リヒャルト・フォン・グリンメルスハウゼン 単語


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リヒャルトフォングリンメルスハウゼン

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リヒャルト・フォン・グリンメルスハウゼン(Richard von Grinmelshausen)とは、やたらと苗字の長い「銀河英雄伝説」の登場人物である。CV.槐柳二。

概要

銀河帝国軍人、子爵。外伝「千億の星、千億の光」に登場する軍人で、最終階級は大将。
艦隊旗艦は老朽化した標準型戦艦<オストファーレン>。

76歳の老人で、「ひなたぼっこ提督」などの異名からもわかるように有能な軍人とはとてもいえず、周囲から重く用いられるようなことはなかったが、実はその影に恐るべき能力を秘めていた……のかもしれない。

ちなみに、76歳という最終軍歴は地味にアレクサンドル・ビュコックすら上回る最高年齢である。みんなも「呼吸しない軍事博物館」くらいの呼び方をしてあげよう。

経歴

生まれはグリンメルスハウゼン子爵家の三男。士官学校でも凡庸であり、そのままならありきたりの下級貴族として飼い殺しになるはずの人物であったが、二人の兄の戦死によって子爵家を嗣ぐことになった。

青年時代は若きフリードリヒ大公――後の皇帝フリードリヒ4世――の侍従武官を務め、奔放な放蕩息子だったフリードリヒのために会計処理や遊興関係の世話、そして謹厳で財布の紐が極めて堅い皇帝オトフリート5世へのとりなしといった事柄を処理し、フリードリヒの即位後はその知己として信頼されるに至る。


その晩年、ヴァンフリート星域会戦において12200隻の艦艇からなる一個艦隊を指揮。麾下に分艦隊指揮官ラインハルト・フォン・ミューゼル准将、陸戦指揮官ヘルマン・フォン・リューネブルク准将などを擁した。

ヴァンフリート星域会戦において、ミュッケンベルガーは(当然のことながら)グリンメルスハウゼン艦隊をほとんど計算外の存在とみなして後方に配置した。戦闘が始まっても彼の艦隊の動きは極めて鈍重で、戦局に何ら寄与することのないまま、総司令部の命令でヴァンフリート星域第四惑星第二衛星、すなわちヴァンフリート4=2に拠ることとなった。だが、このヴァンフリート4=2に同盟軍の補給基地が存在したために、グリンメルスハウゼン艦隊こそが両軍の思惑を超えてこの近辺における陸宙双方の全面交戦を呼ぶことになる……のだが、彼の艦隊は結局ヴァンフリート4=2の地表を離れなかったため、陸上ではともかく宇宙ではなんの役にも立たなかった。

会戦の後、功績により大将に昇進。「もはや前線には出まいから昇進させてやれ」という勅命による宮廷と軍部の妥協的産物であり、実際にこれ以降、彼が宇宙に出ることはなかった。このとき彼は祝賀パーティーを開き、内務省警察総局次長エーリッヒ・フォン・ハルテンベルク伯爵、ミューゼル少将、リューネブルク少将らを招き、警備担当を任されていたウルリッヒ・ケスラー大佐さんがラインハルトの知遇を得るきっかけとなっている。

大将昇進後、第五次イゼルローン要塞攻防戦の直前ごろに夏風邪を拗らせ倒れた。明確な時期は不明だが、まもなく病死したものと思われる。

交友

かつて侍従武官を務めた仲から皇帝フリードリヒ4世の多大な信頼を受けており、傍目には全くそうは見えないものの、のちのちまでその腹心のような存在であった。

この関係がもととなって、ヴァンフリート星域会戦に先立ってグリンメルスハウゼンが76歳の老境に至って艦隊司令官として前線に出ることと希望した時も、皇帝から宇宙艦隊司令長官グレゴール・フォン・ミュッケンベルガー元帥に「あの老人には好きにやらせてやるように」と勅旨が下されている。

