリーを描く。
登場人物
- 獣の傭兵 (CV:小山剛志)
- 本作の主人公にしてストーリーテラー。本作における「俺」。獣人の主人公という小説作品では珍しい立ち位置。
「獣墜ち」と呼ばれ蔑まれる、生まれながらにして半人半獣(虎)の容姿に生まれた傭兵の男。その姿から人間に迫害されたり「獣の首は魔術的に価値が高い」と魔女に命を狙われるため、人間や魔女を徹底的に嫌っている一方で「いつか人間になりたい」とも思っている。獣人ゆえ普通の人間よりも身体能力が獣じみて高いため、普段は他の獣墜ち同様に傭兵として戦争に身を投じ生きているが、ある時ゼロと出会い「人間の姿に戻してやる」と取引を持ちかけられ、ゼロと行動を共にするようになる。
作中ではとある事情で「傭兵」としか呼ばれないため、本名は不明。基本的には面倒ごとを嫌う反面、情には厚い。
- ゼロ (CV:花守ゆみり/電撃FCI:高橋花林)
- 本作のヒロイン。通称「ゼロ」。世間知らずの絶世の美女。泥闇の魔女。
自身が製作し、使い方を誤れば世界を滅ぼす力を持ったとされる魔術書「ゼロの書」を探して一人、旅をしている。自身を「我輩」と呼称し尊大な性格ではあるが、ゼロの書の製作者ともあって魔術の素養はかなり高く、並の魔術師では足元にも及ばない程。一般常識は「穴ぐら」で生まれ育った為ほぼ皆無だが、知識は膨大。傭兵の毛を好み、なにより知識欲と食欲に貪欲である。
旅の途中に森の中で傭兵と出会うと、「護衛を頼みたい」と彼と行動を共にする。
ウェニアス王国
- アルバス (CV:大地葉)
- 「ゼロの書」を所有しているとされる魔術師の派閥「ゼロの魔術師団」所属の、幼さが残る少年の魔術師。元は傭兵の首を狙ってきていたが、ゼロ達との成り行きから「ゼロの書」の在り処を案内するためにゼロと傭兵に同行するようになる。
ゼロの書から魔法を教えてくれた「あの方」に心酔しており、現在の魔女狩りを行う国情を良く思っておらず、魔女への迫害を無くす為に「ゼロの魔術師団」が国との戦争状態に入っている現状を正しい事をしていると信じて疑わない。魔術が関係しなければ素直で純真な少年。本作のもう1人のヒロイン。
名前の元ネタはホグワーツ魔法学校のあの人だろうか?
- ホルデム (CV:加藤将之)
- ゼロ達が旅の途中で出会った狼の獣墜ち。獣墜ちの力を利用して人を脅迫し、奪い取る事を当然であるが如く振舞う最悪な性格の持ち主。とある娘の世話係でそれを探している最中だった。後にとあることから傭兵と協力することになる。
- ソーレナ (CV:榊原良子)
- 人と接し、願いを聞くことにより魔術の発展・転用を研究思想にもつ「詠月の魔女」という系統に属する、その代表的な魔女。その名は大変高名で国外までに知れ渡っていた。寂れた村のそばに住処を持ち、占いや怪我の治療など人と相互扶助を確立していた。魔女と国が戦争となった原因である「報復の狂宴」の原因を作ったとされ、物語開始1年前に魔女狩りによって火刑で死去している。
- 十三番 (CV:子安武人)
- ゼロと同じ「穴ぐら」出身の魔術師。ゼロの過去を知る人物であり、彼もまた何か明確な目的があって行動しているらしい。ゼロとは共に「穴ぐら」で生活をしていた。しかしある時「ゼロの書」が盗まれたことを期にそれを探すために10年前に旅立っていた。
王国とも「あの方」とも関係が深い。
- あの方
- ゼロが書いたゼロの書を10年前に持ち出し、ウェニアス王国に魔法を広め、ゼロの魔術師団を率いているとされる人物。誰もが顔をみたことがないが絶大の信頼を集めている。
クレイオン共和国
- フォーリア (CV:-)
- クレイオン共和国に存在する湖上都市、聖都アクディオスにいる聖女。愛称はリア。歳は18。
