万丈龍我とは、特撮ドラマ『仮面ライダービルド』の登場人物である。
演:赤楚衛二
戦兎「誰が生い立ちから話せっつったよ!」
東都の刑務所から脱獄し、謎の追手から逃亡を続けてきた青年。かつては格闘家として活躍していたが八百長試合に手を染めてしまい、更にそれが発覚し格闘技界を追放されてしまう。さらに殺人の罪で逮捕・投獄されてしまった経歴を持つ。そのことで一時期「俺はバカでクズ」と自嘲していた。
身体能力は衰えておらず、生身の状態でガーディアン(ロボット兵士)の集団であれば一掃できるほど。
脱獄した彼の身体からはスマッシュの反応があり、駆けつけた仮面ライダービルド/桐生戦兎と一戦を交えるが、事情を聴かされた戦兎の手によって追手から逃げ出し、戦兎たちの秘密基地に匿われることになる。
投獄中に看守によって一服盛られ、ガスマスクの科学者たちに囲まれて何かしらの人体実験に巻き込まれたと語っており、これは記憶喪失の状態にある戦兎が唯一覚えている記憶とベストマッチしている。このため戦兎は龍我が自分の記憶の鍵を握っていると考えているようだ。理論的に物事を考える戦兎とは時に衝突することもあるが、基本的にはお互いボケたり突っ込んだりのよき凸凹コンビである。
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この項目は、作品のネタバレ成分を多く含んでいます。 ここから下は自己責任で突っ走ってください。そうでないなら逃げルルォ!! |
龍我の冤罪には恋人の小倉香澄が関わっていた。香澄は病気のために身体が弱っており、龍我は彼女の治療費を稼ぐために八百長に加担したのだという。仕事を探していた龍我は彼女から「葛城」という科学者の助手の仕事を紹介されたが、香澄に教えられて向かった葛城の家で本人が殺害されている現場に遭遇し、駆けつけた警察によって逮捕されてしまった。
その香澄もナイトローグが率いるファウストの科学者によってバーンスマッシュに変貌し、さらに病弱だったためにスマッシュの成分を抜き取っても元の肉体に戻らず死亡してしまう状態にあった。スマッシュに変貌した人間は自我を失うのだが、バーンスマッシュは香澄としての自我を完全に失わず龍我を攻撃しまいと必死に抵抗していた。
龍我はビルドに「せめて彼女を元に戻してほしい」と頼み込み、スマッシュはビルドの手によって一時的に香澄の魂を分離させられ「鍋島という男に仕事を紹介された」という真相を語り消滅した。
香澄が変貌したスマッシュから抽出したドラゴンフルボトルは龍我の手に渡った。さらに鍋島という男が服役中に龍我に一服盛った男であることも判明し、龍我は自らの冤罪を晴らすために引き続き戦兎たちと行動を共にする。
西都に渡り、鍋島と接触することに成功するが、その鍋島が秘密結社「ファウスト」の二度目の人体改造と、スマッシュ化中の更なるガスの追加を受けた結果、スマッシュ化の後記憶喪失に陥り、冤罪を晴らす手がかりがなくなってしまう。
冤罪を晴らす機会がなくなった後、まともに外出もできない状況。
加えてその後、戦兎が自身の記憶の手がかりを見つけたことをきっかけに余裕がなくなり、龍我にそっけない態度を取り続けてしまう。
冤罪、恋人の死、潔白証明の道筋の途絶、外出不可のストレス、周囲全員からの軽視…と追い詰められた結果、龍我はその戦兎の記憶の手がかりである岸田立弥がスマッシュから元に戻ったところに乱入。抜き取った成分を立弥に戻し、アジトを探す為に立弥を利用するという、人命を度外視した暴挙に出てしまった。龍我の思惑通りにスマッシュはファウストの人体実験を行うアジトに戻り、場所をつきとめることができたが自身も敵に見つかりピンチに陥る。駆けつけたビルドによりその場は助けられたものの、秘密基地に戻ってから戦兎とお互い殴り合いのケンカに発展し、ついには戦兎のビルドドライバーで変身を試みるほどの追い詰められ様であった。(結果は失敗)
