ボディ(ヨーヨー) 単語

ボディ

4.4千文字の記事

ここでは、ヨーヨーの構造のうち、ボディ(Body)について解説する。

概要

ヨーヨーの本体。
ヨーヨー運動エネルギーを保存する、一種のフライホイールとしての役割を担う。

ボディの材質と形状によって、性に大きく差が出る。

基本的には、重心を外寄りにして慣性モーメントを稼ぎ、スリープ時間を延ばすと共に傾きにくくする。
しかし、いたずらに外寄りにしても動かしづらいヨーヨーになってしまうことがある。
設計者が最も頭を悩ませる部分である。

重量配分を偏らせるため、別材質で「おもり」を作ることがあり、リムウェイトと呼ばれる。
詳しくは「リム(ヨーヨー)」の記事を参照。

材質

様々な材質が使われているが、一長一短あり、何が一番よいということはない。

に、キャッチ時の感触とヨーヨーの総重量にする。
重いほどスリープ時間が長くなるが、あまり重いと使いづらいヨーヨーになる。
できれば物理店舗練習会で実際に触らせてもらい、納得したものを選ぶようにしたい。

プラスティック

おもちゃヨーヨーから競技モデルに至るまで、幅広く使われる材質。
安価で、軽いので動かしやすく、怪もしにくい。

ABS樹脂

ABS

クリニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成脂。
頑丈で、様々な色をつけられる。

しかし、「頑丈」といってもヨーヨーの材質としてはこれでも脆すぎ、現在ではポリカーボネートにその座を譲りつつある。

軽く、値段が安いので、格安機種には使われることがある。

ポリカーボネート

ポリカーボネート

が踏んでも壊れない」アーム筆入にも採用された、極めて頑丈なプラスティック
色も透明で美しく、ハイエンドプラスティックモデルにはよく採用されている。

ポリアセタール樹脂(POM)(デルリン・ジュラコン・セルコン)

ポリアセタール

柔らかく、剛性の高い脂。
柔らかさと壊れにくさを併せ持ち、ヨーヨーとの相性がよい。

成形だけでなく、旋盤削り出しモデルも作られている。

ゴム

ゴムは基本的にリムウェイトの材質であり、本体に使われることはあまりない。
使われる場合はオフストリングヨーヨーがほとんど。
摩擦力が大きく、ストリングが当たると急減速するため、当たらないように工夫されている。

金属

金属製のヨーヨーは、重いのでスリープ時間が長い。
また、プラスティックべて精度が出しやすく、ブレの少ないヨーヨーが作れる。

金属製のヨーヨーが出始めたのは1990年頃だが、この頃は非常に高価な割にプラスティックと大差ない性であったため、もっぱらコレクションモデルであった。

2006年頃から実用的なフルメタル機種が出始め、現在ではプラスティック金属リム機種と評価が逆転トーナメントモデルスタンダードとなった。

アルミニウム合金

アルミニウム

金属ヨーヨー流。軽く、加工しやすく、価格も(他の金属べれば)安い。
様々な種類の合金があり、ヨーヨーに使われるのはA6061, A7075, A7068など。

チタン

チタン

硬く、さびに強く、アルミニウムよりは重い真鍮ステンレスよりは軽い。
ほどよい重さが抜群のフィーリングを生み、ヨーヨーには最適の素材である。

ネックは価格で、普通は1個3万円をえる。10万円近いものもしくない。
(アルミニウム機種は3000円-15000円程度)

アルミ製でも十分な性なので、相当こだわる人向け。
ラフトヴァーク」のようなチタンヨーヨー専門メーカーも存在する。

マグネシウム

マグネシウム

周期表を見ればわかるとおり、ヨーヨーに使える金属の中では最も軽い
これでヨーヨーを作れば、プラスティック機種並の軽量ヨーヨーができあがる。
へこみ耐性が大きく、工作精度も出しやすい。

切りくずが非常に燃えやすく、消火も極めてしにくい。
製造に特殊な設備を必要とし、価格も高価である(チタンべれば安いが…)。

ステンレス

極めて硬く、さびにくく、価格もそこそこ。
ただし普通サイズヨーヨーでは重すぎるため、ミニサイズヨーヨーに用いられる。

ブリキ

いわゆる「ブリキおもちゃ」として、かつてはブリキヨーヨーが多数作られた。
世界初の総金属ヨーヨーも、おそらくブリキだっただろう。
強度が極めて低く、メッキがはげるとすぐさびるため、競技用には向かない。

