この項では、ヨーヨーの構造について解説する。
ヨーヨーの基本構造は、ボディ(本体)・アクセル(軸)・ストリング(ヒモ)からなる。
現在のヨーヨーは、回転をスムーズにするベアリングと、重量配分を調整するためのリムウェイトが搭載されていることが多い。
本体。材質と形状によって区別される。
おもちゃのヨーヨーから競技モデルに至るまで、幅広く使われる材質。
アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂。
多くのプラスティックモデルに使われる材質。頑丈で、様々な色をつけられる。
→ポリカーボネート
「象が踏んでも壊れない」アーム筆入にも採用された、極めて頑丈なプラスティック。
色も透明で美しく、ハイエンドプラスティックモデルにはよく採用されている。
柔らかく、剛性の高い樹脂。
柔らかさと壊れにくさを併せ持ち、ヨーヨーとの相性がよい。
金型成形だけでなく、旋盤削り出しモデルも作られている。
ゴムは基本的にリムウェイトの材質であり、本体に使われることはあまりない。
総金属製のヨーヨーが出始めたのは1990年頃だが、この頃は非常に高価な割にプラスティックと大差ない性能であったため、もっぱらコレクションモデルであった。
2006年頃から実用的なフルメタル機種が出始め、現在ではプラスティック金属リム機種と評価が逆転。トーナメントモデルのスタンダードとなった。
→アルミニウム
金属製ヨーヨーの主流。軽く、加工しやすく、価格も(他の金属に比べれば)安い。
柔らかいのが難点だが、近年は超々ジュラルミン製が主流なので、コンクリートにガンガンぶつけたりしなければ遊ぶのに問題はない(塗装は別)。
→チタン
硬く、さびに強く、アルミニウムよりは重いが真鍮やステンレスよりは軽い。
ほどよい重さが抜群のフィーリングを生み、ヨーヨーには最適の素材である。
ネックは価格で、普通は1個3万円を超える。10万円近いものも珍しくない。
(アルミニウム機種は3000円-15000円程度)
アルミ製でも十分な性能なので、相当こだわる人向け。
「ラフトヴァーク」のようなチタンヨーヨー専門メーカーも存在する。
→マグネシウム
周期表を見ればわかるとおり、ヨーヨーに使える金属の中では最も軽い。
これでヨーヨーを作れば、プラスティック機種並の超軽量ヨーヨーができあがる。
へこみ耐性が大きく、工作精度も出しやすい。
切りくずが非常に燃えやすく、消火も極めてしにくい。
製造に特殊な設備を必要とし、価格も高価である(チタンに比べれば安いが…)。
極めて硬く、さびにくく、価格もそこそこ。
ただし普通サイズのヨーヨーでは重すぎるため、ミニサイズのヨーヨーに用いられる。
いわゆる「ブリキのおもちゃ」として、かつてはブリキ製ヨーヨーが多数作られた。
世界初の総金属製ヨーヨーも、おそらくブリキだっただろう。
強度が極めて低く、メッキがはげるとすぐさびるため、競技用には向かない。
世界初の近代ヨーヨー「フローレス」は、カエデの木を削り出して作られた。
その後「ダンカン・インペリアル」が登場するまで、ヨーヨーといえば木でできているものだった。
現在、トーナメントモデルが木で作られることはないが、柔らかい感触からファンが多く、ハイテクヨーヨーを作っているメーカーでも木製ヨーヨーを作る例がある。
竹製のヨーヨーもある。
トラピーズ有効幅が狭いタイプのヨーヨー。
ヨーヨーのフチにストリングが当たり、ヨーヨーが反転しやすくなるため、ルーピングに向く。
「ヨメガ・レイダー」をはじめ、多くのヨメガヨーヨーの形状。
かつては「ノーマルシェイプ」と呼ばれていたが、今やワイドバタフライ形状のヨーヨーの方が遙かに多くなり、ふさわしい名前ではなくなってしまった。
現在ではほとんどのルーピングヨーヨーがこの形なので、これを「ルーピング型」と呼ぶこともある。
「ダンカン・インペリアル」と同じ、マカロンのような形状。
世界最古の近代ヨーヨー「フローレス」から連綿と続く伝統の形である。
ループ向け固定軸ヨーヨーのほとんどがこの形状である。
持ちやすいため、ボールベアリング機でも初心者向けの一部機種に採用されている。
「ダンカン・プロフェッショナル」や「コカコーラヨーヨー(1976年版)」に採用されている、薄型のどら焼きのような形状。
かつてはルーピングに向くとされ、「ループ・ザ・ループ」耐久ではハイパーミレニアムがよく使われていたが、トリックが高度化するにつれて「エッジが効きすぎてもかえって使いづらい」ということで、レイダー形状が主流になった。
「ダンカン・バタフライ」をはじめとする、鼓型の形状。
「トラピーズ」など、ストリングの上にヨーヨーをのせるトリックがやりやすくなっている。
横から見た形状によって分類される。
元祖「ダンカン・バタフライ」から第1期ハイパーヨーヨーの頃までの「バタフライ型」。
その後のヨーヨーはどんどん幅広になっていったので、現在ではこちらが「狭いバタフライ」になった。
ストリングもループもそこそここなせる。
そのため、現在でも初心者向け機種に採用される。
まっすぐ伸びたバタフライ。
ストリングが当たる面積が狭く、スリープロスが軽減される。
丸いバタフライ。