一晩経過し、マスターの石動総一から戦兎の心境についての話を聞いた龍我は心を改めたのか、戦兎に立弥の件について謝罪しお互いでアジトに侵入する計画を実行する。そしてアジトにいたブラッドスタークによって戦兎と龍我がスマッシュに変貌するネビュラガスを体内に注入する実験を受けながらスマッシュに変貌しなかったレアケースであることが明かされる。衝撃の真実を知らされ、我を忘れて実験体にされている人質も無視してブラッドスタークに食いかかる戦兎を龍我が食い止める。
「前に聞いたよな。自分の記憶と人助けのビルドどっちが大事か。迷わずビルドって答えたお前に、生まれて初めて嫉妬したよ。こいつには勝てねぇって。今はどうなんだよ?」
この龍我の一言で我に返った戦兎は改めてビルドとして人質を救出した。
スマッシュに変貌した立弥を無事に救出することに成功したが、その立弥から「葛城が死に、龍我が逮捕された直前に戦兎が記憶を失う前の素性(とされている)佐藤太郎が葛城の部屋に行っていた」ことが明かされる…。
以降、幾つかの断片的な情報が明かされるものの、決定的な何かを掴めずにいた龍我は、ハザードレベルの上昇により、仮面ライダーへの変身に必要な要件を満たした。
当初は戦兎に難色を示されていたものの、原点である香澄との過去を振り返り、「己を守る己の力」から「誰かを守る仮面ライダー」へと初めて変身する。
こうして新たに「仮面ライダークローズ」となった龍我だが、事態は思わぬ方向から進展する。
彼がその進展を知った時は、既に戦兎によって進展の証明が取れた後だった。
その進展の詳細は、記憶が回復した鍋島から「鍋島に指示を飛ばしていたのは石動惣一であり、彼がブラッドスタークだった」というものだった。
彼もずっとブラッドスタークに匿われ、ブラッドスタークの元でハザードレベルを伸ばしていたのである。
さらに石動から、「氷室幻徳がナイトローグ」であることが判明し、幻徳の罪を暴く。が、幻徳の捨て台詞で今度は「桐生戦兎がファウストを作った葛城巧と同一人物=香澄の死因を作った元凶の一人」であることが明かされ、龍我は戦兎に詰め寄り、ライダー同士の決闘が始まる。
しかし龍我は、戦兎を責めることができないことも理解しており、彼が許せないのは自分自身だったとも吐露している。
そして、葛木巧の真実が明かされた後、スマッシュとの戦いで力を揮えないでいた戦兎に対して、精一杯の言葉を投げる。
「お前が作ったのはスマッシュだけじゃねェだろ!?」
「そのベルトを巻いて、大勢の明日を、未来を、希望を作ってきたんじゃねェのかよ!?」
「誰かの力になりたくて戦ってきたんだろ! 誰かを守るために立ち上がって来たんだろ!」
「それが出来るのは『葛城巧』でも『佐藤太郎』でもねェ、『桐生戦兎』だけだろうが!」
その言葉を受け、再び立ち上がる戦兎。
しかし、倒したスマッシュは北都から現れたものだと判明する。何度もぶつかって傷つきながらも生まれてきた絆は、三都間の「ライダーウォーズ」で引き裂かれてしまうのか……?
新たな危機に対して、龍我は戦兎が完成させたベルト・スクラッシュドライバーを使用し、「仮面ライダークローズチャージ」になる。
しかしそれは禁断の力、使えば使うほど精神がネビュラガスの成分により歪められていく禁断のアイテム。
戦兎のため、美空のため、そう決意してスクラッシュを使用する龍我だが、その精神は徐々に蝕まれていくこととなる。
それでも、龍我の根源の意志は変わらない。仲間の為に禁断の力を使ってでも、戦いを終わらせようと、スクラッシュの力を使い続ける。
だが結果的に、戦兎の方が先に一線を越えてしまうこととなり、やることなすことが全て無駄にさせられてしまう。
戦兎はその後、仮面ライダー同士の決戦で戦争を決着させるという名目の「ライダー代表戦」に出場することとなる。
当初は龍我が出る意志を固めていたが、戦兎が何とか空元気を振り絞れるようになったところで意志を固めたため、龍我はそれ以上引きとめることができなかった。
しかし、ハザードトリガーを使用する際の保険として、戦兎はハザードトリガーごと自身を破壊するスイッチを美空に託していた。戦兎が死ぬ、そう聞かされた龍我は急ぎ代表戦の舞台に駆けつけ、決着がついた後、暴走した戦兎が再びその手を血に染めてしまう直前、何とか間に合う。
スクラッシュの副作用と反動に苛まれながら、ハザードフォームの相手をしなければならなくなった龍我だが……。
