トゲアリトゲナシトゲトゲとは、ややこしい名前の昆虫。勝手に実在を疑われていた。
ハムシ(葉虫)という昆虫がいる(羽虫でないことに注意)。その名の通り、主に葉っぱを食べる虫の一種で、害虫とされる種類も存在する。
そのハムシの一種に、トゲが生えたトゲハムシとよばれる昆虫が存在する。また、かつてこのトゲハムシはトゲトゲという和名がついていたことも併記しておく。
そのトゲハムシ(トゲトゲ)の一種にトゲのないものが発見された。この種類のハムシをトゲナシトゲハムシ、またの名をトゲナシトゲトゲという。信じられない名称であるが、実在の昆虫である。ホソヒラタハムシという普通の名前でも呼ばれる。
そのトゲナシトゲハムシ(トゲナシトゲトゲ)の一種に、やっぱりトゲがある種類のものが見つかったという話がある。すなわち、トゲアリトゲナシトゲハムシ、またはトゲアリトゲナシトゲトゲである。漢字で書くと「棘有棘無棘葉虫」「棘有棘無棘棘」といういかにもトゲトゲしい感じであるが、いまいちトゲがあるのかないのかはっきりしない。
それって普通のトゲトゲなんじゃ?と思われるかもしれないが、普通のトゲトゲのように全身トゲトゲのものではない。やはり「トゲのあるトゲナシトゲトゲ」なのである。
進化の順番は定かでない。
最初にトゲトゲがいて、トゲが減っていったのか。
トゲナシトゲトゲが先にいて、トゲのある種類へと進化していったのか。
トゲのある種類からトゲのない種類が生まれ、それがトゲを取り戻していったのか。
どれかはわからない。確かなのは日本ではトゲトゲが先に見つかった結果こうなったということである。
こんな名前など虫たちにとっては預かり知らぬところだろう。
なお、トゲアリでない普通の「トゲナシトゲトゲ」にも2本のトゲがある種類もいるようだ。トゲの量や形態の違いでトゲアリトゲナシトゲトゲと呼ぶのだろう。
インターネット上ではなぜかトゲアリトゲナシトゲトゲは実在しないという情報が広まっている。
確かに「そういう和名の昆虫がいない」ことを示す、信頼に足る回答は存在する。
だが実際に発見した研究者の具体的な話も伝わっているし、2013年には写真の載った本も出版された。
東南アジアで発見された昆虫らしいので国内で目にすることはまずないと思われるが、こうした実在情報を疑う明確な根拠はない。
※ただし「国内に産する」など、ネタ元の本には載っていないデタラメな情報も確かにある。
トゲアリトゲナシトゲトゲについて国内で情報が不足しているのは確かである。
もちろん誤認、ローカルすぎる呼び方、未記載種といった可能性も考慮する必要がある。
写真があるので誤認ということはないと思うが、写真があってもなお情報が少なすぎるのである。編者も正直なところ東南アジア在住のハムシなどさっぱりわからないというのが本音だし、ハムシならともかくトゲハムシオンリーで掘り下げる本などまずないだろう。将来的にも詳しいものが出てくるとは思えない。
また、トゲがあるとはいえ、既にトゲトゲとは遠ざかりすぎており、少々トゲがあっても「トゲホソヒラタハムシ」(その写真を載せた本にも載っていた名前)と呼ぶほうが適切のようにも思える。
だから「そういう和名の昆虫はいない」という回答についても、おそらく間違いではなく、ごく一部でしか使われていない呼び方であったのだろうと想像される。
もっとも、その回答から何年も経っているので、今の状況も変わっているかもしれない。
この虫に関しては専門家でもないので確かなことは言えないし、あまりにも狭い分野の話題なので専門家が確かという保証もないが、情報が見つからないからといって架空の生物と決めつけることこそ、インターネットの不確かな情報に基づくデマなのではないだろうか。
この本が名前だけを面白がって取り上げておきながら、具体的なことを何も書いていなかったのが問題の発端だろう。
この本の参考文献の中にはトゲアリトゲナシトゲトゲを紹介していた本が含まれているようなのだが、それは果たして正式な和名として紹介していたものなのだろうか?
これが写真を載せた本。帯にまでトゲトゲの話が書かれているが、この本全体を見ると進化論に関する話などであり、トゲトゲに関する話題は無関係ではないが、やや浮いている印象を受けた。
ひょっとしたらだが、ネット上の情報に対するカウンターを動機に取り上げたのではないだろうか。
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最終更新:2025/12/15(月) 22:00
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