手に持ちやすいので、かつてはカウンターウェイトプレイに重宝された。
中心部の傾斜がゆるいため、スリープロスが大きく、最近はあまり作られていない。
中程に段をつけた形で、現在の主流。
中心部の傾斜をきつくすることで、ストリングがフチに当たる面積を減らすことができ、傾いたときのスリープロスを軽減する。
ステップラウンドとステップストレートに分かれる。
フチに段を設けた、横から見るとHに見える形状。慣性モーメントの向上につながる。
横から見ると、逆方向に弧を描いて見える形。
スリープロス軽減と持ちやすさを両立している。
有効幅がとてつもなく広い。
通常はオフストリング専用機種で、オンストリングには向かない。
パゴダ(pagoda)とは「仏塔」の意。
片方がインペリアル、もう片方がバタフライの左右非対称シェイプのこと。
デフォルトがこの状態のヨーヨーは現在のところない。
インペリアル型にもバタフライ型にもカスタムできるヨーヨーの、「3通りの形状に組み替えられるよ」という宣伝文句のための形状である。
丸くないヨーヨーもごくわずか存在する。
もちろん競技向けではなく、コレクションモデル。しかしながらメーカーは割と本気で作っている。
「くまめキーホルダーヨーヨー」は、おそらく史上初の回転対称形ですらないモデル。これでトリックができると自慢できる。
→ベアリング
軸とストリングの間に設けられた、回転を受ける部分。
基本はボールベアリングだが、ないものや滑り軸受け式も依然としてつくられている。
転がり軸受け。
径の大きさと幅、形状によって、様々な特性がある。
ベアリングサイズは以下の通り。単位はmm。赤字はインチサイズ。
| 表記 | 内径 | 外径 | 幅 | 通称 |
| A | 5.00 | 10.00 | 4.00 | ダンカン |
| B | 6.35 | 9.53 | 3.18 | ジャム小径 |
| C | 6.35 | 12.70 | 4.76 | ジャム大径 |
| C- | 6.35 | 12.70 | 3.18 | ジャム大径薄型 |
| D | 5.00 | 11.00 | 5.00 | HSPIN |
| D- | 5.00 | 11.00 | 4.00 | HSPIN薄型 |
| E | 3.97 | 7.94 | 3.18 | ヨメガ |
| E- | 3.97 | 7.94 | 2.78 | ヨメガ薄型 |
| F | 8.00 | 12.00 | 4.00 | フィエスタ |
| J | 6.00 | 12.00 | 4.00 | ヨメガ大径 |
| K | 4.00 | 8.00 | 3.00 | ファクトリー小径 |
| L | 6.00 | 13.00 | 5.00 | HSPIN大径 |
| M | 9.00 | 17.00 | 5.00 | ビッグヨー |
サイズA・B・E・Kがこう呼ばれる。ハイパーヨーヨーの頃までは標準的なベアリングサイズ。
ルーピングや、レスポンスシステムのないオフストリング機に向く。
滑りは悪く、ストリング機用にはレガシー技術となっている。
サイズC・D・F・J・L・Mがこう呼ばれる。
「ヨーヨージャム・パトリオット」から採用された、径の大きなベアリング。
滑りがよく、戻り具合の調整もしやすいのでストリングトリック向け。
表記に「-」がついているものは、標準より薄い。
ギャップ幅を狭め、バインド仕様のヨーヨーを引き戻し仕様にするためのベアリング。
パッケージに両方付属した状態で売られている場合と、薄型をつけた状態で売られていて、標準幅は別売りになっている場合がある。
サイズE-は、「ヨメガ・レイダー」のギャップ幅を狭め、簡易的にルーピング仕様に改造できる。
こちらは商品に付属せず、サードパーティによる別売りである。
横から見るとまっすぐな形状になっている、標準的なベアリング。
横から見ると、へこみのあるベアリング。現在の主流。
Dif-e-Yoが「コンケイブベアリング」として開発した。
へこみがあることで、ストリングがベアリングの真ん中にくるようになり、フチにストリングが当たってスリープロスすることを防ぐ。
ヨーヨーファクトリーのセンタートラックベアリング(ハイパーヨーヨーでは『UFOベアリング』)や、後述のグルーヴベアリングも発送は同じである。
出た当時は高級品であったが、現在は標準でついていることも多い。
中心に溝が彫られたベアリング。
サイズAのような小径ベアリングに採用される。
ベアリングを2枚重ねにするセッティング。
標準搭載は「スピンタスティクス・グレートホワイトシャーク」ぐらいで、通常は改造で行われる。
2つのベアリングの隙間に溝ができることで、グルーヴベアリングと同じような効果を狙ったもの。
現在は専用ベアリングが作られているため、あまり使われない。
→固定軸
ベアリングを設けず、ストリングが軸とこすれ合う形。
→レスポンスシステム
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最終更新:2025/12/06(土) 17:00
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