トヨタ・マークⅡとは、かつてトヨタ自動車で発売されていた自動車である。トヨタのアッパーミドルサイズの高級車として、兄弟車のチェイサー/クレスタと共に長年にわたりトヨタの主力車種として販売された。ここでは輸出仕様の「クレシーダ」についても合わせて説明をする。
元々、コロナの上級車種として誕生し、4代目までの正式名称は「コロナ・マークⅡ」であった。ある時は暴走族のベース車種として人気を博し、またある時はハイソカーとして有名であった。生産中止になってから、すでに数年を経過しているが走り屋を中心にドリフト車ベースとして、現在も根強い人気を誇る。この辺りは長年のライバルであった日産スカイラインやローレルも似たような感じであった。
シャープなマスクを採用していた関係でたびたび「イーグルマスク」のあだ名をつけられる。
初代は1968年に登場した。元々、初代マークⅡはコロナの次期モデルとして登場する予定であったので、デザインもバリカンコロナをやや大きくしたような風になっている。コロナの形式であるT系を付番されている事やコロナの中で60・70番台が欠番となっているのはそのためである。これはバリカンコロナが殊の外人気を博していた為でありコロナのモデルチェンジは予定より2年先延ばしになり、そのデザインも大きく異なった。。
コロナより排気量も多く、走りの余裕がコロナよりもあった。ラインナップは概ね、その当時のコロナと同じものであった。このモデルの後期型に初めてのイーグルマスクのあだ名が付けられた。
なお、初代にのみピックアップが設定され、2代目に移行した後も1973年までは設定されていた。
2代目より独立した形式を与えられ、またライバルに対抗する為に6気筒モデルが投入された。このモデルでもイーグルマスクのあだ名が与えられた。このモデルで有名なのはウルトラマンAのタックパンサーに採用された事であろう。
2ドアクーペと4ドアセダン、バンとワゴンがラインナップにあった。なお、初代にあったピックアップは存在しない。
3代目はそれまでのシャープなデザインから一転、当時のアメ車の潮流のデザインが取り入れられ、このモデルよりハイグレードモデルのグレード名である「グランデ」が登場し、高級車路線へ舵を切り始めた。特徴的なフロントマスクのデザインから「ブタ目」のあだ名が与えられた。また、5マイルバンパーのオプションもあり、非常に強いアメリカンテイストを感じる事が出来た。
このモデルよりオート店(現・ネッツ店)向けの兄弟車の「チェイサー」が登場する。マークⅡに比べてヤングでナウな層に焦点を絞り、内装もまた若々しいものになっている。この代より、輸出仕様が「クレシーダ」となる。
このモデルは暴走族や街道レーサーを中心に人気となり、竹やりや出っ歯なものも多く登場した。
1981年に登場したこのモデルは直線基調のスマートなデザインとなった。この代まではエンブレム(といってもCピラー部に小さくだが)に「コロナ」の表記があった。この代より登場したばかりのビスタ店向けの「クレスタ」がラインナップされた。
前期にのみ、4気筒のスポーツモデルのGTがラインナップされていた。DOHCのR型エンジンを搭載していたが、後期はツインカム24搭載のエンジンの1G‐GE型が追加がされ、GTが廃止となった。また、マイナーチェンジ後のモデルはとがったフロントグリルとなったので久し振りにイーグルマスクのあだ名をつけられた。なお通常、マークⅡのイーグルマスクと言う場合はX60系の後期型を指す場合が多い。
1984年に登場したこのモデルはデザインがモダンなものとなり、Cピラー部は樹脂処理されたクリスタルピラーがアクセントとなった。先代よりハイソカーブームが始まりつつあったが、このモデルで決定的となり、爆発的な売り上げを誇った。詳しくはハイソカーの項目を見ていただきたい。内装もそれまでのブラウン系の内装メインからワインレッドの内装がメインとなり、車体の色もホワイトがものすごい売れた。現にこのモデルはいまだに中古車でもみられ、ほぼ白にワインレッドの内装である事が当時の人気ぶりを物語っている。
このモデルにおいてはGTの名称が復活し、そのエンジンにはツインターボが付くという最強のモデルが初登場した。なお3ナンバーの税金が高額と言う事もあったためか2000cc超のモデルは存在していなかった。装備もハイテク全盛でデジタルメーターやメーターパネル付近に設置されたサテライトスイッチが特徴とである。