容姿は薄緋色の髪をみつあみにしてたらした美女で巨乳。人々から「神の奇跡」と呼ばれる不思議な力であらゆる傷を癒すことから「聖女」とされ、国内外から絶大な人気と知名度をほこる。しかし教会からは神による奇跡か、それとも魔女による魔術なのかの裁定が下されていない為、正確には聖女ではない。
聖女とされる本人は物凄い天然で常識知らずな上に外見年齢にそぐわない幼い性格をしたか弱い女性。そのため極端に自己主張が少なく、本人はただ人々を助けたいという純粋な気持ちで「奇跡」を使っている。
- サレナ (CV:-)
- フォーリアの侍女で短い赤毛の女性。目立たないが侍女としての仕事は有能で、獣墜ちの傭兵へも普通に接する。他国から北らしく聖女とは仲がよいが詳細は不明。
- ティーオ (CV:-)
- 日焼けで茶色になった髪に前歯が一本抜けた容姿が特徴的な10歳前後の少年。愛称はテオ。
とある事でゼロ達が助けたことで、旅を共にすることとなる。雑用から旅の食住、さらには交渉まで任せたらかなりの有能さを発揮する。両親はすでに他界しており、近年の聖女の影響による医師不足が原因らしい。父親から形見としてもらったナイフを肌身離さず持っている。
- カル (CV:-)
- 聖都アクディオスの近くに存在するロータス砦を根城にする盗賊団の頭領。鷹の獣墜ち。 翼を広げると両腕よりも大きな翼を展開出来、自由に空を飛行することが出来る。聖女を狙って暗躍しているが、彼女に固執するには深い理由がある。
- 盲目の神父 (CV:-)
- リアに付き従い護衛をする神父。女神の浄火(デア・イグニス)という教会の異端審問間。 容姿は顎の下で切り揃えられた緑髪に整った顔の優男。普段は目に皮製の眼帯をしているが、見えないわけではなく生まれつき光に異常に過敏なため昼間は保護する為にしている。
獲物は杖になる折りたたみ式の大鎌で獣墜ちの傭兵と渡り合うほどの身体能力、膂力、戦闘技術を持ち合わせている。 精鋭の異端審問官ではあるが、リアの力が神の奇跡かどうか判断を迷っているような言動と態度をとる。 過去に魔女を断罪したあと「聖女だった」と間違って裁定した過去を持つ。
簡易用語
- 魔術
- 魔方陣と生贄を用意し呪文を唱え、悪魔を召還してその力を借り奇跡を起こす研究をする学問。悪魔は協力的というわけではなく「交渉相手」であり、自身を守る為にも魔方陣は大変重要で、まず魔方陣を正確にかけなければ魔術は使えないし使えたとしても召還した悪魔に食われる命がけの儀式でもある。また悪魔と総称されているが精霊、神なども交渉図式的には同じであるため悪魔と呼称されている。
この世界では約500年前に世界で戦争があり、魔女勢力が負けてから世界に散らばり細々と魔術は続いている。魔術にはその研究分野や思想から様々な系統に分かれており、泥闇、詠月、星瞰等がある。交渉する悪魔は美しいものを好むため魔力の才能が高いものは整った顔立ちが多い。
- 魔法
- 悪魔の契約法則の略称で、「悪魔を召還し交渉するしないに関わらず、悪魔に出来ることは決まっておりそもそも交渉の余地はない」ということに気がついたゼロが纏めた新しい技術体系。
悪魔の召還という術者の危険にある魔術の重要な部分をすっぱり無くし、簡単に、且つ短時間で使えるようにした。必要なのは悪魔の名前とその能力、必要な呪文と贄、があれば使用できる。才能さえあればゼロの書を使い5年もあれば誰でも使うことが習得可能。「なぜ必要もない悪魔を召還しているのか?」という逆説から生み出された。
魔法の呪文は「悪魔への働きかけ、自分自身を導く明確な意思表示、術名と自身の名前」で構成され、術名、名前は補助でまた気合。訓練のうちに必要なくなりそのうち無詠唱でも可能になる。
- ゼロの書
