タイムトラベル11の理論(The 11 Theoretical Gate)とは、現代物理学においてタイムトラベルを実現するかもしれないと予想されている11の理論のことである。
本来、タイムトラベルは物理学の大原則である「因果律」を破るものとして否定されている。世界で起きている物事すべてに原因と結果がセットで付いて回るからである。
しかし物理学者の中には、限定的ではあってもタイムトラベルが実現する可能性について真面目に考察している人間が存在する。そんな科学者達の立てたいくつかの理論をまとめたものが、以下に示す「11の理論」である。
いくつかの理論はセットになっており、ある理論が別の理論で否定される、というようなこともある。
「中性子星」は、太陽より比較的重い恒星が寿命を迎えた時に生じる高密度の星のこと。ほとんどの元素が重力で潰れてしまい、主に中性子しか残っていない。この上では地球はおろか、太陽をも超える非常に強い重力が働くため、「アインシュタインの一般相対性理論」に基づき時空が歪み時間がゆっくり経過する。
(反論)中性子星の周りの表面重力は強すぎる(地球の約1000億倍)ため、何も考えずに近づくと超重力によって潰れて表面にドロリと流れることになるだろう。また、中性子星は強烈な磁気と電磁波を放出するため、よっぽど強力な遮蔽手段が無い限り接近は難しい。
また、地球に最も近い中性子星でも200光年と結構な距離があるため利用は難しいと見られる。
「ブラックホール」は無限の密度を持つ「特異点」を持ち、その「事象の地平面(イベント・ホライゾン)」を超えた先の「特異点」では既存の物理法則が適用できない。その周りではタイムトラベルが可能な時空構造を実現する可能性がある。代表的なものとしては、アインシュタイン方程式の「カー解」から予測される、回転するブラックホールでの「閉じた時間線(時間的閉曲線)」がある。実際に扱うのであれば、電荷も持つ「カー・ニューマン解」によるブラックホールのほうが使い勝手がいいとされる。
「ブラックホール」についてはキーワード項目も詳しいのでそちらも参考に。
(反論)ブラックホールに接近するためには中性子星以上の超重力(と重力の変異や潮汐力)に耐える必要があり、より現実的でない。通常の物体は潮汐力のもたらす「スパゲッティ化現象」で引き伸ばされて粒子レベルまで分解される可能性が高い。
超小型のブラックホールを地球上で生成するという案もあるが、発生する「マイクロブラックホール(MBH)」はできたとしてもすぐ消滅する可能性が指摘されている。よく言われるように地球を吸い込むように成長するのは難しいとみられる。
閉じた時間線の存在は今のところ確認はされていない。スティーブン・ホーキング博士は「閉じた時間線は場のエネルギー密度が無限大になり存在できない」という「時間順序保護仮説」を立てている。
移動速度が光速度(秒速30万キロ)に近づくと、「アインシュタインの特殊相対性理論」に基づき時間がゆっくり進むようになる(ローレンツ収縮)。光速に達することができれば、内部での時間は停止する。そして光速を超えた場合、時間は過去に向かって逆行するとみられる。
SF作品においてはこの時間の遅れが「ウラシマ効果」と呼ばれる場合がある。
(反論)特殊相対性理論では「情報が伝わる速度の最高値は光速であり、それ以上の速度に加速することは出来ない」としている。また特殊相対性理論によれば物体の速度が光速に近づくにつれ時間の伸びとともに同時に質量が増大・長さの収縮も起こるため、正の質量がある物体は光速に達することは出来ないことが実験的にも証明されている。
一応、光速に近い加速が可能な手段があれば「若いまま未来に行くこと」は出来るようになる。ただし光速を超えることができない以上、過去に行くことは不可能である。
先の「光速理論」の延長上。もし光の速度を超える粒子が存在するとすれば、特殊相対性理論に基づき質量が「虚数」という存在が仮定される。このような粒子を「タキオン」と呼ぶ。もしタキオンが存在しかつ利用できるなら時間を逆行するため、過去への通信に利用できる可能性がある。
なお、一部健康関連商品で「タキオン含有」なるものが売られているが、タキオンは理論上超光速で動き続けなければならず止まっていることはないので、まずウソだと思った方がよい。
(反論)そのような粒子は未だ観測されておらず、また観測できると因果律の原則に触れるため観測できる可能性はないと見られている。
時空構造の位相幾何学の中で、時空の二か所を任意につなぐ「時空の虫食い穴」の存在が想定されており、これを「ワームホール」という。これを用いれば、空間の2か所をつなげて瞬間移動する「ワープ」が実現する可能性がある。