「俺しかいねえ、戦兎を助けられるのは、俺しかいねえだろォォ!」
その想いがハザードレベルとして現れたのか、ボコボコにされる土壇場という状況で漸くクローズチャージを自身の意志で制御できるようになる。
そのまま龍我は、渾身の一撃でハザードフォームを止めにかかり、相討ちながら見事戦兎を変身解除させることに成功したのだった。
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映画は石動惣一がブラッドスタークと判明した後の話。
己が仮面ライダーになって戦っている理由に、未だ明確な答えを見いだせていない龍我。
しかしそんな彼らの前に現れるバグスターウイルス、「カイザー」と名乗る怪人。
龍我はカイザーの手により、平行世界に放逐されてしまう。
その放逐された世界は、かつて葛城巧が「仮面ライダーエグゼイド」の成分を奪っていった世界。
最初はスカイウォールのない世界に戸惑い医療行為の邪魔になってしまったり、ビルドドライバーを着用していたことから宝生永夢にビルドではないかと疑われたりと散々であった。
しかし、真実が永夢を通して伝わったことで永夢と共に行動をすることになる。永夢や、途中で出会った火野映司の戦う信念に触れた龍我は―――。
その迷いのためか、活躍自体は主役ライダーより控えめだが、ストーリーだけで見れば「仮面ライダークローズの原点」ともいうべき重要な話であり、同映画真の主役といっても過言ではない。
特にこれがあったからこそ、16話での龍我の台詞に説得力が生まれるようなものでもあり、本編を楽しむならば是非見ておきたい作品である。
龍我を演じる赤楚衛二氏は以前に『仮面ライダーアマゾンズ Season2』に長瀬裕樹役で出演しており、主要キャストでは珍しく仮面ライダーシリーズの過去作に出演経験がある。
一部視聴者からは劇中の龍我の境遇にあわせて「アマゾンズの世界から脱獄してきた」(脱獄先もまた地獄であるわけだが)、長瀬の台詞「千翼ォ! 逃げろォ!」のパロディである「戦兎ォ! 逃げろォ!(表記揺れ:逃げルォ!、逃げルルォ!)」、龍我が仮面ライダーになったことに対して「これで千翼を守れる」などとネタにされているが、作中龍我は「エリアC4にある刑務所」から脱獄したことになっており、C4をもじった「4C」という単語もアマゾンズに登場しているため制作側も若干意識していると思われる節がある。
ちなみに、平成ライダーにてヒロインのテレビ字幕は青色で統一されているのだが、偶然にも万丈の字幕も青色。
これに加えて本編序盤の彼の扱いから「ヒロインは万丈」と称されることも。
このことは演者もネタにしており、『平成ジェネレーションズFINAL』のキャストコメントにて「ヒロインの万丈龍我役の~」と自己紹介している。
また、本人が直接出ているシーンではないが、石動惣一の発言が元となり、何でもかんでも事態を押し付けられたり、何でも背負い込む義理堅い男という印象が未視聴の人間にも広がっている。詳細は「万丈構文」を参照。
この万丈構文、よりによって演者の赤楚衛二氏までネタにしている。
龍我用に戦兎の開発した、ドラゴン型サポートメカ。
背部にフルボトルのスロットがあり、主にドラゴンフルボトルを刺してその力を発揮させる。
成長型人工知能が搭載されており、単独飛行が可能。独特な鳴き声のようなものを発する。
鋭い牙や炎での攻撃、吸い出す形での毒の対処など戦闘能力も備えている。が、火炎弾を味方に撃つなどおちゃめな所も。
しかしその最大の能力は、クローズドラゴンがビルドドライバーの仲介になることで「フルボトル一つでの変身」を可能にする力。
ビルドドライバーで仮面ライダーに変身するには、フルボトルへの適合に使われる基準「ハザードレベル」が3.0にならなければならず、強い想いで引きあげられるハザードレベルに反応して、クローズドラゴンは変身形態となる。
万一の為に変身の媒介機構を作っていた戦兎。
そして、ドラゴンフルボトルさえ使えば生身のままスマッシュを倒せる程にまでパワーアップしていた龍我のハザードレベルは、敵幹部ブラッドスタークの目視で遂に3.0を突破する―――!!