- ゼロが呪文の詠唱のみで魔術が起こせる魔法を記述した本。最上級の香を焚き染めた洋紙紙に決して色あせないインクで記述されている。装丁は磨かれた黒檀に金の蝶番、この上も無く繊細な装飾が施されている。 全4章からなり、狩猟、捕縛、収穫、守護で成り立っており、それぞれの章ごとにまったく違った才能を必要とするため全章を使うことはゼロ以外は出来無い。また、魔力が低いと低位の魔法しか使えないよう安全装置が施されており他にもある。
元々は外界を夢見たゼロが「こんな事が出来たら助けになる」「こんな事が出来たら人々は便利になるだろう」と人々の利便性向上を考えた書であった。
- 魔女
- 主に魔術を研究する女性の魔術師を指す。元々は魔術は男性が生み出した学問だったが女魔術師のほうが秀でており、それを気に食わないと男魔術師が追放。魔女と蔑み、魔女は世界へ散らばり魔術が普及した。そのため魔術を研究する人口も女性が多くなったという経緯がある。
- 魔力
- 生まれ持った魔術・魔法を扱える資質。これが低いと高位の魔術や魔法は行使できないため別途魔方陣や贄を必要とする。ゼロ曰く「筋力のようなもの」らしく、高位な魔法を使うと「消耗」するらしく時間を置けば回復する。「量」であるかどうかは不明。
- 獣墜ち
- 半人半獣の人間のこと。ほとんどが動物の特徴をもって生まれてくる。その腕力は人を握り殺せるぐらい、崖下に転落してたり馬に激突されても怪我程度で済む耐久力を持つ為、総じて戦闘能力が高い。また獣落ちは教会より生前の悪事により悪魔を宿した姿として汚らわしいものとして扱い、単純に外見が大きく恐ろしい為人々からも恐れられる。 多くがそういう経緯で傭兵や盗賊などに落ちるためそのような傾向も嫌悪去れる原因である。
また獣墜ちの首は魔術の儀式の最高の生贄とされ、それを売りつけようとする盗賊または魔女本人などに追いかけられることがある。
その真相は「呪詛返し」である。遥か昔に国同士の戦争に魔女が人に「獣降ろし」をして強固な戦士を作ったたことによる人為的な半獣で、死んだ後の魂は魔女に戻るが魔女が死亡していた場合は、魔術を行った魔女に一番近しい者に戻るため半獣が生まれる。魔女は当然ながら人を獣墜ちへ、獣落ちを人へすることが可能。
アニメ
2016年10月2日に開催されたイベント「電撃文庫 秋の祭典2016」にてアニメ化が発表された。
2017年4月10日よりAT-XやTOKYO MXにて放送中。
スタッフ
- 原作 虎走かける(電撃文庫 刊)
- キャラクター原案 しずまよしのり
- 監督 平川哲生
- キャラクターデザイン・総作画監督 木宮亮介、又賀大介
- イメージボード 品川宏樹
- プロップデザイン 岩畑剛一、鈴木典孝
- 美術監督 高峯義人
- 色彩設計 青木薫
- 撮影監督 設楽希
- 編集 須藤瞳
- 音楽制作 ランティス
- プロデュース インフィニット
- アニメーション制作 - WHITE FOX
- ゼロの魔術師団
関連動画
関連商品

![ニコニコ市場は2023年11月に終了しました。]()
![ニコニコ市場は2023年11月に終了しました。]()
![ニコニコ市場は2023年11月に終了しました。]()
![ニコニコ市場は2023年11月に終了しました。]()
![ニコニコ市場は2023年11月に終了しました。]()
![ニコニコ市場は2023年11月に終了しました。]()
![ニコニコ市場は2023年11月に終了しました。]()
![ニコニコ市場は2023年11月に終了しました。]()
![ニコニコ市場は2023年11月に終了しました。]()
関連項目
- 電撃文庫
- しずまよしのり
- 獣人 / 魔女
- 小説作品一覧
- ぜかまし