理論物理学者キップ・ソーンはワームホールの出入り口を光速に近い速度で移動させる(先の「光速理論」に基づく)ことで過去と現代を接続することができると考えた。
(反論)ワームホールは微小かつ不安定で、生じてもすぐに崩壊してしまうとみられる。これを保持するためにはエキゾチック物質が必要となる。
「エキゾチック物質」は負のエネルギーと質量を持つ物質であり、これをワームホールの中へ入れてやることでワームホールを安定化させ、物体や情報を通過させることができるとみられる。
(反論)そんな物質は今のところ確認されておらず、またエキゾチック物質それ自身が不安定であるとみられる。
物理学者リチャード・ゴットが考案。宇宙ひもとは無限の長さを持つ素粒子ほどのひび割れのことで、宇宙誕生時の「時空の相転移」の際に生じる特殊な領域のこと。物体が結晶化する時、なりきれなかった部分が欠陥として残ることがある(格子欠陥)が、その時空版のようなものである(所謂「ひも理論」「超弦理論」とは関係が無い)。その周りでは時空のひずみが発生し、「閉じた時間線」が形成される。その周りを周回することで過去へ戻ることができるとみられる
(反論)無限の長さと莫大な質量をもつ「宇宙ひも」の取り扱い方法が一切不明。むろんまだ発見されていない。
重力相互作用(重力)を量子化した新理論が考案されており、これによって一般相対性理論が適用できないブラックホールの事象の地平面内部の理論的解明が進むと考えられる。これにより一般には存在が許されないとされる「裸の特異点」が存在する可能性も出てくる(特異点では既存の物理が適用できず、これが外部に出ていると一般相対性理論が破綻してしまうため、基本的に「事象の地平面」の奥に隠ぺいされて観測不能であるとされている)
(反論)現時点ではまったく未知の理論であり、今後の発展性も不透明。
光速度は一定だが、光の「群速度」は光速を超えることができる。セシウム原子中の非常に短い距離を、光速の310倍の群速度でレーザー光線を伝える実験が成功している。
(反論)群速度で情報を伝えることはできないとされている。極端な話、負の群速度(つまり、波と逆方向に進む)や速度ゼロの波も存在できる。そしてこの場合も、信号それ自体の速度は光速より遅いことが示されている。
理論物理学者ロナルド・マレットが考案。複数の高出力レーザーをリング状に配置し冷却した状態でレーザーを照射することで弱い重力場を生じさせる事により、「擬似的なブラックホールの外周」を形成させる。生じた重力場で「閉じた時間軸」が発生する可能性がある。
(反論)あくまで疑似的なブラックホールであり、本当にブラックホールと同じ物理的特性を持つかは不明である。実際にそのように動くことはないという反対意見も多い。また閉じた時間軸は装置の形成時までしか遡れない(それ以前には存在しないため)。
この宇宙では物体はよりエネルギーが低いところへ移動する(例:お湯は低い温度に移行して冷める・物はより低い位置へ落ちる)ため、一般に「負のエネルギー」は存在が認められていない。しかし、量子力学の基礎方程式「ディラック方程式」からは負のエネルギーを含む解が出てきてしまう。そこで、物理学者ポール・ディラックは「真空とは反粒子が隙間なく存在する状態(ディラックの海)である」と主張した(某使徒の攻撃とは関係ない)。物理学者リチャード・ファインマンはこれを拡張。反粒子は時間を逆行する負のエネルギーを持つ存在であるとしている。もしそうであれば、タイムトラベルに利用できる可能性が出てくる。
(反論)今では「ディラックの海」を仮定しなくても粒子-反粒子の問題を解けるため、その存在は疑問視される。また、反粒子はいわゆる「反物質」であり、我々を構成する常物質と接触すると「対消滅」と呼ばれる大爆発を起こす。反粒子をどうやって捉えるのか?そもそも常物質で構成された我々がどうやって反粒子と干渉するのか?未知の部分は尽きない。
神をも冒涜する第12番目の理論。
その詳細は『Steins;Gate』で明らかになる…
すべては、そう、「運命石の扉」の選択なのだ! フゥーハッハッハ!!!!
(※この11理論はあくまで一部にすぎない。実際にはこの11理論以外にも多数の提案がなされていることに注意されたい。)
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/12(金) 19:00
最終更新:2025/12/12(金) 19:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。