『ファイファン』とは、スクウェア・エニックスのゲームシリーズ『ファイナルファンタジー』の愛称の一つである。
ファイナルファンタジーシリーズは表記上では『FF』としながらも、その呼び方についてはユーザー間でさまざまあり、その中でも『FF(エフエフ)』、『ファイファン』の二つが主に広まっていた。
RPGの先駆者『ドラゴンクエスト』の愛称がドラクエで浸透していたこともあり、ファミリーコンピュータやスーパーファミコン初期は『ファイファン』という愛称も子供達を中心に広まったと言われている。
1987年に発売された第1作のパッケージがカタカナで『ファイナルファンタジー』と表記した事も原因だったのではないかとも言われる。ただし第1作でもタイトル画面では『FINAL FANTASY』の英語表記が登場してはいる。なおFF2以降のタイトルではパッケージにも英語表記とカタカナ表記が併記されている。
2年後の1989年にカプコンから発売されたベルトロール型アクションゲーム『ファイナルファイト』の略称もFFでもあったため、それとの混同を避けるために「ファイファン」が用いられたのではとも言われる。
「ゲーム雑誌や高橋名人などのゲーム業界人はドラクエやファミスタの影響から「ファイファン」の略称で取り上げていた。」[1]という意見もあれば、その全く逆の「昔のファミ通や○勝とかでも誌面でファイファンと略している雑誌は無かった記憶がある」[2]といった意見もある。国会図書館に行って当時のゲームメディアを網羅的に確認して表記をカウントすればどちらの意見が正しいのか検証できるはずだが、これまでそういった検証作業を行った暇人はいないようだ。
「英語表記はFF6まではやらなかった。一つの理由として、当時はゲーム機は子供(主に小中学生)に与えるものだった。親は要望されたものを間違えてカセットを買ってくる等、ゲームに理解の乏しい時代だった。日本人が英語に対して苦手な傾向もあり、意味や読み方を世間ではやらせるまで時間がかかったのだろう。」などと主張されることもある[3]が、これもまた逆に「昔も何も最初からFFだったぞ リアルタイムで1からやってたけど」[4]などと相反する証言がなされることもある。それぞれが「自分の周りではこうだった」という実体験を元に語っているが、地域差などで結果がぶれているということであろう。どっちが当時の主流派だったのか探りたいところだが、当時子供たちの間で「エフエフ」「ファイファン」使用率の調査統計などがなされたことはないようだ。よって、どちらが盛んだったのか?という事を明らかにすることはおそらく不可能とみてよい。
「略し方に関しては自由にすべきだと、公式のサイトや製作者も述べている」と言われることもある。しかし後述するように、「第1作の命名時点から制作者には「FF(エフエフ)」と略してもらうという意図があった」ことが様々な媒体で明言されている。それを反映してかスクウェアエニックス公式が略す場合、サイトなど文面では『FF』、発表会や開発インタビューなど口頭では『エフエフ』で統一されている。
また、登録商標として『FF』は取得しているが『ファイファン』は取得していない。
1992年に発売された『ファイナルファンタジーV』には裏技で出せる没アイテム(データ上のみ存在する装備)”えふえふ”が存在していた。
この裏技の知名度については、「当時から裏技本でも有名だった」という説と「この裏技が世に広まったのはFF6の発売前後であり、FF5発売からかなり遅かった」という説があるらしい。ちなみにこれはゲームバランスを崩すほどのバグ技でもあった。
この「えふえふ」はデータ上のアドレスが「255」に設定されており、この「255」を16進数で表すと「FF」となる。よって「16進数のFFの読み方を示すものであって略称ではないのでは?」といった意見もある。1995年にスクウェアから発売された「ロマンシング サ・ガ3」において「えふええ」「えふびい」と言ったデータ上のみのアイテムが存在している事などもそれを補強する。
しかし後述するとおりスクウェアの開発者たち(坂口博信や河津秋敏)から「FF1の頃からFF(エフエフ)という略し方を意図していた」という発表が複数回なされているため、「開発者たちが「255の16進数表記としてのFF」と「ファイナルファンタジーの略称としてのエフエフ」の2つの意味を含ませた、いわゆるダブルミーニングではないか?」と考えることもできる。
『ファイナルファンタジーV』と同じく1992年にスクウェアが発売したスーパーファミコンソフト『半熟英雄 ああ、世界よ半熟なれ…!!』には「”このまえ エフエフで へんなワザを おぼえたんだ ちょっと やってみよ~ぜ~!!”」という台詞が登場する。
9:00に該当の一文が登場
ファイナルファンタジーシリーズの開発者たちはインタビューや講演などで略称について語ったことがある。
シリーズの生みの親の坂口博信などとともにFF1から開発陣の中心だった河津秋敏は、2009年に行われた岩田聡(任天堂社長)との対談にて題名決定に至る経緯や開発陣のこだわりについて話し、「FF」(エフエフ)と略されることを意図していたと語っている。
岩田
そもそも『ファイナルファンタジー』というタイトルは
どうしてつけられたんですか?河津
あるとき坂口さんから、
「タイトルは『ファイナルファンタジー』で決まり」と。
そんなノリで決まりました。岩田
ある日、突然決まった感じなんですか。河津
そうなんです。岩田