なお、このモデルのワゴンはハードトップ・セダンがモデルチェンジした後もそのままの形で残され、マークⅡクオリスとしてモデルチェンジされる1997年までそのままのスタイルであった。80年代的な直線スタイルで「マーバン」のあだ名で人気である。
1988年に登場したこのモデルは全てが一新されて、曲線的なモダンなデザインとなった。バブル時代の影響をもろに受けて、贅沢な設計となっている。拡大の一途をたどっていたボディサイズも、このモデルで全長と全幅が上級車種のクラウンと同じ寸法に追いついてしまった。この車を語る上で欠かせない語り話としてサイドウィンドウワイパーなるものがある。ドアミラーのアーム部に据え付けられたワイパーがサイドウィンドウのドアミラーのみえる部分を履いてくれるという代物であるが、実用性?なトンデモな装備であったにもかかわらずモデル末期までラインナップに存在した。
当初は引き続き、2000ccオンリーで最高グレードもグランデGは低排気量を補うようにターボよりスムーズな特性となるスーパーチャージャーが設定されていた。1989年になると、自動車関連の税法が変わり、3ナンバーと5ナンバーの税金の差が小さくなったため、スーパーチャージャーのモデルから、3000ccの自然吸気モデルが設定変更されたが、しばらくは並行して販売されていた。なお3ナンバー車はサイドモールの大きさ程度にしかその差がない。
ハードトップが1992年にモデルチェンジした後、セダンは1995年まではそのままのモデルで設定された。セダンモデルはタクシー仕様と教習車仕様がこれまで伝統的にラインナップされていた。セダンモデルの実質的な後継はトヨタ・コンフォートである。
このモデルからハードトップが独立した。GT系はツアラーと名称が変更となった。全長と全幅が55mmずつ拡大された完全な3ナンバーサイズとなり、スタイルも非常に若々しいものとなった。ボディサイズの拡大により室内寸法は先代より室内長は60(セダン) - 115mm(ハードトップ)、室内幅が30mm拡大されたが、室内高はX80系ハードトップよりは15mm高いがセダンより15mm低く、また3ナンバー化したもの相変わらずハードトップ一辺倒という姿勢は変わらなかったため、パッケージの詰めが甘く居住性に難ありであった。CMに映画監督のアルフレッド・ヒッチコックが起用されているが、当人はこの当時ではすでに故人であり、巧みな合成を組み合わせて、違和感を失くしている。
ドリフトのベース車として、次にあげる100系ほどでないが人気の車体である。また、初めて4輪駆動のモデルが設定された。
このモデルにおいては足周りのキャリーオーバーなどいくつかの点でコストダウンの影響が見え隠れしているが、「sedan innovation」と言うようにこれまでのウィークポイントであった居住性の改善やエアバッグなどの安全対策の徹底などが図られており、またツアラー系は内装に本物のカーボンを使用するなど、徹底している所は徹底してた。
このモデルにおける最強モデルであるツアラーVは最大トルクは38キロに達した。ドリフトベースの車種として、チェイサーと共に人気となっている。
このモデルまでは4気筒車とディーゼルエンジン車がラインナップに存在した。また、廉価グレードにおけるMT車も存在しており、MT換装に当たってドナーとしての需要もある。
これまでマークⅡといえば横に長いテールランプにピラーレスハードトップのいでたちであったが、このモデルに至ってそれらと決別をし、セダンになった上で屋根を高くするなどしたため居住性が飛躍的に向上した。また、スポーツグレードはツアラーからIRと言う名称に変わった。このモデルからクラウンと足周りが同一となった。
しかし、デザイン的には少々野暮ったくなり、またこのクラスについて回るユーザーの高齢化が目立っていた。
その為、全てを一新した上で2004年にマークXと新しい名称としてモデルチェンジをした。
元々、マークⅡ自体がコロナの派生車種である事は前述したが、その中でもさらに派生車種が発生した。当該記事がある車種はそちらも併せて参照してもらいたい。