世界初の近代ヨーヨーフローレス」は、カエデの木を削り出して作られた。
その後「ダンカン・インペリアル」が登場するまで、ヨーヨーといえば木でできているものだった。

現在トーナメントモデルが木で作られることはないが、柔らかい感触からファンが多く、ハイテクヨーヨーを作っているメーカーでも木製ヨーヨーを作る例がある。

製のヨーヨーもある。

形状

ヨーヨープレイスタイルは、基本的に形状によって分けられる。
ルーピングプレイタイプストリングプレイタイプは形状が全く異なり、基本的に両立はできない。

ルーピング

トラピーズ有効幅が狭いタイプヨーヨー
ヨーヨーのフチにストリングが当たり、ヨーヨー反転しやすくなるため、ルーピングに向く。

レイダー

ヨメガ・レイダー」をはじめ、多くのヨメガヨーヨーの形状。

かつては「ノーマルシェイプ」と呼ばれていたが、今やワイドバタフライ形状のヨーヨーの方がかに多くなり、ふさわしい名前ではなくなってしまった。

現在ではほとんどのルーピングヨーヨーがこの形なので、これを「ルーピング」と呼ぶこともある。

インペリアル

ダンカン・インペリアル」と同じ、マカロンのような形状。
世界最古の近代ヨーヨーフローレス」から連綿と続く伝統の形である。

ループ向け固定軸ヨーヨーのほとんどがこの形状である。
持ちやすいため、ボールベアリング機でも初心者向けの一部機種に採用されている。

プロフェッショナル

ダンカン・プロフェッショナル」や「コカコーラヨーヨー(1976年版)」に採用されている、薄どら焼きのような形状。

かつてはルーピングに向くとされ、「ループ・ザ・ループ耐久ではハイパーミレニアムがよく使われていたが、トリックが高度化するにつれて「エッジが効きすぎてもかえって使いづらい」ということで、レイダー形状が流になった。

バタフライ

ダンカン・バタフライ」をはじめとする、鼓の形状。
トラピーズ」など、ストリングの上にヨーヨーをのせるトリックがやりやすくなっている。

横から見た形状によって分類される。

ナロー

元祖「ダンカン・バタフライ」から第1期ハイパーヨーヨーの頃までの「バタフライ」。
その後のヨーヨーはどんどん幅広になっていったので、現在ではこちらが「狭いバタフライ」になった。

ストリングループもそこそここなせる。
そのため、現在でも初心者向け機種に採用される。

ストレート

まっすぐ伸びたバタフライ

ストリングが当たる面積が狭く、スリープロスが軽減される。

ラウンド

丸いバタフライ
手に持ちやすいので、かつてはカウンターウェイトプレイに重宝された。

中心部の傾斜がゆるいため、スリープロスが大きく、最近はあまり作られていない。

ステップ

中程に段をつけた形で、現在流。
中心部の傾斜をきつくすることで、ストリングがフチに当たる面積を減らすことができ、傾いたときのスリープロスを軽減する。

ステップラウンドとステップストレートに分かれる。

Hプロファイル

フチに段を設けた、横から見るとHに見える形状。慣性モーメントの向上につながる。

インバースラウンド

横から見ると、逆方向に弧を描いて見える形。
スリープロス軽減と持ちやすさを両立している。

オフストリング

有効幅がとてつもなく広い。
通常はオフストリング専用機種で、オンストリングには向かない。

パゴダ

パゴダ(pagoda)とは「」の意。
片方がインペリアル、もう片方がバタフライの左右非対称シェイプのこと。

デフォルトがこの状態のヨーヨー現在のところない。
インペリアルにもバタフライにもカスタムできるヨーヨーの、「3通りの形状に組み替えられるよ」という宣伝文句のための形状である。

非回転体

丸くないヨーヨーもごくわずか存在する。
もちろん競技向けではなく、コレクションモデルしかしながらメーカーは割と本気で作っている。
「くまめキーホルダーヨーヨー」は、おそらく史上初の回転対称形ですらないモデル。これでトリックができると自慢できる。

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