『クローズドラゴン!』
『Are you ready?』
「変身ッ!!」
『Wake up burning! Get CROSS-Z DRAGON! Yeah!』
龍我の想いにクローズドラゴンが応えた=ハザードレベル基準を突破した時、変身可能になる新たな仮面ライダー。
先述の通り、変身にはクローズドラゴンとビルドドライバーを使うため、ビルドドライバーをビルドと共有する。
ビルドのドラゴンハーフボディをベースに、オレンジのポイントが入った追加装甲を纏った姿をしている。
頭部含めた上半身や腕部に追加装備が重ねられているため、基礎自体はビルド同様ながら、ビルドとは大きく外見が差別化されている。
誰が言ったか、変身シーンが「恋人(ドラゴンフルボトル)に後ろから優しく抱かれる」と称されている。
またビルドの時に龍の横顔だったものが、クローズの際は龍の両ヒゲのような意匠になっている。
単独でパワーの膨れ上がるドラゴンフルボトルの「蒼炎」を最大限に発揮しつつ、全身に配備されたオレンジの爆破装置「バーンアップクレスト」でさらに破壊力を増大させる。
元々格闘家の龍我が変身しているだけあり、格闘能力を補佐するドラゴンのボディとの相性は抜群。
また、ビルドと大きく外見を変える要因となる上半身の追加装甲「ドラゴライブレイザー」は、短時間ではあるが単独行動が可能。
蒼炎に押されて放つ必殺キックは、ビルドと違い「ドラゴニックフィニッシュ!」と新たな名前になっており、一撃でスマッシュを打倒した。
また、クローズ初変身直前、戦兎が専用武器である剣「ビートクローザー」を作成している。
剣の柄頭部分(グリップエンド)を引っ張ることで必殺技が発動可能である。
名称や「奏剣」は龍我と無関係に思えるが、BEATには殴りつけるという意味もあり格闘家→殴る→ビート→音楽という流れだと思われる。無駄にリズミカルなのも音楽性を高めた結果か。
またロックフルボトルもLock(錠前)ではなくRock(音楽)と掛けられている。
クローズの綴りは「CROSS-Z」。12話の段階では「クローズ」の名称は出ておらず、13話で戦兎に名づけられたが、その名前の意味は不明。
「悪いな。ヒーローは俺だ」
《スクラッシュドライブァア……!》
《どらごんじぇりぃい……》
「変身!」
《潰れる! 流れる! 溢れ出ぇる!!》
《DRAGON in CROSS-Z CHARGE!!》
《ぶるぁぁぁぁぁぁ!!!!!》
葛城巧の遺したデータにあった「スクラッシュ」から戦兎が開発した「スクラッシュドライバー」と「スクラッシュゼリー」で変身する新たなクローズの姿。
しかし、データ完成直後に侵入者にデータを盗まれてしまったため、そのデータから難波重工によりドライバーが作成され、北都のライダー「仮面ライダーグリス」も同じドライバーを使用する(スクラッシュゼリーは違う)。
北都の戦力「ハードスマッシュ」に対しても互角以上の戦いができるが、早々にクローズチャージを上回るグリスと相対するなど、なかなかに苦難が続く状況である。
最大の問題点は、スクラッシュドライバーを使用すると、そのたびに変身者はパンドラボックスの光を浴びるのと同じような状態となり、精神が好戦的な方向に歪んでいってしまうところである。
にも関わらず、クローズチャージの性質は変身して経験を積むたびに強くなっていくシステムである。
戦兎は龍我のクローズチャージ初変身以降、それを龍我に隠したまま万丈のスクラッシュ使用を禁ずるが、真意を知った龍我は仲間たちを守るために変身する。
現状は、龍我の副作用は「変身時に戦いのこと以外を判断できなくなる」程度に収まっている。
それは龍我の成長の証だが、それでも残った副作用がデメリットとして強烈に機能する場合も多い。
また、身体にかかる負荷も尋常ではなく、変身のたびにボロボロになっていく傾向が強い。
総じて「使わなければ戦えない禁断の力」として、悩める龍我に追い打ちをかけてしまう存在となっていた。
……が、ある局面で龍我は遂にそれらの副作用や負荷を乗り越え、漸く本来の力を引き出せるようになった。
ベルトも使用アイテムも違うため、ビルドが素体だったクローズとは大きく外見が変わり、頭部や胸部に水色のクリアパーツが装備されているのが、外見上の最大の特徴。
必殺技は「スクラップブレイク!」。
また、パイルバンカーとビーム砲を合体させた武器「ツインブレイカー」を装備しており、武器の必殺技も多数存在。
ツインブレイカーにクローズドラゴンを装填した際は通常と異なる必殺技が発動可能。
なお、ベルトの音声は若本規夫が担当。
そのため各種システムボイスは若本感満載のものとなっている。
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最終更新:2025/12/07(日) 07:00
最終更新:2025/12/07(日) 07:00
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