3代目マークⅡが登場した際にオート店(現ネッツ店)向けに販売された車両で、若々しさを前面に出している。内装にもその傾向が表れており、ボタン付きのモケットシートに対して、ジャージの内装と言う具合になっている。しかし、モデルチェンジの度にマークⅡとの際を見出すのが難しくなってきた。マークⅡがモデルチェンジされて以降もしばらくはチェイサーは100系ベースであった。
ビスタ店が1980年に登場した際に4代目マークⅡベースで登場した。やや高級感を高めたモデルであり、マークⅡとチェイサー以上に味付けに差があった。スポーツモデルはこの車のみ「ツアラー」ではなく「ルラーン」を名乗り、またMTが存在しなかった。その為、100系の中でも割合ドリ車に使われるケースが少ない。
マークⅡのモデルチェンジから1年を経過して、2001年にクレスタの後継として登場したモデルで非常に奇抜なデザインとなっている。排気系にチューンが施されているのでマークⅡと比べてもサウンドに違いが発生している。しかし、売り上げが伸びずにネッツ店との統合の際にモデル廃止となった。
1997年にそれまでX70系ベースのマークⅡのワゴンをモデルチェンジしたものである。中身はカムリであり、FFである。カムリにない3リッターエンジンの設定など、差別化が行われている。
2001年に登場したマークⅡのワゴンであり、ベースがX110系となった為、FRに戻る。ハイパフォーマンスグレードのIRが設定されるなど、セダンと大きく変わらないラインナップであった。2004年にセダンがマークXになって以降も引き続きラインナップされ、2007年まで継続生産されていた。
マークⅡの輸出モデルは3代目より「クレシーダ」という名称で各地に輸出された。クレシーダ以前にも輸出はされていたが、その時は日本と同じ「コロナ・マークⅡ」の名称であった。仕向け地によって少々の違いがあり、クレスタの顔であったり、チェイサーに似た顔であったりとバラエティに富んでいる。概ね、日本と同じラインナップであった。海外におけるトヨタのラインナップの中ではクラウンが輸出されていないアメリカなどでは最上級車種の扱いを受けていた。
北米仕様は5マイルバンパーの採用で日本仕様よりやや間延びがしている。
この名称の由来はシェイクスピアの「トロイダスとクレシダ」という作品に登場する「クレシダ」と言うキャラクターに由来する。
X30・40系に相当するモデルで、このモデルにのみ地域限定ではあるが2ドアハードトップがラインナップされている。北米においてはクラウンが販売不振で撤退した為、コロナ・マークⅡの時代よりこのモデルがフラッグシップモデルとなっている。
X60系に相当するモデルで北米仕様は当地の基準に合わせた自動シートベルト機能があり、また革張りシートの設定があるなど、高級車にふさわしい設定となっている。なお、オーストラリアなど一部地域においてはフロントマスクがチェイサーのセダンのものとなっている。この代においてはセダンとワゴンのみとなった。
余談であるがこの手のフロントフェイス違いのモデルはこの当時にはよく見られた。例えばカローラにあっても、70系カローラの場合、フロントはスプリンターのものが使われた。
X70系に相当するモデルで日本にはない2000cc超のモデルがラインナップに存在した。北米仕様はフロントの顔つきはクレスタのものを使用していた。オーストラリアなどの地域では初期は横線グリルの独自の顔つきをしていたが、その後クレスタのものに変わった。この代においてもワゴンがラインナップにあった。
X80系に相当するモデルで北米仕様は日本より先に3000ccがラインナップに加わり、また5マイルバンパーを採用している為、日本仕様より間延びした印象を受ける。中東仕様などは日本ではすでに旧式となり、ラインナップから外れていたM型やR型エンジンの、それもキャブレター式が採用された。北米仕様は1992年に廃止となったが、中東仕様などは1996年までラインナップにあった。
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最終更新:2024/03/29(金) 18:00
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