いまでこそ、
『ファイナルファンタジー』という名前は
ゲーム業界のなかでビッグネームになってますけど、
最初に『ファイナルファンタジー』と聞いて
河津さんはどう思いましたか?河津
「ええっ!?」って(笑)。岩田
わたしは、このタイトルを初めて聞いたとき、
いきなり「ファイナル」と言ったら
次をつくれないんじゃないかと、
他人事ながらちょっと心配してしまいましたよ(笑)。河津
あははは(笑)。
ただ、もともとタイトルをつけるための方針はあったんです。
略したときにアルファベットが2文字重なるようにと。
当時あった、『ディープダンジョン』の『DD』のように、
頭文字が重なるものがいいよねと。岩田
なるほど。略称を先に意識されていたんですね。河津
そうなんです。
そこで、どうしても「ファンタジー」は入れたいと。
すると「F」からはじまる言葉を探さなきゃいけないので
当然のように選択肢は限られることになりまして、
そこで「ファイナル」という言葉が選ばれました。岩田
なるほど。河津
で、わたしたちとしては
『FF』と呼んでもらいたかったんですけど、
小学生たちからは『ファイファン』と呼ばれたりして。岩田
『ファイファン』(笑)。河津
親戚の子もそうだったんですよ。
だから「『FF』と呼びなさい」と、しかりましてね(笑)。
そしたら「『ドラクエ』だってカタカナで略してるし」と。岩田
でも、略したときに4文字じゃないと
ちょっと気持ち悪いですよね。河津
はい。だから『FF(エフエフ)』なんです。
※任天堂公式サイト【社長が訊く『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル クリスタルベアラー』】内
2.『ファイファン』と呼ばれてのページより引用。一部編集
この対談は大きな話題となり、「正式な略称が判明」、「論争に決着」などの記事が多数立てられた。
Gigazineの記事 http://gigazine.net/news/20091106_ff/
ITmediaの記事 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0911/09/news043.html
また2015年にも坂口博信が講演会で、「FF(エフエフ)」というアルファベット表記かつ4音で発音できる略称で呼ぶことを前提に「ファイナルファンタジー」と名付けた、と説明している。[5]
さらに2017年にはやはり坂口博信がインタビュー記事で、「ドラクエ」と略される「ドラゴンクエスト」との差別化のためにアルファベットの「FF(エフエフ)」と略されるようにしようと考えていたことを話している。[6]
「「FF」表記はエフエフと読まずに、ファイナルファンタジーやファイファンとよく略されていた時代の話である。ドラクエを「DQ(ディーキュー)」と読まないのと同じだ。同様に略称を使い始めたスーパーファミコン時代までの有名なソフトで、英語頭文字を2文字で読む略称のソフトは見当たらない。」[7]と主張される事もあるが、上記のように坂口博信が講演やインタビューで「FF(エフエフ)」というアルファベット表記かつ4音で発音できる略称で呼ぶことを前提にしていたことを明かしている。また「河津秋敏」は上記の任天堂公式サイトでのインタビューにおいて、「FF(エフエフ)」と略せる名前にすることを決めた際、スクウェアも関わった1986年のゲームソフト「ディープダンジョン」を「DD」と略せることを念頭においていたと語っている。
また「公式でのエフエフは、「正式な別名」であって、略称ではない。エフエフの略称はまだ存在していない。「正式な別名」と「略称」のエフエフは、分けるべきだろう。」[8]と主張もされるが、上記のような講演・インタビュー記事では「FF(エフエフ)」について明確に「略」「略称」と記載されており、「略称ではない」「略称はまだ存在していない」という主張には難があるようだ。
ファイファンを使う人は最初期ユーザーほど多く、SFC以降になるほどFFを使うユーザーが増える傾向にある模様。これは上記の河津の会話からもその片鱗がうかがえる。
日本ゲームユーザー協会が運営するサイト「おもしろゲーム情報サイト ゲームくん」によると、2013年にゲイン社が行ったインターネットリサーチではFF(エフエフ)と呼ぶ人は70%、ファイファンは17%という調査結果が出ている。
http://gamekun.com/column/350.html
ここから、現状FF(エフエフ)が主流ではあるものの、ファイファンと呼ぶ層もいまだ根強いことがわかるだろう。
未だに「ファイファン」「エフエフ」どちらこそ正しい・誤りとの主張がなされることがある。この議論の根底にあるものは、作品に対するユーザーの思い入れ故であるが、ユーザーの愛称である以上どちらが正解という事はない。
『エフエフ』に限らないが、略語や通称などの主張は平行線を辿る為、注意が必要である。(例:マクドナルドに対する『マック』と『マクド』、地域ごとの方言など)
非常に荒れやすい話題なので、余計な争いを生まないためにもむやみなツッコミや主張は避けるのが好ましい。
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最終更新:2025/12/07(日) 00:00
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