その他、リューネブルク少将の義兄に当たるハルテンベルク伯爵とも親しく交友があり、祝賀パーティーの際などは私室で個人的な会話を交わしている。

その晩年においては、ウルリッヒ・ケスラーを腹心として抱え、パーティーの警備担当などをはじめ、公にはできないような仕事も任せた。上層部に睨まれていたケスラーは彼の庇護によってオーディンに勤務することができていたが、彼の死後はラインハルトに引き立てられるまで辺境星域に左遷される憂き目にあっている。

評価

基本的にはまったく評価されていなかった。

その扱いの軽さは宇宙艦隊総旗艦<ヴィルヘルミナ>のオペレーターにさえ伝染しており、名前が長すぎることから「グリンメルス艦隊」などと呼ばれることになってしまっている。宮廷の廷臣たちもまた同じであり、謁見のための控室で居眠りする姿を賭けの対象にするほどであった。

ただ、あまりに飄々とした人物であっただけに憎まれるようなことはなく、丁重に扱いつつ実質的には無視されているような状況だったといえるだろう。

能力

指揮官としては凡庸以下で、軍人に必要な他の能力も恐らくさほどのものではないと思われるが、彼は、門閥貴族出の軍人であるにも関わらず、二つのある特異な能力を持っていた。

その第一は、恐らく侍従武官として長年宮廷の内部を見てきた経験と76歳という年功による「炯眼」であった。
彼はリアルに「自分を客観的に見ることができ」たし、 他の門閥貴族のような先入観なくラインハルト・フォン・ミューゼルという若き天才を見つめることもできた。「金髪の孺子」という呼び方にも、やんわりと苦言を呈している。

「若さというものは、すばらしゅうございますな。陛下、あの若者を見ておりますと、心からそう思います。この世に不可能などないように見えますな」

という彼のラインハルトに対する評価が、彼の門閥らしからぬ人物鑑定眼を示している。
とはいえ面白いことに、彼はラインハルトの能力は認めても、ことさら自分から重用しようとはしなかった。そのためにラインハルトも当初はグリンメルスハウゼンを無能と忌み嫌ったのであるが、彼を嫌うでもなく重んじるでもないグリンメルスハウゼンの飄々とした態度に嫌悪感も削がれたのか、愚痴りつつも極端な批判をすることは無くなった。その上グリンメルスハウゼンは昇進が留め置かれていたジークフリード・キルヒアイスの昇進を支援したため、ラインハルトとしては半ば不愉快なことに謝意を示さざるを得ないほどであった。


そしてもう一つ、彼は「自他ともに認める無能者」として他人に侮られていたため、結果として宮廷内の様々な秘密が手に入るという不思議な能力を持っていた。つまり、宮廷の陰謀家たちも、野心も能力もなくただ口が堅いだけの無能者の前で、あえて秘密を隠す必要性を認めなかったのである。その結果、彼が老境に達する頃には、貴族社会や宮廷、それに軍部のありとあらゆる秘密の詳細が彼の手元に集まっていたのだった。

彼はそれを1冊の文書に綴じ込んだ。「グリンメルスハウゼン文書」と呼ばれるその文書はウルリッヒ・ケスラー大佐に託され、ラインハルトのもとへ持ち込まれる。「大貴族の恥部や弱みが記されているこの文書を、自身の立身に役立てよ」というグリンメルスハウゼンの意思であった。

しかし、ラインハルトは「私は脅迫者にはならない」とこれを受け取らず、ケスラーに封印保管が任せられることとなる。その期限は「歴史が門閥貴族どもの独占物でなくなるときまで」。このとき少将だったラインハルトが、元帥ローエングラム公爵として位人臣を極めたのは、わずかに3年の後であった。

関連動画

関連項目

  • 銀河英雄伝説
  • フリードリヒ4世
  • ヘルマン・フォン・リューネブルク
  • エーリッヒ・フォン・ハルテンベルク
  • ウルリッヒ・ケスラー

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